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【野球】稲村亜美さん騒動に思う 野球の始球式は何のため?
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3/26(月) 9:00配信
中学生の野球大会の開幕式で前代未聞の事態が起きた。
3月10日、東京・神宮球場で行われた中学生の野球大会で始球式を務めたタレントの稲村亜美さん(22)が多くの選手に取り囲まれ、もみくちゃにされたのだ。
テレビのワイドショーなどでも取り上げられたから、承知の方も多いと思う。映像を見る限り、始球式はマウンドで行われ、中学生たちはマウンドを取り囲む形で、その様子を見ていたのだが、誰ともなく、少しずつマウンドににじり寄り、最後はわーっという形で収拾がつかなくなったようだ。
ちなみに、稲村さんって誰? と思ったオジサンのために、簡単に説明すると、浅井企画所属のアイドルタレント。リトルシニアなどでプレーしたことがあるようで、2015年に自動車会社のウェブCMで豪快な打撃が“神スイング”と話題になり、その後、始球式に引っ張りだこに。
15年9月のヤクルト−DeNA(神宮)で行ったのをはじめ、数々のプロ野球公式戦や都市対抗野球、独立リーグなどで始球式や始打式を行っている、その道の“エキスパート”だ。
もちろん、中学生の大会に招かれた稲村さん自身、リトルシニアのOGであり、今回の騒動に非があるわけではない。今回の事態に困惑しているのは事実のようで、浅井企画のホームページに「(略)想像以上の反響が届いており、驚いております。ご心配の声を有り難くお受けする一方、事実と異なる情報も飛び交っており、困惑もしております」などと綴っている。
主催者の日本リトルシニア中学硬式野球協会関東連盟が再発防止策に努めるのは当然として、その原因を追及するのが、この稿の役割ではない。
この機会に、なぜ、始球式をするのか? を考えたい。稲村さんの場合、野球経験者だから、始球式に選ばれることは理解できる。最近、野球とは関係ない芸能人、タレントを誰彼となく呼ぶケースが目立っている。
新しいドラマや映画の番組宣伝さながら、主人公に扮した俳優らが登場、仰々しく始球式を行う。注目を集める可能性はあるし、話題にはなるだろう。ただ、これでいいのか、と疑問に感じた人もいたのではないか。
今シーズンのプロ野球の開幕はセ、パの両リーグとも3月30日。開幕試合の始球式は、主催球団とも力が入るもの。今年は、2月の平昌冬季五輪で、メダルラッシュに沸いたアスリートが人気だ。
日本ハムは札幌ドームでの西武戦に、スピードスケートで金メダル2個を獲得した高木菜那さん(25)を起用すると発表。カーリング女子で銅メダルのLS北見がビデオメッセージを寄せる、という。
開幕3連戦の3戦目となる4月1日にはノルディックスキー・ジャンプ女子で銅メダルの高梨沙羅さん(21)、東京ドームでの主催試合でロッテ戦には高木美帆さん(23)を起用する、という。これでもか、と言わんばかりに北海道出身のアスリートずくめだ。
野球の発祥の地は米国では、当初、観客席からグラウンドへ向かって始球式が行われたようだ。それが、マウンドに上がって始球式を務めるようになった。
米国でも、宣伝めいたタレントの始球式は行われているが、ここぞの試合では、球団に在籍した著名なOBらを招き、レジェンドに対し「リスペクト」の意思を示している。それで、球団の歴史を振り返り、球団への愛着を新たにする。
稲村騒動を契機に、もう1度、始球式とは何か、どんな人がふさわしいかなどを考えたいものだ。
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