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世界経済「米国機関車論」に暗雲 日欧もたつき金利低下促す
2014/10/10 18:17 日経速報ニュース
国際金融市場では、主要国の長期金利が先行き低下するとの観測が引き続き根強い。9日の海外市場から
10日の東京市場にかけては、米国や日本の国債利回りが「当面の下限」と目される水準まで低下(国債価格は
上昇)したことからいったん買いが引っ込んだものの、早晩買いは再開するとの声が消えない。世界経済の「機
関車」役と期待される米国には低インフレの懸念が浮上。本当に利上げに踏み切れるのかどうか、疑問視する
ムードが漂い始めた。
「足元の米金利低下は、水準面からやや行き過ぎている」。野村証券の杉崎弘一クオンツ・アナリストは10日、
こう指摘した。米長期金利の指標となる10年物国債の利回りは9日のニューヨーク市場で一時2.27%まで低下
し、2013年6月19日以来およそ1年4カ月ぶりの低水準を付けた。13年6月19日。米連邦準備理事会(FRB)の
バーナンキ議長(当時)が量的金融緩和に伴う証券購入の規模縮小を示唆したまさにその日だ。
杉崎氏はシカゴ市場で取引される米10年債先物についても「13年6月以降の高値圏にある」と指摘。FRBが
ひたすら緩和拡張モードにあった最後の時期と同じ水準まで金利が下がりきったという事実を前に、積極的に
買い進む雰囲気にはなりにくいとの見方が広がったのは理解できる。何しろ、現在のFRBは証券購入の停止に
続いて利上げの開始すら視野に入れているのだ。
国内債券市場でも金利低下にいったん達成感が広がった。典型は中短期ゾーンだ。日銀が国庫短期証券
(TB)を大量に買い入れたことなどからTBのマイナス利回りが定着。中短期の国債利回りにも低下圧力がか
かった結果、9日には残存期間ほぼ4年の国債(5年物国債115回債、残存3.93年程度)利回りが0.1%に低
下した。日銀が実施している期間最大4年貸出増加支援オペ(公開市場操作)の貸出金利と同水準で、当面
の4年債利回りの「下限」とみなされてきた。年限の近い新発5年物国債の利回りは10日、0.150%と前日比
0.015%上昇した。
もっとも、きょうの一服をもって中長期の金利低下局面が終わりを迎えたとの見方は少ない。日本とユーロ圏
が積極的な金融緩和を推進する一方、米国は金融緩和の出口を模索してきた。その結果であるドル高が、い
ま注目されている。
8日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月開催分)は、委員らがドル高に懸念を示していた
ことを明らかにした。通貨高は米国の輸出に打撃になるうえ、輸入物価の押し下げを通じて米国内の物価を
上がりにくくするためだ。アール・ビー・エス証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「FRBが実際に利上げ
に踏み切れるかどうか不透明感は強い」とみている。
議事要旨からは、米国外の景気減速に対するFRBの強い警戒感も読み取れる。「米国が世界経済を引っ張り
上げる」シナリオから「米国がもたつく日欧などに足を引っ張られる」構図へ。米国につれて世界の金利が上がる
との見方から、連鎖的に金利が低下する流れへの転換と言い換えてもいい。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一債券クオンツストラテジストは「金融緩和を背景に日欧の金利低下が続け
ば相対的に米国債に割安感が生じるため、米金利は上がりにくい状況が続く」と指摘する。米金利の先高観が
後退しつつあるなか、国内金利も低位安定が続く可能性が高まっている。〔日経QUICKニュース
(NQN) 鈴木孝太朗〕 - コメントを投稿する
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株、足元では売られすぎの水準・広木氏 1万5000円は維持
2014/10/10 16:59 日経速報ニュース 489文字
広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジスト 前日9日の米株式市場でダウ工業株30種平均などが大幅に
下げたため、10日の日経平均は4日続落し2カ月ぶりの安値を付けた。ただ、日経平均は下げすぎだとみて
いる。今後も米株次第で日本株が推移する側面はあるが、日経平均は1万5000円台は底堅く維持して推移
するだろう。
その理由の1つは為替の水準だ。足元の円相場は1ドル=107〜108円と、ややこれまでの円安基調が一服
している。それでも日経平均が9月に1万6000円台を付けていた時の円相場と、それほど離れているわけでは
ない。外需関連株を中心に買い戻しが入っても良い水準だ。
テクニカル的にみると、10日の日経平均はローソク足で下に長くひげを引いたものの、一目均衡表の雲の下限
で踏みとどまった。東証株価指数(TOPIX)は200日移動平均(1238程度)の上にある。この水準からは大きく
下げることは少ないとみる。
来週の注目は米企業決算だ。好調な企業業績が確認できれば、このところ乱高下することが多い米株も落ち
着き、安定的な上昇基調に入るだろう。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
太陽光発電の参入凍結、大規模施設、増設も認めず、経産省検討、買い取り価格大幅下げへ。
2014/10/11 日本経済新聞 朝刊
経済産業省は大規模な太陽光発電施設の新規認定を一時停止する検討に入った。高値で再生エネルギーを
買い取る「固定価格買い取り制度」によって認定申請が急増、電力会社が受け入れきれなくなったためだ。既存
事業者の新増設も凍結し、現時点で認定済みの設備の稼働を優先する。同時に太陽光発電の買い取り価格を
引き下げ、再生エネルギーの供給体制を全面的に見直す。(解説5面に)
経産省が15日に開く「総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会」で固定価格買い取り制度の見直
し案を示し、年内に具体策を決定する。東日本大震災後に急拡大した再生エネルギー関連の産業や地方自治体
は事業や政策の見直しを迫られそうだ。
2012年に始まった固定価格買い取り制度では、設備を短期間で準備できる太陽光事業への参入が急増した。
直近の今年6月は出力50キロワット以上の中規模以上の太陽光発電施設だけで約400件の申請があった。九
州電力など5電力が送電線の受け入れ能力を超えるとして、9月末に受け付け停止を発表し事業者に混乱が広
がった。
見直し案ではまず、新規の大規模な太陽光発電業者の認定申請の受け付けを一時停止する。既存事業者の
新増設計画も受け付けない。一般家庭向けの認定は継続する方向だ。送電線の能力増強も進め、認定済みの
約7万件の比較的規模が大きい事業者の発電所を優先して稼働させる。
再生エネの急増で膨らむ国民負担も抑制する。再生エネを買い取る原資は現在、電気料金に上乗せする形で
年2700円(一般家庭)を徴収している。現在の買い取り価格のまま認定済みの事業者が全発電所を稼働させ
れば、家庭の負担は1万円を超す。
経産省は新規認定を凍結する一方、買い取り原資の総額に上限を設ける方向で検討する。将来的には買い取
り価格が大幅に下がる可能性が高い。 電力の買い取り価格についても、電源ごとに差をつける。太陽光を下げ
る一方、設備導入に時間がかかるが安定して電力を供給できる地熱・水力発電などは優遇する。太陽光では
、国の認定を受けても発電を始めない事業者の買い取り価格を引き下げる案もある。
政府は温暖化ガス削減などを目的に、30年までに全電源のうち21%超を再生エネにする目標を掲げる。ただ
、一連の混乱で制度設計の甘さが露呈したことから、制度の抜本見直しを迫られている。
▼固定価格買い取り制度 政府が太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの導入促進を目的に始めた制
度。経済産業省が家庭や企業を再生エネの発電事業者として認定。発電した電力を最長20年間、一定の価格で
電力会社に買い取ることを義務付ける。買い取り価格は太陽光や風力など電源の種類によって異なり、年度ごと
に見直している。買い取り費用は「賦課金」として毎月の電気料金に上乗せし徴収される。14年6月末時点で小
規模事業者も含め130万件超が認定を受けた。 -
株安招いた先物空中戦―ファンド勢、需給の空白突く(スクランブル)
2014/10/11 日本経済新聞 朝刊 16ページ
東京株式市場では10日までの4日間で日経平均株価が600円近く下げた。世界景気の先行き懸念など売り
材料の説明には事欠かないが、需給に目を移せば明確な売り手が存在する。モルガン・スタンレーMUFG証券
の先物売りが相場の下げを主導し、その裏にはヘッジファンドがいるとみられている。ファンド勢による売り仕掛け
の空中戦――。その真意はいかに。
「モルガンが突然、先物を大量に売ってきたのが相場下落の最大の要因ですね。裏に誰がいるのかという話題
でもちきりです」。10日、ある大手証券のトレーディングフロアでデリバティブ(金融派生商品)取引のチーフトレーダ
ーは少し疲れた声でこう話した。
□ □
大阪取引所の先物手口を見ると、モルガンは上位に連日顔を出す常連だが、売りと買いはおおむね拮抗していた。
そのモルガンが売りへと大きく傾き始めたのが8日からだ。10日までの3日間で日経平均先物と東証株価指数
(TOPIX)先物をともに約1万1000枚ずつ売り越した。想定元本ベースでは、約3000億円の日本株を売った計算
だ。この間に目立った売り手はモルガンの1社だけで、同社の「一手売り」が相場下落を主導したことになる。
会社側に先物売りの理由を尋ねると「個別の取引内容にはコメントできない」とにべもない。ただ競合他社のトレー
ダーは「グローバルマクロ系のヘッジファンドが裏にいるのは間違いないだろう」と読む。
なぜファンド勢はこのタイミングで売りに動いたのか。UBS証券の大川智宏氏は「機関投資家による実需の売買
が薄くなっているタイミングを狙い、ショート(新規売り)で日本株の相場下落を仕掛けている」と指摘する。
日本株売買シェアで首位の野村証券は10日の店内の注文動向が若干の買い越しだった。ただ機関投資家は
おおむね様子見で、目立った売買は少ないという。
米国株の調整、欧州景気の悪化、商品市況の下落、そして日本の景気失速懸念……。世界を見渡せば、買い
を控える理由は掃いて捨てるほどある。こうした需給面の「空白」を、売り仕掛けでファンド勢は突いてきたわけだ。
□ □
相場が動くと、もっともらしい理屈は後からついてくるが、ファンド勢が狙う売り仕掛けの理由は意外と単純かもしれ
ない。
その証拠が、海外ファンド勢が参考にしているというTOPIXと米S&P500種株価指数を重ね合わせたチャートだ。
9月中旬から米国株の動きに数日遅れて日本株が同じ方向に動く傾向が強まっている。
今年前半に米長期金利の方向を読み違えて大きな損失を被ったマクロ系ヘッジファンド。8〜9月はドル高に賭け
た取引で大きく稼いだというが、多くのファンドは年初来の運用成績がわずかなプラスに改善した程度という。ボーナ
スが確定する年末に向けもう一稼ぎしたいところだろう。
数日の遅行性を持った日米株の連動の理由は定かでないが、相場が動くならファンドは積極的に動く。知らず知ら
ずのうちに、彼らの思惑通りになっているかもしれない。(川崎健) -
年初来安値銘柄が急増、不動産や銀行、売り広がる、同じ業種内でも格差。
2014/10/11 日本経済新聞 朝刊
東京株式市場で年初来安値を更新する銘柄が増えている。10日の東京証券取引所第1部で安値を付けた銘柄
数は154となり、5月21日以来、約5カ月ぶりの多さだった。9日の米国株の大幅安で投資家心理が悪化し、東京
市場は幅広く売りが出た。資源関連株が引き続き売られたほか、三菱地所やみずほフィナンシャルグループといった
内需株も安値を更新した。
日経平均株価は4日続落し、約2カ月ぶりの安値を付けた。東証1部銘柄の9割超が下げ、ほぼ全面安だった。
世界的な景気減速への懸念が相場全体の重荷になっているうえ、国内景気の先行き不透明感もくすぶる。このた
め、菱地所が約7カ月ぶりに安値を更新し、みずほFGは約5カ月ぶりの安値更新となった。
同業種内での株価の格差も目立ってきた。例えば不動産では、菱地所の安値更新に対し、三井不動産株は3月
の安値から6%ほど高い水準にとどまっている。菱地所は2015年3月期に減益見込みなのに対し、三井不は「増益
見通しのうえ、大型の公募増資をテコにした成長期待もある」(ドイツ証券の大谷洋司氏)という。
メガバンクではみずほFGに対し、他の2行の株価は底堅い展開となっている。小売りは、10日は全般に上昇した
なかで、イオン株が連日の安値更新となった。「同じ業種内でも業績面で見劣りする銘柄に売りがかさんでいる」(東
海東京証券の太井正人氏)との声があった。
米連邦準備理事会(FRB)は今月、証券購入を終える。米国の量的金融緩和の終了は「新興国経済に逆風で、こ
の地域で稼ぐ企業には資金が向かいにくくなっている」(三井住友アセットマネジメントの大嶋智則氏)との指摘もあった。
新日鉄住金株や日本郵船株が10日に安値を更新した。
日経平均は、9月25日に付けた年初来高値から約2週間で1000円超下落した。売り込まれた銘柄には値ごろ感
も出始めている。
安値を更新した銘柄数が5月に急増した後、値ごろ感の広がりで買いが入り始め相場全体は反発に向かった経緯
がある。りそな銀行の下出衛氏は「足元の米国経済は堅調で、米国向け事業の多い銘柄には見直し買いが入りや
すい」とみる。業績や成長性などによる選別は強まりそうだが、押し目買いが増えてくるとの期待もあった。 -
焦点:海外勢の日本株売り加速、足並みそろわぬ政府・日銀を不安視
[東京 10日 ロイター] - 海外勢の日本株売りが加速している。前週に現物と先物を合わせて1兆円売り越したが
、「余力」はまだあるとみられている。円安に対する政府・日銀の足並みがそろっていないとして、海外ヘッジファンド
が利益確定の動きを進めているほか、米投信の節税売りも出ているという。
日本株は下げ過ぎとの見方もあるが、国内勢の買いは鈍く、下げ幅を広げている。
政府と日銀のそろわぬ足並みに対して、警戒感が強まっている。──8日の香港、BNPパリバ証券が開催したカク
テルパーティーで、100社規模の欧米ヘッジファンドと対話した株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏は、投資
家が抱える懸念を読み取ったという。特に不安視されているのは円安に対するスタンスの違いだったと話す。
10月に入って政府要人からは円安をけん制する発言が目立つ。1日には甘利明経済再生担当相が、1ドル110円
台への円安進行について「経済実態を反映していない過度の円高・円安あるいは急速すぎるレートの変動は、その
国の経済のプラスにはならない」と言及。安倍晋三首相も6日午後の衆院予算委員会で、円安にはプラス、マイナス
両面の影響があるとの認識を示した。
一方、日銀サイドは円安容認の姿勢を崩していない。黒田東彦総裁は7日の金融政策決定会合後の記者会見で、
月以降の急激な円安に対し「これまでのところ、行き過ぎた円高の是正や日米の金融政策の違いに注目した自然
な動き」と指摘。市場ではドル買い・円売りの追認として受け止められている。
こうした「ずれ」が政策に敏感な海外短期筋の日本株に対する警戒感につながっているという。「ヘッジファンド勢は、
今まで積み上げた円売り・株買いポジションをアンワインドし、利益を確定している」(BNPパリバ証券の岡澤氏)。
IMM通貨先物の投機筋の円売りポジション(9月30日時点)は12万0878枚、東証公表の裁定買い残(10月3日
時点)は3兆4687億円といずれも高水準。足元の調整で巻き戻しが進んだとしても、余力は大きい。
10月第1週に海外投資家は日本の現物株と先物合計で1兆0632億円の売り越したが、それまでに約1カ月間で
約2兆5000億円を買い越している。
加えて10月は毎年、米投資信託の節税対策売りにより、需給環境が悪化しやすいことも下押し圧力となる。大和証
券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「米ミューチュアルファンドなどの会社型投信は、実現益にかかる
税金を抑えるために、10月末にかけて評価損を抱えた銘柄に『損出しの売り』を出している」と指摘する。
特に今年の日本株は世界の株価に比べてパフォーマンスが悪いため、損出し売りの対象になりやすい。年初来のパ
フォーマンスでは、米S&P総合500種.SPXのプラス4.3%、米ダウ.DJIのプラス0.45%に対し、日経平均.N225
のドル建てはマイナス8.4%と大幅に下回っている。
市場では「ドル/円JPY=EBSの水準と比較して、今の日経平均は下げ過ぎ」(国内証券)との声が出ているが、需給
悪が続く10月は一段の下値を探る展開となってもおかしくはない。10月28─29日の米連邦公開市場委員会(FO
MC)で米量的緩和縮小(テーパリング)が終了すれば、世界的なマネーフローが変調するとの警戒感も根強い。
海外投資家がグローバルなリスク調整で日本株を割安な水準まで売ったとしても、国内投資家が割安銘柄を拾えば
、下げは減速する。しかし、下期に入っても国内機関投資家の動きは依然鈍い。
マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「(日本市場は海外勢の売りに対して)買い向かう投資家がおらず
、値動きが一方通行になり、ボラティリティが高まりやすい。10月で米金融政策が大転換期を迎える中、市場が一段
とナーバスになってもおかしくはない」と警戒している。 -
>>1 乙です
ムゥ〜おやつが食べたいな〜
あっ、シュークリームだ
おいしそう 食べよう
モグモグモグモグ おいしいな モグモグモグモグ
もう一個ある これも食べちゃえ
モグモグモグモグ モグモグモグモグ
あ〜おいしかった
ねえムーくん、ここにあったシュークリーム知らない?
知らないよ
変だなぁ 後でムーくんと一緒に食べようと思ったのに
おかしいな どうしたんだろう?
あんなおいしいシュークリーム どうしたんだろうね?
あんなおいしいシュークリーム?
それじゃまるでムーくん
あのシュークリームを食べたことがあるような言い方じゃないか?
ワッ しまった
さてはムーくん シュークリーム食べたでしょう?
知らないよ
ほら 白状しないと コチョコチョコチョコチョ
ムヒヒヒヒ 食べた 食べた
ほら やっぱりムーくんが犯人じゃないか
もう おしりペンペン
ムッヒーミンミンミン ムッヒーミンミンミン
ようし ムー汁にして食べちゃおうかな
ムッヒーミンミンミン ゴメンナサイ ムッヒーミンミンミン -
ウォール街ラウンドアップ、分水嶺を迎えた米国株。
2014/10/11 日本経済新聞 夕刊 2ページ
10日の米ダウ工業株30種平均は続落した。前日に334ドル安と今年最大の下げを演じた後も自律反発の弱さは
鮮明。一方でテクニカル面では短期的な底入れを示唆する指標も現れた。米国株は分水嶺に差し掛かった。
□ □
米VIX指数は投資家の不安心理が増すと上昇することから別名「恐怖指数」と呼ばれる。S&P500種株価指数の
今後1カ月の変動予測を数値化したものだ。20超で「警戒水域」と見なされるが、10日に前日から2ポイント超上昇、
約8カ月ぶりに21台に乗せた。
恐怖指数は投資家の足元の心理状態を映すだけではない。3カ月先の変動を想定する「VXV指数」と組み合わせる
と相場の先行きを示唆する傾向もある。相場が上向き基調の時はVXVをVIXで割った比率は1・0〜1・2の範囲で推
移する。調整色が強まるにつれ比率は低下し、1・0割れまで落ち込むと底入れシグナルとなる。
今年前半の下落時にもこの軌跡をたどった。新興国経済への懸念に端を発して米国株も売られ、2月上旬にはダウ
平均が高値から7%下落した。当時はVXV/VIX比率が0・93まで低下。その後は売りが一巡し、戻り相場へと転じ
た。
足元でも世界経済への警戒感からにわかにぐらつく米株式相場。VXV/VIX比率は10日に0・93まで低下した。
投資家心理は悪化しているが、短期的には悲観が「行き過ぎ」の水準まで高まったことを示唆する。
ダウ平均は10日、約8カ月ぶりに200日移動平均を下回った。この移動平均はおおむね過去1年間の平均価格に
なる。直近の下げ相場で含み損を抱える投資家が増えていることを意味する。
過去の調整局面では、ダウ平均は200日移動平均を割り込む水準では反転することが多く、押し目買いの時期を
探る参考指標の一つになっている。この面からも底入れの水準に達したとみられなくもない。しかし、逆に一段と割り
込むようだと数年来の上昇相場の終幕も意識されてくる。
□ □
日々の値幅が大きくなり不安定感を増す米国株。ニーマン・ファンズのダン・ニーマン氏は「市場は米連邦準備理事
会(FRB)が政策金利をいつ、どの程度引き上げるか確信を持てずにいる」と分析する。「世界経済が弱含むなかで
(利上げが)米経済に健全な政策なのか判断しがたい」。FRBは「市場との対話」を続けるが、先行き不透明感は根
強い。
「配当など収益の安定性を重視する投資家には厳しい状況」(日系の機関投資家)との声もある。一定の収益を得
ても保有資産の価格変動が高まれば含み損回避のヘッジコストがかさむ。買い手の萎縮が相場の乱高下を生み、
変動が一段の萎縮を招く負の連鎖だ。
テクニカル面では示唆される相場の底入れ。経験則通り反発するのか、それとも近年にない下げ相場に入るのか。
見極める局面を迎えた。
(NQNニューヨーク=岩切清司) -
三菱UFJ、ブラジル開銀と提携。
2014/10/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 150文字 書誌情報
三菱東京UFJ銀行はブラジル国立経済社会開発銀行と業務提携した。ブラジル進出を目指す企業向けに共同で
セミナーを開いたり、レアル建ての長期資金を貸し付けたりする。ブラジル開銀は日系企業と関わりが深いインフラ
整備や環境・農業分野に強みを持つ。三菱UFJ銀はブラジル開銀と組んで日系企業の支援を強化する。 -
全銀協会長、日本のマネロン対策の遅れに懸念表明
[東京 17日 ロイター] - 全国銀行協会の平野信行会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は17日の定例会見で、
日本のマネーロンダリング対策が遅れると、海外からの邦銀に対する見方が厳しくなる恐れがあると述べ、懸
念を表明した。
マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策を目的に設立された多国間枠組みであるFATF(金融活動作業
部会)は6月下旬、日本政府に対し、必要な法整備が遅れているとして早期の対応を求める異例の声明を発表した。
平野会長は会見で、声明について「厳しい指摘を受けた」と述べた。ただ、ハイリスク国としてリスト計上されたわけ
ではなく、各国が対抗措置を取る状態ではないと指摘し、邦銀に対する信頼が著しく損なわれていないとの認識を
示した。
ただ、「対処が遅れると諸外国からの見方が単に厳しくなるだけでなく、日本の銀行への見方が厳しくなる恐れが
ある」と述べた上で、「最悪の場合、海外の機関投資家や金融機関などの取引先との影響も考えられる」との懸念
を表明した。
邦銀の4―6月期決算については、株式市況や金利環境などを踏まえて「前年同期ほどの力強さに欠ける」と語った。 -
、腰重い当局にらみ催促相場へ 揺らぐ景況感、資源が象徴
2014/10/14 12:18 日経速報ニュース 981文字
14日午前の東京株式市場で日経平均株価は5日続落した。米株式相場の下落基調に歯止めが掛からず、
投資家心理が悪化。取引時間中としては8月11日以来、約2カ月ぶりに心理的な節目の1万5000円を割り
込む場面もあった。世界景気の先行きに対する警戒感が強く、太平洋を挟んで負の共鳴が続いている。
「催促相場の様相を呈してきた」。りそな銀行の黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジストは、日米を中心
とした株安が新たな局面に入ったとみる。市場が懸念するのは、各国の政策当局の反応の鈍さだ。
世界景気に減速の兆しがあるにもかかわらず、9〜10日に米ワシントンで開いた20カ国・地域(G20)財務相
・中央銀行総裁会議は景気の下振れに明確な処方箋を示せなかった。当局の腰の重さに業を煮やした投資家
が、日米で相場下落を通じて政策出動を求め始めたというわけだ。
市場では景気の先行きに慎重な見方が勢いを増している。象徴的なのが景気変動の影響を受けやすい資源
価格の動向だ。10日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、原油先物相場が2年3カ月ぶりの安
値をつけた。夏ごろに一時持ち直していた同先物相場も水準を大きく切り下げた。
14日の東京株式市場でも、資源取引に強い三菱商や住友商が約2%下落。鉄鉱石や石炭などを運ぶばら積
み船を運航する郵船や商船三井は年初来安値を更新し、投資家が抱く景気への懸念を映し出す。
厳しさを増す地合いだが、14日には光明もあった。10日に2015年2月期の業績予想を上方修正した高島屋が
一時4%近く上昇。15年8月期の単独税引き利益が前期比10%増と意欲的な業績予想を発表した島忠は、約9カ
月ぶりに年初来高値をつけた。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「好業績銘柄を評価する流れ
は続いており、4〜9月期決算の発表が進むにつれて相場は底堅さを増す」とみる。
財政負担を警戒する各国当局が早期に政策出動へ踏み切るとの期待を抱きづらい中、投資家が景気の先行き
に自信を取り戻す契機になりうるのが企業決算だ。米国では日本に先立ち発表が本格化し、14日にはJPモルガ
ン・チェースやシティグループが7〜9月期決算の発表を予定する。乱調の米株式相場は下げ止まるのか。日本
株にとっても正念場を迎える。〔日経QUICKニュース(NQN) 増永裕樹〕 -
NY株ハイライト 米株市場で進む資金流出 値幅調整で「割安」の声も
2014/10/15 07:29 日経速報ニュース 1087文字
【NQNニューヨーク=岩切清司】14日の米株式市場でダウ工業株30種平均が小幅ながら4日続落した。日中は
上げ幅を142ドルまで拡大した場面もあったが、取引終了にかけて下げに転じ、相場の脆弱性を見せつけた。200
日移動平均を明確に割り込むなど最近には見られなかった調整局面にあって資金流出もじわりと進む。ただ、値幅
の調整が進み割安感を指摘する声も聞かれ始めた。
「保有資産の構成を『ディフェンシブ(守り)』へ傾け始めた投資家が目立ち始めた」。ある米国株のセールストレーダ
ーが指摘する。14日までの4日間で679ドル下げたダウ平均。約半年ぶりの安値も付けた。マネーの動きが慌ただし
くなっているのは事実だ。14日も株から債券への資金移動を指摘する声もあった。
米調査会社EPFRによると、8日までの2週間で合計151億ドル超が米国株から流出。2週連続の資金流出は4月
中旬以来、半年ぶりだ。
年初からの流入超の規模も差し引きで37億ドルまで縮小。1000億ドルを超えた前年とは明らかに地合いが違う。
主要な株価指数が前年末の水準前後まで下落してきたのもうなずける。
世界の投資家の中でも、特に米国内のマネーは米株式に対して一段と冷めているようだ。米投資信託協会(ICI)
がまとめる米国内株の投信の資金流出入では、1日までに6週連続で流出超だった。月間ベースでは8月まで5カ月
連続で流出超となった。年初から見ると、資金流出額は既に204億ドルに達しており、前年の流入超の規模(175億ド
ル)よりも大きい。
マネーフローを見る限り、多くの投資家が利益の確定を進め手じまう姿が浮かぶ。上昇相場は峠を越えたのか。判
断は難しいが、値幅の調整が進んだことで先行きへの期待を示す投資家もいる。ニーマン・ファンズのダン・ニーマン
氏は「多くの関係者が9月に話していた高値から10%程度の調整がいよいよ視野に入った」としたうえで「大型株投資
のファンドマネジャーからすると割安に映るようになった」と話す。最近の下げ相場で自らが買い手に回っているという。
値幅の拡大が相場の不安定感につながっている米国株。加えて、国際商品市場では原油価格が約2年4カ月ぶり
の安値を付けるなど、世界的に景気の弱さを示す現象が相次いでいる。しかし、市場では「米経済は民間部門がバラ
ンスシート調整を終えているため依然として強く、ガソリン価格の下落はさらに米景気に好影響を及ぼす」(UBSウェ
ルス・マネジメント)との冷静な指摘もある。投資家にとって次の一手が、年末に向けた運用成績の明暗を分ける局面
にあると言えそうだ。 -
年金給付抑制導入へ、厚労省、物価下落でも減額、来年度から。
2014/10/16 日本経済新聞 朝刊 1ページ
厚生労働省は15日、公的年金の給付水準を毎年度、確実に抑える仕組みを2015年度から導入する方針を
固めた。物価が下落した時も、少子化に合わせて年金額を減らす。高齢者への年金給付を抑え、若年世代が
将来、受け取る年金が減りすぎないようにする。
厚労省が同日開いた社会保障審議会年金部会(厚労相の諮問機関)に、毎年の年金給付額を抑えるマクロ
経済スライド(3面きょうのことば)と呼ぶ制度の見直し案を示し、社保審が大筋で了承した。厚労省は来年の
通常国会に法改正案を提出し、来年度から施行したい考えだ。
マクロ経済スライドは現役世代の減少と平均余命の伸びに合わせて年1%程度、年金額を抑える仕組みだ。
現行ルールでは抑制は物価上昇率の範囲内にとどめている。このため物価が下がったり物価上昇率が1%程
度より低かったりした場合、年金額を前年度より減らすことはできない。これを見直し、年1%程度ずつ必ず年金
額を抑える。
マクロ経済スライドは2004年の年金制度改革で導入したものの、年金額そのものは減らさないと制限した結
果、これまで一度も発動したことがない。現在の高齢者の年金を守るために若年者が将来受け取る年金が大幅に
減る見通しとなっていた。
15年度は消費増税の影響で物価が大幅に上昇するため、現行ルールでも年金額を抑制することができる。
ただ、将来、物価上昇率が小幅になった時にも年金額を抑えることができるよう今のうちにルールを改める。
公的年金制度は現役世代が納めた保険料から現在の高齢者に年金を払う仕組みだ。少子高齢化が進んでも
制度を持続させるには、保険料負担を増やすか、給付を抑える必要がある。 -
医療改革、負担増を先行、高所得者や高齢者、ムダ削減必要に。
2014/10/16 日本経済新聞 朝刊 2ページ
政府が進める公的医療保険制度の改革で、個人の負担を増やす議論が先に立っている。厚生労働省は15日、
所得の高い会社員の健康保険料引き上げなどを提案した。膨らむ医療費支出の目先の帳尻合わせが色濃い。
割安な医薬品の活用など医療支出のムダを減らす抜本的な取り組みも必要になりそうだ。
厚労省は15日開いた社会保障審議会の医療保険部会で当面の医療改革案を示した。来年の通常国会に提出
する関連法の改正案の骨格だ。
改革案では保険料の引き上げ策が目立った。現役世代では、月収121万円以上の高所得者約30万人を対象
に健康保険料を引き上げると提案した。加入者自身の負担分は月数千〜1万円程度上がる見通し。同省の試算
によると、企業の健康保険の収入は年700億円増える。この日の審議会で経団連が「負担と給付のバランスが
必要だ」と反対したが、少数派にとどまった。
75歳以上の高齢者の保険料負担を最大9割減らす特例も段階的に廃止する案も改革案に盛り込んだ。会社員
の子どもの扶養を受けた約170万人などが対象で、高齢者の負担増は約800億円になる。高所得者の保険料
負担増と合わせると家計が負担する保険料は約1500億円増える。来秋の消費再増税後の16年度にも導入
される方向だ。
このほか、紹介状を持たずに大病院を受診すると、5000円程度の追加の支払いが必要になる仕組みも盛り
込んだ。
高齢者の増加に伴い医療費支出は増える。個人の負担増も避けられないが、これと並行して進めるはずの歳出
効率化策は停滞感がある。
例えば割安な後発医薬品(ジェネリック)の普及策。厚労省は後発薬のシェアを従来の4割から6割に引き上げる
とするが、欧米諸国に比べて目標値が低い。医師に後発薬の処方を原則義務付ければ普及が進むが、医師側の
反発を恐れて具体化できていない。
医薬品の公定価格の決め方をどう見直すかも焦点だ。医薬品の価格は下落傾向だが、現在は2年に1回しか
改定していない。毎年1回見直すようになれば医療費のムダは減る。これにも「2年に1度の診療報酬と薬価の
改定はセット」(日本医師会の横倉義武会長)などと反対がやまない。
レセプト(診療報酬明細書)などのデータを使って、都道府県の間での医療費の格差の要因を分析し、不要な入院
ベッドを減らすなどで県ごとに支出を抑えるといった抜本策も、政府内で検討が始まったばかり。歳出構造の見直し
を急がなければ社会保障費の膨張は止まらない。 -
株式――ニッセイ基礎研究所主任研究員井出真吾氏、下値余地は限定的(プロはこう読む)
2014/10/16 日本経済新聞 夕刊 5ページ 404文字 書誌情報
ニッセイ基礎研究所主任研究員 井出真吾氏
投資家心理の悪化で日経平均株価は米株に連れ安となっているが、一段の下値余地は限られる公算が大きい。
日経平均は、年末に向けて再び1万7500円を目指す展開になるだろう。まもなく本格化する企業の4〜9月期
決算で、通期見通しの上方修正が期待できるためだ。4月の消費増税の影響を見極めづらく、内需企業は期初の
時点で保守的に通期計画を立てたはずだ。さらに期間中に進んだ円安・ドル高で、輸出企業も増益となっている可
能性が高い。
今年は3月末に復興特別法人税が廃止され、純利益ベースで約4%の増益要因となる。仮に経常利益が前年と
同じ水準でもEPS(1株利益)が押し上げられる。企業業績の上方修正を経て、日経平均を一つの銘柄に見立てた
場合のEPSは1150円程度まで増えるとみている。PER(株価収益率)15倍台前半まで株価が修正されれば、
日経平均は1万7500円となる計算だ。 -
全銀協会長、世界的な株安「欧州や地政学などのリスク顕在化」
2014/10/16 18:36 日経速報ニュース 771文字
全国銀行協会の平野信行会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は16日午後に開いた定例記者会見で、世界的な株安
の連鎖について「経済の減速懸念などを背景にリスクオフの動きが顕在化している」との見方を示した。米連邦準
備理事会(FRB)が量的金融緩和政策の出口に向かうなかで、ドイツが7日に発表した8月の鉱工業生産指数が
大幅に低下したのをきっかけに「(景気の)下振れに対する警戒が広がった」と指摘した。
平野会長は市場で警戒されているリスクは「大きく言えば3つ」とし、「欧州景気、ウクライナや『イスラム国』などの
地政学リスク、エボラ出血熱」を挙げ「一部顕在化しつつある」ことで、投資家が運用リスクを避ける動きが広がって
いるとの認識を示した。そのうえで「世界経済が成長の軌道から外れようとしているととらえる必要はないが、成長
軌道に戻せるかどうかが重要」と指摘した。
国際通貨基金(IMF)は2014年の世界経済の成長率見通しを7月時点から下方修正し、「不十分な成長」と指摘
した。平野氏は「世界経済はばらつきはあるが回復を続けているが、期待したほどではないということ」とし、「米景
気の回復が腰折れすることはない」と米景気の回復が世界経済を下支えするとの認識を示した。
全銀協が銀行や信用金庫など約1300の国内金融機関をつなぐ全銀システムの稼働時間の拡大を検討している
ことについては、「個人の顧客はインターネットショッピングや週末の冠婚葬祭など急な事態に備えるニーズがある」
と指摘。(1)現行の全銀システムの稼働時間を加盟全行で拡大する(2)別システムの構築を通じた機能拡張で土日祝
日を含め全銀システムの稼働時間を拡大する2案のいずれかか、それらを組み合わせる方向で実現する方向を示し
「年内には結論を出したい」と力を込めた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
長期マネー、嵐に動く―割安株運用、好機うかがう(スクランブル)
2014/10/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ
世界の株式市場の動揺がおさまらない。米国株安を受け、16日の日経平均株価は5月末以来の安値を付けた。
景気の下振れ懸念が欧州から米国に及び、マネーの「質への逃避」が加速する。だが、こんな大荒れの局面だから
こそ、買いに動く長期保有の投資家の存在もまた見逃せない。
前日のダウ工業株30種平均は一時約460ドル安まで急落。米市場ではダウ平均が一時1000ドル近く下げた
2010年5月の「フラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)の再来か」と緊迫する場面もあった。世界景気の不透明感が
強まり、15年の利上げをもくろむ米金融政策の行方も視界不良になってきた。
市場心理は悪化が続く。英調査会社アブソリュート・ストラテジー・リサーチ(ASR)が算出する世界の投資家心理
指数。行動心理学を取り入れた精緻な指数として知られるが、この数値が今週に入り「8」まで低下した。これは欧州
債務危機の11年11月以来、ほぼ3年ぶりの低水準だ。
だが市場全体が悲観に染まっているわけではない。虎視眈々(たんたん)と投資拡大のチャンスをうかがう一群の
投資家もいる。バリュー(割安)株運用を信条とする投資家たちだ。
□ □
今週、米ウォール街で著名な投資家が来日した。米運用会社GAMCOインベスターズを率いるマリオ・ギャベリー
最高経営責任者(CEO)だ。同社は1977年から13年までの投資収益率が年率平均で約17%に達する。
割安株の長期保有で成果をあげてきた。そのギャベリー氏に話を聞いたところ「市場が不安定な時こそ、買いの
好機だ」と言い切った。バリュー投資は短期の値上がり益を狙わない。株式投資を通じて「今後10年先を見据えて
有望なビジネスそのものを買う」。
弱気心理に支配され、企業の本質的な価値よりも株価が割安になった時こそ彼らの出番だ。日本株ではキッコー
マンやヤクルト本社を持ち、1年ほど前から映画や音楽事業を評価してソニーへの投資を始めた。
□ □
日本にもバリュー投資家がいる。コモンズ投信の糸島孝俊運用部長は16日、日経平均が急落した場面で内需株
を中心にまとまった買い注文を入れた。日経平均が高値圏にあった9月末に投資信託の現金比率を2〜3割まで
高めて、買い場を待っていたという。
このキャッシュを政府の地方創生などで恩恵を受けそうな内需株に投資した。自身が運用する投信「ザ・2020ビ
ジョン」では「変革に挑戦する企業を中長期の視点で厳選している」(糸島氏)という。年初来の基準価格はプラス
7%(15日時点)と、同期間の日経平均(マイナス7%)と対照的だ。
株高局面ではバリュー株運用が市場平均を下回ることも少なくない。だが、悲観ムードが支配する今の市場で冷
静に買い増す投資家の存在は注目に値する。短期と長期。目線をもっと先におけば株式市場の風景は随分違って
みえてくる。
(川上穣) -
