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ウクライナの欧州製SAMP/T防空システム、ロシア軍機を撃墜していた [きつねうどん★]
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シンガポール空軍のアステル30 SAMP/T地対空ミサイルシステム。2020年2月、シンガポール・チャンギ空港(Duc Huy Nguyen / Shutterstock.com)
ウクライナ軍のSAMP/T地対空ミサイルシステムが、ロシア軍機を撃墜していたことが明らかになった。フランスとイタリアが共同開発し、米国のパトリオット地対空ミサイルシステムの欧州版に当たるSAMP/Tにもっと頼らざるを得なくなるかもしれないウクライナにとって、間違いなく朗報だ。
もっとも、SAMP/Tとそのアステル(アスター)ミサイルはウクライナでも、欧州などのほかの国でも数が足りていない。
ウクライナ空軍司令部コミュニケーション局のユーリー・イフナト局長が最近のイベントで「SAMP/Tはスーシュカ(スホーイ設計局の航空機の愛称)を撃墜しました」と認めた。SAMP/Tが撃墜した目標はほかにもあるとし、「(撃墜が)確認された航空機があります」とも語った。
レーダーや発射機などで構成される5億ドル(約740億円)程度のSAMP/Tを、ウクライナはこれまでにフランスとイタリアから計2基受け取っている。SAMP/Tは最大150km離れた航空機やミサイルなどを迎撃可能で、西側ではパトリオットに代わり得る唯一の防空システムだ。
ウクライナは米国、ドイツ、ルーマニア、オランダからパトリオットを少なくとも計6基受け取っている。しかし、ロシアに同調する姿勢を強めるドナルド・トランプ米政権が地政学的カオスを引き起こすなか、ウクライナはロシア軍の航空機やミサイルへの対処でバックアップの計画が死活的に必要になっている。
ウクライナが始めたのではない戦争をウクライナに終わらせるよう要求しているトランプは2月末ごろ、ウクライナへの米国の軍事援助を停止した。実行が困難な停戦枠組みにウクライナが同意したあとにようやく、米政権は援助再開に応じた。この停戦枠組みにはロシアも同意する必要があるが、それを得るのは不可能かもしれない。
トランプ政権はカナダやデンマーク自治領グリーンランドに対し、米国の一部になるよう脅してもいる。2月、欧州に米国からの戦略的な「自立」の達成をあらためて呼びかけたドイツのフリードリヒ・メルツ次期首相候補には、先見の明があった。
パトリオットが使えなくなれば、ウクライナはロシアによる空からの攻撃に対する防衛の大きな部分を、少なくとも一時的には失うおそれがある。
ミサイルの供給不足
ウクライナ空軍は現在、SAMP/T2基、パトリオット6基を運用している。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は2024年4月、ロシアの攻撃に対処するにはパトリオットか同等の防空システムが少なくともさらに7基必要だと訴えていた。
SAMP/Tとパトリオットに関してはミサイルの供給も大きな問題だ。ウクライナが両システム用のミサイルをこれまでに何発受け取ったのかは不明だが、ジョー・バイデン前米政権の手配で今年1月、イスラエルの在庫からウクライナにパトリオットミサイル約90発が供与されることになり、大きなニュースになったのは思い出しておきたい。
米ロッキード・マーティンはパトリオットミサイルを年間500発ほど生産しており、2027年までに年算数を650発へ引き上げることを目指している。ドイツでもパトリオットミサイルの新工場が建設されているものの、生産体制が整うまでには数年かかりそうだ。ロッキード・マーティンが掲げるパトリオットミサイルの年産目標数は世界全体でも750発にとどまる。
SAMP/Tのアステルミサイルはもっと少ない。フランスとイタリアは2022年、アステルを計700発発注した。両国と、軍艦からアステルを発射する英国は、このミサイルを新たに計220発ほど調達する予定だ。これらのアステルの一部はウクライナに渡される可能性がある。より可能性が高いのは、3カ国がすでに保有しているアステルをウクライナに譲渡し、減った分をこれらの新規調達で補充するというものだろう。
とはいえ、欧州のミサイルメーカーであるMBDAは現状、アステルの生産に2年ほど要しているとみられる。パトリオットの生産に要する時間よりも数カ月長く、ウクライナを救うには明らかに遅すぎる。
https://forbesjapan....rticles/detail/77776 - コメントを投稿する
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