株、弱気一辺倒に変化 需給に調整一巡か スクランブル
2014/10/18 02:00 日経速報ニュース 1233文字
株式相場は不安定な状況が続いている。17日の日経平均株価は前日に続き、値下がりした。当面の下値メドと
みられていた1万4500円にも接近した。「どこまで下がるのか」。市場関係者の不安が払拭しきれないなか、実は
投資家の行動分析の達人からはこんな声が出始めた。陰の極に近づいている――。
「こわごわとだが、買いに動いた」。ビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの藤原正邦代表取締役は、この日の
相場に潮目の変化を感じ取った。自動車や機械、ネット関連株などに押し目買いを入れたという。
□ □
藤原氏が感じ取った変化は「ディフェンシブ株」への売りだ。この日は業種別日経平均の医薬品が3%安、食品が
2%安と、日経平均より下げが大きかった。相場の波乱期には医薬品など業績の変化の少ない銘柄に資金をシフト
するのが運用のイロハ。これらを換金の対象にして、次の投資の機会を探る動きが出たのではないか。藤原氏は市
場が弱気一辺倒から脱した兆しと受け止めた。
藤原氏だけではない。投資家の売買動向を点検し、陰の極、大底に近づいたシグナルを感じ取るプロはほかにも
いる。需給の調整に一巡感が浮上し、市場の売り圧力が弱まっていくかもしれないという期待を口にし始めた。
大和証券の熊沢伸悟マーケット・アナリストは上場投資信託(ETF)の資金流出入の変化に注目する。日経平均や
東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動するETFの4月以降の日々の流入額を累積したところ、14日は5カ月前
の水準に逆戻りした。10月になって資金が流出したためだ。それが直近には再び流入超に転じている。「9月まで
ETFを買ってきた銀行などの大口投資家の利益確定売りがすでに峠を越した表れだ」と読む。
□ □
空売りのデータも需給改善を示唆する。17日の空売り比率は35.3%。株価が一本調子で下げた10月以降をみても
、一段と上昇する動きはない。株式相場の下落で新たに空売りを仕掛ける向きが減っており、むしろ将来の買い戻し
期待が強まっている。
また、先物と現物株の価格差から利ざやを狙う裁定取引をする投資家の保有株も減少の一途だ。相場の下落局面
では先物の下げとともに、保有株を売却して取引を解消する動きが強まりやすい。東証によると15日の残高は22億
株を下回った。20億株前後が1月以降の買い残の下限となっており、裁定解消売りのゴールが近いとの見方が出て
いる。
SMBC日興証券のトレボー・ヒル常務執行役員は「海外投資家はほぼ持ち高調整を終えた」と指摘する。最近、
海外を訪問して現地の投資家と面会したゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀エクイティデリバティブトレーディング
部長は「公的年金の買いなどへの注目度が高く、下値不安は小さいとの見方も多かった」と話す。
米国株などの不透明感から目先は荒い相場が続くとみる声も多い。それでも需給の調整一巡を見越して、買い場
を探るしたたかな投資家も市場には確かにいる。(酒井隆介) -
国内株運用20%台半ば、公的年金、12%から引き上げ調整。
2014/10/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ
約130兆円の公的年金を保有する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は17日、国内株式での運用比率
の目安を12%から20%台半ばに大幅に引き上げる方向で調整に入った。今月下旬にも運用方針を話し合う運用委
員会で決める。低収益の国債中心の運用を改め、年金給付の原資を増やす狙いだ。
麻生太郎財務相との協議を経て塩崎恭久厚生労働相が決定する。
GPIFは運用比率の目安を決めて積立金を運用している。相場急変などに備え、一定の幅で目安から離れることも
認めている。
国内株の場合、目安の12%から上下6%分の幅で運用するのが基本ルールになっている。6月末時点は保有上限
ぎりぎりの17%だ。運用比率の目安を25%まで高めると単純計算で8兆円の株買いが発生する。上限ぎりぎりまで
活用すれば国内株を最大30%程度保有することも可能になる。
国内株とともに、外国債券と外国株式の比率を合計23%から30%程度まで高める。一方、国債の比率は60%か
ら40%台に下げる方向だ。
政府は経済状況の変化を踏まえ、運用改革を進めるとしてきた。長期金利は0・4%台と歴史的な低水準にあり、
国債に偏った運用を続けても利回りを高められない。株式投資を増やせば収益を増やしやすくなるが損失が生じる
可能性も増す。
GPIFは金融の専門家が少なく、リスク管理体制の整備が遅れている。政府は運用見直しだけでなく、GPIFの組織
改革案を年内に固める。来年の通常国会に関連法の改正案を提出する方向だ。 -
日経平均、週間768円安、下げ幅、今年3番目。
2014/10/18 日本経済新聞 朝刊 3ページ 7
17日の株式市場で日経平均株価は前日比205円安と続落した。週間の下げ幅は768円(5%)と、今年3番目
の大きさだった。市場が混乱する中で、投資家の関心は米金融緩和や消費増税など政策の方向性に向きやすい。
関係者らの発言に反応し、株価の動きが荒くなっている。一方、欧州と米国の株式相場は大幅高で始まり、株安の
流れにひとまず歯止めがかかりつつある。
日経平均の終値は1万4532円で、トヨタ自動車(2・5%安)、NTTドコモ(2・9%安)など主力株が軒並み下げた。
東証1部で年初来安値を更新した銘柄数も247に上った。大幅安が続いたため、一部の投資指標で「売られすぎ」を
示すサインも出始めたが、「注文動向を見る限り、長期マネーは動いていない」(大和証券の沖宗和弘氏)。
朝方は高かったが午後に入ってからの下げが目立ち、取引時間中の高値と安値の差である値幅は301円と大きく
なった。衆院財務金融委員会で、黒田東彦日銀総裁が消費増税について「万が一、先送りされ、財政への信認が失
われれば対応が極めて困難」などと発言したのが一因という。
「景況悪化で予定通り増税できるのか意見が分かれている」(野村証券の松浦寿雄氏)中で、実施されれば消費
回復の遅れにつながるとの懸念が広がった。海外ヘッジファンドが株価指数先物に仕掛け的な売りを出したとの指摘
もある。
投資家は、政策のキーマンや専門家が市場の動揺を踏まえて何をどう発言するかに敏感になっている。日経平均の
1日の値幅は10月に平均181円と9月の110円から拡大している。
米ダウ工業株30種平均も同じ傾向で、10月の値幅は269ドル(9月は129ドル)だ。16日は、セントルイス地区
連銀のブラード総裁が量的緩和の縮小を先送りすべきだと発言し、米ダウ平均を押し上げる要因となった。 -
株高・円安の展開か、週明け相場、リスク回避小休止。
2014/10/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ
週明けの東京市場は、株高・円安で始まる公算が大きい。17日の米国株が大幅高になったことでリスク回避の
動きがいったん小休止しそうだ。ただ、欧州・中国景気懸念やエボラ出血熱感染などリスク要因が消えたわけでは
ない。小渕優子経済産業相の辞任も不可避となり、依然不安定さを抱えた地合いを引きずるとみられる。
17日の米ダウ工業株30種平均は前日比263ドル(1・6%)上昇した。シカゴ市場の日経平均先物12月物(清
算値)も17日の日経平均終値を約350円上回る1万4880円で、週明けの株式市場は買い優勢で取引が始まる
可能性が高い。
外国為替市場でも円相場は15日に一時1ドル=105円台まで上昇した後、17日には106円台後半まで戻した。
週明けは1ドル=107円台に円安・ドル高が進みそうだ。日本株が上昇すれば投資家がリスクを取りやすくなり、
安全資産の円が売られやすくなる。
米国株反発は「世界の株安連鎖で増幅していた投資家の不安心理をひとまず落ち着かせるきっかけになる」(大
和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジスト)とみられる。
もっとも、市場に横たわる不透明要因は払拭されておらず、株買い・円売りの流れが続くかどうかは不透明だ。21
日には中国が7〜9月期の国内総生産(GDP)を発表する。「予想以上に悪化すれば世界経済の不透明感がいっそ
う強まり、リスク回避の円高が進む」(プレビデンティア・ストラテジーの山本雅文氏)との声もある。
小渕氏が辞任の見通しになったことも影を落とす。特に外国人投資家は政治リスクに反応しやすい。「政権運営に
逆風で、株売り・円買いにつながる懸念もある」(外国銀行)との声が目立つ。
米連邦準備理事会(FRB)は、今月28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的金融緩和終了を決める
見通し。「FOMCや11月初めの雇用統計を見極めるまではリスク回避の投資行動が続く」(りそな銀行の下出衛チ
ーフストラテジスト)との見方が大勢で、神経質な展開が続きそうだ。
週後半からは上場企業の4〜9月期決算発表が本格化。業績の底堅さが確認できた銘柄には買いが入りそうだ。 -
株大幅高、政策対応促す「ハロウィーン」相場 閣僚辞任で思惑も
2014/10/20 15:47 日経速報ニュース 1081文字
20日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに大幅反発し、上げ幅は578円に達した。安倍晋三政権の
主要閣僚である小渕優子経済産業相らの辞任という逆風が吹いたにもかかわらず、心理的な節目の1万5000円を
一気に突破。米株式相場の下げ止まりに加え、投資家心理の急速な改善を促したのは政策に対する期待だった。
相場下落が嫌なら政策を――。東海東京調査センターの中井裕幸専務は、足元の相場展開を10月31日に迎える
欧米の祭りになぞらえる。子供らが「いたずらされるのが嫌なら菓子をちょうだい」と家々を練り歩くハロウィーンだ。
欧州を中心とした世界景気の先行き不透明感が強まる中、相場の世界でも政策対応を求める「催促相場」の色彩が
濃くなったという。
前週の相場急落を受け、当局の動きが慌ただしくなってきた。18日付日本経済新聞朝刊は「約130兆円の公的年金
を保有する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が17日、国内株式での運用比率の目安を12%から20%台半ばに
大幅に引き上げる方向で調整に入った」と報じた。
中井氏が注目したのはその時期。運用委員会での決定は一部で11月中旬以降にずれ込むとの見方が広がっていた
が、報道によると月内にも決まる見込み。「政策対応を求める市場の声への配慮が透けて見える」(中井氏)といい、
投資家が買いで反応する一因になった。
小渕経産相らの辞任についてもきょうのところは嫌気する動きは目立たなかった。BNPパリバ証券の丸山俊・日本株
チーフストラテジストは政権運営にとっては打撃だが、「むしろ相場を押し上げるきっかけになり得る」とみる。
前週前半まで海外出張した同氏によると、海外投資家の間では日本企業の好業績を評価する一方で、経済政策の
停滞を懸念する雰囲気があったという。主要閣僚の辞任で支持率が低下すれば、再浮揚のために政権は原点である
経済重視路線に回帰。円安・ドル高をテコにしたデフレ脱却の加速につながるという読みが働くとのシナリオだ。
もっとも、相場が底入れしたと楽観するのは早計だろう。日経平均は朝方に水準を切り上げた後は値動きが乏しく、
「投資家は戻りに懐疑的な姿勢を崩していない」(大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジスト)。閣僚辞任に
よる影響も読み切れない部分がある。
くしくも太平洋を挟んだ米国では、米連邦準備理事会(FRB)が28〜29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。
世界景気の不透明感がくすぶる中、政策対応を求める市場の雰囲気はいつまで続くのだろうか。
〔日経QUICKニュース(NQN) 増永裕樹〕 -
株、しばらく値動き荒い展開か・窪田氏 来週のFOMCに注目
2014/10/20 16:18 日経速報ニュース 369文字
窪田朋一郎・松井証券シニアマーケットアナリスト 東京株式市場で、明日以降の日経平均株価はしばらく値動き
の荒い展開が続きそうだ。きょう20日は、これまで短期的に下げすぎた面もあり、500円超の大幅高となった。だが、
まだ売り材料が出尽くしたかどうかわからない状況だ。株価は今後も上下に振れやすいだろう。
10月に入ってからの相場下落は、実体経済が悪くなったことが理由ではない。過去にも米連邦準備理事会(FRB)
が量的緩和を縮小するという局面では、株価は調整した。今回も同様に、投資家の投げ売りで下げた格好だ。来週
に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、利上げなどに対する心理的な恐怖心が払拭されれば、相場は
いったん落ち着きを取り戻すだろう。月末には日経平均は1万5500円台を回復するとみている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
株大幅高でも消えぬ消費不安 円安も心理冷やす スクランブル
2014/10/21 02:00 日経速報ニュース 1208文字
20日、日経平均株価は大幅に反発した。だが、株安の原因にもなった消費増税後の国内景気不安は収まって
いない。10%への消費税率の引き上げ判断を控え、市場の変動を通じて消費心理が冷えるシナリオもちらついて
いる。
今年最大の上げ幅を演出したのは、海外ヘッジファンドによる買い戻しという見方が多かった。もっとも、実体経済
の好転を背景にした買いとはいえない。
理由とされたのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式の運用比率の目安を20%台半ばに
引き上げるとの報道だ。かねて「比率が25%になれば、日経平均は500〜600円上がる」との見方も市場にはあった。
比率や上げ幅が、期待通りになっただけともいえる。
先月来の世界的な市場波乱を通じて浮き上がったのは、日本経済への懸念が世界の共通認識になりつつあること
だ。アベノミクス期待で優等生扱いだった半年前までとは変わった。
今月10〜12日。ワシントンに多くの市場関係者が集まった国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会は世論作り
の舞台になった。
矛先は消費だ。「日本は4月の消費増税以降、もがきつづけている」。総会での議論を顧客に伝えたのは、世界の
市場関係者に影響力を持つ米エコノミスト、ヌリエル・ルービニ氏だ。総会の日程は、外国人が日本株の売りを加速
した時期とも一致する。
日本のもがきぶりは、大都市だけではつかみにくい。円安で外国からの観光客が押し寄せ、高額商品を買っている
からだ。百貨店最大手、三越伊勢丹ホールディングスは2015年3月期、4期連続の最高益を見込む。相場全体が
下げても株価は堅調だった。
一方、地方には、国内消費者の倹約志向がくっきり出ている。20日発表の9月の全国百貨店売上高を見ると、東京
地区が前年同月比で2カ月連続プラス。しかし札幌、仙台、広島はいずれも6カ月連続でマイナスと、低迷を脱していない。
今月6日、象徴的な決算発表があった。北九州市を本拠とする老舗百貨店、井筒屋の3〜8月期は前年同期比で
減収減益だ。決算短信では苦境を訴えた。「大都市と地方とでは、(増税後の消費停滞からの)回復のペースに開き
が出てきております」。三越伊勢丹との株価の格差も広がった。
円安も逆風だ。井筒屋はこうも主張する。「円安による原材料や原油価格の上昇等、消費マインド減退への懸念か
ら、先行きは依然として不透明……」
円安の割に株高が進まないのはなぜか――秋以降、市場関係者にくすぶっていた疑念だ。井筒屋が示した消費
心理の悪化シナリオは、1つの回答でもある。
一歩進んで「円安にもかかわらず株安」が続けば危うい。円安で萎縮した消費心理に、保有株の価格下落という
追い打ちが加わる。
円安が目立ち始めた8月末は円相場が1ドル=104円台、日経平均が1万5400円台だった。円安・株安の関係は
なお残り、閣僚辞任に揺れる安倍政権にも警告を放っている。 -
株、後場に一段安 中国不安がじわり浸透、利益確定売り誘発
2014/10/21 15:44 日経速報ニュース 793文字
21日の東京市場で日経平均株価が後場に一段安となった。前日比の下げ幅は300円を超え、一時1万4700円
台まで下げる場面があった。市場では国内の固有材料に反応したとの見方は少ない。朝方発表された中国の景
気指標に対する反応がアジア市場などを経て、じわじわと波及したと見られている。
中国国家統計局が発表した2014年7〜9月期国内総生産(GDP)は前年同期比7.3%増。ダウ・ジョーンズ通信
がまとめた市場予想をやや上回ったが、投資家に十分な安心感をもたらす材料ではなかった。同時に発表した9月
小売売上高や1〜9月期固定資産投資、1〜9月期不動産開発投資などは市場予想を下回る内容だった。
野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「中国統計が明確に悪ければ、同国政府による投資
刺激策などへの連想を生み、恩恵を受けやすい日本企業への物色が入っただろう」と指摘する。ただ、どっちつかず
の内容だったことで日本株の反応は遅れた。
先に反応したのは、より中国との景気連動性が高いアジアの株式相場。朝に高かった香港のハンセン指数や中国
の上海総合指数は小売売上高や固定資産投資などの弱さを嫌気して下落に転じた。韓国総合株価指数は下げ幅
を拡大。シンガポールのST指数は上げ幅を縮めた。アジア株安を手掛かりに日経平均先物への売りが増えた。
リスク回避の円買いも重荷になった。「円相場が対ドルで1ドル=106円台前半まで上げたことも日本株の売り材料
となった」(SMBCフレンド証券の松野利彦チーフストラテジスト)という。
大和住銀投信投資顧問の門司総一郎経済調査部部長は「投資家がアジア株安という売り材料に飛びつき、利益
確定売りを誘発して下げ幅が拡大した」と分析する。乱高下する日本株は、足元の地合いがそれほど強くないことを
示しているようだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 湯田昌之〕 -
株乱高下、米量的緩和の終了控え神経質に・佐久間氏 徐々に落ち着きも
2014/10/21 16:15 日経速報ニュース 428文字
佐久間康郎ベイビュー・アセット・マネジメント運用第一部長 日本株がこのところ値動きを広げているのは、
米国の量的金融緩和の終了が近づいており、利上げが現実味を帯びてきたからだ。以前から分かっていた
話ではあるが、実際に緩和終了が間近に迫り、投資家は神経質にならざるを得ない。利上げの時期を巡って
も様々な見方があり、多くの市場参加者の思惑が交錯している。
日本の株式市場は他のアジア市場に比べ流動性が高く、ヘッジの手段として様々な売買をしている投資家
は多い。10月はファンドの決算売りや節税目的の売りが出やすいとみられ、変動率が大きくなりがちという認識
がある。そこに「世界景気の鈍化」など格好の売り材料が出てきたため、下落を見込んだヘッジファンドが10月
に入り売りを浴びせた面もあるようだ。ただ、そういった売りは一巡しつつある。短期的には上下に振れやすい
状態が続くかもしれないが、徐々に落ち着きを取り戻していくのではないか。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
株乱高下、海外勢が先物に仕掛け的な売り・門司氏 根源は欧州不安
2014/10/21 16:14 日経速報ニュース 498文字
門司総一郎・大和住銀投信投資顧問経済調査部部長 21日の日経平均株価は前日と比べ2%安で引けた。
前日は逆に4%高となるなどここ数日の日経平均の乱高下は、株価指数先物に仕掛け的な売りが広がっている
ことが影響している。海外市場でも日経平均ほどに振れている市場は見当たらない。日経平均を東証株価指数
(TOPIX)で割ったNT倍率は10月に入り上昇基調にある。足元の数字から推測すると、海外勢が主導している
とみている。
株価の乱高下は当面続くとみている。原因は日本の景況感にあるとは考えていない。根源は欧州景気の先行
き不安だ。米株式相場の下落要因となっており、日本株に影響を与えている。欧州の景気指標の好転や、その
原因とみられるウクライナ情勢を巡るロシアと欧州の間で繰り広げられている制裁合戦が改善すれば欧州への
不安は収束するはずだ。
そうなれば日経平均は9月に付けた年初来高値(1万6374円)と直近安値(1万4532円)のほぼ半値戻しに
あたる1万5500円程度に回復するだろう。その後は3月期企業による4〜9月期決算の内容を精査しつつ、再び
上昇すると考えている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
株乱高下、心理不安定で1万4200円も・下出氏 円高加速に注意
2014/10/21 16:13 日経速報ニュース 489文字
下出衛・りそな銀行チーフストラテジスト 投資家心理は不安定な状況が続いており、目先は乱高下を続けそうだ。
長期的な視点に立脚して相場の下落局面で押し目買いを入れる「バリュー投資家」が米国などと比べて少なく、
日本株相場の振幅は大きくなりやすい。外国為替市場で円高・ドル安が加速した場合、日経平均株価は1万4200円
程度まで水準を切り下げる展開もあり得る。
21日の日本株相場が午後から下げ幅を拡大した特段の理由は見当たらない。午前にも上値の重さが目立った。
前日の大幅高を主導したのが買い戻しにすぎないことが鮮明となり、投資家心理の悪化を通じて需給の歯車が逆
回転したのだろう。
米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)や10月の雇用統計の発表が、日本では日銀の金融政策決定会合
などの重要行事が今月下旬から来月初旬に掛けて相次ぐ。FOMCで焦点となるのは、米当局が景気について
慎重な認識を示すかどうかだ。可能性は低いと思うが、米国の利上げが後ろ倒しになるとの連想につながれば相
場は安定を取り戻すだろう。これらの行事を無難に乗り越えるかがカギとなる。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
デリバティブが波乱因子、不安封じ込めの買い手 スクランブル
2014/10/22 02:00 日経速報ニュース 1102文字
何かのきっかけで大きく動揺するもろさを露呈した株式市場――。今週に入っても相場は落ち着きを取り戻せない
でいる。デリバティブ(金融派生商品)を使った利回り追求の動きが蓄積していたことが一因で、下値リスクはまだ
消えていない。世界景気の不透明感も重なり海外勢の買いが細る中、日本株復調のカギは国内勢の買いが握る。
21日の日経平均株価は前日から一転、大きく下げた。「先物主導の下げで、現物株で目立った動きはなかった。
前日の急騰の反動だ」。大和証券グローバル・エクイティ・トレーディング部の沖宗和弘氏は話していた。先物などを
主戦場にした「空中戦」との声もある。実際、先週の世界的な株価の動揺は、オプションというデリバティブ取引に
一因があったとみられる。
□ □
低金利のもと投資マネーが「利回り追求」に動き、世界中でリスク資産が買われてきた。高利回りを求める取引の
1つが株価指数のオプション取引だ。ヘッジファンドなどはプット(売る権利)を売り、オプション代金を稼いできていた。
株価が下がらなければ、もらった代金は利益になる。
しかし、想定を超えた株安になるとプットの売り手は不利になる。どんなに株価が下がっても高値で買い向かう義務
が生じるためだ。プットを売った投資家は損失拡大を避けようと先物にヘッジ売りを出し、現物株の下げを加速する。
日本株だけでなく同様の動きは世界に広がった。
オプションを売って利回りを上積みしようとする投資行動が積み重なった結果、何かのきっかけでオプションが「地雷
原」になり、株価の振れを大きくするリスクが世界に残る。
□ □
米国のオプション動向を映す恐怖指数(VIX)も上昇気味で、投資家の動揺ぶりをうかがわせる。ただ、40前後に上
がった量的金融緩和(QE)第2弾終了後など、過去の混乱期に比べるとまだ低位にある。市場がもっと緊迫し、投資
家がろうばいする局面が訪れても不思議ではない。
海外景気への懸念と相場の波乱因子が横たわる中、海外リスクマネーの流入はしぼみつつある。昨年、約15兆円
の日本株を買い越した海外勢は年初から累計でわずかに売り越した。
有望な買い手は国内にいる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による株の買い増しや、少額投資非課
税制度(NISA)を通じた個人マネー、企業の自社株買いなどだ。
ゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀氏は「楽観的に見積もると国内勢による買い増し余力は年7兆円程度になる
」と試算する。年金マネーの動向を映す信託銀行は今年、買い手に回っている。不安要素を封じ込められるか。国内勢
の買い出動に期待が集まる。 -
UPDATE 1-クレディ・スイス、第3四半期純益は予想を上回る 債券取引が増加
[チューリヒ 23日 ロイター] - スイスの金融大手クレディ・スイス が23日発表した第3・四半期決算は、純利益
が10億2500万スイスフラン(10億7000万ドル)となり、ロイターがまとめた市場予想の8億1000万ドルを上回
った。
債券取引の増加や、 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング の米上場に伴う手数料収入が
寄与した。
第2・四半期は、米当局から16億フラン(17億8000万ドル)の罰金を科せられたため、2008年の金融危機以来
の大幅な赤字となっていた。
ドゥーガン最高経営責任者(CEO)は声明で「最近の市場の乱高下が追い風になっている部門と打撃を受けている
部門があり、10月はまちまちのスタートとなった」と説明した。
投資銀行部門の税引き前利益は43%増。コスト高で採算の悪い事業から撤退したことが奏功したのに加え、米連
邦準備理事会(FRB)の債券買い入れプログラムをめぐる不透明感で前年に打撃を受けた債券取引事業が堅調だった。
アリババの米上場では、クレディ・スイスを含む投資銀行が計3億ドルの手数料収入を手にした。
ドゥーガンCEOは「アドバイザー業務や引き受け業務の引き合いは強いが、第4・四半期にどの程度実行されるかは
市況次第だ」と述べた。
プライベート・バンキング部門については、新規資金がネットベースで74億フラン流入した。ただ、国内の1顧客が
11億フランの資金を引き揚げたという。
主要な自己資本比率は9.8%に上昇。年末までに10%に引き上げるとする目標の達成が視野に入った。
クレディ・スイスの株価は、序盤の取引で1.5%下げた後、0853GMT(日本時間午後5時53分)までに0.4%
に切り返した。ただ、その後は再びマイナス圏に沈んでいる。 -
日本株投信、薄い存在感 相場の波乱止められず(スクランブル)
2014/10/24 02:00 日経速報ニュース 1261文字
23日の日経平均株価は小幅な値動きで、ジェットコースターのような相場展開に終息の兆しも出てきた。だが震源
地の米国株に比べ相場の戻りはいまひとつ。割安な銘柄を拾う国内投資家の層の薄さが大きな原因で、中でも日本
株投資信託の存在感の無さは際立つ。日本人が買わない日本株投信は、海外要因で揺れ続ける日本株市場の問題
の核心かもしれない。
「日本株投信ですか? 正直、売れ行きはあまりよくないです。理由は色々ありますが、日本株が長期的に上がる
イメージをいまだに抱けないのが最大の原因でしょう」。投信販売の最前線に立つ野村証券のある支店長はこう話す。
統計上も日本株投信の不振は一目瞭然だ。野村総合研究所によると、足元の10月は販売がじわり回復傾向にある
というが、9月までは日本株投信から4カ月連続で資金が流出した。
公募投信は全体の残高が過去最高を更新中だが、押し上げ役はもっぱら海外株投信や海外REIT(不動産投資信
託)ファンドだ。日本株投信はカヤの外で、市場全体に占める残高比率は9.3%(9月末)と15年前のおよそ半分の水
準に低下した。残高全体の約8割を米国株ファンドが占めている米投信市場とは大違いで、これでは相場の下支え
役にはなりようがない。
なぜかくも人気がないのか。原因を探る過程で、ある象徴的なファンドを見つけた。野村アセットマネジメントが2000年
に設定した「ストラテジック・バリュー・オープン」だ。
実はこのファンド、プロの日本株運用者の間では長期間、安定的にベンチマークを上回る成績を上げてきたことで知られる。
設定以来、年間でベンチマークの東証株価指数(TOPIX)に負けたのは1年だけだ。ほぼ同時期に運用を開始した日本
最大の日本株投信「フィデリティ・日本成長株・ファンド」(約3300億円)と比べてもその運用成績は際立っている。
だが優れた成績にもかかわらず、国内では売れていない。野村を含めて約40社が販社に名前を連ねるが、類似ファンドを
足しても残高は60億円にすぎない。と、ここまでは日本の投信市場ではよくある話だ。
興味深いのが、このファンドは海外で爆発的に売れているのだ。08年に欧州で販売を開始したところ、パフォーマンスの
高さに目をつけた年金基金が資金を委託。今では一般の個人も買える公募投信としても欧州、アジア、南米の17カ国で
販売しており、海外投資家分の残高は約4500億円に達する。単一の戦略の日本株ファンドの規模としては、世界最大級
だろう。
なぜ海外でうけているのか。理由は簡単。「海外投資家は過去のパフォーマンスとその再現可能性を念入りに調べ、納得
がいけば資金を預けてくれる」。河野光成シニア・ポートフォリオマネージャーは言う。
「運用成績がいい投信がちゃんと売れる市場を作ること。それが証券界の大きな課題だ」。日本証券業協会の稲野和利
会長は言う。「海外ヘッジファンドの短期売買が相場を荒らしている」。そんな恨み節に時間を割く前に、証券市場関係者は
目の前にやることがあるはずだ。
(川崎健) -
日経平均は夜動く―短期筋、海外材料に機敏(スクランブル)
2014/10/25 日本経済新聞 朝刊
24日の日経平均株価は朝方こそ値上がりしたものの、その後は小動きに終始した。それでも安心できないのが
最近の相場だ。夜間も取引している日経平均先物が日中よりも大きな値幅で動き、現物株にも大きな影響を及ぼす
日が増えているからだ。欧州の景気減速懸念や米金融政策を巡る思惑など、海外発の材料に機敏に対応するため
、投資家も夜に動き始めている。
「昼と夜とでは市場の性格が違いますね。僕は夜中3時まで日経平均先物を使って取引します。日中? 午後2時
まで寝ていることも多いですよ」。都内在住の30歳代の男性にとって投資の主戦場は大阪取引所の夜間取引だ。
欧州や米国市場の動向をにらみながら毎晩、日経平均先物やオプションを売買する。
日経平均先物の夜間の売買高は急増している。大阪取引所の日経平均先物や小口で売買するミニ日経平均先物
の取引に占める夜間の比率は今月に入って約40%と過去最高を更新した。
□ □
夜間取引が盛り上がるのは変動幅が大きく、先物の売買を好む投資家にとって差益で稼ぐ機会がふんだんにある
からだ。「夜に動く」日経平均を強烈に印象づけたのが今月半ばのこと。15日は米国株が大幅に下げたのをきっかけ
に、日経平均先物も夜間に急落した。夜間取引の高値と安値の差は600円と日中値幅の3倍強に達した。翌16日
夜に付けた1万4370円は同日の日中安値より300円低く、「幻の値段」と話題になった。
「一部の個人投資家は値動きの大きい夜間の先物取引にチャンスを見いだしている」。楽天証券経済研究所の
土信田雅之氏は話す。夜間を好む投資家は先物など少ない元手で大きな利ざやを狙う商品を通じ、短期で勝負する
タイプが多く、「保有する現物株のリスク回避を狙って取引する個人は少ない」(SBI証券の藤本誠之氏)。先物は
現物株と損益の通算ができないこともあり、そもそも投資家層が異なるという。
□ □
もっと大きなお金を動かす機関投資家も夜に動く。夜間のミニ日経平均先物などの売買手口で頻繁に顔を出すのは
エービーエヌ・アムロ・クリアリング証券だ。夜間の売買全体の半分を占める日もある。同社の顧客は世界の先物や
オプション取引をするCTA(商品投資顧問)やヘッジファンドが多いとみられている。
自動売買システムを通じ各国市場で同時に注文を繰り出す短期筋の投資家は、値幅が広がるほど収益機会が
得られる。欧米市場で動揺が広がれば、日本が夜であっても先物取引は大きく動く。
来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されており、引き続き海外発の材料に振られそうだ。冒頭の男性
は「気合いを入れないと」と話す。
夜に動く相場は続くのか。大和証券の熊沢伸吾マーケット・アナリストは「今は短期筋主導だが、より投資期間の
長いファンドが日本株に向かう兆しはある」と話す。日中取引の日経平均先物が主体となるには強い国内材料が欠
かせない。本格化する4〜9月期の決算発表はそのきっかけになるだろうか。(田口良成) -
株の個人買い越し1兆円超 10月3週で、中長期の上昇期待
2014/10/26 00:00 日経速報ニュース 583文字
最近の株価が下げる局面で個人投資家が買いを増やしている。東京証券取引所によると10月は17日までの
3週間で株式を1兆347億円買い越した。同期間に9395億円売り越した海外投資家とは正反対の動きだ。短期
的には不安定でも、長い目でみて株価は上昇するとの期待が個人に強いことを映している。
個人が買いに動いたのは欧州景気や米国の金融政策を巡り、市場全体がリスク回避に傾いた局面だ。日経
平均株価は9月の高値から10月中旬にかけて11%下落。夏場までは売りが多かった個人が、この間に一気に
買いに転じた。
個人は2〜9月では累計で約3兆円売り越しており、月間で1兆円を超える買い越しは1月(1兆4270億円)
以来だ。野村証券では「医薬品株など配当利回りで魅力のある銘柄への買いが目立った」という。カブドットコム
証券は「頻繁に取引をしない投資家が下げ局面で戻ってきた」といい、トヨタ自動車株やネット関連株が人気だ。
個人は投資信託を通じても日本株を買い増している。野村総合研究所によると、10月は日本株投信への純流入
額が23日現在で2093億円。流入超は5カ月ぶりだ。
株安局面で買い手に回る個人に対し、海外勢は9月下旬以降、売りに傾いている。株価の動きでいえば、海外
勢の売買に左右されることが多く、海外勢の間で日本株の上昇期待が戻るかが、本格反発のカギになるとの
見方は多い。 -
米国株支える5つの柱。
2014/10/25 日本経済新聞 夕刊
24日の米ダウ工業株30種平均は続伸し、前週末の水準を上回って終えた。エボラ出血熱など不安要因はあるが
、市場を点検すると好材料も多い。米国株を支える「5本の柱」を点検しよう。
□ □
1本目は企業業績だ。発表された7〜9月期決算をみると、化学のダウ・ケミカルやスリーエム(3M)など、伝統的
な製造業が順調に利益を拡大させている。アナリスト予想も上回り、株式市場で買いを集める場面があった。
24日にはアップル株が連日で過去1年(52週)の高値を更新した。週初に公表した四半期決算で新型iPhone(
アイフォーン)の予想を上回る売れ行きを示すと、目標株価を引き上げるアナリストが相次いでいる。フェイスブック株
も高値を更新した。伝統的な製造業に限らず、ハイテクやネット関連株も業績拡大期待が株高につながる好循環が
生じている。
2本目の柱は「米国株に割安感が出てきた」(米国みずほ証券のカーマイン・グリゴリ氏)ことだ。企業業績が健闘
している一方、株価の調整が進んだことが理由だ。
トムソン・ロイターが毎週末に公表するS&P500種株価指数の予想PER(株価収益率)は17日に約1年ぶりの
水準に低下した。1月に新興国の通貨が売られ、世界的な株安に見舞われた時の水準も下回った。
3本目は選挙だ。11月の中間選挙を終えれば、2016年の米大統領選が意識され始める。米市場には「大統領
選の前年は株価が上がりやすい」という経験則がある。与党が経済対策を打ち出して景気を浮揚させ、選挙を有利
に運びたいと考える傾向があるためだ。
キャタピラーが23日に開いた決算説明会でこんなやりとりがあった。
「あなたは(15年の)米国に期待していると述べたが」。あるアナリストがダグラス・オーバーヘルマン最高経営
責任者(CEO)の発言の意図を探ろうとした。同CEOは「述べたかどうかわからないが、(改善の)可能性があるうえ
多くのことは議会にかかっている」と話した。米市場や産業界で景気対策への期待が高まっている様子がうかがえた。
□ □
4本目は米家計に大きな影響力を持つガソリン価格だ。ニューヨーク市場で米原油先物相場が一時、2年4カ月ぶり
の水準まで下落し、ガソリンも下落している。大手金融機関、バークレイズは「購買力の新たな源泉」と家計への恩恵
を指摘したうえで、「10〜12月期の個人消費は改善し、世界経済の減速が米景気に及ぼす影響はある程度弱まる」
と分析する。
5本目は低金利だ。10年物国債の利回りは2%台前半と歴史的な低水準で推移している。借り入れコストの抑制
などが米景気を支える。利回りが低下し米国債への投資妙味が薄れれば、相対的に米国株の魅力も増す。
米国株は豊富な支援材料に囲まれている。下値のリスクは小さそうだ。
(NQNニューヨーク=岩切清司) -
NY株―FOMC声明に注目(市場アウトルック)
2014/10/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 247文字 書誌情報
今週の米株式市場の注目は28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。FOMC後の声明文の解釈を
巡って投資家が神経質になる可能性もある。
一部で浮上した量的緩和策第3弾(QE3)の延長観測は消え、予定通り今週のFOMCでQE3の終了を決め
そうだ。29日に出る声明文では、QE3終了後の次のステップである利上げに向けて、どんなメッセージが込め
られるのかが焦点。30日には7〜9月の米国内総生産(GDP、速報値)が発表される。市場予想は強気で3%成
長を見込んでいる。(ニューヨーク=佐藤大和) -
日経平均先物、夜間取引で下げ拡大 入国男性発熱で検査の報道
2014/10/27 20:42 日経速報ニュース 307文字
27日の大阪取引所の夜間取引で、日経平均先物12月物が一時下落幅を広げた。日中終値に比べ80円安の1
万5320円まで下げる場面があった。西アフリカのリベリアから同日羽田空港に到着した男性が発熱の症状を訴え
、エボラ出血熱かどうか検査するため東京都内の病院に搬送されたと19時半ごろから相次いで伝わった。
1万5370円程度で推移していた日経平均先物12月物は報道の後、売りが優勢となった。
市場では、「男性の症状がエボラ出血熱かどうか確認できないため、投資家は様子見の段階。現時点では相場
の反応は限定的とみられる」(UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジスト)との声があった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
強気になれない海外勢 再増税後の落ち込み警戒 スクランブル
2014/10/28 02:00 日経速報ニュース 1176文字
27日の日経平均株価は続伸したが、買い一巡後は利益確定売りに押される場面もあった。年末の最終取引まで
残すところ2カ月あまりとなり、市場の関心は10月に入って大幅な売り越しが続く海外投資家が再び日本株買いに
転じるかどうかに向かう。ただし先行きは楽観できない。日本株を割安と認めつつも、海外勢にはどうしても強気に
なれない理由があるのだという。
先週、国内の有力株式ストラテジストが相次いで欧米を訪問した。興味深いのは、多くの投資家が日本経済の
先行き不安を口にしていたという事実だ。とりわけ懸念を強めているのが、消費税の再増税を巡る動向だった。
「再増税を見送る可能性はどれぐらいか」。運用会社やヘッジファンドなど全米約30の投資家を訪れたみずほ証券
の菊地正俊氏は決まってこう尋ねられた。
米投資家は2013年以来、日本経済の復活に賭けて値ごろ感のある金融や不動産株に資金を投じてきた。だが
4月の増税後の内需のもたつきもあり、こうした業種の株価は低迷している。
消費税の再増税が決まれば内需株の持ち直しはさらに遅れるのではないか、との懸念は日増しに強まっている。
「アジアの有望な投資先として、日本より改革期待の強いインドやインドネシアをあげる声が多かった」(菊地氏)と
いう。
海外勢が日本経済の行方を不安視するのも無理はない。4〜6月期の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前期
比年率でマイナス7.1%に落ち込み、米国経済との格差が鮮明になった。市場予想では7〜9月期はプラス4%近く
まで持ち直す見通しだが、消費回復の遅れもあって予断を許さない状況にある。
先週にロンドンやジュネーブなど約27件の欧州投資家を訪問したSMBC日興証券の阪上亮太氏も「海外勢の日本
経済に対する漠然とした不安」を感じた。背景には消費税の再増税があり「実に8〜9割が先送りの容認派だった」。
賛成派が大多数だった4月の増税時とはまるで違う風景だ。
安倍晋三首相は15年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうかについて、14年7〜9月のGDPなどを踏まえ
12月上旬に判断する方針だ。企業の決算発表が本格化する中、海外勢の声からは「マクロ景気の不透明感が晴れる
まで日本株には積極投資できない」という本音が透けてみえる。
こうした懸念は米当局も共有しているとの指摘がある。「内需拡大を持続させるためにも、日本は財政再建のペース
を慎重に計るべきだ」。米財務省が10月中旬に公表した主要貿易相手国の経済状況などを分析する、半期に1度の
「為替報告書」はこう記している。
欧州景気の低迷が長期化し、中国経済も鈍化の色彩が濃い。阪上氏は「日本経済が力強さを取り戻せば、相対的な
魅力から海外勢の資金が戻ってくる可能性が大きい」と指摘する。海外投資家は日本の経済政策の成否を見守っている。
(川上穣) -
FOMC 円、年内115円シナリオに現実味・嶌峰氏 米金利上昇で
2014/10/30 07:17 日経速報ニュース 610文字
嶌峰義清・第一生命経済研究所首席エコノミスト 米連邦準備理事会(FRB)が28〜29日に開いた米連邦公開
市場委員会(FOMC)で、量的緩和策に伴う資産購入を終えたことや、声明で低金利政策を「相当な期間」維持
するとのスタンスを保ったことは想定通りだった。半面で米雇用情勢への楽観的な評価や、今後の経済データ次第
で利上げの時期が早まる可能性に触れた点はややサプライズ(驚き)。金融市場では米国債利回りとドルの上昇
余地の拡大を意識させる。
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表している製造業景況感指数の内訳の新規受注指数など、景気の先行
指標とされる統計をいくつかみると、米経済は少なくとも向こう半年間は成長軌道を保てそうだ。とすれば2015年の
半ばまでの利上げ開始は「既定路線」ではないだろうか。14年の年末商戦の好調が判明し、15年1月のFOMCで
「相当な期間」の文言を外せれば、3月の利上げ開始もありうる。
FRBは当面は米国債の保有残高を保つとしているが、量的緩和の終了でこの先は新規購入がないわけだから
、新発債が出るたびに市場での存在感は下がる。「官製相場」の印象が薄れ、国債需給の緩みが意識されるよう
になると米債利回りには上昇圧力がかかりドルの独歩高を誘いやすい。米10年債利回りは14年のうちに3%、ドル
の対円相場は1ドル=115円を目指す可能性が高まってきたと思う。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
国内債35%に下げ、公的年金運用、中長期で、日本株25%。
2014/10/31 日本経済新聞 朝刊 1ページ
約130兆円の公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日にも、新しい運用
比率の目安を発表する。現金など短期資産を除く運用資産のうち、国内債券を現行の約6割から中長期的に35%
に下げる一方、国内株式を25%に上げる見通しだ。海外株式も積み増して、株式と債券との割合を半分ずつにする。
市場の動向をにらみながら日本国債に偏った運用を改め、利回りを高める。(関連記事5面に)
GPIFは既に重要事項を協議する運用委員会を開いて、新しい目安を決めた。31日にも塩崎恭久厚生労働相が
認可して、公表する方向だ。
GPIFは資産構成の目安に従って運用している。年金制度の維持に必要な収益を稼ぐため、海外株式は25%と
およそ2倍に引き上げる。海外債券も15%に上げる見通しだ。株式や海外資産など値動きが大きい資産を増やせ
ば、利回りを高められる期待がある一方、相場の下落で損失が膨らむリスクも高まる。 -
東証大引け、大幅に3日続伸 1万6413円、日銀追加緩和で7年ぶり高値
2014/10/31 15:35 日経速報ニュース 897文字
31日の東京株式市場で日経平均株価は3日続伸した。終値は前日比755円56銭(4.83%)高い1万6413円76銭
だった。9月25日に付けた年初来高値を更新し、2007年11月2日以来、7年ぶりの高値を付けた。前日の米株高や
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を巡る報道などから買いが優勢だった。後場に入り、日銀が追加の金
融緩和を決定すると買いが急増した。1日の上げ幅は2008年10月30日(817円86銭)以来、6年ぶりの大きさになった。
朝方から高く始まったが、前場中ごろからは利益確定売りなども出て伸び悩んだ。後場入り後には一時、上げ幅を
180円程度まで縮小する場面もあった。13時40分過ぎに日銀の追加金融緩和が決まると急騰。14時48分には前日
に比べ875円71銭高の1万6533円91銭まで上昇する場面もあった。市場では「売りが出尽くした絶妙なタイミングで
日銀の追加緩和が決定し、大幅上昇につながった」(東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長)との見方が
あった。
JPX日経インデックス400は3日続伸。前日比528.29ポイント(4.54%)高の1万2172.62だった。東証株価指数(TO
PIX)も3日続伸。前日比54.74ポイント(4.28%)高の1333.64だった。
東証1部の売買代金は概算で4兆1982億円と13年5月24日以来、約1年5カ月ぶりの水準まで拡大した。売買高
は40億1278万株と2月4日(42億3327万株)以来、9カ月ぶりの水準だった。東証1部の値上がり銘柄数は全体の
92%にあたる1694、値下がり銘柄数は120、変わらずは19だった。業種別TOPIXは全33業種中、空運業を除く32
業種で上昇した。
ソフトバンク、ファストリやファナックが上昇。トヨタや三井不、菱地所が買われた。三井住友FGや三菱UFJやみずほ
FGといった銀行株も上げた。半面、富士通やカシオ、特殊陶が下げた。
東証2部株価指数は大幅に反発した。Oak、田淵電やJトラストが上げた。半面、JFLA、神鋼環境やマナックが
下げた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
吸引力増す高シェア株 追加緩和で国内景気に懸念 スクランブル
2014/11/01 02:00 日経速報ニュース 1152文字
31日の株式市場は午後に日銀の追加金融緩和が伝わると、ほぼ全面高となった。予想外の緩和に市場には
高揚感も漂ったが、こう受けとめた人たちもいた。「やはり日本の景気はそこまで厳しいのか」。消費増税後の
内需不振などパンチ不足の日本経済を目の前にし、海外で稼げる銘柄を買う流れがこの日も止まらなかった。
「ここ数年なかった勢いで、海外投資家などが慌てて買い戻していた」。ソシエテジェネラル証券の小原章弘
ディレクターは31日をこう振り返る。確かに市場を驚かせた点で日銀は見事だった。だがこんな声があることも
見逃せない。「ここまで手元のカードを切ってきたのは国内景気の弱さの反映だ」(三菱UFJモルガン・スタンレ
ー証券の藤戸則弘投資情報部長)。
米国が量的緩和政策の終了を決め、7〜9月の米国内総生産(GDP)は市場予測を上回った。その直後に
日本は追加緩和に踏み切った。2日間の動きから「日本の景気の弱さ」を感じた向きがぐっと増えたのも、この
日の市場の一面だ。
「日本経済が成長しなくても中期的に業績拡大を見込める銘柄探しに徹している」。アバディーン投信投資
顧問の窪田慶太氏は先週、海外の年金基金を訪ね、彼らの姿勢の変化をこう痛感した。銘柄選別は世の常
だが、窪田氏は「世界で高いシェアを持つ企業が今のテーマだ」と指摘する。
世界に通用する製品・サービスがある企業は、競争優位性から利益率が高くなる傾向がある。三井住友
アセットマネジメントの大嶋智則氏は「不景気でもキャッシュフローを生み出す力が強い」と話す。中国景気の
減速やエボラ出血熱など海外に不安材料もあるなかで、単に海外進出しているだけでは足りない。世界的に
シェアが高い「勝ち組」銘柄を探せ――。
すでに兆候は出ている。31日にシスメックス株が一時前日比6%高まで上昇し、年初来高値を更新した。
血液中の赤血球や白血球の数を調べる測定分野の世界シェアが約4割に達し、2015年3月期の純利益は
過去最高を更新する見通しだ。野村証券の甲谷宗也アナリストは「欧州や米国で販売はまだ伸びる」と予想
している。
高シェア銘柄の買われ方を、アベノミクス相場の起点とされる衆院解散(当時)が決まった12年11月14日
までさかのぼって点検しよう。日経平均株価とほぼ同じように動いてきたシスメックス株だが、今年夏以降
に上昇に弾みがついた。ほかにも手術用器具を手掛けるマニーや、自動車部品などのNOKへの資金流
入が加速している。
日本の景気を占ううえで焦点は消費税率の再引き上げだ。今回大規模な緩和に踏み切ったことで、増税
する公算が大きくなったと見る向きが多い。緩和に驚いた株式市場も、落ち着きを取り戻せば銘柄選別に回帰
するだろう。キーワードは「高シェア」だ。 -
3メガ銀、1割減益、4〜9月、投信低迷、三菱UFJは増益も。
2014/11/02 日本経済新聞 朝刊
国内景気のもたつきが大手銀行の業績に影響し始めた。3メガバンクの2014年4〜9月期の連結最終利益は
合計で1兆3000億円程度と、前年同期比で約1割減り、4〜9月期では2年ぶりの減益となったようだ。個人向け
投資信託の販売が落ち込み、貸し出しも利ざやの縮小傾向が続く。市場部門の稼ぎを支えに3メガ銀の収益力は
なお高水準だが、先行きには不透明感も残る。
三菱UFJフィナンシャル・グループは前年同期(5302億円)に比べて横ばい圏から増加が見込まれる。三井住友
フィナンシャルグループは9%減の4600億円程度、みずほフィナンシャルグループは約2割減の3000億円台半ば
になったようだ。
収益環境が厳しいのは国内業務だ。本業の貸し出しは、9月末の3メガを含む都市銀行の貸出残高が前年同月
比0・6%増になったが、貸出金利が低下傾向にあり、「利ざやの縮小が止まらない」(メガ銀幹部)。
個人部門も昨年度は安倍政権の経済政策「アベノミクス」を追い風に好調だった投信販売が減速している。銀行の
4〜9月期の投信販売額は前年同期比7%減った。3メガグループの主な証券会社の最終利益も4〜6割程度減り
、連結ベースの収益の足を引っ張った。
一方、底堅かったのが市場部門だ。4〜9月期に日経平均株価は9%上昇し、長期金利も低下傾向にあったこと
から株や債券の売買益を確保しやすかった。東京商工リサーチによると、4〜9月期の企業の倒産件数は8%減った
。貸出先企業の業績や信用力の回復を受け、貸倒引当金の戻り益も発生したもようだ。
3メガ銀合計の最終利益は減少したものの、歴史的にみればなお高いレベルの収益力を保っている。ただ、足元
では個人消費などの国内景気にもたつきがみられ、下期の収益環境には不透明感も漂う。利ざやが改善に向かう
機運も乏しく、日銀の追加の金融緩和を受けた円安・株高の持続力も読み切れない。このため各行は相続対策など
の金利収入に頼らないビジネスや、海外部門の強化をめざしている。 -
外国人から国内勢へ、公的マネーの「玉突き」で日本株の主役交代か
2014/11/04 15:36 日経速報ニュース 1405文字
10月31日の日銀の追加金融緩和決定と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革をきっかけに、
日本株が連日急騰した。背景には株式市場の需給構造の変化を先取りしている可能性がある。市場では、GPIF
や日銀が株式市場で存在感を増すことで、民間マネーを株式市場に呼び込む「玉突き効果」を指摘する声がある。
「国内勢が売り手、海外勢が買い手」という日本固有の株式市場の需給構造が生まれたのは1995年。その後、
一貫してこの構図が崩れることは無かったが、19年が経過し、「一変する可能性が高まってきた」とT&Dアセット
マネジメントの神谷尚志チーフエコノミストは話す。
GPIFは運用資産全体に占める国内株式の保有割合を従来の12%から25%、最大で34%に引き上げる。こうした
積極運用への転換が国家公務員共済組合連合会など公的年金の資産運用全体に波及し、上値を買うセクターと
して国内勢が久々に浮上すると神谷氏はにらむ。
神谷氏の試算によれば、今後見込める公的年金による日本株買いの規模は年間10兆円。昨年1年間の外国人
投資家による日本株買越額の7割弱に相当する。
追加緩和で株価指数連動型上場投信(ETF)の保有額を年間、3兆円増やす日銀の存在も見逃せない。計画通り
に日銀がETFの保有残高を増やせば、来年のいまごろは日銀によるETFと株式の保有額が7兆円を超え、単純比較
では「日本最大の民間株主」といわれる日本生命の株式保有額(7兆1000億円、3月末時点)と肩を並べるか追い
抜く可能性がある。
ETFに加え日銀は、長期国債の保有残高をこれまでの年間50兆円増から同80兆円増に引き上げる。市場から大
量の国債を吸い上げることで、銀行や生命保険、損害保険といった機関投資家は国債での資金運用がいままで以上
に難しくなり、国内株式を手放しにくくなるか、あるいは買いに回らざるを得なくなることも考えられる。
もちろんバラ色のシナリオばかりではない。日経平均株価が11月4日、約7年ぶりの高値を付けた一方で、ドル換算
の日経平均は9月下旬の水準にとどまる。「欧州がデフレリスクに直面し、新興国経済の先行きも不透明な中、海外
マネーの行き場は米国株と日本株ぐらいしかない」という声はあるものの、急激なドル高・円安は為替ヘッジをしない
外国人投資家にとっては悩ましい問題だ。
GPIFが実際、どの程度、日本株買いに動くかも不透明だ。GPIFの今年6月末時点の運用資産額は127兆円。
その内、国内株式は22兆円で構成割合は約17%だった。当時の日経平均の水準は1万5162円で、4日は、この
水準より約12%高い。仮にGPIFが6月末の株式のポジションを一切動かさず、全体の運用資産額にも変化がなかっ
たとすると、株式の構成割合は単純計算で、すでに19%に達したことになる。
同様の計算で1万8000円の場合の構成割合を試算すると20%、2万円では23%に達する。実際には外国株など
他の資産の変化もあり、単純には当てはまらないが、株価が上がれば、GPIFが買いに動かなくても、自動的に目
標に近づく場面は増えることになる。
それでも、リスク資産投資に大きく距離を置いてきた日本人にとって、日銀を含めた公的年金の変化は、大きな刺激
だ。GPIFと日銀による玉突き効果は軽視できない。〔日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一〕 -
もう一つの緩和効果―ROE重視の銘柄選別促す(スクランブル)
2014/11/05 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1182文字 書誌情報
4日の日経平均株価は前週末比3%高で引けた。日銀の追加金融緩和をきっかけにした水準訂正の動きは午後
には一巡し、日経平均は大引けにかけて伸び悩んだ。輸出株を中心に幅広く買われた午前と異なり、午後の取引で
みえてきたのは、ROE(自己資本利益率)を物差しにした高収益銘柄への資金シフトだ。それを市場に促す要素が
今回の日銀の緩和策の中にある。
日本市場が休場だった3日、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の日経平均先物(期近物)は一時1万7440円
まで上昇した。4日の東京市場ではCMEから値段を切り下げ、1万7000円を割り込んで取引を終えた。
午前こそ海外の短期筋を中心とした買いが殺到し、円安の恩恵を受ける輸出株が軒並み買われ、金利に敏感な
不動産株も大幅高となった。ところが、売買が落ち着いた午後に堅調だったのはやや違う顔ぶれだ。
□ □
日経平均採用銘柄のうち、大引けの値が午前終値を上回ったのは10銘柄。これらはトヨタ自動車やブリヂストン、
東ソーなど総じてROEが2桁と高いことが特徴だ。実際、ROEの高い銘柄で構成するJPX日経インデックス400の
4日の上昇率は2・75%と、わずかながら日経平均(2・73%)を上回った。
米国投資家を訪問中のSMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、投資家が追加緩和に対して「意
外に落ち着いている」という印象を持った。昨年のアベノミクス相場のように、物価や地価上昇への期待はあまり盛り
上がっていない。相場全体の上昇は短期でとどまり「結局は高ROE銘柄や、ROEの水準が顕著に上昇しそうな銘柄
が買われるとの見方が多い」という。
政府が企業統治改革に乗り出し、市場にはROE重視の傾向が強まっている。この傾向に「日銀が拍車をかける」(
JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳ストラテジスト)と期待する声がある。
□ □
日銀は今回の緩和策で、JPX日経400に連動する上場投資信託(ETF)を購入対象にすると初めて表明した。
日銀が収益力の高い銘柄を選別して買うことを意味し「企業が収益力を高めるインセンティブにつながる」(JPモルガ
ンの重見氏)。
金融相場では低収益の銘柄も一緒くたに上昇しがちで、丹念に銘柄選別をしても実を結びにくい。日銀が買う銘柄
を絞れば「銘柄選別を主体とする機関投資家にも投資しやすい相場になる」(みずほ投信投資顧問の岩本誠一郎チ
ーフファンドマネジャー)。
4日の市場では、JPX日経400に連動するETF「NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信」
の売買代金が45億円と、10月の1日平均の4倍強に膨らんだ。JPX日経400もTOPIXをじわじわと上回りつつある
。日銀のもう一つの「緩和効果」は、有望株を選別する市場機能の強化かもしれない。(松崎雄典) -
日銀相場に賞味期限―経験則は50日、国内勢がカギ(スクランブル)
2014/11/06 日本経済新聞 朝刊
日銀の追加金融緩和から3営業日目となる5日の東京株式市場では日経平均株価が小幅続伸した。冷静さを
取り戻す市場参加者の話題に上がり始めたのが「日銀ラリー」の賞味期限だ。50日が目安となるが、経験則通り
になるかどうかは意見が分かれる。謎を解くカギは投資家の売買動向だ。3日間の動きをみると相場の持続力は
国内勢にかかっている。
「顧客と少し落ち着いて議論ができる心理的な余裕が出てきました。追加緩和の賞味期限については弱気派から
強気派まで意見が分かれています」。前日までに比べると相場の値動きも落ち着いてきた5日午前、米系証券の
日本株営業マンは話した。
何事も議論を進めるには客観的なデータの確認から始めるべきだ。バークレイズ証券の北野一チーフストラテジス
トは、過去3回の「日銀サプライズ」が日本株をどのくらいの期間、上昇させたのかを調べてみたところ、共通する
1つの法則を見つけた。
□ □
過去3回とは、第1が速水優総裁が金融調節の目標を金利から資金供給量に初めて変更した2001年3月19日。
第2が白川方明総裁が「物価安定のめど」という表現でインフレ目標に言及した12年2月14日。第3が現任の黒田
東彦総裁が大胆な金融緩和に踏み切った13年4月4日だ。
日本株の相対的な強さを測るために、東証株価指数(TOPIX)を米S&P500種株価指数で割った日米相対株価
をみると、過去3回の株価押し上げ効果の賞味期限は50営業日前後で一致した。公表日を起点とする日本株の
上昇が終わるのは、具体的には1回目が55営業日後、2回目が53営業日後、3回目が45営業日後だった。
「50日の法則」を当てはめると今回は15年1月中旬まで続くことになるが、北野氏は懐疑的だ。「過去3回は前例
のない新機軸が含まれていたが、今回はない。効果はより短期間にとどまる」と読む。
相場のことは相場に聞けとの格言もある。この3日間の動きを探ると「強気の海外勢、弱気の国内勢」という構図が
見えてくる。
真っ先に動いたのが、マクロ指標や金融政策を見て動くグローバルマクロ系のヘッジファンドだ。彼らの一角は緩和
を予想していたのか、フライング気味に動いていたようだ。
□ □
「何だこの大量買いは」。証券各社のトレーダーたちがいぶかったのは10月31日の寄り付き直後のことだった。
海外ファンドとみられる投資家が、ある米系証券を通じて1万6250円の日経平均コールオプション(買う権利)に約
6800枚の買い注文を業者間市場で出した。想定元本で1千億円に相当する大口買いだ。
他の証券会社は一斉に売り向かったが、数時間後の日銀の追加緩和発表にひっくり返った。「やられた、すぐ先物
を買え」。コール売りのリスクを減らすための証券会社の先物買いが、相場上昇に拍車をかけた。
ファンドの買いに売り向かったのは国内勢だ。大手証券各社では個人や投資信託に加え、地銀や生損保が保有
株を売って利益を確保しているという。この3日間、東証1部の売買代金が膨れ上がった背景だ。
「今大量に売っている国内勢、特に個人が買いに転じること」。大手証券幹部は上昇持続の条件をこうみる。国内
勢が日本株の将来を信頼できるかどうかに尽きるわけだ。(川崎健) -
株一時200円安 ファンドの売りで地合い急変、「5.23」以来の過熱感
2014/11/06 14:43 日経速報ニュース 1270文字
6日午後の東京株式市場で相場地合いが急変した。1万7000円を挟んでの推移が続いていた日経平均株価は
下げに転じ、一時は前日比211円(1.3%)安の1万6725円まで下落した。円相場が一時1ドル=115円台半ばまで
下落したことなどを背景に堅調な値動きが続いていたが、円安一服もあって、利益確定売りなどが広がった。
10月31日に日銀が追加の金融緩和を決定したことで、日経平均は前日まで5日続伸。その間の上げ幅は1600円
にも達した。前日5日時点での25日移動平均からの上方かい離率は8.95%で、2013年5月22日の10%以来の高水
準となっていた。いわゆる「5.23急落」の前日に匹敵する過熱感が意識されており、市場参加者からは「さすがに急
ピッチで上げすぎ」との声が相次いでいた。
誰が売ったのか。「海外の(経済指標や金融政策などを予想して動く)マクロ系ヘッジファンドが株価指数先物に
仕掛け的な売りを出した」との指摘がある。その下げに「商品投資顧問(CTA)や超高速取引(HFT)による売りが
加わった」(UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジスト)との見方が有力のようだ。
■太井正人・東海東京証券国内証券営業推進部エグゼキューショングループ グループリーダー 株価指数先物に
まとまった売りが出たことが相場急落のきっかけになった。円相場が1ドル=115円台まで円安・ドル高となり、日経
平均株価は1万7000円を一時上回った。心理的な節目に到達したことで達成感が広がり、円安・株高シナリオを前
提に積み上げた持ち高を整理する動きにつながったのだろう。
日銀が緩和的な金融政策を強化する中、(仕掛け的な目的で株先物の)売り持ち高を新たにつくるとは考えづらい。
株式や為替相場が短期間で急速に動いたため、目先の利益をひとまず確定する動きが広がったにすぎない。
■藤原直樹・しんきんアセットマネジメント投信運用部長 日経平均が1万7000円超の水準で伸び悩んだため、目先
の利益を確定する動きが出たことが相場急落の原因だ。円安効果で企業業績の上振れ期待はあるものの、足元の
相場上昇でPER(株価収益率)などの投資尺度の割安感が薄れてきた。
トヨタが5日に4〜9月期決算を発表し、企業業績面での出尽くし感が広がった影響もある。上値を追い続けるほど
の新たな手掛かりが見いだしづらい時期に差し掛かり、利益確定売りにつながった可能性がある。
■福永博之・インベストラスト代表
1ドル=115円台まで円安方向に振れた円相場が114円まで持ち直したことが日本株売りを誘った。日経平均株価
より先にTOPIXが下げており、幅広い銘柄に利益確定の売りが出たとみている。
2013年5月23日に相場が急落した時と類似点がある。当時の日経平均は25日移動平均から10%ほど上方に乖離
(かいり)していた。6日前場の上昇で上方乖離率が9%台後半まで拡大していたため、チャート分析上の過熱感から
機械的な売りにつながったのだろう。
〔日経QUICKニュース(NQN) 川上純平〕 -
永田町熱く冷めた個人―外国人と逆、上げ潮で堅く(スクランブル)
2014/11/12 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1204文字 書誌情報
11日の日経平均株価は大幅反発し、7年1カ月ぶりに1万7000円の大台を回復した。にわかに台頭した衆院
解散・総選挙説が消費増税先送りの思惑を呼んだ。先物市場を中心に海外勢とみられるマネーが勢いよく流れ込
み、株高をけん引した。しかし、その背後には相場の上げ潮をしたたかに好機に変える冷静な投資家もいる。中長
期で資金を運用する個人投資家だ。
「腰が抜けるぐらいに一気に上げた」(SMBC日興証券の西広市氏)。市場のムードは午後に一変。日経平均
先物に大口の買い注文が入り、日経平均の上げ幅は300円を超えた。
□ □
各種報道もあり、市場に突然のように「解散風」が吹き始めたのが一因だ。ある国内証券幹部は旧知の国会
議員5人に解散の可能性を聞き取りした。結果は「3人が6〜7割で解散あり、残り2人はわからないだった」。
この幹部は解散は来年と見ていたが、もし年内実施なら「株価にプラスの風が吹く」と読む。
永田町のにおいをかぐ市場はいっそう騒がしさを増す気配だが、冷静な投資家もいる。国内の個人だ。
「先週に保有株のほぼすべてを売った」。埼玉県に住む70代の男性は明かす。日銀の追加緩和を受けて株価
が急騰した先週に三菱商事株などを売り、利益を確定させた。「買い余力はあるが、株価がまた調整してくるまで
は待ちたい」と、11日もじっと様子を見た。
個人の動きを示す興味深いデータが松井証券にある。同社の顧客が保有株の売買でどう利益(損失)を出したか
を示す「実現損益」だ。日銀が追加緩和を決めた10月末から一気に利益が跳ね上がっている。含み損益ではなく
、実現した損益だから、急伸した局面で迷わず売って個人が利益を手にしたことがわかる。
□ □
これは外国人投資家とは全く逆だ。今回の日銀緩和を買い上がった外国人に対し、「個人はまだ半信半疑の域
を出ていない」(松井の窪田朋一郎氏)。昨年4月の量的緩和では急伸した1カ月半後の5月下旬に株価が調整
した記憶がある。上げに乗らず売っておく。個人は11日も粛々と売りに回った可能性が高い。
機を見て振る舞う個人。実は年金基金もこれに重なる。年金の資金動向を映す信託銀行は日銀の追加緩和が
あった10月最終週に、現物と先物を合算した買越額を大幅に縮小させた。
130兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。国内株への配分を25%に高めると決め、
大きな買い手となる期待は膨らみがちだが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「いつまでに
実施するかの期間も明示していない。国民の年金という性格上、上値を買い進む投資主体にはなり得ない」と
話す。
慎重な国内勢は景気や企業業績を巡る視界が晴れ、安心感が生まれたときこそ株式を買い進む。株価が
さらに水準を切り上げていくには、解散風のような臆測の域を超え、国内勢をその気にさせる具体的な果実が
必要になる。 (川上穣) -
消費増税先送り論浮上で株高加速――株主還元銘柄も注目(注目ニュース番付)
2014/11/14 日本経済新聞 夕刊 5ページ 790文字 書誌情報
11月6〜12日の東京株式市場で日経平均株価は終値でも7年1カ月ぶりに1万7000円台を回復した。安倍
晋三首相が消費税率の再引き上げを先送りし、年内に衆議院の解散・総選挙に踏み切るとの見方が先高観に
つながった。期間中にQUICKで読まれた記事のランキングでは、政治家の発言に揺れる相場への関心の高さが
うかがえた。
今週に入り、安倍首相が早期に衆院解散・総選挙に踏み切るとの観測が政府・与党内で広がった。その場合、
消費税率の10%への引き上げを延期するとの見方が多く、増税による国内の景況悪化が回避されるとの期待で
不動産や百貨店などの内需株に買いが入った。
増税見送りで財政健全化が遅れるとの見方などから、外国為替市場では円安がさらに進んだ。富士重工業など
輸出関連の主力株にも投資資金が流入した。米景気の堅調さや先月末に日銀が追加金融緩和を決めたことも
円売り・ドル買いを引き続き促した。
個別企業では、国際的な株価指数を算出するMSCIの「標準指数」で、構成銘柄に採用されたリクルートホール
ディングスやミネベアなどの株価の動きが注目を集めた。MSCI指数は国際分散投資を進める機関投資家の多く
がベンチマーク(運用指標)としており、採用によって海外投資家の買い注文が膨らむとの思惑が強まった。
前週に続き企業業績も注目を集めた。インテリア大手のサンゲツは7日、4〜9月期に減益だったものの、2017
年3月期までの3年間で純利益の100%以上を配当や自社株買いで株主に配分すると発表し、投資家の注目を集
めた。同社の株価は週明け10日に制限値幅の上限(ストップ高)まで上昇した。市場では「4〜9月の企業決算が
全体的に驚きに乏しかったことで、株主還元を強化する姿勢に関心が向かいやすかった」(しんきんアセットマネジ
メント投信の藤原直樹運用部長)との声が出ていた。
(日経QUICKニュース) -
大手行、収益源で実力差―増配・自社株買い相次ぐ、大幅な資本調達、不必要に。
2014/11/15 日本経済新聞 朝刊
大手銀行が株主配分を強化する動きが相次いでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループは14日、増配と
約7年ぶりとなる自社株買いを発表した。三井住友フィナンシャルグループも増配する。国際的に展開する
巨大銀行への新しい自己資本比率規制案で3メガ銀は大幅な資本調達を避けられる見通しがたち、株主
還元に踏み切る余裕ができたことを意味する。
三菱UFJは年間の配当予想を2円増の18円とした。1千億円を上限とする自社株買いも実施する。三井
住友FGも年間の配当予想を10円引き上げて130円とした。配当性向は26%と今春の中期経営計画で
掲げた25%を超え、「投資家の期待に応えるものになる」と宮田孝一社長は話す。
こうした動きの背景には、巨大銀行の新しい資本規制案で大幅な資本調達が避けられる見通しになった
ことが大きい。 -
株、当面は上値重く、市場の年度内予想、「1万6000〜8000円台が中心」、政権安定、上昇の条件。
2014/11/18 日本経済新聞 朝刊
17日の株式市場で日経平均株価は大幅反落し、1週間ぶりに1万7000円を下回った。今後の見通しを市場
関係者に聞いたところ、景気懸念を背景に「当面は上値の重い展開が続く」との声がもっぱらだった。今年度末
までの株価見通しについては日経平均で「1万6000〜1万8000円台」を中心に動くと予想する声が出ていた。
17日の日経平均終値は1万6973円で下げ幅が500円超に達した。7〜9月期の実質国内総生産(GDP)
速報値が前期比の年率換算で1・6%減となり、投資家心理が悪化した。
これまで国内景気は4〜6月期を底に緩やかに回復しているとの見方が大半だったが、市場予想に反して2四
半期連続のマイナス成長となった。三井住友銀行の宇野大介氏は「国内景気に対する強気の見方が崩れた」と
指摘。年内は買い材料が見当たらず、1万6000円程度まで調整するとの見方を示した。
ただ調整が一巡した後は、来年3月末にかけて1万8000円台まで上昇するとの声が少なくない。背景にある
のは輸出企業の業績拡大期待だ。輸出企業の多くは今下期の為替レートを1ドル=105円前後で想定し、円安
が定着すれば恩恵は大きい。三菱UFJ投信の石金淳氏は「米国やアジアの景気が改善しており、輸出数量が
伸びるとの期待もある」と話す。
7〜9月期は低迷した国内景気も、10〜12月期は徐々に持ち直すとの見方もある。その原動力として期待され
ているのが原油価格の下落だ。ながら・アセット・マネジメントの露久保裕道氏は原油安により「電気料金が下が
り、企業の生産性が高まる」と指摘。ガソリン価格下落による個人のマインド回復と合わせ、国内景気にプラスに
働くとみる。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は7〜9月期に企業の在庫整理が進んだ点に注目。「10月からは景気が
回復に向かう」と分析する。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による株式買いや日銀の上場投資信託
(ETF)購入も需給面の支えになりそうだ。
一方、株価上昇の前提として自民党政権の安定がカギになるとの見方は多い。カブドットコム証券の河合達憲
氏は「米国で共和党と民主党の対立が意識されているだけに、日本の政権安定は外国人投資家にも関心が高い」
と指摘。衆院解散・総選挙となった場合、与党が過半数を確保することが、海外勢の買いが活発になる条件との
声が出ていた。 -
メリル11月機関投資家調査 株選好に回帰、日本株の人気高まる
2014/11/19 07:02 日経速報ニュース 726文字
【NQNニューヨーク=古江敦子】米バンクオブアメリカ・メリルリンチが18日発表した11月の機関投資家調査(7〜
13日実施)によると、世界の企業収益と景気の先行きに楽観的な見方が広がる中、投資家が運用リスクを取る姿勢
を取り戻したことがわかった。現金を株式投資に回す動きが目立ち、株式の中でも日本株を選好する傾向が一段と
高まった。
投資家のうち47%が向こう1年で世界景気の勢いが強まるとみており、比率は前月(33%)から上昇。世界の企業
の収益力については42%が改善を見込んでおり、前月の27%から高まった。
株式の保有残高が当初設けた配分割合を上回る「オーバーウエート」とする投資家から、同割合を下回る「アンダ
ーウエート」とする投資家の比率を引いた値は46%と、前月から12ポイント上昇した。現金を「オーバーウエート」と
する投資家は差し引き13%と前月の27%から減った。
日本株への強気な見方が続いている。日本株を差し引きで「オーバーウエート」にする割合は45%と前月から13
ポイント伸びた。向こう1年で「オーバーウエート」にする可能性が最も大きい地域を日本とする投資家は差し引きで
27%。これは前月から14ポイント高く、2005年11月以来9年ぶりの大きさだった。
日本株が選ばれる理由として、日本企業の収益改善への期待や株価に割安感があることが挙がった。ドルやユー
ロに対し円安が進行するとの見方が多い中、輸出関連企業の投資妙味が増すとみられている。
メリルのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は発表資料で「投資家は心の奥でデフレを懸念している
のかもしれないが、株式や日本株、ドルに積極投資することを最優先している」と述べた。 -
株、個人の売り膨らむ、19日時点流出額、投信は月間最大上回る、相場上昇で利益を確保。
2014/11/21 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1097文字 書誌情報
株式や投資信託で個人投資家の売りが膨らんでいる。11月前半(4〜14日)の個人の株式売越額は1兆6435
億円に達した。株式投信の11月の流出額は19日時点で1兆7406億円と、月間で過去最大だった1991年3月の
1兆3183億円を上回る。日経平均株価が約7年ぶりに1万7000円台を回復する中、個人は保有株や投信を売却
して利益を確保した。
東京証券取引所が20日発表した株式の投資部門別売買動向(東京・名古屋の2市場、1・2部と新興市場などを
合計)によると、個人は11月第2週(10〜14日)に6523億円を売り越した。個人の売り越しは4週連続だ。11月
第1週(4〜7日)には、個人の売越額は9911億円と2013年12月第3週(1兆195億円)以来の水準に膨らんで
いた。
個人の売り越し姿勢は投信市場でも同様だ。野村総合研究所によると、株式投信の11月(19日時点)の流出額
は1兆7406億円で、このうち国内株式型からは6448億円、海外債券型からは2850億円が流出した。不動産投
資信託(REIT)に投資するタイプのファンドも2158億円の流出となった。
背景には急ピッチな株高と円安の進行がある。日銀が追加金融緩和を決めた10月31日以降、株式相場は大幅に
上昇した。個人は保有する株式の売却や日本株投信の解約によって、当面の利益確定に動いた。同じ期間に円相場
は下落し、円安に伴って基準価格が上昇した海外株や海外債券で運用する投信にも解約が相次いだ。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「自らが感じている国内景気の現状と株価の上昇の勢いに格
差を感じている個人が多いことも、売りが膨らんだ一因」と指摘する。日銀の追加金融緩和の後も、消費再増税先送り
や衆院解散・総選挙など政治イベントが相次ぎ、保有株や投信をいったん売却して様子をみようという意識も出ている。
投信市場では株価指数に連動するインデックス投信や上場投資信託(ETF)を「1日で1億円以上売買する個人もいる」
(楽天証券経済研究所の篠田尚子ファンドアナリスト)という。短期保有目的の個人などによる売買が膨らみ、資金が動き
やすくなっていることも、流出額が膨らんだ要因だ。
日銀によるETFの買い入れや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式組み入れ比率の引き上げなど需給
面での下支え材料もあり、個人が相場の先行きを悲観的にみているわけではないようだ。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「個人のまとまった売りは一巡してきており、11月前半で売り
越しのピークを越えたのではないか」と指摘している。 -
高配当株に資金流入、株主配分の拡大に関心、NISA「期限切れ」も一因。
2014/11/22 日本経済新聞 朝刊 17ページ
株式市場で配当利回りの高い銘柄に資金が向かっている。高配当の銘柄を集めて算出する「東証配当フォーカス
100指数」は21日、2010年の算出開始以来の高値を付けた。日銀の追加緩和後の円安を材料にした輸出関連
銘柄中心の物色が一巡。少額投資非課税制度(NISA)の期限切れなどもあり、年末を前に投資家の関心は再び
配当金などのインカムゲインに移っているようだ。
東証配当フォーカス100は予想配当利回りの高い株式90銘柄と不動産投資信託(REIT)10銘柄で構成する。
21日まで3日連続で高値を更新、終値で1491・77と前月末比5%超上昇した。日経平均や東証株価指数(TOP
IX)が14日に付けた高値の手前でもみ合っているのに比べ、堅調さが目立つ。
構成銘柄のうち上昇が目立つのは、REITの森トラスト総合リート投資法人やグローバル・ワン不動産投資法人。
いずれも前週末比約10%上昇した。三陽商会は5%高で1年7カ月ぶりの高値を更新。三菱UFJフィナンシャル・
グループは4%上昇し、年初の高値まで30円弱に迫った。
いずれも分配金利回りや配当利回りが2%台後半〜4%台後半と、東証1部平均(1・75%)を上回る。相場の
上昇局面では値上がり益(キャピタルゲイン)への関心が高まるが、上値が重くなりインカムゲインに着目した買い
が入っていることがうかがえる。
要因の一つがNISAの今年分の非課税枠の期限切れだ。年末を前に高配当株に「駆け込み」資金が流入すると
の思惑がある。野村証券の今月初旬の個人投資家調査では、年内にNISAで20万円以上投資すると答えた人が
4割超に達した。「英国では期限切れをまたぐ2カ月間に年間投資資金の約8割が動く」(柚木純ストラテジスト)と
いい、日本でも駆け込みへの期待は大きい。
東洋ゴム工業やサッポロホールディングス、三陽商会などは12月期決算企業。「期末に向け配当積み増しなどを
期待した個人や機関投資家の資金が向かっている」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹・運用部長)との
指摘もある。
企業が配当など株主配分を強化する流れの中で、中長期的なテーマとしても注目される。上場企業の配当と自社
株買いを合わせた株主還元総額は増加傾向にあり、14年度には10兆円を超える見通しだ。 -
株式―底堅い展開、高値更新も視野(市場アウトルック)
2014/11/23 日本経済新聞 朝刊
今週(25〜28日)の日経平均株価は底堅い展開となりそうだ。衆院選の行方を見極めたいという声は多いものの、
中国の利下げや欧州の追加金融緩和への期待が追い風となる。1万7490円83銭の年初来高値の更新を試す場
面もありそうだ。
先週の日経平均は前週末比133円安と週間ベースで5週ぶりの下落となった。7〜9月期の実質国内総生産(GD
P)速報値がマイナス成長となり、景気に慎重な見方が広がったほか、それまでの相場上昇で過熱感を警戒する見方
も多く、利益確定の売りが優勢になった。
過去の衆院選は解散から投票日まで総じて堅調な相場が続いた。今回も「投票までの政策論争は市場の材料に
なりにくく結果待ちの様相を強める」(大和証券の壁谷洋和氏)と安定相場を見込む向きが多い。
波乱要因は円相場や原油相場の動きか。円下落をけん制するような要人発言が出れば、一時的に円高・株安に
振れる可能性もある。27日の石油輸出国機構(OPEC)総会で加盟国が減産で合意すれば、原油価格が上昇し
株価の重荷となりそうだ。 -
みずほFG社長佐藤康博氏(上)英語と粘り腰、米で学ぶ(私の課長時代)
2014/11/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ
日系工場の開所式 モノ作り支える金融の醍醐味実感
■みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長(62)の銀行員人生は、始まりから他の行員と違っていた。
1975年、実はあるマスコミから内定をもらっていましたが、卒業前の3月末になって断りました。経済学部だったため、
経済報道に携わりたいと考えていましたが、経済活動にどっぷりつかりたいと思い直したわけです。
改めて就職活動をするなか、旧日本興業銀行に出会いました。産業金融や日本経済に深く、しかも全体的に関われ
る点に魅力を感じました。
最初の配属先は仙台支店の総務課でした。同世代の行員が融資や審査なのに、なぜ自分の仕事は社宅の管理な
のかと考えました。それでも腐ったら終わりです。自主的に作成した東北経済のリポートが行内で目に留まり、5年目
で本店営業部へ転勤になりました。リースや不動産業界を担当し、年長の経営者にかわいがってもらいました。
■83年、米ニューヨークに赴任し、30歳代前半を米国で過ごした。
英語が苦手だったにもかかわらず、突然辞令を告げられました。海外志望ではない行員を外に出すのが当時の経営
の意図でした。担当は日系企業ではなく、現地の非日系です。取引先や法律家、会計士が上司と英語で議論を交わし
ていても、さっぱりわかりません。無視されっぱなしの毎日は結構こたえました。
ある日、その上司が外資系企業に転職し、皆が私に相談に来るようになりました。3カ月たつと急に英語がわかるよう
になり、6カ月たつと面白くてたまらなくなりました。言葉の壁を乗り越えて見え始めた世界の大きさは言い尽くすことが
できません。
■米国では大きな取引がつぶれかねない窮地を味わい、金融の醍醐味を感じた。
ある有力企業の社運を懸けたプロジェクトに携わり、契約直前のタイミングで法律の問題が見つかりました。頭を抱え
て当時の上司に相談すると「わかった。責任は自分が負うから、解決策を必死で考えろ」と言われました。その後1週
間、夜を徹して法律家とやりとりし、何とか解決策を探し出して事なきを得ました。もしもあのとき、その上司に頭ごなし
に怒られていたら、あれだけ努力できたかどうか。リーダーシップについて考えさせられました。
金融について考えさせられた、忘れられない場面があります。当社が関与したセントルイスの日系電機メーカーの工
場の開所式の光景です。ベルトコンベヤーに載って第1号製品が出てきた時、日本人技術者も現地の労働者も家族た
ちも涙を流して喜んだのです。金融はモノを作るわけではありませんが、こういう場面を作り出せるところに存在意義が
あると確信しました。今でも部下には、金融に携わる者としてのプライドを持って仕事をしてほしいと言い続けています。
あのころ
1980年代に世界の金融を席巻したジャパンマネー。日本の金融機関はこぞってニューヨークやロンドンで事業を拡大
し、行員を送り込んだ。ニューヨークのマンハッタンにあるロックフェラーセンター買収に象徴される日本企業の勢いに世界
から羨望と警戒のまなざしが向けられた。
さとう・やすひろ 1976年(昭51年)東大経卒、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。11年みずほ
フィナンシャルグループ社長。東京都出身。 -
変わるメガ銀への視点 自社株買い、投資家動かす(スクランブル)
2014/11/28 02:00 日経速報ニュース 1191文字
投資家が株主配分の姿勢で企業を選別する動きがメガバンクにも及んできた。メガ銀株は日銀の追加金融緩和で
そろって株価が大幅に反発したが、その後は自社株買いを公表した三菱UFJフィナンシャル・グループ株が一歩抜け
出す。株式時価総額上位の一角を占めるメガ銀が自社株買いに動いたことで、日本株全体に好影響を及ぼす可能
性がある。
日経平均株価は27日、利益確定の売りで続落したが、市場では下値不安は限られている。日銀の金融緩和など
に加え、企業の株主配分への前向きな姿勢も相場の支えになっている。
三菱UFJは14日の2014年4〜9月期決算発表と同時に1000億円の自社株買いを公表した。「ようやくメガ銀が踏
み切った」(銀行担当アナリスト)。トヨタ自動車、東レなど各業界トップ企業が自社株買いに動くなか、メガ銀の慎重
ぶりは目立っていた。
SMBC日興証券の圷正嗣氏は「日本株全体への影響も大きい」と評価する。腰が重かったメガ銀も株主配分へ
より積極的になったことで、上場企業全体に意識を高める効果が広がるとみられるためだ。発表後、三菱UFJの時
価総額はソフトバンクを逆転し東京証券取引所で2位に返り咲く場面もあった。
転機は今月10日。世界の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)が、3メガ銀を含む巨大銀行を対象にした自己
資本比率の規制案を公表した。公表前は追加の資本増強が必要になる懸念があったが、フタを開けると「達成可能
な水準」(ムーディーズ・アナリティックス)に着地した。
三菱UFJの平野信行社長は14日の決算発表記者会見で「規制に関する視界が少し晴れてきた。1000億円の自社
株買いをしても懸念がないと判断した」と説明した。関係者によると「平野社長はぎりぎりまで情勢を見極めていた」という。
「さらなる株主配分の方針は」。27日、三井住友フィナンシャルグループが開いた投資家向けの説明会では、質問
が相次いだという。三井住友は4〜9月期決算発表と同時に10円の増配を公表したが、市場の関心は自社株買いに
向かう。
3メガ銀で相対的に自己資本比率が低いみずほフィナンシャルグループはどうか。ゴールドマン・サックス証券の田
中克典氏は「株高を背景に、保有株の売却で資本の質を高める好機だ」と指摘する。
金融庁と東証は策定中の企業統治(コーポレートガバナンス)指針で、持ち合い株を保有する理由の開示を求める
方針だ。難航する持ち合い株の解消が進めば、資本の有効活用につながる可能性もある。
これまで投資家のメガ銀を見る目は厳しかった。自社株買いへの慎重な姿勢が「株主配分に積極的な欧米の銀行
に比べ株価の低迷する日本のメガ銀株を買う必要があるのか」との声につながっていた。それだけに三菱UFJの動き
は投資家の関心をひき付けた。他のメガ銀にも広がれば、さらに市場での存在感は高まりそうだ。
(田口良成) -
三菱UFJ銀、チリ政府組織と提携。
2014/12/02 日本経済新聞 朝刊
三菱東京UFJ銀行はチリの政府組織である外国投資委員会と業務提携する。共同でセミナーを開いたり、
プロジェクトの情報提供を受けたりして、日系企業の進出を後押しする。チリは世界最大の銅生産国で鉱物
資源の供給拠点として存在感を増している。 -
みずほFG社長佐藤康博氏(下)頭取秘書の経験、今の礎に(私の課長時代)
2014/12/02 日本経済新聞 朝刊
■1988年に帰国、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)本店の国際業務部などを経て93年から黒沢洋
頭取の秘書を務めた。
頭取秘書を命じられた時、自分には務まらないのではと思いました。しかし、40歳前後だった秘書時代の経験は後の
大きな礎になりました。課長として秘書室全体を管理しながら、いわば政策秘書として頭取に付いて回りました。
国際派バンカーで知られた黒沢さんは世界中を回りました。どこにでも秘書を連れて行った人で、私は色々な会議に
同席しました。黒沢さんの人脈はボルカー米連邦準備理事会(FRB)元議長や中国の朱鎔基元首相に及びました。
当時の私は若かったにもかかわらず、グローバル経済の鍵を握る人々と間近に接する機会を得たのです。スイスで
開かれる「ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)」で世界のリーダーの講演を数多く聞いたことが、私の世界観の
形成に役立ちました。
黒沢さんはテニスが好きで、出張にもラケットを持参して世界中でプレーしました。テニスを通じて様々な人たちと仲良く
なりました。あまり動かない黒沢さんとダブルスを組むと、私がコートの4分の3をカバーしなければならず、大変でしたけど。
■秘書として3年半仕え、銀行経営者の苦労を身をもって知った。
中国で拠点を増やすための許認可を求めていた矢先、出張先の米ワシントンで中国当局の要人を見かけました。すると、
黒沢さんは要人と直談判するために巨体を揺らして走り出したのです。エレベーターで上階に向かった要人を追って階段
を駆け上がる黒沢さんの背中を必死で押しました。銀行業務にかけるトップの情熱を肌で感じました。
組織を引っ張るには、自らの姿で示すことが大切です。黒沢さんは皆が一目置くバンカーでしたが、裏では他人の何倍も
努力しているとわかりました。
ある案件に関してあらかじめ複数の案を携えてやってきた役員がいました。黒沢さんはひどく叱責し、その役員は
その場で動けなくなってしまいました。信念を持たないかのような役員の振る舞いを我慢できなかったのでしょう。一方、
力強いリーダーであればあるほど、自由闊達な議論がわき起こる風土を作る難しさも考えさせられました。
■97年、総合企画部に異動し、副部長に就く。
バブル崩壊で傷んだ銀行界は再編の時代の入り口にありました。旧興銀がどう合従連衡に向き合うのか、総合企画部内
にいくつも意見がありました。「都銀との違いは何か」「グローバル戦略はどうしていくべきか」「産業界における中立性の
確保は今後も欠かせない」など、論点はいくつもありました。
骨太な議論を連日こなし、経営陣とも話し合いました。たどり着いた結論が旧第一勧業、旧富士両行と作ったみずほです。
金融メガ統合の先駆けであり、高い理想がありました。私の仕事はそのときに考えた理想を基にみずほを日本トップクラス
のメガ銀行グループにしていくことです。 -
格下げ」どこ吹く風、「総楽観」にひそむ落とし穴(スクランブル)
2014/12/03 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1354文字 書誌情報
米ムーディーズ・インベスターズ・サービスによる日本国債の格下げから一夜明けた2日に日経平均株価は続伸し、連日
で年初来高値を更新した。多くの市場参加者は衆院選を経た年末株高のシナリオを崩さず、ムーディーズが鳴らした日本
の財政再建に対する警鐘にもどこ吹く風といった様子だ。いいとこ取りの「総楽観相場」に落とし穴はないのか。
「閑散に売りなしの格言を地で行く相場ですね。ムーディーズの格下げも特に材料視されてませんよ」。2日午後のある
大手証券のトレーディングフロア。日本株の営業マンは、むしろ相場がもっと下げた方がもうかるとでもいいたげな口ぶりだ
った。朝方に目立った売りは程なくとぎれ、午後に相場は切り返した。
日本経済への信認低下ともいえる国債格下げは、マーケットを左右する重要な材料なのに限定的な反応にとどまったの
はなぜか。
□ □
一つは株安・債券安・円安の「日本売り」につながらないとみているためだ。市場では国債格下げを機に国債を大量に持
つ大手銀行などが売りを出すとの懸念があった。金融機関に義務付けられる国際的な自己資本規制ではダブルA格の国
債ならリスクはゼロ。だがシングルA格に下がると、リスクの掛け目は一気に2割に上昇するためだ。
だが、これは海外の金融機関が日本国債を持っている場合で「自国通貨で自国の国債を持つ場合は格付けにかかわら
ずリスク掛け目はゼロ」(SMBC日興証券の末沢豪謙氏)。国内銀行がただちに国債を投げ売りする事態とはならない。
格下げを受けた2日の10年物国債の入札は低調な結果に終わった。だが午後に入ると債券相場は切り返し、長期国債
先物は再び最高値を付けた。こうした動きが楽観派を後押しした。
過去をみる限り、ムーディーズの格下げはその後の相場反発の起点になっているというジンクスも無視できない。ムーデ
ィーズが最初に日本国債を格下げした1998年以降をみると、格上げした前後に日経平均株価が天井を付け、格下げ前後
には相場が底入れする展開が繰り返されてきた。一般に格付けは景気や株式相場の「遅行指標」とされる。過去をみる限り
ムーディーズの格付け変更と逆の方向に動けばもうかるという「逆説」もありうる。
衆院選での与党勝利、その後のアベノミクスによる経済成長で中長期的に財政懸念が払拭されるという期待も楽観派の
背中を押す。だが3年連続の年末株高に向け、死角はないのか。「売る材料が見当たらないのは確か。だが積極的な買い手
も見当たらない」(UBS証券の大川智宏氏)
□ □
実際、東証1部の売買代金は足元で2兆円をやっと超える程度。4兆円を超えた日銀の追加緩和直後に比べエネルギーは
細った。個人、機関投資家とも動きは鈍く、足元で目立つのは日本株買いで運用成績のてこ入れを狙うヘッジファンド勢だ。
市場で待望論の強い海外の長期投資家の間では「格下げで日本株を素直に買えないとの声も一部で出始めた」(米系証券)。
バークレイズ証券の北野一氏は投資家の心境を「増税延期で景気下振れリスクが後退したのに安心し、財政悪化のマイナス
面をあえて見ないようにしているのでは」と推測する。分かっていながら、分かっていないふりをする。今の市場はそんな危うい
均衡で成り立っている可能性がある。(川崎健) -
株価座談会、専門家の見通し、日本株に資金流入続く、企業統治の変化に注目、為替との連動薄れる。
2014/12/03 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1523文字 書誌情報
株式相場の上昇基調が2015年も続くとの見方が出ている。2日に日本経済研究センターが主催した株価座談会で、
JPモルガン・アセット・マネジメントの水沢祥一氏と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里氏は、引き続き日本株
へ資金が流入するとの見方で一致した。日経平均株価は15年の年央に2万円まで上昇するとの指摘もあった。(司会は坂本
誠太・日本経済新聞社編集局証券部長)
――円安が日本経済や日本株に与える影響は。
芳賀沼氏 企業にはプラスだが、家計にはマイナスだ。経済全体にプラスといえるのは1ドル=110円までだろう。
為替をヘッジせず日本株に投資する海外投資家は、円安見通しが強まると買いづらい。高すぎる円相場が是正された今後は
、為替と株価の相関が薄れていくのが自然だ。
水沢氏 中長期的な円安となれば企業に変化が起こるはずだ。円安が定着すれば日本で生産を増やした方がいいとの見方
も出てくるだろう。
――企業業績の見通しは。
水沢氏 来期は円相場の水準が横ばいでも、今期中に急速に進んだ円安の効果が通期で寄与するため増益が期待できる。
ただ、個別企業ごとに見極めが重要だ。
芳賀沼氏 今期と来期の日本企業の増益率は、世界的にみて大きくなりそうだ。今期は2ケタの増益を期待できる。
――米国の利上げ時期は。
水沢氏 15年中に利上げは実施されるだろうが、その後の利上げペースは緩やかではないか。
芳賀沼氏 米景気は好調だが、物価や賃金は安定し、利上げを急ぐ必要はない。
――あふれる緩和マネーはどこへ向かうのか。
水沢氏 様々な資産の利回りが低下し、少しでも高い利回りを求め社債や株式に資金が向かう流れは変わらないだろう。
芳賀沼氏 リスクの高い株式のような資産に資金が向かうなかで、新興国と先進国では動きが変わってきた。先進国が
安心との見方が広がれば、日本株に大規模な資金が入ってくるかもしれない。
――リスクは何か。
水沢氏 世界経済は新興国の成長も支えになっていた過去と異なり、米国経済への依存度が高まっている。アジアや
欧州の先行きには不透明感がある。
芳賀沼氏 ロシアやブラジルなどの資源国だ。ロシアはエネルギー関連に財政を依存し、必要な政策が取りづらくなる
可能性がある。
――日本企業の資本効率向上や企業統治(ガバナンス)の変化をどうみるか。
水沢氏 変化の兆しが出てきたのは、株式市場をみるうえで非常に重要だ。日本企業の自己資本利益率(ROE)が急に
上昇するようなことはなくても、ようやく出てきた変化だ。日本は横並び社会でもあり同じ業種の1社が株主還元を強化
すれば横に広がる。過度の内部留保を積む傾向が変化すれば、外国人が日本株を買う理由になる。
芳賀沼氏 日本では株式の持ち合いにより投資家は重視されにくかった。持ち合いが解消し、海外投資家や投資信託の
存在感が高まるなかで変化は自然な流れだ。
――総選挙の株式相場への影響は。
芳賀沼氏 安倍晋三首相のリーダーシップがカギになる。与党が(絶対安定多数を超える)270議席を確保すれば、マイ
ナスではない。
水沢氏 12年以降の政治の安定は景気動向や株価に影響を及ぼした。成長戦略の推進は強い政治基盤が重要だ。
――来年の株式相場の見通しは。
芳賀沼氏 来年の年央に日経平均株価は2万円前後まで上昇する場面があるだろう。米利上げが意識される年後半は
波乱含みで、年末は1万8500円と予想する。電機や商社、建設といった業種に注目している。
水沢氏 来年も株式相場は中長期的な上昇局面にあるとみている。同業種内で値動きに差が出そうだ。
(詳細を電子版に▼マーケット↓株式↓株式FOCUS) -
株、信用取引売り圧力低下、空売り比率、4日連続で30%下回る、買い方優位でじり高も。
2014/12/04 日本経済新聞 朝刊 17ページ
株式市場で信用取引による売り圧力が下がっている。3日、東証全体の売買代金に占める空売り比率が4日連続で
30%を下回った。主に輸出株を空売りしていた個人投資家の含み損が拡大し、追加的な売りを出す余力がなくなって
いる。機関投資家の間でも売り方は劣勢だ。利益確定以外の売りが見当たらず、買い方優位のまま、じり高を予想する
声が目立つ。
東証によると3日の空売り比率は29・0%だった。4日続けて30%を下回るのは10日連続だった9月1〜12日以来、
約3カ月ぶりだ。
売りで稼ぐ個人の投資心理が冷え込み、空売りを出しにくくなっている。松井証券が顧客の信用取引の評価損益率を
計算したところ、売り手は2日時点でマイナス14・1%と約10カ月半ぶりの水準に悪化した。対照的に信用取引の買い
手は評価損益率の改善が続く。
10月末の日銀の追加緩和を受けて円安が進み、輸出株の上昇が相場をけん引した。これを受け、個人投資家は輸出
株の空売りを増やしたが「円安・株高の流れが止まらず、評価損の拡大につながった」(松井証券の窪田朋一郎シニア
マーケットアナリスト)。
機関投資家も「積極的に空売りする投資家が減っている」(東海東京証券の太井正人グループリーダー)という。売り
と買いを組み合わせて差益を稼いできたガレーラ・インベストメントの下田司代表取締役は「空売りを手じまうなどして、
相場の流れについて行くしかない」と話す。
株式市場では選挙後の経済政策の進展や一段の追加緩和への期待も高まっている。「日銀や公的年金の買い支えも
期待できるなど、まれにみる好条件がそろっている。株価が大きく下落することは想定しにくい」(アムンディ・ジャパンの
高野雅永投資情報部部長)。積極的に売りで株価を押し下げる投資家が限られるなか、当面は上昇基調が続くとの見方
が多い。 -
日本企業熱狂なき最高益(上)企業経済圏、恩恵じわり。
2014/12/04 日本経済新聞 朝刊
企業収益が拡大している。堅調な米国景気と円安を追い風に2015年3月期は7年ぶりの経常最高益が視野に入った。
自動車を筆頭に世界で稼ぐ企業が全体をけん引する。一方で経済がマイナス成長に陥った国内の不振は深刻だ。収益の
二極化が急速に進み最高益の熱気は乏しい。日本企業は稼ぐ力を高め持続的な成長軌道を描けるか。
訪米した富士重工業の吉永泰之社長は現地の販売店からこんなクレームを受けた。「私たちは空っぽのショールームを
売っているわけじゃない」
「外需」が難隠す
走りの良さと安全性で人気を集めるスバル車は北米で在庫が払底した。展示車まで売れてしまった店は従業員の自家
用車を展示場に持ち込んだ。
日本企業の業績をけん引するのは北米の新車市場だ。富士重工の北米販売は今年度、市場の伸びを上回る16%増の
見込みで、最高益を更新する。
今年4〜9月期の決算で、上場企業約1500社は経常利益を1兆5000億円増やし過去最高になった。15年3月期の
通年でもリーマン・ショック前の過去最高益にほぼ並ぶ見通しだ。
だが、好業績の陰で利益の偏在が進む。4〜9月期は増益分の7割強を自動車や電機などの10社が稼ぎ出した。米景気
と円安の恩恵をフルに享受した「外需組」の好調が覆い隠すが、実態は42%の企業が減益だった。
消費の現場は厳しい。11月下旬、相模原市のノジマ相模原本店で白物家電やテレビを売るフロアの客足はまばらだった。
近くに住む50代の女性は「増税でずいぶん値段が高くなった」とこぼす。
消費増税以降、国内景気の戻りは鈍い。アベノミクスの恩恵が届きにくい地方はなおさらだ。
九州地盤のMrMaxはディスカウントストアの先駆けだ。価格競争力が強みの同社も4〜9月期に赤字になった。増税後
にさらなる値下げに踏み込んだが客の反応は鈍い。人件費や物流費が高騰し、安く仕入れて安く売るにも「限界がある」(
葛原亨裕財務部長)。
トヨタ・セブン圏
利益が偏る構造は危うさをはらむ。好調組も決して盤石ではないからだ。スズキと三菱自動車は7〜9月の3カ月に限れば
2年ぶりの営業減益だ。上場企業全体でも営業利益はほぼ横ばいだ。
活路を開くのは何か。「コストダウンの見送りは英断」(ムロコーポレーションの室雅文社長)、「値下げ交渉がなくなり助か
る」(盟和産業の清水俊彦社長)。両社はトヨタ自動車を主要顧客とする部品メーカーだ。
トヨタは今期、日本企業として空前となる純利益2兆円を見込む。世界屈指の稼ぐ力を背景に、取引先への一律の値下げ
要請を停止した。トヨタを頂点とする巨大な経済圏に、2兆円の恩恵が染み出しつつある。
コーヒー革命は11社が起こした。今や年間7億杯を売るセブンイレブンの「セブンカフェ」。手軽さと本格的な味の両立に
挑んだのは、セブン&アイ・ホールディングスを中心とする企業群だ。
ドリップマシンを開発した富士電機、豆を煎る味の素ゼネラルフーヅ、豆の調達は三井物産だ。「セブン経済圏」が企業を
呼び寄せ潤している。
利益はまず強い企業に集まる。それが顧客や仕入れ先に行き渡れば新たな投資と雇用を生み、日本経済を底上げする。
強い企業と支える企業が織りなす経済圏は、持続的な成長への道を開く。 -
日本企業熱狂なき最高益(下)逆風が足腰を強くする。
2014/12/05 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1373文字 書誌情報
デフレ時代の勝ち組がインフレ時代の勝ち組に変身しようとしている。
デフレで鍛えた
11月末の休日。東京都内にあるニトリの店内は多くの客で混雑していた。子育て世代とともに目立つのがシニアの姿だ。
8万円のテーブルセットや10万円を超すソファを熱心に品定めする。
「良い品を安く」で家具最大手になったニトリホールディングスは販売戦略を修正した。今は「さらに良い品をお手ごろに」だ。
売れ筋商品の価格は昨年に比べ1・5倍から2倍に上がった。デザインと品質重視の商品開発に切り替え、若者中心だった
店に購買力の高い中高年を引き寄せる。
1ドル=120円台まで進行する円安は輸出企業に追い風だが、商品や原材料を輸入する内需企業にはコスト高となる。
消費増税とともに二重のハンディになる。
11月13日早朝、新規開店した埼玉県春日部市のスーパーに客が殺到し入店が制限された。首都圏で店舗を展開する
ヤオコーは、増税後も売上高が伸び続ける。今期は26期連続の増益を見込む。
強さの源泉はパート社員にある。多くは近所に住む主婦で商品の発注や売り場作りを主婦の視線で主導する。財布の
ひもが固くなった今、消費者は魅力のある店を選ぶ。
川野澄人社長は「食の専門店を目指す」として強い部門を粘り強く磨いてきた。ニトリの似鳥昭雄社長は「デフレに鍛えられ
て強くなった。逆境はチャンス」と話す。
厳しさを嘆いても仕方がない。振り返れば日本企業は空前の「お金持ち」になった。3月期決算企業の手元資金は73兆円
と過去最高の水準で、経営の安定性を示す自己資本比率も4割に迫り過去最高だ。お金をこれほど手にした時はない。欧米
や新興国の企業と世界で競う体制は整っている。
中国で流通する色あせた古いお札でも瞬時に金額を集計する。にせ札の識別機能も驚きを呼んだ。OKIのATMを人件費の
高騰に悩む中国の金融機関が導入を急ぐ。
ATM集中、復活
かつて経営危機に直面したOKIは、強い事業に経営資源を集中し復活を果たした。ATMはその一つだ。128種類の紙幣を
識別する高性能機をひっさげ、ロシアやブラジルに攻勢をかける。
「目指す姿になるには新たな製品と技術が必要だ」と日本電産の永守重信社長は話す。川崎市に新設したのはモーターの
研究所だ。派手なM&A(合併・買収)が目を引くが、今期は研究開発に450億円使う。5年前に比べ8割の増加だ。
コマツは国内の足腰を鍛える。古くなった工場を省電力で生産性の高い最新鋭の工場に建て替える。「様々な産業が集積
する日本ほど技術革新に適した場所はない」(大橋徹二社長)からだ。
もちろん好調組ばかりではない。赤字が続くソニーはテレビやデジタルカメラで売り上げのマイナス成長という異例の事業
計画を進める。代わりに成長を担うのはゲームや電子部品だ。遅ればせながら強い事業をより強くする改革に着手した。
株式市場ではトヨタ自動車や日立製作所の株価が7年ぶりの高値圏で推移する。収益の二極化が進むとはいえ、最高益を
達成できれば、株価でも業績でも2008年のリーマン・ショックは過去のものになる。豊富な資金を使い強さを磨き続ければ、
今期は新たな成長が始まる起点となる。(奥貴史、伊原健作) -
野村証券、14年度実質GDP0.5%減見通し 改定値など受け上方修正
2014/12/08 17:31 日経速報ニュース 240文字
野村証券は8日、2014〜16年度の日本経済見通しを発表した。14年度の実質国内総生産(GDP)の成長率は前年度
比0.5%減と、従来予想(0.8%減)から上方修正した。民間消費が安定的な増加基調に転じるほか、円安などによる企業
収益の改善、輸出がゆるやかに増加すると見られることが主な引き上げ理由。同日朝に内閣府が発表した7〜9月期
GDP改定値などを受けた。
15年度は2.1%増、16年度は1.5%増と予測し、それぞれ従来予想から引き上げた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
株、米景気回復が追い風・佐久間氏 投資家はテールリスクに警戒を
2014/12/08 16:30 日経速報ニュース 441文字
佐久間康郎・ベイビュー・アセット・マネジメント執行役員 きょう朝方発表された7〜9月期の実質国内総生産(GDP)
改定値や、衆議院議員選挙の結果などは、短期的な日経平均の値動きには影響しても、(売買代金の過半を占める)
外国人投資家の中長期の投資行動には影響を与えない。海外勢は、米景気の回復をうけてリスク資産である日本株
にも資金を振り分けているためだ。
こうした点からみると、5日発表の11月の米雇用統計も裏付けるように、米国経済は政府・民間企業・家計ともに力
強さを増しており、今後半年から1年程度、日本株には追い風が吹くとみている。
もっとも、投資家はこういうときこそテールリスク(可能性は低いが起きた場合の影響が甚大なリスク)に目を向けな
ければならない。原油価格の下落を背景に、すでに財政リスクが高まっている(産油)国が出ている。今後米国が予定
通り利上げに踏み切れば、新興国からの資金の逆流が起き、テールリスクが顕在化する可能性もあるだろう。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
長期マネーに警戒感―値動き小さい株にシフト(スクランブル)
2014/12/09 日本経済新聞 朝刊
8日の日経平均株価は7日続伸した。一時1万8000円の大台に乗せ、7〜9月期の国内総生産(GDP)の下方修正
というマイナス材料にもかかわらず、終値ではプラスを維持した。「今の相場は下がらない」――。市場に楽観論が広がる
なか、一部では警戒感も芽生え始めた。長期マネーがひっそりと安全運用に切り替え始めている。
「当面は祭りに参加するしかない」(ちばぎん証券の安藤富士男顧問)。日経平均は円安を背景に朝方から高く始まった。
利益確定売りに押されても切り返す。相場の足腰は強い。
□ □
円安を背景にトヨタ自動車など景気敏感の代表格である輸出株の業績拡大期待は大きい。相場が下げれば日銀や公的
年金の買い支えが見込まれる。来年には日経平均は2万円を回復するとの強気の見方もある。
しかし、冷静に見れば明るい材料ばかりではない。7〜9月期のGDPは予想に反して下方修正だ。「中小企業の設備
投資需要が高まっていない可能性がある」(浜銀総合研究所の北田英治調査部長)。おぼつかない国内景気に円安の
悪影響がのしかかる。原油安による産油国の信用不安など外部環境は楽観できない。
株高が急ピッチなだけに、いったん熱気を冷ます材料が出れば一気に巻き戻しの動きが出かねない。値動きの良さを頼り
に景気敏感株を手掛ければ、しっぺ返しに遭う可能性もある。
値動きの大きい銘柄は、大きな運用益(リターン)にはつながりにくい。こんな調査が株式市場で話題となっている。
T&Dアセットマネジメントが過去30年にわたって東証1部銘柄の値動きを調べたところ、株価変動率(リスク)が低い
ほど得られるリターンが高かった。つまり「低リスク=高リターン」の関係で、米国株でも同様だ。自動車や電機といった
業種より、陸運や食品といった全体の動きに左右されにくい株のほうが高いリターンを享受している。
□ □
相場全体の動きと個別銘柄の値動きの関係を示す「ベータ値」という指標がある。相場全体と値動きが同じならベータ値
は1、2倍の値動きなら2となる。逆にベータ値が小さければ全体の動きと連動しにくい。
現在は高ベータである景気敏感株が相場をけん引する。だが低ベータ株への資金シフトがじわりと進む。
代表的な低ベータ株であるニトリホールディングスと良品計画。両社の株価はじりじりと上値を切り上げている。一方で
高ベータ株である日本取引所グループは上値が重い。同じく高ベータ株であるオリックスの株価も伸び悩む。
主な買い手は長期投資家だ。ソシエテジェネラル証券の小原章弘ディレクターは「急ピッチの上昇を警戒した海外勢が低
ベータ株に乗り換えている」と見る。
今の日本株を一言で言えば「下がりにくい相場」だ。買い材料ばかりが目に付くが、株価が適正な水準以上に買われて
いるかもしれないという懸念は拭いきれない。長期マネーの静かなシフトは、今の相場がはらむ火種を象徴しているようだ。
(酒井隆介) -
銀行規制一層強化へ(3)リスク資産、算定見直し―裁量なくし公正に(時事解析)
2014/12/10 日本経済新聞 朝刊
銀行監督当局で構成するバーゼル委員会はリスク資産の算定方法を見直す。リスク量測定の裁量余地を小さくし規制を
公正にする。大手銀行の実質的な最低自己資本比率の引き上げにつながる。
自己資本比率規制は、リスク資産に対する自己資本の最低比率だ。リスク量は当初、バーゼル委が設定した資産に対す
るリスク比率(掛け目)をもとに算出していた。
しかし、2007年からリスク管理能力が高いとする銀行に自らの管理モデル利用を容認。銀行は一部企業向けの掛け目
を引き下げ、規制上のリスク量を圧縮した。大手銀の平均リスク掛け目は1993年の70%から08年には40%以下に低下
。これが危機の背景にある安易なリスクテークにつながった可能性がある。
また、リスク管理能力が高いとして自らのモデルを採用した銀行が、実際には住宅関連や金融派生商品で巨額損失を出し
ている。金融庁など監督当局が、銀行が使っているモデルを正確に評価できない問題点もある。
バーゼル委は銀行のリスク管理モデル利用を認めない案や、資産ごとにリスク掛け目の下限を設け実質的な過少申告を
できなくする案などを検討している。個別国では米国が11月にリスクの過少申告を防ぐため、連邦準備理事会などが銀行
に一部のリスク削減策を認めない制度変更を提案している。
バーゼル委のステファン・イングベス委員長は「リスクは正しく評価され、銀行が提示する資本比率は真実でなければなら
ない。基準がしっかりしなければ銀行の信頼回復は難しい」と指摘する。
(編集委員 太田康夫) -
銀行規制一層強化へ(2)「巨大でつぶせない」転換――倫理の欠如を防止(時事解析)
2014/12/09 日本経済新聞 朝刊
11月に豪ブリスベンで開いた20カ国・地域(G20)首脳会議は、危機に陥った大手銀行を納税者に負担をかけず破綻
させる仕組みを支持した。「大きすぎてつぶせない」とする銀行監督方針を採用しないことになった。
銀行監督方針は金融安定とモラルハザード(倫理の欠如)のあいだで揺れてきた。1984年に米政府は危機に陥った
大手銀行、コンチネンタル・イリノイを救済した。
一方で「安易にリスクをとるモラルハザードが起きる」(ゲーリー・スターン元米ミネアポリス連銀総裁)と批判された。しか
し2008年に米政府がリーマン・ブラザーズへの税金投入を回避すると、同社の破綻が危機を増幅し銀行への公的資金
投入につながった。
G20は11年のカンヌ・サミットで「大きすぎてつぶれないとみなされることが過度のリスクテークを招く」とモラルハザード
防止を優先。金融安定を犠牲にできないため、破綻時に安定を保つ仕組みを模索してきた。
具体的には、円滑に破綻処理するため子会社を売却するなど破綻時の計画(生前遺言)作成を義務付けた。ブリスベン・
サミットでは破綻時に金融派生商品取引を一時停止し、システミックリスク拡大を防ぐことを確認。19年から総損失吸収力
の仕組みを入れ、公的資金は使わない方向を打ち出した。
実際に大手銀行がつぶせるか疑問との声は残るが、首脳会議が「銀行を公的資金で守らない」方向を確認したのは大き
い。長期的にみれば預金のあり方や調達コストなど銀行経営の見直しを迫ることになりそうだ。 -
銀行規制一層強化へ(1)自己資本比率20%台に――納税者資金使わず(時事解析)
2014/12/08 日本経済新聞 朝刊 1
国際的な大手銀行への資本規制が一段と強化される。破綻しても公的資金を使わないですむ水準まで自己資本比率を
上げさせる。自らの裁量でリスク量を減らせる仕組みも見直す。安全性だけでなく公平性にも配慮した金融システムをめざ
す。
各国金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は2019年にも、大手銀行に総損失吸収力(total loss−absorbing
capacity=TLAC)と呼ばれる新しい資本規制を導入する。
13年から段階導入を始めた資本規制(バーゼル3)に加え、破綻時に株式に転換する債券など損失吸収できる追加資本
を積ませる。危機時の銀行救済のための公的資金投入が批判を浴びたことが背景で、納税者資金の利用を避ける狙いだ。
具体的な最低自己資本比率はバーゼル3対応資本10・5%(保全バッファー含む)、大手向け上乗せ1〜2・5%に、損失
吸収要件を満たす新資本8〜12%を追加する。合計の比率は最高25%で、12年までの規制のほぼ3倍となる。米国は
一段の上乗せも検討している。
導入は19年以降だが、規制を満たすため必要な資本は全世界で1兆ドル規模になるとみられる。メリルリンチ日本証券の
大槻奈那氏は「金利状況によっては資本コストが跳ね上がる恐れがある」と指摘する。
FSB議長を務めるマーク・カーニー・イングランド銀行総裁は「これまで銀行は巨額の補助金(税金資金)を得てきた。これ
からは平時に利益を得る株主や債権者が、破綻時に損失を負担する公正な枠組みが整った」と強調している。
(編集委員 太田康夫) -
「仮需解消」で下げ増幅―逆張りの個人は健在(スクランブル)
2014/12/11 日本経済新聞 朝刊
10日の日経平均株価は続落した。世界的な株価下落で投資家心理が悪化し、前日比の下げ幅は一時500円超となった。
下げを加速したのは、裁定取引などで「仮需」と呼ばれる買い持ち高を積み上げていたファンド勢の売りだ。市場参加者の中
期的な先高観は揺らいでおらず、下げを不安視する声は少ない。逆張りを得意とする個人投資家は久しぶりに訪れた買い場
に乗った。
「これといった不安材料が見当たらないのが、かえって不安だった」。大手信託銀行の運用担当者はこう話す。好調な企業
業績、日銀の追加金融緩和、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針見直し――。好材料がそろい楽観ム
ードが広がるなか、投資家は死角を探そうとしていた。
伏兵は9日に5%強下げた中国・上海総合指数で、世界の株安の起点となった。だが10日は中国株が反発しており、日本
株の下落が目立つ展開だった。
□ □
日本株急落の要因のひとつが、株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(SQ)算出を12日に控えた売りだ。日経
平均は10日午後に入って1万7500円を下回り、下げ足を速めた。ゴールドマン・サックス証券の山田隆氏は「ファンド勢のポ
ジション解消売りが散見された」と指摘する。この価格水準はプットオプション(売る権利)取引の残高が多い。売り方は節目の
水準を下回って損失が膨らむのを避けるために、先物に売りを出した。
大和証券の熊沢伸悟氏も「10日の売りの主体は投機筋だ」と話す。同氏は「裁定取引に伴う現物株の買い残高」に注目する。
短期筋の買い意欲を示す目安とされ、10月末の日銀の追加緩和以降は高水準で推移している。
買い残高は日経平均だけでなく、米国債利回りとの連動性も高い。「米金利の低下(価格は上昇)で含み益が増えた短期筋に
とって、リスク回避のために保有していた日経平均先物への売りを出しやすくなっていた」(熊沢氏)という。
外国為替市場の関係者も冷静だ。野村証券の池田雄之輔氏は1ドル=121円前後まで円安が進んだ局面で、「何かのきっかけ
があれば、2〜3円の調整は十分あり得る」と話していた。池田氏によると、投機筋の円売りポジションは足元で過去最高水準に
達しており、18円分の円安要因になっていたという。
□ □
みずほ証券の鈴木健吾氏は「ファンド勢が14日の総選挙まで待ち切れずに利益確定のドル売り円買いをしただけ」とみている。
株式市場で悲観が広がっていないのは、取引終了にかけて下げ幅を縮めたことも大きい。買いに回ったのは、押し目買いの期待
が集まる日銀ではなかった。ある国内証券によると「年金などから株価指数に連動した買いがあった」という。
逆張りの個人は健在だ。「やっとチャンスが来ましたね。富士重工業株を買い増しましたよ」。都内在住の30歳代の男性はこう
話す。仮需の解消売りと個人の押し目買いが交錯する。しばらくは神経戦が続きそうだ。(田口良成) -
焦点:年内の日銀ETF買いに不安、10日の購入見送りで疑心
[東京 10日 ロイター] - 日本株を下支えしてきた日銀のETF(上場投資信託)買いに対し、市場の不安感が強まっている。
年内の購入枠上限が近づいているとの見方が広がるなか、実際に日経平均.N225が400円安となった10日、購入が見送ら
れたからだ。
衆院選挙後の政策期待を背景に年末高シナリオを堅持する投資家は依然多いものの、需給面で支援が後退するとの警戒感
も出てきた。
<うわさは現実に>
10日の市場で、日本株が急落する中、そのうわさはささやかれていた。日銀がETF購入を見送るのではないか──。日銀が
ETF買い入れを始めた2010年12月からの買い入れ合計額は、3兆7734億円。2014年末の買い入れ目標額である3兆8
000億円まで残り266億円と迫っていたためだ。前回の日銀のETF購入額は374億円であり、同じ規模を維持しようとすれ
ば上限を超える。
これまで日銀は前場終値のTOPIX.TOPXが小幅安であっても、ETFを購入してきた「実績」があった。このため今年分の上限
枠が近づいているとしても、午前に1.52%安だった10日の市場では「来年のETF購入枠3兆円を使ってでも買ってくる」(外
資系証券トレーダー)との見方も多かった。
しかし、日銀は10日、不動産投資信託(J─REIT)は13億円買い入れたものの、ETFの買い入れは見送った。市場では「少
なくとも年内は日銀の下支えがないとすれば、海外の短期筋などにとっては、絶好の売り機会になるかもしれない」(同)との
不安の声も出ている。需給期待も日本株買いの材料だっただけに、上昇力が陰る可能性もある。
<一部に原油先物の損失穴埋めの観測>
10日の日本株の急落は、あくまで利益確定売りに過ぎないとの声も多い。中国の担保規制やギリシャの政局不安など海外
要因の不透明感も重しとなり株安が加速したが、週末12日のメジャーSQ算出を前に3兆4000億円と比較的、高水準にあった
裁定買い残を解消させる動きも広がるなど、ポジションの調整という面も大きかった。
米系証券からのJPX日経400連動型ETFの大口売り──。三京証券・証券事業部マネージャーの藤井勝行氏によれば、10
日朝にみられる海外投資家の注文動向で、これまで買われてきた国内主力株への大口売りが観測された。背景は「原油先物
価格の下落によって出た損失を埋めるため」(藤井氏)だという。
個別銘柄でみると、12月8日まで年初来高値を連日更新していたトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)が3%の下落
。同じく高値を切り上げていた川重(7012.T: 株価, ニュース, レポート)や富士重工業(7270.T: 株価, ニュース, レポート)など、直
近で買いの勢いが強い銘柄の下げが目立っており「リスク回避というより典型的な利食い売り」(準大手証券)だったという。
業種別株価指数の騰落では、原油安の恩恵を受けるとして買われていたゴム製品や化学工業などが値下がり上位に浮上した。 -
<個人などの買いに期待も>
東京市場の良好な需給環境への継続期待も途切れてはいない。10日には先物ポジションを現物ポジションに入れ替えるEFP
(Exchange For Physical)取引が500億円弱観測され「公的年金による日本株買いが続いている」(国内証券トレーダー)との
見方もあった。
加えて個人投資家の買いも今後期待できるという。SBI証券・シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏によれば、同証券の個人
投資家の待機資金は約2兆5000億円と今春から2割以上、増加した。「売り上がった個人投資家のキャッシュは豊富。冬の
ボーナスシーズンでもあり、個人の投資余力は大きい」(藤本氏)という。
市場関係者が期待するイベントは週末の衆院選だ。300議席を超す与党大勝が見込まれる中、「安倍政権が長期化するとわかれ
ば、海外ロングマネーが流入する可能性は高い。国内企業業績は良好で、日本株のモメンタムは引き続き上方向」と岡三証券・
日本株式戦略グループ長の石黒英之氏は期待する。
ただ、日経平均は日銀の追加緩和後、約1カ月強の短期間で約15%上昇した。過熱感も強い。
ソシエテ・ジェネラル証券ディレクターの小原章弘氏は「日経平均が1万7000円程度まで下がれば買いたい投資家は多く、下
値余地は乏しい」と述べながらも、「日銀買い打ち止めとの認識が広がった場合には、ヘッジファンドなど短期筋が売り仕掛け
する可能性は否定できない」との警戒感を示している。 -
みずほFG、バーゼル3対応の劣後債を起債 高めの利回りに魅力
2014/12/12 14:37 日経速報ニュース 1399文字
みずほフィナンシャルグループ(8411)は12日、3本立ての劣後特約付き社債(劣後債)の発行条件を決めた。金融機関の
国際的な自己資本規制「バーゼル3」に対応した劣後債で、7月(2本立て)に続く起債となった。バーゼル3対応の劣後債
の起債は、3メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)だけでなく、
千葉銀(8331)など邦銀全体に広がりをみせている。今回は、少しでも高い利回りを求める投資家の劣後債に対する関心は
高く、販売は順調だったようだ。
劣後債は普通社債に比べ元利金の支払い順位が低い分、国債利回りなどに対する上乗せ幅(スプレッド)は普通社債より
大きくなる。バーゼル3対応の劣後債は、実質的な破綻時に元本が削減される条項を付け、自己資本(Tier2)に算入できる
という特徴を持つ。
固定利付の10年劣後債のスプレッドは国債プラス0.40%に決まったが、7月の10年劣後債(プラス0.39%)からわずかに
拡大した。格付投資情報センター(R&I)は11月6日、みずほFGを「シングルA」から「シングルAプラス」とするなど、グループ
各社の発行体格付けをそれぞれ1段階引き上げ、三菱UFJ、三井住友FGと同格となったが、9月に起債した三井住友FGの
10年劣後債のプラス0.31%より大きかった。単独主幹事を務めたみずほ証券は「2日から聞き取り調査を開始したが、0.40%
程度は欲しいという投資家が多かった。債券市場全体の利回り低下で、ある程度のスプレッドは必要だった」と話す。0.40%
のスプレッドがあっても利回りは0.810%と、7月の劣後債(0.950%)や9月の三井住友FGの劣後債(0.849%)より低い。
発行額は10年債が250億円、15年債が100億円、期限前償還条項付きの10年債が150億円の総額500億円で、7月の2本
立て(総額1000億円)、9月の三井住友FGの2本立て(総額1350億円)などに比べ、規模が小さかった。ただ「資本の状況を
勘案し、当初から500億円程度で計画していた」(みずほFGの財務企画部)といい、前回ほど投資家の需要が見込めなかった
わけではないという。
劣後債ではあるが、高めの利回りや「ネームバリュー」にひかれた投資家は多かったようだ。みずほ証券によると10年債は
中央、地方と幅広く、15年債と期限前償還条項付きの10年債は系統下部組織や諸法人など地方の購入が目立った。また、
新たに設定した15年債の利回りは1.240%で「1%超はやはり魅力」(国内投資顧問)との声があった。引受シンジケート団から
も「販売は順調だった」との評価が聞かれた。
世界の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は11月10日、国際展開する巨大銀行を対象にした新しい自己資本比率規
制(TLAC)について、最低限必要な比率を現行の8%から「16〜20%」に引き上げる案を発表した。TLAC案には一方で、導入
時期を2019年1月以降とすることや、発行済みの普通社債を資本として認める考えが盛り込まれた。日本には預金保険料も
考慮される方向で、3メガバンクにとって厳しい案ではないようだ。そのため今後もメガバンクの持ち株会社が従来のように劣後
債を起債するかどうかは流動的な面もある。〔日経QUICKニュース(NQN) 古門成年〕 -
市場と日銀、ずれる思惑―インフレ恩恵株、上昇鈍く(スクランブル)
2014/12/13 日本経済新聞 朝刊 1
原油安にギリシャの政情不安と、今週の東京市場は海外要因で乱高下した。株高に急ブレーキがかかるなかで市場関係者
が最も注目した参加者は日銀だ。日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れ動向に一喜一憂した。一方、インフレの恩恵を
受けるとされる銀行株や不動産株は振るわない。日銀が目指す物価上昇に懐疑的な値動きとなっている。
12日の日経平均株価は取引終了前に急変し、残り15分で80円近く下げた。終値での取引を希望する引け注文で銀行株や
不動産株に売りが出たことが原因だ。例えば三菱UFJフィナンシャル・グループは終値での売買高が1700万株と、この日の
2割近い規模となった。株価は取引終了までの20分で2%弱下げた。
日銀の追加緩和で始まった今回の株高局面には、昨年4月の異次元緩和後や昨年末の上げ相場と異なった特徴がある。
デフレ脱却の恩恵を受けるとして真っ先に買われた銀行や不動産、ノンバンクの上昇が鈍い。
□ □
追加緩和決定前の10月30日からの業種別日経平均株価をみると、「銀行」や「不動産」の上昇率は約8%と日経平均の
上昇率(11%)を下回る。シティグループ証券のアレックス・ミラー氏は「多くの海外投資家は物価上昇に自信を持てていない
」と話す。
一方でETF買いへの関心は高まっている。今週、日銀は2度、これまでと違った動きを見せた。最初は8日。東証株価指数
(TOPIX)が午前に上昇した日として、初めてETFの購入に踏み切った。次が10日。午前の取引で大幅安となっても買いを
見送った。
買いを見送ったのはETFの累積購入額が年末の目標残高3兆8000億円に近づいたためとみられ、市場からは「日銀が
下げ幅を拡大した」との不満も漏れる。しかし、それよりも重要なのは、日経平均が1万8000円に近い水準でもETFを購入
したことが市場心理に与えた影響だ。
株式は債券と比べてリスクが高く、投資家はその分、高いリターンを求める。日銀は株式のリスクプレミアムを圧縮し、株を
買いやすくすることをETFの購入で狙ってきた。ところが高値圏でも買ったために「投資家の感覚がマヒし、株式のリスクを過小
評価するようになってしまった」(大和住銀投信投資顧問の門司総一郎氏)。
□ □
一方で日銀は株高を通じてデフレマインドの払拭を目指してきた。だが、銀行株や不動産株を見る限りインフレ期待は高まっ
ていない。物価連動国債から計算する予想物価上昇率も12日は今年の最低水準だった。株高期待ばかりが盛り上がりインフレ
期待はしぼむ。日銀の狙いと市場の思惑にずれが生じている。
野村証券が個人投資家を対象に実施したアンケートでは、2015年の投資テーマを「日銀の金融政策」とする回答が最も
多かった。「来年は地方の地価や賃金の上昇がはっきりしてくる」(アムンディ・ジャパンの吉野晶雄氏)との見方もあるが当面、
日銀頼みは変わらないだろう。デフレ脱却と景気回復を材料に株を買えなければ、持続的な相場上昇にはつながらない。
(松崎雄典) -
東証大引け、約1カ月ぶり安値 世界株安の流れ、内需株には底堅さ
2014/12/15 15:29 日経速報ニュース 859文字
15日の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前週末比272円18銭(1.57%)安の1万7099円40銭で終えた。11月
17日以来、約1カ月ぶりの安値となった。原油安でロシアやベネズエラなど産油国の経済が不安定になるとの観測から投
資家のリスク回避姿勢が強まった。
前週末の欧米株が大幅安となったほか、15日のアジア市場でも主要株価指数が軒並み下げ、東京市場でも同様の流れ
が広がった。ただ、総選挙で与党が勝利し、安倍晋三政権による経済政策「アベノミクス」が継続する見通しとなったことは
、主に内需関連株の下支え要因となった。
JPX日経インデックス400は前週末比180.39ポイント(1.42%)安の1万2518.29となった。東証株価指数(TOPIX)は同20.36
ポイント(1.45%)安の1379.29。どちらも日経平均株価同様に11月17日以来、約1カ月ぶりの安値だった。
東証1部の売買代金は概算で2兆2602億円となり、2日以来、2週弱ぶりの少なさとなった。売買高は21億6718万株。
東証1部の値下がり銘柄数は1328で7割を超えた。値上がりは439、変わらずは83、比較不可は1だった。
自社株買いの終了や原油安を背景に伊藤忠が4.7%安。丸紅や双日、三菱商など他の商社株も安い。電機株も売られ、
横河電は5.8%、ミツミは5.2%、アルプスは4.1%下げた。前週末12日の取引時間中に2014年12月期の業績見通しを下方
修正した昭電工は4.9%安となり、2日間を合わせた下落率は14%となった。
一方で大成建、清水建、鹿島などのゼネコン大手はしっかり。日銀が発表した企業短期経済観測調査(短観)で大企業
・建設業の業況判断指数(DI)が1992年2月以来の高水準となったことが支えとなった。アサヒやニチレイなどの食品株、
花王や資生堂などの化粧品株も高かった。
東証2部株価指数は3日ぶり反落。音通、ソディック、プロスペクトが下げた。ラオックスや価値開発は下げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
断てるか不安の連鎖―頼みは日米の二大イベント(スクランブル)
2014/12/17 日本経済新聞 朝刊 1
原油急落に端を発したマネーのリスク回避が株式市場に波及してきた。新興国など世界同時株安で、16日の日経平均
株価は約1カ月ぶりに1万7000円を割り込んだ。国際商品から社債、さらに株式へと及んだリスクマネーの逆流はいつま
で続くのか。歯止めをかける材料として、注目されているのが日米の中央銀行が週内に開く金融政策決定会合の行方だ。
「誰もが小さな出口から脱出しようとしている」。「債券王」の異名を持つ米ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロス氏
が先週末、米メディアを通じて市場の異変に警鐘を鳴らした。名指ししたのは、低格付けで利回りの高い「ハイイールド債」だ。
□ □
原油安で打撃を受けたエネルギー企業を中心に売りが止まらず、「バークレイズ米国ハイイールド社債インデックス」の利回
りは今週に入って7・1%台と2年5カ月ぶりの水準まで上昇した。売り注文ばかりで流動性が低下するなど緊迫度が増している。
「商品やハイイールド債で被った損失を、海外ヘッジファンドが株式で穴埋めしようとしている」。日本の株式市場ではこんな
観測も浮上している。最近の物色動向をみても、投資家が外部環境に敏感になっている様子がうかがえる。
SMBC日興証券によると、ヤマハ発動機やニコンなど海外売上高比率の高い銘柄群ほど最近の株価の下げが大きい。対照
的にオービック、しまむらなど自己資本比率の高い銘柄は底堅い。「投資家の安全志向が高まっているあらわれだ」。伊藤桂一
チーフクオンツアナリストは解説する。
国内のあるファンドマネジャーは「値動きが荒くなった主力株はしばらく手を付けない」と語る。世界同時株安の影響を受けにくい
内需株に資金を振り向けるという。
□ □
不安の連鎖はいつまで続くのか。投資家は日米の中央銀行の動きに注目する。
米連邦準備理事会(FRB)は17日、米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の声明文を公表する。焦点は事実上のゼロ
金利解除の時期について「相当な期間」としてきた文言が変更されるかどうかだ。
このところの原油急落が米国の物価低下を促すのは間違いない。インフレ圧力が和らぐ中、早期の利上げ観測を招きかねない
文言変更は避けるのではないかといった見方が浮上している。大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは「イエレンF
RB議長が利上げ観測をけん制すれば、マネー逆回転への懸念が和らぐ」とみる。
日銀は18〜19日に金融政策決定会合を開く。原油安にもかかわらず、黒田東彦総裁が物価上昇率2%にこだわる姿勢をみせ
れば「金融緩和のアクセルを吹かし続けるとのメッセージを市場に与える」(第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミスト)。
この場合はカネ余り期待で株価が下支えされる可能性がある。
年内の二大イベントがマネーの逆回転に歯止めをかけることはできるのか。世界経済の先行き不安がぬぐえない中、中央銀行の
一手に頼らざるを得ない株式市場の現実は重い。(川上穣) -
逆張り個人健在なり―下値拾い、相場の波乱鎮める(スクランブル)
2014/12/18 日本経済新聞 朝刊
17日の日経平均株価は3日ぶりに小幅反発し、原油価格の急落をきっかけとした波乱相場にひとまず落ち着く兆しが
見えてきた。ストッパー役としてにわかに存在感を示したのはやはり逆張りの個人投資家だった。
「市場は冷静さをだいぶ取り戻してきた」。17日午前、大和証券のトレーディングルーム――。寄り付き後まもなく上げに
転じた日経平均を見て、沖宗和弘担当部長は胸をなで下ろした。前日のシカゴ市場での日経平均先物は心理的節目で
ある1万6500円を割り込む場面もあり市場関係者はひやひやしていたが、杞憂(きゆう)に終わった。
もっとも、不安定な相場を鎮めた主役は海外投資家でも国内機関投資家でもなく、個人投資家のようだ。
□ □
17日、カブドットコム証券のコールセンターは個人投資家からの問い合わせで熱気に満ちていた。今週に入って1日あた
りの約定件数は通常の1・5倍に膨らみ、少額投資非課税制度(NISA)の口座稼働率は50%台前半から6割に上昇した。
ある国内大手証券では、対面取引での個人投資家は8日から買い越しに転じ、足元でその勢いは増しているという。
「もっと下げてほしかったくらいだ」。兵庫県在住の岸本雅克さんは、日本株十数銘柄に下値で指し値注文を入れ、押し目
買いの機会が来るのを待っている。
カブコムの取引高上位には個人が好む「レバレッジ型」上場投資信託(ETF)のほか、トヨタ自動車など主力大型株が並
ぶ。「割安になった好業績株を買うチャンスと映ったようだ」(荒木利夫執行役)。トヨタ自動車株の信用買い残は株価下落
局面で急速に積み上がっている。世界でリスクオフムードが広がる中、それが誘い水かのように逆張り個人のマネーが流
れ込みつつある。
「これで安心して現物株を買えますよ」。ある国内運用会社のファンドマネジャーはほっと一息ついた。株価上昇局面では
個人の解約が続き、やむを得ず換金売りを出していた。
野村総合研究所によると、日本株を主要投資先とする投信からは11月に約6700億円が流出したが、株価が調整色を
強めた11日からマネーは再び流入超となった。個人マネーは投信経由でも相場の下支え役になろうとしている。
□ □
海外勢から注文を受けることの多いソシエテジェネラル証券の小原章弘ディレクターは17日の反発について「売りを仕掛
けていた投資家が、米連邦公開市場委員会(FOMC)前に買い戻したからだろう」とそっけない。実際、この日は下げの
きつかった銘柄の自律反発的な上げが目立つ。
17日は日銀によるETF購入もみられなかった。外国人の多くがクリスマス休暇に入る中、個人と公的年金が需給を左右
する。特に株高局面で売ってきた個人は潤沢な待機マネーを蓄え、投資余力が大きい。負の連鎖を止めたあと、個人が
次にどう動くかで市場の景色も変わってくるかもしれない。(宮本岳則) -
中古マンション上昇、首都圏11月、9ヵ月ぶり高値水準。
2014/12/19 日本経済新聞 朝刊 21ページ 404文字 書誌情報
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が18日発表した11月の中古マンション平均価格(70平方メートル換算)は
、首都圏で前月比1・2%高い2882万円だった。9カ月ぶりの高値水準となった。昨年から今年にかけて成約が進み、市
場の在庫が減ったため売り手が高めの価格を設定する傾向が強まっている。
東京カンテイのデータベースに登録された売却希望価格をもとに集計した。首都圏の平均価格が前月を上回るのは3カ月
連続。近畿圏や中部圏でも前月を上回った。
東京23区の平均価格は4330万円と前月比1・7%高い。千代田区や中央区など都心6区の平均価格が6千万円を超え
た。「買い手が6区以外の物件に目を向けている」(東京カンテイ)といい、売り手は高めの価格で登録し始めている。
需要は底堅い。建設費の上昇などで首都圏では新築マンションの供給量は限られており、状態のいい中古マンションの
購入を検討する動きが強まっている。 -
株大幅高 先物主導の「空中戦」・菊池氏 1万6000円以上はバブル
2014/12/19 15:46 日経速報ニュース 370文字
菊池真・ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役 日経平均株価の大幅高は前日の米株高を受けたものだ。
明らかなのは株価指数先物が主導した上昇で、実際の企業業績や実体経済を反映してはいないということだ。11月
初旬から始まったヘッジファンドなどの短期筋の取引による「先物の空中戦」が続いているにすぎない。
昨年末も同様の状況で、年明けには上昇基調が終わりを迎えた。今回もあと少しは高値を目指す流れが続く可能性
はあるが、長くて1月半ばまでだろう。
2014年度の企業業績から判断して、1万6000円を上回る水準はバブルと言える。バブルはいつかはじけるものだ。
国内外で先行きに対する懸念がくすぶる状況で、中長期の海外投資家が日本株を徐々に手放すようになれば、下値は
1万6000円にとどまらない可能性もある。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
日経平均150ドルの壁、再び(羅針盤)
2014/12/21 日本経済新聞 朝刊
日経平均株価の動きをドル建て換算してみると、150ドルを超えた後に下落に転じる傾向が顕著だ。みずほ銀行国際
為替部の唐鎌大輔氏が以前から指摘する「ドル建て日経平均150ドルの壁」だ。この壁が再び市場で意識されている。
日銀が10月末に電撃緩和に踏み切ったのをきっかけに、ドル建て日経平均は11月中旬にいったん150ドルを超えた。
しかし、上昇の勢いはそこまでだった。原油価格の急落に伴う世界的な株安も重なり12月16日に約143ドルに下がった。
19日終値で148ドル近くに戻したとはいえ、昨年末を5%下回る水準にとどまる。
ドル建て日経平均は今夏に150ドルを超える状態が続いた後、世界景気の減速懸念から世界で株安が進んだ10月に
大きく下げた。昨年5月に日経平均が急落したタイミングも、ドル建てで150ドルを超えた直後に重なる。過去10年を振り
返っても150ドルを長期に上回ったことはない。ドル建てで運用成績を考える海外投資家は日経平均150ドルを上値の
めどとみている可能性が高い。
6割近い上昇率だった2013年の日経平均の急伸も、ドル建てでみると世界の中で突出した成績ではなかった。日経
平均の昨年のドル建てベースの上昇率は3割にとどまった。実は昨年は米国のS&P500種株価指数も3割の上昇率を
達成した。今年もS&P500は19日時点で昨年末比12%高と、ドル建ての日経平均が同期間で下げているのとは対照
的だ。
おまけに、東京市場には円売りと組み合わせて日本株を買うヘッジファンドの短期マネーが流れ込む。何かのショックで
「円売り・株買い」取引が逆回転すると、円高・株安へと振れやすい。株価の持続的な上昇のためには、マクロ材料だけで
なく、稼ぐ力を高める日本企業の地道な努力に着目する長期マネーをもっと呼び込む必要がある。
(編集委員 三反園哲治) -
株高値、2万円も視野、証券各社、来年の相場見通し、好業績・株主配分に注目。
2014/12/23 日本経済新聞 朝刊
株式市場関係者の間では2015年も株価の上昇基調が続くとの見方が多い。主要証券会社のストラテジストなどの見通し
をまとめると、日経平均株価は2000年以来約15年ぶりの高値水準となる2万円台を付けるとの予想が相次いだ。企業業
績の拡大が続き、株価水準を押し上げるとの見方が多い。配当や自社株買いなど利益配分の強化も注目されている。
野村証券は「上昇ピッチの速さなどから1〜3月にかけて1万7000円まで調整する可能性があるが、年末には2万円を目
指す」とみる。SMBC日興証券も調整を交えながら年初からじり高基調が続き、「11月には2万1000円に達する」としてお
り、ストラテジストの多くは年末にかけての株高を描く。円安・ドル高が進むことで、年後半にかけて輸出関連企業の通期業
績予想の改善期待が高まるとみられるためだ。
業績拡大や株主重視姿勢を背景に、株主への利益配分を強化するとの見方も多い。バンクオブアメリカ・メリルリンチのア
ジア太平洋地域株式ストラテジスト、アジェイ・カプール氏は「1株利益や自己資本利益率(ROE)を向上させるための自社
株買いが15年の日本株の投資テーマになる」と指摘する。
大和証券の高橋卓也・日本株シニアストラテジストは「株主配分の強化策がいったん出尽くしとなる6月に株価は調整する
が、その後は業績改善を手掛かりに上昇する」とみている。BNPパリバ証券の丸山俊・日本株チーフストラテジストは日経
平均の高値を1万8000円としながらも、「日銀の追加金融緩和があれば、1万9000円を目指す」と予想している。
下値は1万7000円程度との予想が多い。原油安や地政学リスク、新興国の景気減速への警戒感がくすぶっている。
米金融政策の先行きは最大の注目点のひとつだ。「米利上げ観測が高まれば、各市場は動揺し、日経平均は1万6000
円程度まで下落する可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒井誠治・投資情報部シニア投資ストラテジスト)
との見方もあった。 -
日本郵政、来年9月上場、郵貯・簡保と3社同時、ドコモに匹敵、大型公開。
2014/12/23 日本経済新聞 朝刊
日本郵政グループの株式上場計画案が22日、明らかになった。持ち株会社の日本郵政と傘下の金融2社(ゆうちょ銀行
、かんぽ生命保険)が2015年9月をメドに同時上場する。来年3月に東京証券取引所に上場の予備申請をする。国内市場
では、上場時の時価総額が7兆円を超えた1998年のNTTドコモに匹敵する大型新規株式公開(IPO)となる見込みだ。
郵政民営化を掲げた小泉改革から10年を経て、郵政株の売却がようやく始まる。(関連記事5面に)
日本郵政は上場計画を年内に公表する方向で、財務省、総務省と最終調整に入った。東証への本申請は来年6月の株主
総会後を予定し、同9月の同時上場をめざす。
日本郵政の株式は現在、政府が100%保有している。傘下の金融2社と日本郵便は日本郵政が全株を持つ。日本郵政
株の売却収入は東日本大震災の復興財源に充てる。
05年10月に小泉純一郎政権下で成立した郵政民営化法は、17年9月末までに金融2社の株式をすべて売却することを
義務づけていた。しかし、09年に発足した民主党政権は郵政民営化法を改正し、金融2社株の売却を棚上げした。日
本郵政が改めて3社同時の上場を打ち出すのは、自民党政権に代わって郵政民営化を本来の路線に戻す機運が高まった
ためだ。
3社の初回売却割合はそれぞれ全株式の1割程度となる見通し。日本郵政グループの連結純資産は約14兆円。純資産
に対する株価の水準である株価純資産倍率(PBR)を0・5倍として計算した場合、3社合計の初回の売却収入は7千億円
に達する可能性がある。
東証のルールでは、新規上場をする際には35%超の株式を放出する必要がある。同時上場で大量に株式を放出すると
株式市場に混乱を招くため東証に特例措置を求める。
日本郵政と金融2社は親子上場となるが、ゆうちょ銀はグループの連結純資産の約8割を占め、かんぽ生命を足すと9割
を超える。
日本郵政は金融2社の上場で得られる株式売却収入を使い「政府が持つ残りの郵政株を一部買い取って株式価値を上げ
る」と上場前に表明する。政府が将来的に放出する株式数を減らし、株式の価値を保つためだ。政府が求める復興財源の
早期確保にも貢献する。
上場計画は郵政民営化の最終目標である金融2社の完全売却までの道筋を示していない。日本郵政は上場計画のなか
で、当面の間は金融2社株の50%以上の売却を目指すとの表現にとどめる。 -
11/17 8306 東1 三菱UFJ JPモルガン Overweight継続 800円 → 850円
11/25 8306 東1 三菱UFJ バークレイズ Equalweight継続 650円 → 700円
12/02 8306 東1 三菱UFJ 大和 2継続 700円 → 800円
12/03 8306 東1 三菱UFJ UBS Buy継続 705円 → 775円
12/05 8306 東1 三菱UFJ メリル 買い継続 810円 → 910円
12/11 8306 東1 三菱UFJ ドイツ Buy継続 785円 → 925円
12/15 8306 東1 三菱UFJ みずほ 買い継続 770円 → 900円
12/15 8306 東1 三菱UFJ 野村 Buy継続 1000円 → 1050円
12/25 8306 東1 三菱UFJ CS OP継続 920円 → 1060円
2014-12-25 CS OP継続 920円 → 1060円
2014-12-15 野村 Buy継続 1000円 → 1050円
2014-12-15 みずほ 買い継続 770円 → 900円
2014-12-11 ドイツ Buy継続 785円 → 925円
2014-12-05 メリル 買い継続 810円 → 910円
2014-12-03 UBS Buy継続 705円 → 775円
2014-12-02 大和 2継続 700円 → 800円
2014-11-25 バークレイズ Equalweight継続 650円 → 700円
2014-11-17 JPモルガン Overweight継続 -
株式―3年連続「高値引け」の公算も(市場アウトルック)
2014/12/28 日本経済新聞 朝刊
今週(29〜30日)の日経平均株価は堅調か。機関投資家は海外勢を中心に休暇に入っており、「閑散に売りなし」
の状況が続きそうだ。米経済指標などを材料に米国株が高値圏で推移すれば、日経平均は3年連続で大納会に年初
来高値を更新する「高値引け」となる可能性がある。
前週末に米ダウ工業株30種平均は連日で最高値を更新した。シカゴ市場では日経平均先物3月物の清算値が1万7
920円と大阪取引所の前週末日中取引の終値を60円上回った。週明けは買いが先行しそうだ。
政府は27日に経済対策を閣議決定し、30日には与党が税制改正大綱をまとめる。足元で存在感が高まっている個人
投資家が「政策の恩恵を受ける銘柄を探す動きが広がる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘氏)との声が
聞かれた。半面、要人発言などをきっかけに利益確定売りが増える可能性もある。
29日にはギリシャ議会が大統領を選ぶ3回目の議員投票を実施する。次期大統領を選出できなければ総選挙となる
ため、政局不安の高まりを警戒する声も出ている。 -
法人税改革、ばらつく影響、高収益企業に恩恵、目先は減益要因も、配当課税、銀行に打撃(エコノフォーカス)
2014/12/29 日本経済新聞 朝刊
2015年度からの法人税改革が及ぼす影響は企業によってばらつきが大きい。実質減税は高収益の大企業に恩恵があり
、日経平均株価を180円ほど押し上げる効果があると期待される。一方で目先は会計上の減益要因となる企業も多い。
税負担の偏りを改め産業の新陳代謝を後押しする税改革は端緒に就いたばかりだ。(飛田臨太郎)=1面参照
政府・与党は15年度に実効税率を2・51%引き下げる方針を固めた。企業が減税分を設備投資や賃上げに回し、景気を
押し上げる効果を狙う。
15年度は税率下げの財源を全て他の法人増税で賄うことはせず、企業には3000億円超の実質減税となる。日経平均
株価を1%ほど押し上げる効果があるとSMBC日興証券は試算している。所得にかかる実効税率が下がると、稼ぐ所得の
大きい企業ほど減税規模は大きくなる。
ただ、14年度決算には一時的にマイナスの影響がでる企業が多い。ゴールドマン・サックス証券の鈴木広美アナリストは
税率下げが会計上、今期の大手上場企業の利益を押し下げると試算する。東芝は288億円、中部電力は188億円、NEC
は130億円、西日本旅客鉄道(JR西日本)は117億円の減益要因という。
企業は会計上、当期は費用と認められなくても、のちに費用と認められれば税金が還付される。例えば、貸し倒れに備える
引当金が費用と認められず税金を支払った場合でも、将来、実際に貸し倒れが起これば遡って税金が還付される。このため
企業は還付を見込む税金額を「繰り延べ税金資産」として計上している。
実効税率が14年度の約35%から15年度に約33%に下がると、将来見込んでいる税金還付額である繰り延べ税金資産
も約2%減る。企業は会計上この約2%の減少額を14年度の税引き前利益から差し引く必要がある。実際に現金を払うわけ
でなく、企業価値に影響がでるわけではないが表面上は決算の純利益が減る。株価に一時的な悪影響が出る企業もありそうだ。
実効税率を下げる財源を捻出するための少数株主への配当増税は金融機関への影響が大きい。15年度から出資比率
0〜5%未満の企業から受け取る配当は課税される割合が全体の5割から8割に上がる。出資比率25%以上33・3%未満
の企業からの配当は現在は非課税だが、5割が課税対象となる。銀行は企業への出資比率を原則5%以下に制限されており
、少数株主である場合が多い。
大和総研は大手銀行5グループで300億円弱の減益要因になるとみている。金融業界からは株価を下げると懸念する声が多い。 -
社会保障費31兆円、来年度予算、最大に、抑制策が課題。
2014/12/30 日本経済新聞 朝刊
政府の2015年度予算の一般会計で、医療や介護、年金などへの社会保障費が過去最大を更新する見通しとなった。
14年度の30・5兆円を上回り、31兆円台となりそうだ。高齢化などで経費が増え、4月の消費増税とセットで実施を決め
た子育て支援など社会保障の充実策も広げる。社会保障費はすでに予算全体の3割強を占め、抑制策は今後の課題とし
て残る。
社会保障費が増え続けているのは、高齢化や医療技術の高度化などによる「自然増」を抑えきれないことがある。8月末
の15年度予算への関係省庁からの要求は自然増だけで計0・8兆円強あった。企業業績の改善を受け、生活保護や失業
給付などは想定より少なくて済みそうだが、自然増は数千億円規模に達する。
政府は8%への消費税率上げとあわせ、子育て支援を中心として社会保障施策を拡充する方針を決めた。来年10月に
予定していた10%への消費再増税は見送りを決めたが、来年度の消費税収の増加分などを使い、充実策を今年度より広げる。
保育所や認定こども園を増設し、職員の数や給与も増やす子育て支援で国費投入を今年度より約1千億円増やす。難病
患者への医療費助成の対象拡大でも約1千億円積み増す。住民税を課されない低所得者への現金給付を続けるため約18
00億円、高齢者が多い国民健康保険(国保)への財政支援のため1700億円超も新たに盛り込む。
一方で、10%に増税する時ほど消費税収は伸びず、財源不足で15年度中の実施を見送る施策がある。 -
株500円安 中期的には買い場か・佐藤氏 ECB・ギリシャ総選挙が鍵
2015/01/06 16:04 日経速報ニュース 495文字
佐藤俊郎・極東証券経済研究所主席アナリスト 日経平均株価は短期的には調整局面が続く可能性があるが、
今月下旬を境に上昇に転じやすいとみている。鍵となるイベントが22日の欧州中央銀行(ECB)による理事会と25
日のギリシャの総選挙だ。ECBは今月の理事会で量的金融緩和の導入を決めるとみている。ギリシャの総選挙も
同国のユーロ圏離脱を掲げる急進左派の一方的な勝利とはなりにくいと読む。このためこの2つのイベントを境に市
場のムードが回復し、日経平均は戻りを試す展開になりそうだ。中期的には現在の水準が買い場と言えそうだ。
きょうの日経平均は1万7000円の大台をあっさり割ってしまった印象だ。ギリシャ発の欧州不安と原油安をきっかけ
に5日の欧米の株式市場が下落。6日の日中に円相場が上昇したことも加わり、日経平均は大きく続落した。中でも
マツダ、コニカミノルタなど欧州関連株の下げが目立った。目先は、昨年12月17日の安値1万6672円が下値支持の
メドと見ている。短期的には、堅調な業績といった好材料がある中小型株の中に投資妙味のある銘柄を探しやすいの
ではないか。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 -
郵政上場とアベ相場(十字路)
2015/01/06 日本経済新聞 夕刊 5ページ 747文字 書誌情報
2015年の株式相場の焦点の一つは日本郵政の新規株式公開(IPO)だろう。6月にも東京証券取引所に申請し、
秋に上場という日程が有力だという。
郵政上場が注目されるのは、1998年のNTTドコモに匹敵する大型IPOだからというばかりではない。3年目に
入ったアベ相場の重要な節目になる可能性を秘めているからでもある。
持ち株会社の日本郵政と、傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が同じタイミングで上場する、前例のない親子
3社同時上場方式を不安視する向きは少なくない。
ゆうちょ銀とかんぽ生命の上場後、日本郵政は2社の株式をいつ、いくらで追加放出し、得た資金をどのように使う
のか。このシナリオが読めないと、投資家が日本郵政株の適正価値を判断することは難しくなる。
2社を連結対象から外す時期を早めすぎると、日本郵政は収益源を開拓する時間的な余裕がなくなり、市場から高い
評価を得るのも難しくなる。日本郵政の傘下に長くとどまると、ゆうちょ銀とかんぽ生命は新規業務への参入が制限
されたままとなり、投資魅力も下がる。2社が市場から高評価を得られなければ、それは日本郵政株への市場の見方
にも影響する。
日本郵政グループが投資家に成長ストーリーを説明するのは易しいことではない。機関投資家なら幾通りものシミュ
レーションをくり返し、適正価値を計算できるだろう。しかし、今回の郵政上場は国民の幅広い所有を意図している。
日本郵政、ゆうちょ銀、かんぽ生命の3社の企業価値がそれぞれに影響しあうといった市場評価の合わせ鏡に、経験
の浅い個人までもがきちんと向き合えるだろうか。
1990年代に個人の株式離れを加速させる一因となった、NTT株下落のような例もある。株価重視の政権が郵政
上場を軽く考えるわけにはいかない。(龍雅) -
2015年の相場を読む(2)緩和頼みの経済再生は困難(なるほど投資講座)
2015/01/07 日本経済新聞 夕刊 5ページ 757文字 書誌情報
日本経済は、2011年の東日本大震災でいったん落ち込みましたが、その後は復興需要や安倍晋三首相の
経済政策「アベノミクス」の効果でなんとか回復軌道に乗りました。ただ、14年4月の消費増税などにより、同
7〜9月期まで2四半期連続のマイナス成長となりました。米国流の定義では、日本は景気後退に入ったことに
なります。
日銀は2%のインフレ目標を掲げ脱デフレを目指しています。14年10月には追加緩和に踏み切り、市場に供
給するマネーの量は月間約10兆円ペースで増えています。
しかし、UBSウェルス・マネジメントは、日銀の努力にもかかわらず生鮮食品を除くコア消費者物価指数(CPI)
上昇率は目標からかい離し0%へ向かっていくと予想しています。原油安や経済低迷が理由です。日銀が今年
前半に再び追加緩和に踏み切る可能性がありますが、景気への直接的な影響は期待薄です。急激な円安の
経済への悪影響や財政の健全性などに懸念があり、無制限の量的緩和は厳しくなっています。
消費税率の再引き上げを延期したことなどを考えると、さらなる財政出動も見込みづらいです。残るはアベノミク
スの第3の矢である成長戦略ですが、憲法改正問題を重視する安倍首相が、統一地方選を前にどの程度改革を
進めるかは未知数です。成長戦略には地方創生、法人税改革、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革
、企業統治改革など様々なテーマが並んでいますが、短期間では効果がみえにくいものばかりです。
そうはいっても、これまでのような日銀の金融緩和が後押しする円安と株高に頼る政策だけでは日本経済再生
は困難です。成長戦略が効果を発揮するように、今後は世論などを通じ国を挙げた政治への働きかけが求められます。
(UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者 中窪文男) -
2015年の相場を読む(1)米経済が世界をけん引(なるほど投資講座)
2015/01/06 日本経済新聞 夕刊 5ページ 733文字
2015年が始まりました。今年の株式相場の展望を、UBS証券ウェルス・マネジメント本部CIO(最高投資責任者)
ジャパンの中窪文男さんに解説してもらいます。
◇
UBSウェルス・マネジメントは15年の世界全体の経済成長率が14年の3・3%から3・5%へ加速すると予想して
います。北米の成長への寄与度は3分の2を占めるとみられ、米国経済は力強さが目立ちます。その原動力が、株
高の資産効果やガソリン安に伴う可処分所得の増加が支える個人消費です。景気拡大で雇用が伸び、低金利で
住宅投資は活発です。シェールオイル革命もあって米国の財政と貿易の双子の赤字は大幅に縮小し、個人と金融
機関、政府の負債は減少しています。
量的緩和が終了した米国の金融政策は、今年の年央にも利上げの可能性が高まっています。一方、日銀は量的
・質的緩和の真っ最中で、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和は本格化する兆しです。地域により金融政策の
方向性に違いが出ています。
今後、各地域間の成長率格差などはより拡大し、米国が世界経済をけん引する流れが加速する見通しです。米国
企業の収益成長見通しは他国に比べ高く、米国株は上昇を続けると予想しています。米ドルも、利上げ観測を背景に
他通貨に対して上昇基調を継続しそうです。
米国の利上げをきっかけとする新興国からの資金流出に伴う世界の金融市場の混乱への懸念が一部にあります。
ただ、政策の先行きを示すフォワード・ガイダンスなど米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長の巧みな手綱さばき
で、その影響は最小限に抑えられるとみています。
《なかくぼ・ふみお》京大経済学博士。ニッセイ基礎研究所、ブラックロックなどを経て2014年から現職。日本全般の
投資戦略や調査など担当。 -
2015年の相場を読む(3)円安が業績拡大を後押し(なるほど投資講座)
2015/01/08 日本経済新聞 夕刊 5ページ 741文字 書誌情報
米国中心に世界経済が回復するなかで、その恩恵を受ける日本の輸出関連企業の業績は今後も伸びると考えられ
ます。円安基調も業績を押し上げる要因になります。大幅な円安は、輸出採算の改善につながるだけでなく、海外に
進出した製造業の収益にもプラスです。円換算した海外事業の収益が膨らむためです。
原油をはじめとする最近の商品価格の下落は、原材料費を抑え企業収益を高めるだけでなく、消費者心理を改善さ
せる面もあります。日本のエネルギー輸入は輸入総額の3分の1を占め、価格下落の効果は無視できません。
もっとも米国経済の回復や原油安の効果以上に、やはり輸出関連企業にとって円安のメリットは大きいといえるでし
ょう。UBSウェルス・マネジメントでは今後6カ月間で円相場は1ドル=124円前後まで下落する可能性があるとみて
います。それに伴って、日本企業の利益の2015年度の伸び率は13%と、14年度の8%から加速すると予想して
います。
円安は輸入にはコスト上昇というマイナス効果がありますが、商品価格の下落が相殺する可能性があります。円安
の影響がコストに出てくるまでには半年程度の時間がかかることを考えれば、当面の影響は限定的なものになると
みられます。
東証株価指数(TOPIX)でみた15年度の利益予想ベースのPER(株価収益率)は現在、約15倍です。ただ、輸出
関連企業に限るとPERは約14倍で株価は割安となっています。15年度の1株利益の伸び率の予想は、輸出関連
企業では18%と国内事業が主業務の企業の6%を大きく上回ります。株式市場では、自動車やテクノロジーといった
円安メリットが大きい輸出関連企業が一段と注目を集めるでしょう。
(UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者 中窪文男) -
2015年の相場を読む(4)現在の株価は妥当な水準(なるほど投資講座)終
2015/01/09 日本経済新聞 夕刊 5ページ 737文字 書誌情報
2014年10月の日銀の追加緩和で、株価は大幅に上昇しました。その後、消費税率の再引き上げが延期となり、
総選挙で連立与党が勝利し、株価上昇に拍車がかかりました。投資指標をみると東証株価指数(TOPIX)でみた
15年度の利益予想ベースのPER(株価収益率)は約15倍でほぼ妥当な水準にあり、当面は大幅な株価上昇は
見込めないでしょう。
中長期の視点で株価を占う重要なポイントはいくつかあります。円安が今後も続くか、商品価格の下落が経済に
どのように浸透していくか、持続的に賃金が上昇するかなどです。日銀の上場投資信託(ETF)購入や年金積立金
管理運用独立行政法人(GPIF)の株式運用比率の引き上げがどの程度続くかも焦点です。安倍晋三首相の経済
政策「アベノミクス」の第3の矢の1つである企業統治強化に関連しては、自己資本利益率(ROE)上昇など資本効
率の向上、株主配分の強化も株価に影響を与えそうです。
リスクとしては、安倍政権が集団的自衛権や原発再稼働の問題を抱え、支持率が低下し経済政策に悪影響が出
る懸念などがあります。当面は状況を見守りつつ、株式市場全体ではなく、より高い収益成長が見込める分野に目
を向けるべきでしょう。
そうしたなかで観光業が非常に魅力的だとみています。訪日外国人数は1年前に比べ約3割増加し、彼らの支出
額は4割増えました。円安の効果だけでなく、格安航空会社の台頭やアジアでの可処分所得の増加などが追い風
になっています。政府はビザ発給要件の緩和や免税対象商品の拡大などを通じ20年までに訪日外国人数を13年
の2倍にする目標を掲げています。観光業の収益成長を後押しするでしょう。
(UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者 中窪文男) -
しぼむ市場の先高期待 オプションが示す「体温低下」 スクランブル
2015/01/10 02:00 日経速報ニュース 1186文字
2015年の株式相場は波乱の1週間で始まった。原油安に歯止めがかかり、9日は日経平均株価が続伸したが、
反発力は鈍い。欧州不安、原油安。海外発の悪材料を警戒して投資家は慎重姿勢を崩していない。オプション取引
の動向をみても、先高期待は急速にしぼんでいるように映る。
「高速道路を降りてすぐ時速40キロで安全運転するような相場」。ファイブスター投信投資顧問の片岡邦夫氏は現
状をこう話す。原油安で6日の日経平均は525円安と11カ月ぶりの下げを記録。その後、3日続伸したが、9日の上げ
幅はわずか30円。うち14円弱は前日に好決算を発表したファストリの上昇分だ。
大型株のけん引力不足も鮮明だ。時価総額の大きい30銘柄の売買代金が東証1部全体に占める比率は8〜9日
も26〜27%台。昨年の上げ局面では30%超の日もあった。欧州不安や原油安を市場が消化するには、なお時間が
かかるとの見方が増えてきた。こうした市場の「体温低下」を示すのがオプション市場だ。
オプション取引は相場が上がるとみれば「買う権利」(コール)を、下げるとみれば「売る権利」(プット)を買う動きが
出やすい。昨年までは相場が大きく動くとみた海外勢が「コール」「プット」ともに持ち高を積み上げていた。
だが年明け以降、状況は一変。足元の日経平均オプションの建玉(未決済の残高)はほぼ3年ぶりの低水準だ。
「コールを買っていた海外ヘッジファンドの手じまいが進んだ」(ゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀氏)といい、特に
コールの減少が目立つ。
投資家心理が弱気と強気どちらに傾いているかを示す「プット・コール・レシオ(PCR)」をみても先高期待の後退が
鮮明だ。プットの建玉をコールの建玉で割って算出し、数値が高いほど弱気の比率が高いことを示す指標だが、6日は
1.11と、ほぼ3年半ぶりの水準だ。「アベノミクス相場」が始まる前の状態に逆戻りした格好だ。
市場の警戒は米国の利上げだろう。13年以降は緩和終了をにらみ株式相場は大きく変動した。利上げを控えた今年
も大荒れになるのではとの懸念は根強い。
過去の米利上げ局面後の市場は必ずしも大荒れだったわけではない。94年、99年、04年以降の過去3回の利上げ
局面のうち、94年をのぞく2回は米株の予想変動率(VIX)は低下しつつ、株は上げた。今回も米景気回復を背景に
「適温相場の再来(グレート・リモデレーション)」になると予想する声もある。
だが04年と違い、世界経済は低成長に直面する。前回は米国に加え、新興国経済もけん引した。今回は米以外に
頼みの綱が見当たらない。オプション市場の静けさが物語るのは先行きが適温なのか、「低温」になるのか見定められ
ないということだ。年央とみられる米利上げを通過するまで「安全運転に徹するしかない」(外資系運用会社)のかも
しれない。(富田美緒) -
みずほ銀行:AT&Tに3550億円融資へ…収益向上狙い
毎日新聞 2015年01月14日 02時04分
米通信大手AT&Tに対し、みずほ銀行が30億ドル(約3550億円)の大口融資を実施する方針を固めたことが
13日、分かった。実現すれば、昨年11月に米後発薬大手アクタビスに対して融資した約150億ドル(約1兆7700
億円)に続く、みずほ銀の海外の大規模融資となる。
みずほ銀は、国内が超低金利で利ざやが見込めないことから、海外融資で収益力を高めるのが狙い。AT&Tも、
携帯電話向けの新たな周波数獲得のために資金が必要となっており、両社の思惑が一致した。
また、三菱東京UFJ銀行もAT&Tに対し、5億ドル(約590億円)程度の融資を検討しているもようだ。(共同) -
海外企業、日本で資金調達、昨年33%増3700億円、超低金利でコスト低下、地銀も貸し手に。
2015/02/03 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1194文字 書誌情報
外国の企業や金融機関が、日本での資金調達を拡大している。2014年は前年比33%増の3700億円の
融資を日本の銀行から受けた。超低金利下で低コストの調達ができるためだ。運用難で海外に支店網がない
地方銀行がドル建て融資に参加するなど、貸し手に広がりも出ている。
調査会社のディールロジックによると、邦銀が日本で組成した海外企業向け協調融資は14年に31億4800
万ドル(約3700億円)と、13年に比べ33%増えた。サムライローンと呼ばれる円建てが全体の8割を占め、
残りがドルなど外貨建てだ。
日本で資金調達に動いたのは、米電力大手やアラブ首長国連邦(UAE)の政府系機関、香港の電力大手
など。三菱東京UFJ銀行が主幹事として13億ドルあまりの融資をとりまとめた。スウェーデンの掘削機用刃
物メーカー、サンドビック向けには三菱UFJを含む18行が360億円を貸し付けた。常陽(茨城県)、群馬、大分
などの地方銀行12行も参加した。
ドル建ての融資も増えている。チリ民間大手金融機関BCIは、みずほ銀行が主幹事の協調融資で総額1億
5千万ドルを調達した。伊予(愛媛県)や山陰合同(島根県)など地銀6行が参加した。
このほか、インドネシア輸出入銀行が7億9千万ドル、インドステイト銀行が5億5千万ドルを日本で借り入れ
た。貸し手には静岡銀行や群馬銀行、百五銀行(三重県)、中国銀行(岡山県)などが並んだ。こうした海外
金融機関向けにドル建て融資をしている地銀は全体の約半分の50行程度に増えたという。
三井住友銀行も信託スキームを使い、海外の大型事業融資に地銀の資金を呼び込む仕組みをつくった。
すでに七十七銀行(宮城県)など2行が総額4千万ドルで参加を決めた。三菱UFJは海外優良企業の会社
説明会を日本で開くなど地銀が協調融資に参加しやすいよう後押ししている。
海外金融機関が日本で米ドルを調達する背景には、市場環境の変化がある。ここ14年12月時点のA格の
米ドル建て社債のスプレッド(上乗せ金利)は2年前に比べ0・22ポイント低い0・49%に低下。従来の貸し手
だった香港や台湾などアジアの機関投資に代わり、相対的に調達コストが低いため低金利でも貸しやすい
邦銀が浮上した。
貸し手である地銀の事情もある。日銀による質的量的緩和や競争激化の影響で、国内の貸出金利は低迷。
貸し出し以外の主な運用先である国債も、10年物の利回りが0・2%台に低下するなど国内は運用難が続く。
こで相対的に利回りが高く、収益につながりやすい米ドル建て融資を増やしている。
貸し出しリスクもある。多くの地銀が調達する米ドルは期間1年未満が主流。短期で調達した資金を5年など
で貸しており、長短の金利差で稼いでいる形だ。米ドルを市場で調達しているため、市場が変動すれば調達に
支障が出る可能性もある。ドルの安定調達が課題になっている。 -
住宅ローン、金利競争過熱、10年固定、最低更新1%前後、採算割れ懸念、金融庁調査。
2015/02/03 日本経済新聞 朝刊
住宅ローン金利の引き下げ競争が過熱している。長期金利の指標となる10年物国債金利が急低下し、三菱東京
UFJ銀行など大手は2月の金利を過去最低の水準に下げた。有力な融資先の乏しい地方銀行や信用金庫も低い
金利での融資に前のめりで、採算割れのリスクもある。金融庁は過当競争を懸念して各行が適切にリスク管理して
いるか緊急調査を始めた。
2月の住宅ローン金利は、主力の10年固定型を三菱UFJと三井住友、みずほの3メガバンクが0・05%下げて
年1・1%、三井住友信託銀行は0・05%低い0・85%とした。いずれも2カ月連続で過去最低を更新する。住宅
金融支援機構も2日、長期固定型の「フラット35」の最低金利が0・1%低い1・37%になると発表した。
10年債金利が一時0・1%台となるなど長期金利が急低下しており、三菱UFJの場合、10年固定の金利は1年
前より0・35%低く、2011年6月に比べ半分に下がった。ソニー銀行やイオン銀行は変動金利型で年0・5%台を
提示。子どもの人数に応じて金利を優遇する福岡ひびき信用金庫(北九州市)のような動きもあり、競争は激しさを増
している。
過度な住宅ローン金利の下げが続けば金融機関の収益を圧迫する。「人件費なども勘案すると、住宅ローンだけ
ではほとんどもうからない状態」(大手行)だ。消費増税後の住宅着工は低迷しており、日銀によると、国内銀行の新
規貸出額は昨年4〜6月に前年同期比17%減、7〜9月に5%減と2四半期続けてマイナスだ。
金融庁も過当競争を懸念し始めた。住宅ローンのリスク管理が甘くなっている可能性があるとして、金融庁は1月
から大手銀行や一部の地方銀行を対象に緊急調査に乗り出した。07年度以降の住宅ローンの貸出額や平均金利、
損失率の推移などを回答するよう求めた。貸し出した個人の年収に占める返済額の割合なども調査対象だ。金利が
反転上昇した際に、収益を確保できる見通しがあるのかも確認する。
今回の調査には、銀行が競争意識から過剰な貸し出しに走っていないか実態を把握する狙いがある。
住宅ローンは14年9月末時点で114兆円あり、銀行の融資全体の4分の1強を占める。景気の悪化で住宅ローン
を返済できなくなる人が増えた場合、不良債権が膨らみ金融システムに影響を及ぼす懸念もある。
個人の住宅ローン利用では従来、金利の低い変動型が人気だったが、三井住友信託では14年4〜9月に新規融
資額の7割を固定型が占め、前年同期の約4割から大幅に増えた。同行では5年物の固定型のほうが変動型より
金利が低いため、顧客がシフトしている。固定型の借入比率が高まれば、先行き金利が上昇した際に銀行の金利
収入が抑えられることとなり、ますます収益を圧迫するリスクがある。 -
株式――みずほ投信投資顧問執行役員岡本佳久氏、年度内に1万8000円超えも(プロはこう読む)
2015/02/05 日本経済新聞 夕刊 5ページ 399文字 書誌情報
みずほ投信投資顧問執行役員 岡本佳久氏
主要企業が発表した4〜12月期の決算はおおむね好調に推移しており、日本株の先高観は依然として
根強い。市場では6日に発表される米雇用統計に注目が集まっているが、米景気回復の力強さが確認され
れば投資家心理の改善につながるとみている。日本の株式相場にも支援材料となる。
非農業部門の雇用者数が今後も高水準で推移すれば、米連邦準備理事会(FRB)による早期利上げ観測が
高まるだろう。米利上げは新興国経済の先行き不安につながり、日本株にも悪影響を与えるとの声もあるが、
昨年からの緩和縮小で既に多くの資金が米国に回帰しており、追加的な影響は限定的だ。為替相場の円安
進行を背景とした企業業績の押し上げ期待の方が日本株に与える影響は大きいと考える。
これらの観点から、日経平均株価は年度末までには1万8000円を上回り、その後はさらに水準を切り上げる
展開になるとみている。 -
みずほFG、運用会社の統合を3月中にも発表へ=関係筋
[東京 13日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(FG)(8411.T: 株価, ニュース, レポート)が、
グループ傘下の新光投信(東京都中央区)とみずほ投信投資顧問(東京都港区)に加え、みずほ信託
銀行の運用部門を統合する方向で詰めの協議を行っていることが分かった。
月内の正式発表を目指す。複数の関係筋がロイターに明らかにした。
みずほFGは、資産運用ビジネスを銀行、信託、証券にならぶ第4の柱と位置づける。運用会社の
再編を通じて、コスト削減や経営の効率化、競争力の強化を図る。
関係筋によると、第一生命保険(8750.T: 株価, ニュース, レポート)との合弁であるDIAMアセット
マネジメント(東京都千代田区)は今回の再編に合流しないが、みずほFGと第一生命は、将来的な
統合に向けて検討することで合意した。
みずほFGの広報担当者はこれについて、「現時点で決まっていることはなにもない」としている。
みずほFGは、2000年に3つの銀行の統合で発足。07年に第一勧業アセットマネジメントと富士
投信投資顧問の合併で、みずほ投信投資顧問ができた。新光投信は、2000年に新和光投信と
太陽投信の合併で誕生した。
運用会社の場合、投資信託などの金融商品の統廃合が容易でないため、統合によるスケール
メリットを直ちに享受するのは難しいとされている。
しかし、みずほFGの佐藤康博CEOがグループ一体経営を推し進める姿勢を鮮明に示し、13年
にはみずほ銀行とみずほコーポレート銀行を統合して「ワンバンク」化を図った。運用会社の再編
は経営課題の一つだった。
みずほFG、第一生命の広報担当者はノーコメントとしている。
投資信託協会によると、公募の投資信託の純資産総額(2月末時点)は、新光投信とみずほ投信
の合計で約6兆円。業界最大手の野村アセットマネジメントの22兆円など上位3社には遠く及ばない。 -
みずほFG、社外取締役に関氏 商工中金の前社長
みずほフィナンシャルグループ(FG)は13日、社外取締役に商工組合中央金庫前社長の関哲夫
氏(76)が就く人事を発表した。監査法人トーマツ出身の阿部紘武氏(70)とともに、6月の株主総会
で正式に就任する。
関氏は新日本製鉄(現新日鉄住金)の出身で、2008年10月から13年6月まで商工中金の社長を
務めていた。金融機関のトップ経験者がみずほFGの社外取締役になるのは初めて。みずほFGの
社外取締役には、経済財政担当相を経験し取締役会議長を務める大田弘子氏(61)、日立製作所
出身の川村隆氏(75)らがいる。幅広い人材で取締役会を構成し、経営体制を強化する。
トップ人事の権限を持つ指名委員会の構成も発表。大橋光夫委員長(79)ら4人の委員すべてを
社外取締役で固める体制を継続する。 -
みずほ系、16年春にも資産運用統合、国内最大級めざす。
2015/03/14 日本経済新聞
みずほフィナンシャルグループが傘下のみずほ信託銀行の運用部門と資産運用会社2社を
2016年春にも統合する方向で検討していることが13日分かった。みずほは資産運用ビジネス
を銀行、信託、証券と並ぶ第4の柱と位置づける。年金と投資信託で国内最大級の会社にして
、収益基盤として育てる。
早ければ月内にも発表する。今回の統合案は、みずほ傘下のみずほ投信投資顧問と新光
投信が合併し、みずほ信託が運用部門の人材や業務を移管する。ここにみずほと第一生命保
険が折半出資するDIAMアセットマネジメントが合流する最終形を目指す。
みずほと第一生命は、DIAMがこの統合に合流する検討に入る。DIAMが合流する時期など
については、今後さらに交渉を進める。
みずほは投資信託と確定拠出年金(DC)の合計市場規模が35年に現在の約3倍の280兆円
になると試算。資産運用部門を一元化し、拡大する市場を取り込む。
銀行業界では資産運用ビジネスを将来の中核と位置づけ、再編・参入する動きが目立つ。
三菱UFJフィナンシャル・グループが傘下の投信2社を7月をめどに合併させるほか、横浜銀行
も15年度中に三井住友信託銀行と共同出資した新会社の営業を開始する。 -
注目投信 三菱UFJ投信「好配当日本株ファンド」 配当軸に銘柄選別
2015/03/21 02:00
比較的高い配当が期待できる銘柄に投資する「三菱UFJ・好配当日本株ファンド(2カ月決算型)」は
世界的に金利が低下傾向にある中、需要が拡大している高水準の配当が見込める株式に投資する。
運用成績を伸びつつあり、基準価格は1年前に比べおよそ3割増加した。
予想配当利回りが東証1部市場の平均を上回る銘柄を中心に買い入れの候補を抽出。一時的に収益
が落ち込んでも配当を維持できるだけの財務的な余裕があるかどうかを調査し、投資対象を80に絞り込む。
組み入れ比率の上位には、自動車や銀行、商社などといった銘柄が並ぶ。市場がある程度成熟し、
業績に安定感のある業種に資金を重点的に配分。高い配当収入や、中長期的な値上がり益の獲得を
目指す。
分配金は2カ月に一度支払われる。チーフファンドマネジャーの小西一陽氏は「値上がり益が分配金の
原資ではないので、分配は比較的安定的。株価の下落で分配金が出ないという事態には陥りにくい」と話す。
株価の大幅な上昇で配当利回りが低下した銘柄は保有割合を減らすという。相場全体が大きく上がる
中では、相対的に運用成績が見劣りする可能性もある。
特 徴 配当利回りが高く、財務に余裕のある80銘柄に分散投資
リ ス ク 相場全体が大きく上昇する中では運用成績が劣後することも
比べるなら 日本好配当株投信(野村アセットマネジメント)など -
乗り遅れか、慎重に見極めか 日本株を買わない外国人投資家の言い分
2015/03/27 07:02 日経速報ニュース 967文字
【NQNニューヨーク=岩切清司】日経平均株価が大台の2万円を目前に足踏みしている。けん引役の
外国人投資家には買い一巡感が漂い始めた。欧米市場で日本株の運用状況を聞くと、今年に入って
日本株を買ったといった回答はあまり聞かれない。相場に乗り遅れた投資家や、経済改革の動向を
見極めようとしている投資家もいる。
日経平均が15年ぶりの高値圏に上昇した中、ある北米生保系運用会社の担当者に日本株の投資
状況をたずねると「上げ相場に乗り遅れたよ」と返ってきた。悔しがっているのかと思いきや「アベノミクス
の恩恵が消費者に行き届いているとはいえない」と冷ややかだった。強がりにも聞こえたが、日本が
構造的に抱える人口減少問題を考慮すると満足して投資できる状況にはないという。
「2012年に日本株を『オーバーウエート』にしたが、それ以降は保有比率は変えていない」。英資産
運用会社の株式ストラテジストは一見すると前向きな姿勢を見せる。ほかの先進国株に比べてまだ
割安感が残っているといい、銀行株やJPX日経インデックス400に連動する形で投資している。ただ、
保有を続ける理由が逆説的だ。「アベノミクスが本当に成功するとは思っていない。それを裏付けるデー
タを待っている」。上げ相場にはいち早く乗ったものの、どのタイミングで日本株投資を降りるか。冷徹な
視線を送り続けている。
日本株の保有比率を標準に対して「ニュートラル(中立)」としている、あるスイスのプライベートバンク。
日本株の担当アナリストに今年に入って投資を上積みしたかと聞くと「No!」と言い切られた。それでも
日本株が上昇基調を持続する条件は「日銀の追加緩和」と期待を示す。裏を返すと外国人投資家が
日銀頼みの相場をシナリオの中心軸においている姿が透けて見える。このプライベートバンクは日経
平均の予想水準を2万円としているが、実現すれば達成感が強まる可能性も否めない。
長期運用の海外投資家の多くは冷静な姿勢を保っているようだ。ただ、ある米地銀系運用会社の
ポートフォリオマネジャーは「日本株への投資を検討している最中だ」と打ち明ける。日経平均の2万円
を通過点として、息の長い上昇相場との認識が世界市場に広まれば本格的に長期資金を呼び込む
可能性もある。日本株はいま、分水嶺にさしかかっているのかもしれない。 -
みずほFG:海外M&A強化へ、新規採用やHSBCなど提携で
(ブルームバーグ):みずほフィナンシャルグループ は、クロスボーダーM&A(企業による合併・買収)
の助言業務を強化する。海外でバンカーを増員するほか、英銀HSBCホールディングス などとの提携関係
を深め、さらなる大型案件の獲得を目指す。
みずほFGは米国とアジアで新規採用や配置転換により増員することを検討している。また、HSBCや
米投資銀行エバーコア・パートナーズ との産業分野ごとのミーティングの回数を増やす計画だ。みずほ
証券のアドバイザリーグループ長に4月1日就任する山本淳史氏がブルームバーグの取材で明らかにした。
ブルームバーグの集計によれば、日本企業による海外でのM&Aは2015年の年初からで総額約390億ド
ル(4兆7000億円)と過去最大規模に上り、円安の進行にも関わらず積極的に成長を求める姿が鮮明に
なってきた。みずほFGは今年最大案件の日本郵政グループ による豪物流大手トール・ホールディングス
の買収を助言した。
みずほの山本氏はブルームバーグとのインタビューで、「円安でブレーキがかかる懸念があったが、クロス
ボーダーの大型ディールが続いている」とし、「経営者の判断が出てきている。やるときはやるなという印象
だ」と語った。その上で「日本企業は体力的に余裕があり、国内のシュリンクした市場だけでは駄目で外に
目を向けねばならない」との認識を示し、こうした傾向は続くと見通している。
みずほはグローバル市場で約100人のM&Aバンカーを抱える。陣容は日本の80人に対し、海外は約20人
と小規模にとどまる。同社は米国とアジアで特にテレコミュニケーション、ヘルスケア、エネルギーなどの
分野での採用や東京からの転勤などで人を増やしいく方針だ。増員数などの詳細については言及を避けた。
ブルームバーグの集計(金額ベース)では、年初来の日本企業関連のM&A助言ランキングで、みずほFGは
3月25日時点でトップ。野村ホールディングス 、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンが続いている。みずほFG
は日本企業によるクロスボーダー案件の助言でも現在のところ首位となっている。
バルジブラケット
日本郵政グループは2月、郵便事業を全国で展開する日本郵便がトール社の全株式を6200億円で取得する
と発表。同社にとって過去最大規模の買収案件となった。みずほはオーストラリアのM&Aブティックのグレ
シャム・パートナーズと共同で日本郵政を助言、10年の提携以来初めての公表案件となった。
山本氏(49)は「クロスボーダーの助言で、みずほはバルジブラケット(巨大投資銀行)と比べて苦しいのでは
ないかと言われるが、決定的な差があるわけではない」と述べた。その上で今回の大型案件は「みずほが
国内の舞台を活用し現地のブティックと組めば対応できる」ということを示していると語った。
HSBC
みずほFGは海外で複数の投資銀行やアドバイザリー専業会社とM&Aの分野で提携している。米エバーコア
と06年に、豪グレシャムと10年に、HSBCと14年にそれぞれ提携した。08年にはエバーコア の発行する新株
予約権付社債1億2000万ドル(議決権の14.7%)の取得で合意するなど関係を深めている。
HSBCとの提携では、3月に公表された損害保険ジャパン日本興亜による再保険世界大手の仏スコール社
株式の取得で、共にアドバイザーを務めた。みずほとHSBCの第1号共同案件となった。
RBS
みずほFGは2月、英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ (RBS)から、北米の優良企業を中心
とした200グループ向けの貸出し資産や与信枠を取得すると発表した。取得対象となるRBSの債権・与信枠
は365億ドルで、みずほはこれらを約30億ドルで取得する。同社はこれを契機に取引先企業を開拓し、投資銀
行業務を強化したい考えだ。
みずほの山本氏は、RBSからローン債権を引き継ぐことで、M&Aの「オリジネーションの機会が増える」と
みている。
山本氏は東京大学経済学部を卒業後、1989年にみずほの前身である日本興業銀行に入行。97年からM&A
アドバイザリー業務に従事、メディア・通信・テクノロジーや運輸業界を中心にクロスボーダー案件などに携わった。 -
みずほ、資産運用を第4の柱に 部門統合検討を発表
2015/3/27 21:16
みずほフィナンシャルグループ(FG)は27日、グループの資産運用会社の統合を検討すると発表した。
統合時期や出資構成などは今後検討する。みずほは資産運用ビジネスを銀行、信託、証券と並ぶ第4
の柱と位置づけている。規模拡大や各社のノウハウを持ち寄ることで、グループの収益の柱に育てる。
統合の対象は、連結子会社のみずほ投信投資顧問と新光投信、みずほ信託銀行の資産運用部門。
これに加え、第一生命保険会社との折半出資会社DIAMアセットマネジメントについても、この統合に
合流することを視野に第一生命と検討すると発表した。
3社1部門を合計した預かり資産残高は45兆円あまりとなり、単一の運用会社としては国内最大級の
規模になる。規模拡大で年金や投資信託といった各分野の商品やサービスを充実させる。
銀行業界では、資産運用ビジネスを再編するなどして強化する動きが広がりつつある。三菱UFJフィナ
ンシャル・グループは、傘下の投信2社を7月をめどに合併させる予定だ。 -
株、当面は調整色強く、市場関係者、一時1万8000円台も、6月末には上昇の見方。
2015/03/28 日本経済新聞 朝刊
東京株式市場で当面は相場の調整色が強まるとの見方が広がってきた。27日の日経平均株価は
大幅に続落。市場関係者に相場見通しを聞いたところ、米国株の弱さや日本企業の慎重な来期業績
見通しを材料に利益確定売りが優勢となり、「一時的に1万8000円台まで下げる可能性がある」との
見方が出てきた。4〜5月にいったん下落した後、6月末にかけては再び上昇するとの予想が多い。
27日の日経平均株価は午後に入って株価指数先物に断続的な売りが入り、現物株も引きずられる
形で下げた。2日間の下げ幅は460円に達した。米国株安などをきっかけとした「海外ヘッジファンドの
利益確定売りという需給要因が大きい」(アムンディ・ジャパンの高野雅永氏)とみる市場関係者が多い。
実質的に新年度相場に入った27日、市場では日経平均株価の調整色が強まるとの見方が広がって
いる。投資家が警戒するのは米国株の足踏みだ。
トムソン・ロイターがまとめた市場予想によると、米主要500社の15年1〜3月期の1株当たり利益
(EPS)は、ドル高や原油安が響き減益の見通しだ。足元では4〜6月の利益予想も切り下がっており
、「米国株の調整に引きずられて日本株も弱含む」(野村証券の松浦寿雄氏)との見立てにつながって
いる。
4月下旬からは日本企業が来期業績見通しを発表する。主要証券の15年度の企業業績見通しは
現時点で10〜15%の経常増益率を見込んでいるが、企業が期初に公表する計画はおおむね慎重で
「市場の期待値に届かず、投資家の失望売りを招く」(ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏)と
警戒する声がある。
買い材料に乏しく、下押しリスクが意識されるようになると、利益確定売りが出やすくなる。4月から
新年度に入り、「国内金融機関が早めに運用益を確保しようとする可能性があり、上値は抑えられる」
(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏)との見方も出ている。
もっとも現時点では悪材料が一巡すれば、日本株は上昇基調に戻るとの見方が大勢だ。JPモルガン
・アセット・マネジメントの重見吉徳氏は、「米経済指標の持ち直しがカギ」とみる。足元では市場予想を
下回る指標が増えているが、景気の良さが指標を通じて再確認できれば、「ドル高・米株高となり、日本
株にもプラスとなる」(重見氏)と話していた。 -
ノルウェー政府系ファンド、日本株保有3割増、昨年末4.8兆円。
2015/03/30 日本経済新聞 朝刊 1ページ 527文字 書誌情報
海外の公的マネーが日本株への投資を拡大している。世界最大級の政府系ファンドであるノルウェー
政府年金基金は日本株の保有額を2014年末時点で4兆8000億円程度と1年前に比べ約3割増やした。
事業構造改革や円安により、日本企業の成長力が高まるとの期待が背景だ。海外からの資金流入が
株式相場の下支えとなっている。
政府系ファンドは原油収入や外貨準備をもとに世界の株式や債券などに投資する。運用資産が大きく、
長期にわたって保有するのが特徴だ。
ノルウェー政府年金基金は100兆円程度の資産の約6割を株式で運用する。うち日本株の割合は
7・4%と1年間で0・7ポイント上昇した。保有額の増加率は約3割と、同じ期間の日経平均株価の
上昇率(7%)を上回っており、数千億円を新規投資したとみられる。
ファンドを管理するノルウェー銀行によると、トヨタ自動車、キヤノンなど主力銘柄の保有比率を高めた。
新規上場したリクルートホールディングスにも投資し、保有銘柄数は1527社と1年間で243社増えた。
他の政府系ファンドも日本株投資を増やしている。シンガポール政府投資公社はサントリー食品
インターナショナルの株式を買い増し、サントリーホールディングスに次ぐ第2位株主となった。 -
明治安田、株投資ファンドに500億円、運用収益増加ねらう。
2015/03/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 606文字 書誌情報
明治安田生命保険はファンドを通じた株式投資に乗り出す。このほど3つのファンドに総額500億円を投じた。
政府の成長戦略に絡む企業などに投資して運用収益の上積みを狙う。生保は内部留保がたまりリスクを取れる
環境が整いつつある。生保マネーが株式相場に向かえば、株価を下支えしそうだ。
明治安田が投資したのは、子会社の明治安田アセットマネジメントが運用する3ファンド。農業や環境など成長
戦略の関連分野の企業を選んで投資するアクティブ型に200億円、財務指標や株価変動率などで組み入れ
銘柄を決めるスマートベータ型に300億円をそれぞれ投資した。
主力の投資先である国債の利回りが低下して、十分な運用収益を確保するのが難しくなっている。
生保の株投資は配当収入を狙って個別企業株を長期間保有する手法が一般的だ。ファンドは独自の判断で
投資銘柄を機動的に入れ替えるので、短期間でも成長の果実を取り込みやすい。
明治安田の2014年末の保有株式は約1兆8千億円(簿価ベース)。ピークの1994年度末の半分以下で、
95年度以降減り続けている。14年度は保有する優先株の買い戻しという特殊要因を除けば前年比横ばいと
なる見通し。
15年度もファンドを通じた株投資を続ける予定で、残高が反転する可能性がある。
生保はバブル崩壊後に多額の株式評価損を計上した苦い記憶がある。株を減らし続けてきた姿勢が変われ
ば、相場全体にも影響が及びそうだ。 -
マイナンバー、銀行悩ます「任意」(風速計)
2015/03/30 日本経済新聞 朝刊 5ページ 533文字 書誌情報
政府は2015年10月に通知が始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を18年から預貯金口座に
「任意」でひも付けする方針だ。慎重だった銀行界は政府に押し切られた格好だが、今後は顧客にどこまで
マイナンバーの登録を求めるか、運用面で頭を悩ますことになりそうだ。
マイナンバーは12桁の番号で日本に住む全ての人に割り当てる。国や地方自治体は16年から個人の
税金や社会保障の情報を番号で管理。行政効率を高め、徴税に役立てる。
預貯金口座にも対応させれば、「税務調査がしやすくなる」と政府は考えたが、13年5月に成立した現行法
では対象外だった。国内には個人口座が約10億もあり「事務処理が膨大で無理だ」との声が銀行界から
あがったためだ。
そこで政府は今年3月、任意で口座に適用し、銀行界に義務を負わせない形の法改正案を国会提出した。
成立すれば、銀行は18年から顧客にマイナンバーの登録を求める。
口座開設の用紙に番号を記載する欄を設け、既存顧客には来店時に登録を呼びかける。政府内では
「登録しないと口座開設やネットバンキングが事実上できないようにすればいい」との強硬論もある。政府は
21年以降の義務づけを検討するとしているが、それまでも「半強制」となる懸念が残る。(F) -
金融機関含み益18兆円、3月末、事業会社は20兆円。
2015/04/01 日本経済新聞 朝刊
大幅な株高を受け、大手銀行5グループと大手生命保険4社が持つ株式の含み益は2015年3月期末で
計18兆1000億円と前期末比で8兆円強増えた。増加率は8割に達した。金融機関を除く上場企業の保有
株の含み益も1年間で5割ほど増えて約20兆円と過去最高の水準に膨らんだ。
大和証券の高井晃チーフアナリストによると、三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手行5グループが
保有する株式含み益は8兆1500億円と1年間で約3兆6500億円増えた。
日本生命保険など大手生保4社の株式含み益も9兆9500億円と約4兆3700億円増えた。日生は外国
債券なども加えた有価証券全体の含み益が約11兆円になり、過去最高になった。
株高効果は事業会社にも広がっている。日本経済新聞の集計で、3月期決算の上場企業が保有する株式
の時価は3月末時点で約31兆円になった。取得原価(約11兆円)に対する含み益は約20兆円となり、保有
株の時価開示が始まった01年度以降で、05年度末に並ぶ最高水準となった。
豊田自動織機が保有するトヨタ自動車株は時価が約5700億円増えたようだ。京セラはKDDIの株式の
時価が約2500億円増えた。
企業は含み益が膨らむと資本に厚みが増す一方で、自己資本利益率(ROE)など資本の効率性は低下
するため「15年度は持ち合い株を保有する合理性が一段と問われる」(野村証券の西山賢吾シニア
ストラテジスト)ことになりそうだ。 -
安定銘柄に春の嵐―「賢い指数」が広げる振幅(スクランブル)
2015/04/01 日本経済新聞 朝刊
2014年度の日経平均株価は3年連続の2ケタ上昇を保った。新年度の相場を占う有力な材料の一つが
最近、急速に広がる「賢い指数」を巡る変化だ。相場を揺らす春の嵐は、米景気など海外材料にとどまらず、
国内にも潜んでいる。
入学式シーズンとなる4月。全国10以上の大学が加盟する投資団体「USIC」は、新入生向けに情報誌
を約1万部配る。最新号の特集は上場投資信託(ETF)と外国為替証拠金(FX)取引だ。編集長で武蔵大
学の小笠原享也さんは「手数料が低く、学生でも始めやすい」と狙いを話す。
「手数料の安さ」を求めるのは機関投資家も同じ。株価指数に連動するパッシブ運用がその柱だ。年金
積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的年金に続き、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は15年度、
指数連動型を軸に日本株の比率を高めるとみられている。
□ □
パッシブ運用の資金が増える影響は明確だ。SMBC日興証券によると、公的資金の動向を映しやすい
信託銀行の買越額が増えると、売買代金が比較的少ない銘柄の株価が押し上げられる。指数連動の運用
は対象銘柄をまとめて買うので、業績や割安さなど個別銘柄の投資尺度が効きにくい。
公的資金が活用する利益や配当など独自基準で構成銘柄を選ぶ「賢い指数」、スマートベータのなかでも
最近注目されている指数がある。その名は「最小分散指数」。銘柄間の値動きの特性を分析し、相場の下落
局面でも損失が膨らまないように設計された指数だ。
代表的な指数である「MSCIジャパン最小分散」は日本株の指数、MSCIジャパン構成銘柄から選ばれた
約150銘柄で構成し、組み入れ上位にはエーザイや武田薬品工業といった医薬品株が並ぶ。両銘柄が
先週まで急ピッチで上昇した背景には、個別の買い材料に加えて同指数による資金流入の支えもあったとの
見方もある。
□ □
医薬品株はもともと景気変動の影響を受けにくく、安定した値動きが特徴だ。そんなディフェンシブ銘柄が
スマートベータを使う投資家が広がるのにつれて株価変動率が上昇。業種別の変動率では電機や自動車
を上回る異変が起きている。
3月中旬、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏がスマートベータ運用を得意とする米投資家に
こうした事実を伝えると「本当か」と驚かれた。スマートベータは指数連動で機械的に運用する。個別銘柄を
分析する投資家が気づく変化も重視しないのだ。
MSCIは半年ごとに最小分散指数の銘柄や比率を見直す。次の見直しは5月末。値動きが一変したエーザイ
など医薬品株の扱いが焦点になる。「指数の構成比が下がれば調整する可能性もある」(みずほ証券の永吉
勇人氏)だけに市場の注目度は例年以上に高い。
最小分散指数の狙いは相場の下落局面で極力損失を防ぐ点にある。皮肉にも採用する投資家が増える
ほど「春の嵐」を増幅する恐れはないか。投資家は例年よりも注意深く需給を分析する必要に迫られている。
(田口良成) -
佐藤全銀協会長:金利リスク見直しに「反対貫く」
2015/04/01 00:00 JST
(ブルームバーグ):全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は、銀行保有
の金利商品に追加で自己資本の上乗せを求める国際的な規制案について「反対を貫いていく」との方針を
示した。国債を大量保有する邦銀に資本増強の必要性が生じたり、リスク回避のための売却が市場混乱を
招く可能性に懸念を示した。
この金利リスク(IRRBB)規制はバーゼル銀行監督委員会で議論されている。1日付で就任した佐藤会長
はインタビューで「非常に大きな問題で、金融機能そのものに対して大きなチャレンジになる」と指摘。その上
で「ソブリンボンドを持つことに非常にネガティブなインパクト」や「マーケットにクラッシュ的な影響」を与えると
述べた。
規制強化は国債や住宅ローンなど銀行が抱える中長期の金利リスクを自己資本に反映するのが狙い。
イタリアやギリシャの財政危機問題を背景に現在、国際的な議論が進んでいる。規制が見直されれば、
自己資本比率の低下につながる可能性のある邦銀は、リスク軽減を目的とした国債売却や住宅ローンの
販売抑制などを迫られることになる。
ブルームバーグ・データによれば、三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガグループをはじめ国内銀行の
国債保有残高 は2月末で約125兆円で、2012年3月にピークだった171兆円から46兆円減少。総資産に
占める割合は約13%に相当する。
佐藤会長は「今までいろんな規制が出てきて必要なものもずいぶんあったが、大銀行の破たんを恐れる
あまり規制強化していくのには限度がある」と述べた。今後バーゼル委に対して金融庁や日銀と協働して
反対の根拠を説明するほか、佐藤会長自身も「海外出張の際にレギュレーターに趣旨をしっかり伝えて
いく」との考えを示した。
銀行は預金で集めた資金を貸し出しや債券の保有などで運用して収益を上げている。しかし、金利上昇
は国債価格の下落につながるほか、預金金利の引き上げで調達コストが上昇しローン商品などの収益力
が低下する可能性もある。安倍晋三政権は安定的なインフレの達成を目指しており、日銀は現在、超低金利
政策を継続している。 -
【市況】伊藤智洋が読む「日経平均株価・短期シナリオ」 (4月1日記)
日経平均株価は、昨日の価格が3月23日高値の1万9778円を超えられずに上値を抑えられたことで、
現在が一時的な調整ではなく、14年12月8日〜15年1月16日までと同程度の値幅(1438円幅、1万8340
円が目安)の調整の途中である可能性が大きくなったと言えます。
本日の価格が下げて引けると、弱気の流れを明確にします。
3月31日にいったん大きく上げたことで、今後の価格が1万8340円を目指す展開になる場合、来週までで
一気に下げて下値を確認し、すぐに上昇する動きとならず、4月中旬、または下旬頃まで下げの流れを継続
して、押し目を確認する展開になると推測できます。
本日の価格が下げるなら、4月中旬頃まで再浮上はないと見ておいて下さい。
ただ、現在が上昇の流れを継続している展開が消滅したかと言えば、そうではありません。
本日の価格が反発して、目先の価格が堅調に推移すると、3月31日に非常に弱い形を示したにもかかわらず
、すんなりと下げなかった動きが、1万9000円の節目での下値堅さを示す格好になります。そうなると、3月23日
以降が上昇途中のボックス型保ち合いの動きへ入る可能性が出てきます。
本日の引け値が前日比プラスなら、その可能性を頭のすみに入れておきます。 -
含み益が多い銘柄に注目――安定的な分配金に寄与(REIT番付)
2015/04/01 日本経済新聞 夕刊
不動産投資信託(REIT)各社の保有物件の含み益に注目が集まっている。2014年の上場全銘柄の
含み益は合計で約5300億円と6年ぶりの高水準となった。賃料上昇期待で物件価格が上がっている
ためだ。含み益の多いREITは物件取得時に高値づかみを避け、物件価値の引き上げにつなげることが
できたもよう。含み益は安定した分配金を求める投資家にとって重要な指標の一つだ。
含み益は時価にあたる鑑定評価額と、取得時の価格に相当する帳簿価額の差で測る。REITは通常、
半年ごとに決算をまとめる。各銘柄の14年8月期から15年1月期の含み益を集計したところ、総じて改善
したが、戦略の違いで帳簿価額に対する含み益の比率にばらつきがある。今回は含み益率が高い順に
ランキングした。
首位は物流施設型の日本ロジスティクスファンド投資法人だった。競合が少ない時期に安い価格で物件
を仕入れたほか、自前で再開発を手がけ、利益の外部流出を抑えた。千葉県八千代市の物流施設は
再開発で含み益が5倍になった。2位はジャパン・ホテル・リート投資法人。訪日外国人需要などの取り込み
に奏功し、稼働率が高まった。宿泊料金も上昇しており、保有物件価値の向上につながった。
SMBC日興証券の鳥井裕史氏は「含み益を活用した物件入れ替えに注目している」と話す。競争力の
低下した含み損物件は本来手放すべきだが売却損計上による減配を避けるため「塩漬け」になっている
場合もある。
含み益物件の多いREITはその一部を売り、不採算物件の売却損を穴埋めすることで、減配を避けなが
ら、保有物件全体の収益力を底上げできる。
商業施設特化型のフロンティア不動産投資法人は岡山市に収益力の低下した商業施設を抱える。含み益
率ランキングは3位と高いだけに、市場では含み益を使った機動的な物件入れ替えに期待する声がある。 -
データ――海外投資家が先物売り、株高値圏で調整局面に(ここがポイント)
2015/04/01 日本経済新聞 夕刊
日経平均株価が高値圏で調整局面を迎えている。相場の上昇が抑えられたきっかけの一つは海外
投資家の売りだ。海外勢は相対的に少ない金額で取引できる株価指数先物への売りが目立つ。先物
の売買動向は、相場の先行きを占う重要な判断材料になっている。
大阪取引所は日経平均や東証株価指数(TOPIX)といった株価指数の先物の投資部門別売買動向
を集計している。海外投資家は、日経平均とTOPIXを合わせた先物を3月第3週(16〜20日)まで
3週合計で2816億円売り越した。
先物は決済時に投資額と損益の差をやりとりするため、取引を始める際に多額の資金を用意する
必要がない。このため、株式相場の流れに変調がみられ始めるタイミングなどでは、まず先物の売買
が増える傾向がある。
海外勢は日経平均とTOPIX先物で1月第3週から2月第4週まで6週間で計2兆8000億円を買い
越し、相場上昇をけん引してきた。ところが足元で売り姿勢に転じ、今後もこの基調が続くのではない
かとの懸念がある。先物市場での海外勢の売買シェアは7〜9割と高く、相場に与える影響は大きい。
海外勢が売りに転じた背景には、米国経済などに不透明感が増していることがある。米国では市場
予想を下回る経済統計が目立っている。中東情勢の緊迫化なども懸念材料だ。今年に入り日本株の
上昇は、他国に比べ目立っていた。早めに利益を確定し、目先の波乱に備えたい投資家は多い。
4月は国内機関投資家も2015年度の利益を早めに確定しておく売りを出しやすい。年金マネーの
流入などが支えていた株式需給が緩む可能性も出てきた。 -
荒れ模様の4月相場、期初の売りと押し目買いが交錯
[東京 1日 ロイター] - 新年度相場は荒れ模様が続いている。いわゆる期初の売りと押し目買いが交錯。
日本株やドル/円JPY=EBSは方向感が定まらない。材料も、金融緩和と景気回復期待が綱引きをしている
状態だ。
グローバルな金融相場がベースにあるものの、株価には過熱感も強まっており、再び上値を追うには景気や
企業業績などの拡大に確信が持てることが必要となりそうだ。
<景気指標下振れでも、日銀緩和期待強まらず>
3月日銀短観は、売り材料として受け止められた。前回の12月短観では大企業・製造業DIはプラス12から
9に悪化するとの予測であったため、3月のプラス12は底堅いとも評価できた。しかし、相場調整色が強まる
中で「強気を取り戻す強い材料が期待されていた」(国内証券)といい、市場予測値のプラス14を下回った点
が嫌気された。
日経平均.N225には徐々に売りが強まり、一時250円超下落して1万9000円大台を割り込んだ。ドル/円
も株安の動きにつられて119円台半ばに下落。10年長期金利JP10YTN=JBTCも低下し、新年度初日の
東京市場は、典型的なリスクオフ方向の動きとなった。
金融緩和をベースにした金融相場が今の強気相場の「正体」であるならば、悪い経済指標や企業業績は追加
緩和を期待させるプラス材料であるはずだ。しかし、今回の日銀短観では市場予想から下振れしたにもかかわ
らず「日銀の追加緩和期待は、盛り上がらなかった」(邦銀)という。
自民党の山本幸三衆院議員がロイターのインタビューで、追加緩和のタイミングとして4月30日の会合が「良い
タイミング」と指摘したことが、投機筋のショートカバーを誘ったとの指摘もあったが、市場では「後付け的な材料
であり、追加緩和期待がこれで強まったわけではない」(大手証券トレーダー)との見方が多い。
<「金融・業績相場」>
金融相場でありながら、金融政策動向にそれほど市場が神経質になっていないのは、「利上げが迫る米国と
違い、日銀の追加緩和にはまだ時間がかかる」(アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏)とみられて
いるからだ。
3月日銀短観がそれほど悪い内容ではなかったこともあるが、「統一地方選を控え、さらなる円安をもたらしかね
ない追加緩和は行いにくいほか、米国側でもドル高への懸念が強まっている」(国内投信)ことも、日銀の緩和
期待が盛り上がりにくい背景だ。
物価は原油安の影響で日銀目標の2%から遠ざかっているが、黒田東彦日銀総裁は、原油安のプラス効果が
働いていずれ景気や物価を押し上げるとの見方を崩していない。3月31日の衆院財務金融委員会でも、総裁
は「原油がどんどん下落しなければ、15年度後半から物価上昇率は加速する」と説明した。
今の相場は「金融相場」ではあるが、金融政策動向への感応度が低下。金融緩和環境はしばらく続くとの見通
しを前提に、どこまで景気や企業業績が拡大していけるかという点が焦点になるという業績相場の性質が加わっ
ているところに特徴がある。
市場では「金融・業績相場」(日本アジア証券グローバル・マーケティング部次長の清水三津雄氏)と名付ける
声もある。
<年度替わりの需給要因>
相場が荒れるもう一つの要因としては、年度替わりに伴う需給的な要因もある。日本株市場では、益出しとみら
れるいわゆる「期初の売り」が出ているという。「ETFを保有していた地銀などが利益確定のために売りを出し、
それを受けた証券会社は、現物を手当てするには時間がかかるためいったん先物を売っている」(外資系証券ト
レーダー)という。
3月までの上昇相場をけん引してきたエーザイ(4523.T: 株価, ニュース, レポート)など医薬品株が1日の市場
では値下がり率上位となるなど、利益確定売りが出ている可能性が大きい。 -
一方で、押し目買いが入るなど、出入りの激しい相場となっている。日経平均ボラティリティ指数が約2カ月ぶり
に一時24台を付けたほか、東証1部売買代金も連日3兆円に迫る商いだ。
ただ、こうした利益確定売りの強まりは、国内勢だけではないようだ。前日31日の海外市場では、米ダウが200
ドル超の下落となっただけなく、欧州でもドイツ株が0.99%安、フランスが0.98%安となった。日本株の先物
手口でも、グローバルマクロ系ヘッジファンドの注文を扱うといわれている証券会社が、目立ち始めている。
ドル/円でも、「4月に入りいったんドルロングポジションを手仕舞うという動きが出ている」(邦銀)という。
次の焦点は3月米雇用統計だが、調整局面の中では、上振れよりも下振れの方が警戒されるという。「米経済は
、雇用が良くて他はまちまちというのが今の市場の認識だ。雇用が良いとしても市場の認識は変わらないが、
悪ければ、雇用さえも悪いのかとリスクオフに動くかもしれない」と三井住友信託銀行・為替セールスチーム長の
細川陽介氏は話している。 -
冷水浴びた高揚感 日米、2つのマイナス材料 スクランブル
2015/04/02 02:00 日経速報ニュース 1202文字
新年度入りした1日、日経平均株価は大幅続落した。「日本企業が変わる」との期待に支えられて
2万円に迫った3月中旬までの高揚感は影を潜め、市場では様子見ムードが強まる。その底流には
楽観シナリオの修正を迫る日米発のマイナス材料がある。相場の過熱感が和らいできた一方で、
先行きが読みにくくなってきてもいる。
「法人減税が企業に投資を促す。そんなシナリオの実現に疑問符を突きつけた」。朝方に日銀が
発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)をみて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の
藤戸則弘氏は目を疑った。
注目していた2015年度の大企業(全産業)の設備投資計画は前年度比1.2%減。約0.5%程度の
プラス予想から一転してマイナスに沈んだ。新年度入り直前の3月調査は慎重になりやすいのを
考慮しても、マイナス転落の衝撃は小さくなかった。設備投資の恩恵を受けるキーエンスや牧野
フライスが約2%安と売られた。
両社は3月中旬に高値を付けた点が共通する。こうした国際優良株ほど下げがきついのが、最近
の日本株相場の特徴でもある。トヨタ自動車も1日は大幅に5日続落し、この間の下落率は5%に達した。
新年度入りを迎え、市場では「地銀が投資利益を早期に一部確保するために大型株に売りを出す」
との観測が駆け巡った。これをかぎつけ、「ヘッジファンドがいち早く売りに回った」。みずほ証券
の菊地正俊氏はそう証言する。
楽観論が勢いを失っているのにはもう一つの理由がある。震源は米国だ。前日のニューヨーク市場
でダウ工業株30種平均は大幅に反落し、昨年末比で再びマイナスになった。
調査会社トムソン・ロイターが集計した市場予想では、米主要500社の1〜3月期の純利益は前年同
期比3%の減益だ。ドルの独歩高で、輸出関連企業を中心に収益鈍化が鮮明になりつつある。4〜6
月期も減益見通しで、米国株のけん引役が見出しにくい。
「6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げには根強い根拠がある」。1日の市場ではリッチ
モンド連銀のラッカー総裁の発言も伝わった。3日発表の3月の米雇用統計で雇用者数や平均時給
が市場予想を上回れば、「9月予想が大勢の米の利上げ時期が6月に前倒しになるのではないか」。
こんな警戒感が株式売りを助長した面も見逃せない。
ただし、楽観論の修正は必ずしも悲観への転向を意味しない。「これまでの株価の上昇ペースは
あまりに速く、健全な調整ではないか」(BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンの王子田賢史氏)。
買いが買いを呼ぶ中で醸成された市場の熱狂は冷ます必要がある。長期保有を前提とした投資家か
らは、こんな冷静な声も聞かれる。
業績拡大だけでなく、株主還元なども含めて「日本企業はもっとよくなる」との期待に引っ張られてきた日本株。期待がどこまで現実に変わるかが、15年度の日本株相場の強さを決定づける。(川上穣) -
ゆうちょ銀、外債・株投資3割増、17年度60兆円、日本郵政の中期計画。
2015/04/02 日本経済新聞 朝刊 1ページ 721文字 書誌情報
株式上場を目指す日本郵政は1日、2015年度からの中期経営計画を発表した。傘下のゆうちょ銀行は
17年度に外国債券や株式への投資を現状より3割多い60兆円とし運用収益を増やす計画だ。日本郵便
の宅配便「ゆうパック」事業の黒字化は1年遅れる。外債や株などのリスク投資を増やし上場後のグループ
の収益を下支えする狙いだ。(関連記事5面に)
日本郵政の株式上場(3面きょうのことば)は今秋の予定で、3月31日に東京証券取引所に上場の予備
申請をした。
グループの収益の大半を稼ぐゆうちょ銀は200兆円超の運用資産のうち100兆円超を国債で運用する。
3月末時点でのリスク資産投資は31・6兆円の外債、約2兆円の株式など合計46兆円だが、向こう3年で
14兆円積み増す。
日銀の異次元緩和に伴う金利低下でゆうちょ銀の国債での運用収益は今後悪化するのが確実な情勢だ。
リスク資産投資拡大により収益を下支えし、17年度にはゆうちょ銀で3300億円の純利益を確保。14年度
見込み(3500億円)とほぼ同水準の利益を維持したい考えだ。
親会社の日本郵政の17年度の連結純利益は14年度の見込みに比べ7%多い4500億円を見込む。
かんぽ生命も新規契約を増やすなどして、800億円の純利益を確保する計画だ。
一方、日本郵便は15年度中を目指していたゆうパック事業の黒字化を16年度に持ち越した。競争激化
で立て直しが遅れているためで、豪物流大手のトール・ホールディングスの買収をテコに国際物流分野を
拡大し事業再建を急ぐ。
日本郵政は傘下のゆうちょ銀とかんぽ生命とあわせ合計3社の株式を同時に上場する計画だ。上場の
成功に向け、グループの成長戦略をどう描くかが課題になっている。 -
経済の好循環、広がりに貢献」、佐藤全銀協会長が就任。
2015/04/02 日本経済新聞
全国銀行協会の会長に1日付で就任した佐藤康博氏(みずほフィナンシャルグループ社長)は
同日の記者会見で「日本経済の好循環の広がりに貢献する1年にしたい」と今年度の抱負を述べた。
その上で「日本経済の回復を確固たるものにするため、金融機関として取るべきリスクは取る」と
意気込みを語った。
重点的に取り組む分野として、中小企業への積極的な融資など「成長機会を創出する金融仲介
機能の発揮」、サイバー攻撃への対応など「金融インフラの高度化」を挙げた。 -
ずほFG:米国でRBSから最大200人規模の採用を検討
2015/04/06 16:23 JST
(ブルームバーグ):みずほフィナンシャルグループ は、米国拠点で英銀ロイヤル・バンク・オブ・
スコットランド(RBS)から最大200人規模の人員を採用する計画だ。関係者が明らかにした。同社
は2月にRBSから北米の優良企業を中心とした貸し出し債権を30億ドルで取得することで合意していた。
関係者によれば、みずほは米国でRBSの債権に関連する130−200人規模で採用する方向で交渉
を進めており、最終的な採用人数については未定という。
みずほは2月にRBSから優良企業向けの32億ドル(約3810億円)を含む約200社の債権・与信枠の
総額約365億ドルを取得すると発表した。今後は融資だけでなく、社債の引き受けなど投資銀行業務
を強化し、海外業務からの収益を拡大する狙いだ。
みずほ広報担当の田中理一郎氏とRBS広報責任者(東京)の吉次厚子氏はコメントを控えた。
RBSからの採用については、米国の債券引き受け業務を含む債券資本市場(DCM)の責任者も含ま
れていると、ロイター通信が先に伝えていた。 -
【市況】伊藤智洋が読む「日経平均株価・短期シナリオ」 (4月7日記)
日経平均株価は、円安やNYダウ上昇から、本日の価格が一段高となると考えられますが、
現在が調整の途中なら、本日の価格が上げても、3月31日の高値1万9607円前後で上値を
抑えられて、すぐに反落すると考えられます。
本日の価格が3月23日の高値1万9778円へ接近するか、ここを上回ったとしても、新たな
上昇開始という見方よりも、ボックス型の保ち合いや、右肩上がりの短期の天井型の形成の
可能性の方を重視します。 -
【市況】伊藤智洋が読む「日経平均株価・短期シナリオ」 (4月8日記)
日経平均株価は、昨日の価格が3月31日の高値1万9607円を前に上値を抑えられなかったことで、
目先的に3月23日の高値1万9778円を超える可能性が出てきました。
ただ、この動きは、1万9778円を大きく上回る地点(2万1000円)を目指す新たな上昇の流れではなく
、3月23日以降が調整を継続する過程で、ジグザグに振れているだけだという見方が有力です。
以前、5月の調整が早めに来たと書きましたが、押し目をつける時期は、変更前の5月と考えていた
方がよさそうです。
今後は1万9778円を超えて、さらに大きく上値を試す流れへ入らず、1万9778円以上の上値の重さ
を再確認する作業になると考えられます。 -
株、重い腰上げ始めた個人 投信好調に胎動、「爆買い」も追い風
2015/04/08 12:23 日経速報ニュース 1182文字
8日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、3月23日につけた約15年ぶりの高値を上回る
場面もあった。外国為替市場で1ドル=120円台まで進んだ円安などを背景に日本企業の収益拡大が
続くとの期待は根強い。消費増税後に足踏みしていた景気にも持ち直しの兆しが出始め、投資家心理
が強気に傾いた。
「重い腰が上がり始めた」。日本アジア証券の清水三津雄エクイティ・ストラテジストは、日本株相場に
生じた胎動を感じた。値動きとは反対の「逆張り」を好む個人投資家。相場が上昇基調を強めた2月から
ほぼ一貫して売り越してきたが、日経平均が2万円に迫るここに来て買い意欲を急速に高めているという。
8日の市場で話題に上ったのは、野村アセットマネジメントが3日に設定した投資信託「日本企業価値向
上ファンド」だ。1057億円で運用を始めた同ファンドの資産総額は7日時点で1444億円まで拡大。わずか
3日で4割近く増えた。短期間でこれほど資金が流入するのは珍しく、個人を中心とした物色意欲の強さを
示す証左と受け止められた。
投資家心理を強気に傾ける一因は、停滞していた景気に回復の兆しが現れてきたことだ。8日付の日本
経済新聞朝刊は「日用品や化粧品のメーカーが訪日外国人らに人気がある商品を相次いで増産する」と
報じた。生産投資にまでつながる「爆買い」の影響力を示し、「景況感を強気に傾ける刺激となった」(清水
氏)という。
個人消費と並ぶ日本経済の柱である設備投資は持ち直しつつある。1月の機械受注統計によると、受注
残高(船舶を除く)は比較可能な2005年度以降で最高水準まで拡大。大和総研の長内智エコノミストは「15
年1〜3月期の国内総生産(GDP)で設備投資は増加に転じる」とみる。
設備投資をけん引するのはインバウンド消費だけではない。製造業の国内回帰の影響も大きい。パナソニ
ックが電子レンジなど一部白物家電の生産拠点を国内へ移転。ダイキンがエアコンの国内生産を増やし、
「生活家電を手掛けるツインバードは、金額ベースで売上高の1割弱にとどまっている国内生産を16年2月期
に2割以上へ引き上げる」(1日付の日本経済新聞朝刊)という。
電機メーカーの多くは海外で生産した製品を国内販売に充てていたが、円相場の下落で輸入コストが上昇。
国内生産の相対的な競争力が増し、回帰を進めているというわけだ。長内氏は「現地需要に対応するための
海外生産の拡大はあるが、国内分の生産までをも海外に移す空洞化は是正される」と分析。真の意味での
「地産地消」が実現するとみる。
日銀による金融政策決定会合の結果発表を控えて模様眺めムードが広がりやすい中でも堅調に推移した
日経平均。景気の先行きに懐疑的な見方も残るとはいえ、2万円の大台回復に向けて着実に歩を進めている。
〔日経QUICKニュース(NQN) 増永裕樹〕 -
コラム:日本株、長期保有が報われる上昇相場へ=武者陵司氏
[東京 8日] - 日本株について今、投資家が持つべき一番重要な認識は、短期の循環相場から長期の
上昇相場に大きく転換した可能性が高いという点である。換言すれば、1―2割程度の価格変動があれば
売買する方が得策だった局面から、「バイ&ホールド(長期保有)」が報われる公算が大きい新局面に移っ
たと言える。
まず日経平均株価は4月中に2万円を超えていく可能性が濃厚だ。当面は1月以降の急速な上昇を受けた
一進一退の調整局面が続くだろうが、ファンダメンタルズで見て、目下のところ、日本株を売らなければなら
ない理由は見当たらない。第一の根拠として、2015年度の国内景気見通しが極めて明るい点を挙げておき
たい。
昨年度に8兆円の購買力を消費者から奪った消費増税というマイナス要因が今年度はなくなるうえ、原油安
が家計購買力を大幅に高める。年間26兆円の化石燃料輸入代金が4割価格低下すれば、10兆円のメリット
がもたらされる計算だ。
また、昨年度までの日本経済は、好調な企業収益だけが先走りしていた感があったが、今年度はいよいよ
経済活動全般への好循環が起こると見ている。理由は明快で、物価上昇率を大幅に上回る賃金上昇が期待
できるからだ。この実質賃金の改善期待も当然、消費の押し上げ要因となる。購買力が高まり、需要が押し上
げられ、2015年度の実質国内総生産(GDP)成長率はおそらく2%を超えてくるだろう。
このような経済ファンダメンタルズ面の好転を考えれば、日本株の行方をいたずらに悲観する方がどうかしてい
ると言えよう。
<株高を支える日本企業のビジネスモデル転換>
そもそも日本株高の必要十分条件は満たされている。株価水準がフェアバリュー(適正価格)に対していまだ
極端に割安であることは必要条件。一方、それを是正するための、安全資産からの資金移動が起こる素地が
アベノミクスによって整ったことは十分条件だ。
こうした見方に対しては、原油安による物価押し下げで日銀の2%インフレ目標の実現が遠のいているでは
ないかとの悲観論が聞こえてきそうだ。
確かに、黒田日銀が掲げた「2年程度」という時間軸目標の達成は、原油安などの特殊要因によって難しく
なった。しかし、原油安には、前述した通り景気の押し上げ効果がある。これが顕現化してくれば、年後半に向け
ては景気拡大を伴って物価も上昇してこよう。当初目標より物価上昇ペースは緩やかになるとしても、デフレから
インフレへの転換は順調に進み、株価を押し上げる推進力になっていくと考える。
ちなみに、日米の歴史的大相場を振り返れば、値上がり幅は最大で10倍、最低でも5倍に達していた。今回は
まだ2012年11月のアベノミクス前夜のボトム(日経平均8600円近辺)から2倍強しか上昇していない。
5倍ともなれば、4万円超への上昇を意味する。
むろん4万円はバブル期の1989年12月につけた史上最高値(終値ベースで3万8915円)を更新する水準
だが、米英独などで主要株価指数がそろって史上最高値を更新している状況下では、長期的視野に立てば、
けっして違和感のある相場展開ではない。また、そこまで行かずとも、長期金利見合いのフェアバリューからすれ
ば、日本株は3万円になっても不思議ではない。
では、なぜ日本株が長期上昇トレンドに入ったと考えるのか。最大の理由は、日本企業のビジネスモデル、言葉
を変えれば価値創造のパターンが大きく転換したことだ。
日本企業は今ふたたび、十数年ぶりに極めて好調な業績を上げているが、この状況をもたらしたのが、低価格・
大量生産をベースとする、かつてと同じビジネスモデルであるわけがない。高い技術力と高い品質に見合った
対価とそれを受け入れる市場・顧客の開拓に成功したからこそ、多くのセクターで企業業績が拡大していると
考えるべきだ。つまり、価値創造の源泉が価格競争から品質・技術に根差した価格設定力に完全にシフトした
からこそ、過去最高の企業収益が達成可能となったのである。 -
確かに、日本企業はスマートフォンや薄型テレビといった、パッと見、華やかな分野では明らかに競争力を失い
、世界市場でのプレゼンスを急低下させている。だが、それでも、モノ作りの分野で優良な日本企業がいまだ数多
く存在し得るのは、そうした商品を作るのに不可欠な、中核部品・材料・装置などの分野で圧倒的な強みを持っ
ているからだ。ファナック(6954.T: 株価, ニュース, レポート)のロボットなどは、まさにその典型例だろう。
また、日本企業のこの新たなビジネスモデルは、日本で作って輸出するのではなく、需要があるところで雇用を
創造し、そこでモノを作ってビジネスをしていくというものだ。もはや貿易摩擦といった軋轢からは無縁であり、日本
企業はかつてのような「嫌われ者」ではない。むしろ、共存共栄のパートナーとして歓迎される存在となった。この
ような大きな変化が日本企業の成長の限界を取り払い、今後も日本株高トレンドを支えていくと思われる。
<「米利上げ=量的緩和終焉」の誤解>
長期株高トレンドをもたらす要因はほかにもある。先進国では今、空前の技術革新が進んだ結果、企業活動に
必要な労働や資本の投入量がどんどん節約できるようになっている。そのため、日米欧が共通して遭遇している
困難に、技術発展(あるいは好調な企業収益)とは裏腹に、経済資源のスラック(余剰)がどんどん大きくなって
いることがある。
そして、この困難を解決する重要なカギが、余剰の労働と資本を活用した需要創造であり、その需要創造政策の
根幹を担うのが量的金融緩和である。今、この量的緩和が世界の株価を押し上げる推進力となっている。
このうち、先進国の中でいち早く経済が立ち直りつつある米国の金融政策は引き締めに向けた転換点にあると
言われるが、「利上げ=量的緩和の終焉」と決めつけるのは間違いだ。米連邦準備制度のバランスシートは
増加こそしていないものの減少局面に転じたわけではない。フローの量的緩和第三弾(QE3)こそ昨年10月に
終了したが、ストックベースの緩和効果は持続しているのだ。
また、たとえ最初の利上げが今年半ば以降に実施されたとしても、前述した労働や資本のスラックを念頭に置け
ば、その後の利上げペースが性急なものになるとはまず考えにくい。むしろ、景気や株価に悪影響が出れば、
逆に新たな緩和策が即座に打たれる可能性もあると考えている。
加えて、そもそも米国を除く主要国の大多数は緩和強化のまっただ中にある。グローバルに見た流動性供給は
依然として大きく増加していく局面に変わりない。むろん、中国などの金融緩和は長期的視野に立てば健全とは
言えないが、少なくとも「米利上げで株価急落」というシナリオは、株を売りたい人たちの口実に過ぎないのである。 -
外国人、金利形成に影響力増す 国債買越額が17倍の14.5兆円に
2015/04/08 10:42 日経速報ニュース 924文字
海外投資家の日本国債への投資が加速している。財務省が8日発表した「対外及び対内証券売買契約
等の状況」によると、外国人投資家は2014年度に日本国債を14兆4989億円買い越した。買越額が過去
最高だった10年度の15兆4819億円以来4年ぶりの大きさで、13年度の8447億円に比べ17倍に膨らんだ。
世界的に金利低下が進んだ結果、相対的に日本国債の魅力が上がった。特に欧州からの資金流入が目立
っている。
日本国債に資金が流入したのは国債利回りが世界的に急低下したためだ。欧州では14年度を通じて主要
国の利回り低下が進み、ドイツやオランダなどでは残存期間が短い国債のマイナス利回りが常態化している。
その結果、欧州からのマネー流入が加速。欧州の投資家による昨年4月から15年2月までの日本国債の
買越額は13年度通年と比べ約4割増え、過去最高水準になっている。ウクライナを巡る米ロの対立やイスラム
過激派の台頭など地政学リスクが高まるなか、日本国債には「安全資産」としての需要も増している。
日本国債へのマネー流入が続いているため、海外投資家の日本国債の保有比率も上昇している。日銀の
資金循環統計によると、昨年12月末時点の保有比率は9.3%と、統計をさかのぼれる1997年12月末以降で
最高となった。外国人投資家の存在感は年々増しており、日本の金利形成において無視できない存在に
なっている。
海外投資家の日本国債への投資が増えるとどうなるのか。まず国債の安定消化への貢献が期待できる。
一方で相場を不安定にしかねない側面を指摘する市場関係者も多い。岡三証券の鈴木誠債券シニア・スト
ラテジストは「外国人の保有が増えることで、金利が乱高下する可能性が高まっている」と指摘する。海外の
金融・経済情勢で国内金利が振れやすくなるほか、日本の財政への懸念が高まった時に「金利が急騰する
リスクが増す」(鈴木氏)。
日銀が13年4月に異次元緩和を開始して以降、国債市場の参加者は日銀の動向ばかりに気を使ってきた。
外国人投資家の存在感が増すにつれ、日本の財政問題に対する海外の視線なども今まで以上に考慮に入
れる必要がありそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 谷翔太朗〕 -
市場、2ケタ増益を期待、日経平均、再び2万円台うかがう、欧米と比べ割安感。
2015/04/09 日本経済新聞 朝刊
8日の東京株式市場では日経平均株価が続伸し今年に入ってからの高値を更新した。2000年4月以来、
約15年ぶりの高値水準となり、2万円の大台に迫っている。市場では企業収益の拡大への期待が高まって
おり、15年度に日本の上場企業は1〜2割の増益になると予想する。企業収益の減速が予想される米国と
比べ日本株に資金が向かいやすくなっている。
8日の日経平均の終値は前日比149円(0・76%)高の1万9789円だった。上昇の背景にあるのは好調
な企業業績だ。証券各社は現時点で15年度は2ケタの経常増益になると予想する。
野村証券は主要250社ベースで前年度比16%の増益、ゴールドマン・サックス証券は東証1部ベースで
2割近い経常増益を見込んでいる。大和証券が東証1部上場企業の証券アナリストの業績予想を集計した
ところ、純利益でも15%近い増益が見込まれていた。
けん引役は自動車や電子部品などの輸出企業だ。円安による輸出採算の改善に加え、米国をはじめとした
世界景気の緩やかな回復で販売数量が伸びる。トヨタ自動車の16年3月期のアナリスト予想は前期の会社
計画に比べて税引き前利益が15%増と、過去最高益の更新が期待されている。
苦戦していた企業の業績も回復を見込む。ソニーは不採算事業のリストラが一巡し、大幅な増益を予想する
声が多い。小売りなど内需企業も「価格転嫁の浸透で好業績が期待できる」(野村証券の伊藤高志エクイティ
・マーケット・ストラテジスト)という。
企業収益が伸び悩むのが米国だ。米調査会社トムソン・ロイターによるとS&P500種採用企業の1株利益
は、15年度に1・7%の伸びにとどまる。石油関連企業の悪化に加え、ドル高が逆風だ。これから本格化する
1〜3月期決算を前に市場予想は急速に減額修正されており、投資家の警戒感が高まっている。
欧州株は欧州中央銀行(ECB)による量的緩和をきっかけに株価の水準を示す予想PER(株価収益率)が
切り上がり割安感が乏しくなった。米国株のPERも高止まりしている。これが「日本株は好業績が見込める上に
株価の割高感もない」(米プリンシパル・グローバル・インベスターズのジム・マコーガン最高経営責任者)との
評価になり、海外から資金を呼び込んでいる。
4月下旬から15年3月期の決算発表が本格化する。会社の期初計画は保守的になりやすく、市場の期待に
届かない可能性がある。大和証券の鈴木政博シニアクオンツアナリストは「決算が始まると失望売りも出て
きそうだ」と指摘していた。 -
二極化相場の危うさ―消費関連「買われ過ぎ」の声も(スクランブル)
2015/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1225文字 書誌情報
8日の日経平均株価を年初来高値まで押し上げたのは、食品や小売りなど消費関連株だった。海外からの
まとまった買いが途切れず、上値の重い自動車など輸出株をよそに上昇が止まらない。株価指標でみた割高
・割安の差が開く二極化相場の様相が一段と強まってきた。物色の偏りに危うさを覚える市場関係者も増えて
いる。
「バスケット買いが相場を押し上げている」。8日、ある大手証券のディーラーは株高の背景を顧客に解説する
のに追われた。3月末以降、海外投資家から複数の銘柄をまとめて注文するバスケット買いが目立って増加し
ているという。
□ □
まとめ買いの中軸は食品や日用品、医薬品のようだ。8日には江崎グリコが6%高、資生堂が5%高、塩野義
製薬が3%高と、内需系銘柄が相次ぎ年初来高値を更新した。
なぜ内需株なのか。読み解くカギの1つが、海外の市場関係者の間で広がっている「ボンド・プロキシー(債券
代替)」という流行語だ。欧州でも量的金融緩和が始まり、今や財政が弱いポルトガルやスペインの2年債です
ら金利はマイナスだ。債券代替は、安全資産で利回りを得られなくなったマネーが投資先を株式に求める動き
を指す。
本来、元本割れのリスクが高い株式は債券の代わりにはなり得ない。次善策として、現金収支(キャッシュ
フロー)が安定し配当利回りが高く、値動きが小さい株が選ばれ、世界的にヘルスケアや公益株などが買われ
やすくなっている。
UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジストは先週、米国に出張した際、実際にそうした動きを感じたと
いう。保険会社や年金など日本株への関心を高めている投資家は「債券の代替を意識して、まず値動きの
安定した銘柄を買う傾向がある」と話す。
気がかりなのは、日本の内需株に債券代替では説明できないほど割高な銘柄が続出していることだ。
□ □
2015年度の市場予想ベースのヤクルト本社のPER(株価収益率)は50倍弱。仏ダノンは20倍強だ。
SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリストは「値上げで利益率は改善しやすく、景気も欧州より良い。
買われる理由はある」としたうえで「それにしても高い」とため息をつく。
一方、トヨタ自動車や富士重工業は8日、証券会社による投資判断の引き下げを受けて下落した。PERは
10倍前後と独フォルクスワーゲンなど海外のライバルと変わらないが、買いは向かいにくい。
割高な株がさらに上がる展開に、国内の運用者の表情は総じてさえない。三井住友アセットマネジメントの
小林洋シニアファンドマネージャーは「従来の常識が通用しない。デフレ脱却による劇的な利益率改善まで
現時点で織り込むのはどうか」と首をかしげる。
UBSの大川氏は、内需株の買われ過ぎについて「潜在的需要が強く、堅調は続くだろう」と読む。今の
ブームが正当化されるには賃上げや物価上昇の裾野が広がるのが条件になるだろう。期待が裏切られれば
、マネーは逆回転しかねない。(松崎雄典) -
株、先物主導で相場上昇、裁定買い残、4カ月ぶりの高水準、解消売り圧力には警戒も。
2015/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1266文字 書誌情報
株価指数先物への買いが現物株相場を押し上げる構図が鮮明になっている。東京証券取引所の集計に
よると、先物主導の上昇時に積み上がる裁定取引に伴う現物株買い残高は約4カ月ぶりの高水準に膨らん
でいる。10日の株価指数オプションの決済に絡んだ思惑もあって足元でも先物買いは活発で、8日の日経
平均株価の年初来高値更新に一役買ったようだ。
東証が8日に発表した3日時点の裁定取引に伴う現物株買い残高(期近・期先合計)は、前の週に比べて
2769億円増の3兆4762億円だった。増加は3週連続で、2014年12月以来の高水準となった。
裁定買い残は1月に約2年ぶりの低水準をつけたのを底に、株価に歩調を合わせてほぼ一本調子で増えて
きた。背景にあるのは根強い日本株の先高観だ。
シティグループ証券のアレックス・ミラー氏は「先週からグローバルマクロ系のファンドの買いが入り始めた」
と話す。4月下旬の決算発表シーズン入りを控え、「企業統治改革や株主還元強化などへの期待感が高ま
っている」(ミラー氏)。相場全体の底上げ期待から先物への資金流入が増えやすくなり、裁定取引を誘発する
構図だ。
今週に入ってからは、10日のオプション4月物の決済値算出にからんで、「コールオプション(買う権利)の
買い手が1万9750円などの権利行使価格を意識して株価を押し上げようと先物買いに動いている」(三菱
UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)という。決済に適用する特別清算指数(SQ)が権利行使価格
を上回れば、コールの買い手は利益を上げられる。
こうした先物買いの需要が増えた結果、現物株に対して先物が一時的に割高になる局面が増えている。
その結果、割高な先物を売って割安な現物株を買う裁定取引が膨らむ。先物主導で現物株相場が押し上げ
られる典型的な動きで、今週に入っても裁定買い残はさらに増えているとみられる。
先物主導で下げる局面では、裁定取引が解消され、現物株に売り圧力がかかって相場の振れ幅を広げる
要因になる。「日経平均2万円を『ゴール』と見る投資家が多い」(楽天証券経済研究所の土信田雅之氏)だけ
に、達成感などから先物の利益確定売りが増え、現物株に反動が波及する懸念はある。
もっとも、市場関係者の間では、今の裁定買い残の水準は「まだ警戒するほどではない」(みずほ証券の
三浦豊氏)との見方も多い。経験則では「買い残が東証1部の時価総額の1%程度まで膨らむと株価が大幅
な調整に見舞われる傾向がある」(三浦氏)。時価総額比は現状、0・6%程度にとどまっている。
▼裁定取引と買い残高 裁定取引とは、割高になった株価指数先物を売る一方で現物株を買い、将来、両者
の価格差が縮んだところで反対売買する手法を指す。この取引に伴う現物株の買い持ち高が裁定買い残だ。
裁定取引は短期筋などの先物買いが先行し、現物株との価格が開きやすい局面で増える傾向がある。将来
、利益確定の反対売買が入るため「仮の買い需要」の側面があり、裁定買い残の水準や増加ペースは需給
要因として注目される。 -
中長期債の買越額最高、海外勢、世界的な低金利で、14年度。
2015/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 729文字 書誌情報
海外投資家による国内の中長期債への投資額が、統計がさかのぼれる2005年度以降で最高の買い
越し水準となった。財務省が8日に発表した統計によると、海外投資家は14年度に国内の中長期債を
10兆3783億円買い越した。欧州を中心とした世界的な金利低下が、日本国債への投資を後押ししている。
海外投資家の日本の中長期債の買越額は06年度に10兆132億円を記録したが、それ以降は減少
基調にあり、13年度は2兆5千億円の売り越しだった。「2年前は米国の金融政策が変化の時期を迎えて
おり、リスクを取りづらい状況でもあった」(国内銀行)ことなどが理由だった。
月ごとに見ると、14年度は9月の約2兆4千億円が最大の買越額だった。8月下旬の欧州中央銀行
(ECB)のドラギ総裁の発言をきっかけに追加緩和への期待が広がり、ドイツなど欧州主要国の長期金利
は軒並み低下した。当時はウクライナ情勢を巡る地政学リスクも高まっており、債券に資金が流入しやすい
地合いだった。
欧州金利はドイツ国債が足元で7年物までマイナス金利となっており、10年物国債の金利も0・2%を大き
く割り込む。フランスの10年物国債も0・5%を割る水準まで低下している。
ECBが昨年導入したマイナス金利によって投資家側の調達金利も低下してきており、利ざやが稼ぎやす
い状況にもなっている。
15年度も「勢いは弱まるが買い越し基調は続く」(東海東京証券の佐野一彦氏)との見方が多い。昨年は
1年間で20円近く円安が進んだが、今年はその勢いは弱まってきている。
「海外投資家からすれば急激な円安が考えにくくなったことで、為替リスクを過度に考えずに投資できる
環境になっている」(三井住友銀行の宇野大介氏)との指摘もある。 -
日本の銀行、海外事業拡大で中国の銀行より積極的−IMF
2015/04/08 22:30 JST
(ブルームバーグ):日本の銀行 は世界的な金融危機以降、海外事業拡大に中国の銀行より積極的に
取り組んできたと国際通貨基金(IMF)が指摘した。IMFはまた、両国の銀行の手法の違いにも言及した。
IMFは8日公表した世界金融安定報告の分析編で、欧米勢がアジアでの展開を縮小する中で、日中両国の
銀行は強力なバランスシートをてこに海外での成長機会をつかんできたと分析。ただ、邦銀勢の方がより大規
模な拡大と事業の多角化を果たし、資金調達面の脆弱(ぜいじゃく)性を減らしたとしている。
IMFによれば、国内での成長の展望が限られていることで、日本の3大銀行は2013年に実施した融資のうち
、海外向けの占める割合を31%余りと09年の18%から増やした。中国の銀行の海外融資の割合は同期間に
6.1%から9.2%に増えたという。
中国の銀行が自国の顧客に追随する形で海外にオフィスや支店を開設してきたのに対し、日本の銀行は買収
によって海外に進出してきたともIMFは指摘。日本の銀行は12−14年に海外での銀行や資産運用会社の買収
に1兆円超を費やしたとしている。
IMFはまた、みずほフィナンシャルグループ など日本の銀行が手数料収入を増やすことで海外事業の収入源を
多様化しているのに対し、中国の銀行は中国企業の海外部門への融資による金利収入に頼っており、拡大余
地が限られる可能性があるとする。
中国の銀行の場合、預金を上回るペースで融資が伸びており、そのギャップを埋めるためにホールセール調達
への依存度が高まり、通貨および負債面の「ミスマッチ」のリスクを抱えていると分析した。
IMFによれば、中国4大銀行の海外融資の預金に対する比率は平均で過去5年に約1.5倍から2倍強に上昇し
た。このほか、中国の銀行の海外預金に対する海外負債の比率は09年から一貫して上昇しているという。一方
で日本の銀行では低下しているとリポートは指摘している。
みずほは今年、英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)から北米の貸出債権を取得すること
で合意。事情に詳しい関係者が今週明らかにしたところでは、みずほは米国事業拡大のため、RBSから約130人
を採用する。
IMFは「それぞれの国内の顧客の間で海外での事業拡大が増えており。日中両国の銀行にとってなおも潤沢な
成長機会がある」と締めくくった。 -
コラム:乱立する国際金融機関、「サブプライム危機」再来も
[ニューヨーク 7日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米国が住宅ブームの絶頂期にあったころ、借り手は一生
安泰に見えた。不動産価格が高騰するにつれ、最も信用リスクの高い人たちでさえ、簡単に融資を受けること
ができた。銀行は担保条件を緩め、所得証明書の提出も求めなかった。だが、こうしたやり方はうまくいかなかった。
サブプライムローン危機は、ある種の競争が行き過ぎたときに何が起きるかヒントを与えてくれる。サブプライム
ローンは収入以上の暮らしを求める消費者には素晴らしいかもしれないが、金融機関にとっては危険を招きかね
ない多大な譲歩を伴う。それが極限状態になったとき破綻が待っている。故に、新たな規則や融資基準が少な
くとも必要となる。
こうしたサブプライムローン危機と同じことが、世界的な経済開発資金で起きてもおかしくはない。ブレトンウッズ
協定により、欧米主導の世界銀行と国際通貨基金(IMF)が設立されて以降、この2つの機関が、危機にある国
や貧困脱却を目指す国への融資を担ってきた。
しかし現在、IMFと世銀の覇権は、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクロード基金、新興5カ国
(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)による新開発銀行などの台頭に直面している。
世銀のキム総裁は7日、米戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、「適切な基準があれば、AIIBや新興5カ
国が設立する新たな開発銀行は、貧困国や新興国の経済発展にとって大きな力となる可能性がある」と述べた。
しかしながら、米国のサブプライム危機が示すように、多国間融資の過当競争は、民間の体力を弱らせ、ガバ
ンスの悪さを助長し、貧富の差を潜在的に拡大させる危険がある。独裁的指導者が率いる貧しい国家が、最も
甘い条件で最高の融資を得るために、アジアの新国際金融機関を利用しようとするのは想像に難くない。
このように主張するのは主に米共和党議員だが、IMF改革への彼らの反対がほぼ間違いなく、中国を独自の
投資銀設立に向かわせたのは皮肉なことだ。
2016年の米大統領選に向け、7日に共和党指名候補争いへの立候補を表明したランド・ポール上院議員
(ケンタッキー州選出)は、4年前に上院選に出馬した際、世銀とIMFが「有用性を失い、世界経済の発展を損
なっている」として、米国は手を引くべきだと主張した。
ポール議員は、中国とインドが貧困から抜け出せたのは国内改革によるものであり、世銀の融資によってでは
ないと指摘。チリと韓国についても同様だとした。また、ひどい経済政策を取るアフリカ諸国に対する数百億ドル
規模の融資の一部は、改革を回避し「民主政治の発展を妨害する」ために使われたと批判した。
IMFに関しては、より金利が高く、より厳しい財政規律が求められる資本市場での調達から「腐敗した無能な政
権」を救ったと非難。政府や民間金融機関は救済を当てにするようになり、「無責任な行動」を助長したと述べた。
こうした考え方に基づき、ポール議員はIMF改革を可能にさせる条件を含むウクライナ支援案にも反対した。IMF
改革案は2010年に同理事会で合意されている。改革案には中国を含む新興国の出資比率を引き上げることが
含まれているが、米議会はまだ承認していない。
世界経済の実体を考慮すれば、こうした改革も当然のことだろう。IMFへの中国の出資比率は現在4%。中国の
3分の1の経済規模である英国を下回っている。改革案では、中国の出資比率が4%から6.39%に、ブラジル
も1.79%から2.32%に引き上げられる。ただしどちらの場合も、米議会調査局によれば、世界GDPに占める
割合から見れば、それでも低いという。
しかし米議会が改革案を承認しなければ、こうした変更は実現しない。米国が参加することなしに、中国はAIIB
設立に向け、わが道を突き進むだろう。世界で新たな「底辺への競争」がスタートした。 -
日本株ADR9日、売り優勢 みずほFGや日電産が下落
2015/04/10 05:31 日経速報ニュース 147文字
【NQNニューヨーク=古江敦子】9日の米国株式市場で日本株の米預託証券(ADR)は売りが
優勢だった。同日の日米株式相場はともに上昇したが、日本株ADRへの影響は限られた。
みずほFGと三井住友FG、三菱UFJといった銀行銘柄が下落。日電産、アドテストも下げた。
一方、オリックスとソニーは上昇した。 -
【市況】伊藤智洋が読む「日経平均株価・短期シナリオ」 (4月10日記)
日経平均株価は、本日の価格が寄り付き値で一段高となって2万円へ到達する公算です。
昨日書いた調整の途中の一時的な上げ、1万9778円以上が強く上値を意識されている状況という
見方が正しければ、本日は、寄り付き後での一段高の後、遅くても10時頃までに本日の高値をつけて
、下降を開始すると考えられます。
本日は、昨日の始値1万9851円以下まで下げて、足型で弱気の抱き線をつける展開になると見ています。
本日、10時以降に高値を更新する展開となるなら、調整の途中だという見方が間違っていて、現在が
2万1000円を目指す流れへ入っている可能性が出てきます。 -
日経平均2万円台、一時、15年ぶり回復、脱デフレに期待。
2015/04/10 日本経済新聞 夕刊 1ページ 1129文字 書誌情報
10日の東京株式市場で日経平均株価が一時2万円の大台を回復した。2000年4月以来、ほぼ15年
ぶりとなる。世界的な金融緩和であふれたマネーの流入が続いた。賃上げなど脱デフレの動きや公的年金
の買いといった日本固有の買い材料が海外勢をひき付け、株高のピッチの速さは世界の主要市場で目立っ
ている。(関連記事3面に)
日経平均は前日の欧米株高を受けて堅調に始まり、朝方に前日比68円高の2万0006円を付けた。その
後はいったん利益を確定する動きが出て、前日終値近辺で売り買いが交錯している。午後1時現在の日経
平均は30円19銭高い1万9967円91銭。
海外ヘッジファンドなど短期マネーが流入し、下げるとすかさず買いが入る展開となった。米国の利上げが
遅れ、緩和的な環境が続くとみてリスクをとる姿勢を強めているためだ。欧州などで金利が低下し、利回りを求
める資金が債券から株式に流れ込むなかで、日本株が選ばれている。
10日は前日に2015年8月期の業績見通しを上方修正し、秋冬商品の値上げを発表したファーストリテイリ
ングが買われ、上場来高値を更新。海外勢はデフレ脱却による小売りなど国内事業の採算改善を期待している。
百貨店など消費関連株に買いの動きが広がった。
公的年金など国内の投資資金が日本株に向かい出しているのも、海外勢が日本株を再評価する要因だ。
4月の新規設定の日本株投信に1000億円を超える資金が集まるなど、個人マネーがじわりと動き出している。
「国内投資家の売りを海外勢が吸収する一方だった需給環境が変わる」(英運用会社シュローダーズ)
円相場の安定も海外長期投資家の資金流入につながった。主にドル建てで運用する海外投資家にとって
円安は運用成績の目減りにつながり、急速な円安局面では日本株は買いにくかった。
それが今年は円が1ドル=120円前後で安定する中で株価が上昇し、ドル建てでみた日経平均は大きく
値上がりしてきた。今年のドル建ての上昇率は13%と、9%の独株式指数(DAX)、横ばいの米ダウ工業株3
0種平均を上回り、先進国で突出する。日本株を持たないことが運用上のリスクになっている。
デフレのなかで守りの経営を続けてきた日本企業が賃上げや投資、株主への利益配分に手元資金を使い
始めたのも見逃せない。「企業は資本効率を意識し始めた。待ち望んでいた大きな変化だ」(英運用会社ハー
ミーズ)との声がある。
円高や東日本大震災などの苦境が続き、世界の株式運用の中で日本株は投資対象から外されがちだった。
日本株の見直し余地は大きいとして、買い遅れまいとする動きが相場を押し上げている。 -
日経平均2年半で2.3倍、世界で突出、一時2万円台、急ピッチに警戒感も。
2015/04/11 日本経済新聞 朝刊
10日の株式市場で日経平均株価が一時2万円の大台を回復した。IT(情報技術)バブル期の2000年4月
以来、15年ぶりとなる。世界の金融緩和であふれ出た投資マネーが日本株に向かい、「アベノミクス」始動
からの2年半で海外投資家による日本株の買越額は18兆円に上る。株価水準は2倍以上、世界でも突出した
上昇率だ。(関連記事3面に)
金融緩和が起点
「2万円は株式運用に携わってから初めて。期待が先行しすぎなのではないか」。10日午前、31歳のアバディ
ーン投信投資顧問の窪田慶太インベストメント・マネジャーは点滅する株価ボードを前に戸惑っていた。
日経平均は2万0006円まで上昇したが、終値は前日比30円安の1万9907円に押し戻された。2万円近辺
での取引経験がない投資家も多く、大台乗せの高揚感と不安感が入り交じる。
株高の起点は日米欧など主要国の金融緩和だ。潤沢な資金が株式などのリスク資産の価格を押し上げ、日銀
の緩和は円安など複数の経路で企業収益にプラスに作用している。2012年11月14日に当時の野田佳彦首相
の解散宣言で始まった「アベノミクス」はデフレ脱却期待を盛り上げた。
8664円から2万円へ、日経平均は2・3倍になった。同じ期間で2倍になった中国、欧州中央銀行(ECB)の
金融緩和で5〜7割高となったドイツやフランスと比べても上昇率が大きい。金融緩和に加えて、日本の変化という
固有の材料も注目されていることが背景にある。
企業も動く
お金をため込む傾向が強かった日本企業が、海外企業の買収や株主還元に資金を使い始めた。2014年度の
業績は最高益水準。アベノミクスの後押しで稼ぐ力を高め、自力で投資マネーを引き付けることができるようになった
のだ。
円高やデフレに苦しんで投資対象から外され、「ジャパン・パッシング」と呼ばれた状況は様変わりした。「利上げ
目前の米国や債務問題がくすぶる欧州よりも、政治的にも安定した日本が選ばれるようになった」(みずほ総合
研究所の高田創チーフエコノミスト)ことで、年金基金や保険会社といった長期の投資家が少しずつ買うようになって
いる。
さらに14年度だけで5兆円以上を買った年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日銀など、公的マネーに
よる下支えも見逃せない。
ただ世界中を高速で行き交う投資マネーは容易に逆回転する。利上げに向かう米国経済の動向は市場の混乱
につながりやすい。緩和や米好景気、円安、株高による消費拡大の前提が揺らげば日本企業の収益成長にも
黄信号がともりかねない。
日経平均は昨年末の1万7450円から駆け足で水準を切り上げてきた。急ピッチの上昇に警戒感も出始めている。 -
銀行、カネ余り一段と、預金・融資の差、1年で12兆円拡大。
2015/04/11 日本経済新聞 朝刊 5ページ 581文字 書誌情報
銀行のカネ余りが一段と鮮明になってきた。日銀が10日発表した3月の貸出・預金動向で、融資と預金の
差が1年で12兆円(6・6%)広がり、過去最大の198兆円となった。融資の伸びは6年ぶりの大きさとなった
が、預金が融資より大幅に増加した。
預金は前年同月比3・9%増の622兆円となった。「老後の不安などから、高齢者が受け取る年金が貯蓄に
回っている」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)という。日経平均株価が一時、2万円を上回
るなど株価の上昇は続いているが、資金を積極的に運用しようとする動きは限られている。
融資は同2・7%増の424兆円。低金利で個人や企業にとっては借り入れを増やしやすい環境になった。ただ
、経済の回復は依然として緩やかで、預金の伸びと比べれば見劣りする。
銀行の今年2月時点の国債保有額は124兆円で過去2年で39兆円減った。代わりに増えているのは銀行
が日銀に預ける日銀当座預金で、2月時点の残高は112兆円と銀行の国債保有額に迫る。日銀当座預金の
利息は年0・1%で、現在の新発5年物国債利回り(0・095%)より高い。
より大きい利ざやを求め、体力のあるメガバンクは海外に積極進出している。経済成長余地の大きい東南ア
ジアなどの資金需要を取り込みたい考えだ。一方で、地銀はより金利の高い外債などでの運用に資金をシフト
している。 -
証券株が映す2万円後―貯蓄から投資の先行指標に(スクランブル)
2015/04/11 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1238文字 書誌情報
10日の日経平均株価は一時、2万円の大台に乗せた。15年ぶりの節目に証券会社のディーリングルーム
は歓声に沸いたが、肝心の証券株は出遅れている。相場の波に乗り切れないのは、証券各社が顧客資産を
積み上げ収益を安定させる方向にかじを切っていることが大きい。「貯蓄から投資」の流れに乗れるか。証券株
の行方は2万円後を占う指標となる。
日経平均が2万円を付けたのは午前9時7分。前日から下げる銘柄も多いなかで、ファンド勢による株価指数
先物の買いが一押しした。引けにかけ売りに押されて反落。終値で2万円台確保とはならなかった。
□ □
過去の上昇相場と何度も向き合ってきたプロはなお強気だ。「今の相場には持続力がある」(農林中金全共連
アセットマネジメントの高谷正伸社長)。みずほ銀行の大島周常務執行役員も「相場に過熱感はなく、2万円は
天井にならない」と話す。
日経平均が上昇ピッチを早めていた先週3日。野村ホールディングスの永井浩二グループCEO(最高経営責
任者)は他の企業経営者らとともに都内で安倍晋三首相と懇談した。関係者によると、相場の先行きも話題に
上ったという。
政府も注目する株式相場だが、本来は主役の一角となるはずの野村などの証券株は出遅れている。2013年
末から10日までに日経平均が22%上がる半面、業種別日経平均の証券は10%下がった。この間の騰落率は
全業種で最下位だ。
証券株はもともと日経平均との連動性が高く、相場を主導してもおかしくはない。「なぜ証券株は上がらないの
かと疑問を抱く投資家は多い」(バークレイズ証券の大野東氏)という。
日経平均と証券株の格差がここまで広がる背景には2つの要因がある。
ひとつは個人の株式売買代金がアベノミクス相場の前半に比べて盛り上がりに欠ける点だ。相対的に手数料
の厚い個人の売買は、証券会社の業績にとってエンジンのようなもの。実際、野村や大和証券グループ本社など
の証券株は個人が活発に売買した13年前半の相場の主役だった。
もうひとつは、各社がこの2〜3年で事業のあり方を見直していることだ。顧客の預かり資産を積み上げて安定
した手数料収入を収益の柱にする。そんな脱・市況産業への取り組みが広がる。
□ □
例えば野村アセットマネジメントが3日に設定した投資信託、「日本企業価値向上ファンド」。野村証券の販売を
通じて運用残高は1週間で1700億円弱に達した。久々の大型投信として市場の関心は高いが、来週にも販売
を休止する可能性があるという。当初想定していた上限額に迫っているためだ。ある野村幹部は「相場の勢いに
乗って本社主導で販売額を積み上げる時代ではない」と話す。
「貯蓄から投資」の流れがより太くなれば、証券株は再び相場のけん引役となり得る。流れが広がらなければ
上昇相場も続かず、証券株に逆風が吹く。10日の証券株は高安まちまちで、先行きはまだ読めない。2万円後
の相場でも証券株は引き続き先行指標となりそうだ。(田口良成) -
株、調整挟み過熱感薄く、騰落レシオなど高まらず、「買われすぎ」銘柄は警戒も。
2015/04/11 日本経済新聞 朝刊 17ページ 907文字 書誌情報
2000年4月17日以来、およそ15年ぶりに一時2万円を超えた日経平均株価。「騰落レシオ」などのテクニカル
指標をみると、なお過熱感は乏しい。市場では3月下旬にかけての調整局面が持続的な上昇への地ならしになっ
たとの指摘が出ている。ただ小売株や食品株など一部の銘柄には急ピッチの上昇を警戒する声もある。
日経平均は4月6〜10日の1週間に472円(2・4%)上昇した。週間の上げ幅は1月第3週の647円に次いで
今年2番目の水準だが、相場の過熱感を指摘する市場参加者は少ない。
東証1部の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って算出する「騰落レシオ」(25日移動平均)は10日時点で
107%だった。「買われすぎ」とされる120%を下回って推移している。
日経平均が3月23日に1万9754円まで上昇した際には、騰落レシオは約130%まで上昇していた。急ピッチ
な上げへの警戒感が浮上し、4月1日には1万9034円まで利益確定売りが進んだ。「調整を挟んだことが足元
の過熱感の薄さにつながっている」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部長)
日経平均の25日移動平均からのかい離率を見ても、過熱感はうかがえない。10日時点の上方かい離率は
2・67%。過熱の目安は5%以上とされ、上昇速度の速さを警戒する向きは少ない。
投資家が予測する日経平均の将来の値動きの大きさを示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は年初
から低下基調が続いている。目先の相場急変を見込む市場参加者が減少していることを示唆する。
東京市場では、株価が下落する場面で日銀の上場投資信託(ETF)買い入れなどによる下支え効果を期待する
投資家が多い。「下値懸念が少ないことが投資家の不安を和らげている」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカル
アナリスト)。
もっとも、個別に見れば「買われすぎ」の銘柄も少なくない。小売株や食品株など、このところの上げ相場を主導
してきた銘柄には先行への警戒感が出ている。
三越伊勢丹ホールディングス株は訪日外国人の増加への期待を背景に3月末から13%上昇。4月10日時点で
25日移動平均からの上方かい離率は12%台と高水準だ。 -
日経平均、2万円前後で底堅く、日米で企業業績見極めへ。
2015/04/12 日本経済新聞 朝刊 3ページ 597文字 書誌情報
週明けの日経平均株価は2万円前後で底堅く推移しそうだ。業績回復を期待した海外マネーの流入が
続くほか、前週末に米ダウ工業株30種平均が約2週間ぶりに1万8000ドルを回復したことも好感され
そうだ。今週は米国、今月下旬には国内でも決算発表が本格化する。実際の企業業績を見極めたいとして
、積極的な売買を控えるムードが広がる可能性もある。
日経平均は10日、約15年ぶりに一時2万円の大台を回復したが、利益確定売りで終値は1万9907円
まで下げた。米シカゴ市場の日経平均先物の前週末の清算値が2万35円となり、週明けは再び2万円台
に乗せる場面があるとの見方が多い。海外勢の日本株への投資意欲は引き続き強い。
もっとも、2万円を抜けて上昇が続くとも考えにくい。年初からの日経平均の上昇率は14%と1%の米ダウ
を引き離す。「一時的とはいえ2万円の大台を回復したため、達成感からの売りも出やすい」(大和住銀投信
投資顧問の門司総一郎氏)との声もある。
目先の相場に影響しそうなのが、今週に本格化する米企業の1〜3月期決算だ。松井証券の窪田朋一郎
氏は「ドル高や原油安が、どれだけ業績を下押しするかがポイント」とみる。米企業業績が想定以上に悪く、
米国株が調整するようなら日本株も売りが優勢となる可能性もある。
来週以降は国内企業の決算発表も相次ぐ。会社が開示する今期予想が市場の期待に沿った内容となるか
が焦点だ。 -
「日本株、なお割安」、GPIF委託先の米ファンド、日経平均一時2万円台、年金マネーが構造改革迫る。
2015/04/12 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1079文字 書誌情報
日経平均株価が一時2万円の大台に乗せた。上昇の一因を担ったのが、年金積立金管理運用独立行政
法人(GPIF)の日本株の買い増しだ。日本株運用の一部を任された米タイヨウ・パシフィック・パートナーズの
ブライアン・ヘイウッド最高経営責任者(CEO)に見通しを聞いた。
――2万円という水準をどう見ますか。
「日本株はまだ全体として割安だと考えている。円が対ドルで1ドル=70〜80円で推移している間、(日本
企業は)とても息ができる状況ではなかった。やっと今の為替水準になり、本来の力で競争できる状況になっ
た。世界の先進国で1株当たり利益の成長率が最も高いのは日本だ。2万円を超えて上昇しても割高な水準
とはまだ言えない」
「トヨタ自動車でさえ1株あたり純資産の何倍の株価がついているかを示すPBR(株価純資産倍率)は1・7
〜1・8倍。いまだにPBRが1倍を下回る銘柄が多い状況だ。米国企業と同様、2倍付近の水準で評価されて
もおかしくない」
「日本の株式市場では中小型株をしっかりと分析している人数が欧米と比べ圧倒的に少ない。現在は中小
型株を中心におよそ40銘柄の日本株に投資しているが、割安で放置されていた銘柄だ」
――GPIFなどの公的マネーが相場をけん引する状況は不安定だと指摘する声もあります。
「年金の力は大きく、かつ比較的長期で安定的なマネーだ。こうした資金が株式市場に入ってくると自己資本
利益率(ROE)やコーポレートガバナンスに対する市場の目は一段と厳しくなる。短期のマネーが長期成長に
必要な要素をあまり気にしないのと対照的だ。年金マネーの流入は資本市場全体が改善に向かうきっかけに
なりうる」
――日本企業のコーポレートガバナンスはどうですか。
「改善をめざす意識は強い。10年以上日本株に投資しているが、日本企業がこれほどまでガバナンスを意識
したことはかつてないだろう」
――アベノミクスの第三の矢が不十分だとの声が多く聞かれます。
「構造改革はとても時間がかかる。そこは少し我慢すべきだとは思っている」
――日本株相場は米国の利上げの影響を受けないでしょうか。
「少なからず影響はあるだろう。金融緩和の結果、債券市場の低利回り化や、債券バブルを嫌ったマネーが
株式に流れ込んでいる構図が世界中でみられる。金融引き締めの結果マネーが逆流し、ある程度は米国の
株式相場も調整はあるだろうが、投資マネーは結局どこかに向かう。世界中で日本とインドが現在最も有望な
市場で、受け皿になりえると考えている」 -
3メガ銀、地銀株の保有、圧縮焦点、「系列」見直し共存共栄探る。
2015/04/13 日本経済新聞 朝刊
三菱東京UFJ銀行など3メガバンクが保有する地方銀行株の圧縮が焦点に浮上してきた。三菱UFJ系列
の大正銀行がトモニホールディングス傘下入りを決めるなど、「系列」関係を見直し、資本関係ぬきに「共存
共栄」(三菱UFJ幹部)を目指す動きが出ている。国際的な金融規制の強化や企業統治指針も、地銀株の
保有圧縮を促しそうだ。
3メガ銀にはそれぞれ親密な地銀がある。連結子会社や持ち分法適用会社にしている場合や、出資比率
は低いものの定期的にトップ同士が会合を開くケースもある。
日本経済新聞社が上場地銀84行・グループを調べたところ、6割の56行・グループで3メガ銀行(単体ベース
)のいずれかが出資比率10位以内の上位株主だった。三菱UFJが31社、みずほ銀行が27社の大株主だ。
三菱UFJの出資比率が大きいのは中京銀行(39・2%)や愛知銀行(6・9%)など。みずほは千葉興業銀行
(18・9%)や南日本銀行(4・9%)の上位株主だ。三井住友銀行は大株主の地銀は6行だが、関西アーバン
銀行(48・9%)とみなと銀行(45%)を連結子会社にしている。
都市銀行が預金不足だった時代には、親密地銀から資金を調達して融資に回していた。いまはカネ余りで、
昔のような地銀との濃い関係はなくなっている。
2010年に三菱UFJ子会社で大阪府を地盤とする旧泉州銀行と旧池田銀行が合併。三菱UFJは旧岐阜銀行
に資本支援して十六銀行の傘下入りも後押しした。地銀は再編によって地域で存在感を増すが、顧客層がメガ
と異なるため、共存共栄が可能と判断した。大正銀のトモニ入りもこうした流れの中にある。
国際金融規制など環境の変化も背景にある。13年から順次適用が始まったバーゼル3では、銀行株の保有
に対して資本の積み増しを求められる。東京証券取引所などが策定した統治指針では、大手銀行の場合、地銀
株を持つ理由を説明しなければならなくなった。
「3メガの戦略の中心は海外で、地銀を傘下に持つ意義は薄れてきた」(ドイツ証券の山田能伸シニアアナリスト)
。ある3メガ幹部は「地銀への出資比率を徐々に下げていく」と明言する。
地銀との新たな関係を模索する動きも出てきた。三井住友銀は昨年、岩手銀行と提携し、同行の顧客企業の
海外進出支援を始めた。海外の大型事業向け融資に地銀が参加しやすい仕組みもつくり、まず七十七銀行と
伊予銀行が利用した。いずれも三菱UFJの親密行とされる地銀で、今後も再編を含む系列の見直しが進む可能
性がある。 -
年金マネーは今(1)ヘッジファンドに逆風―情報提供の強化も(時事解析)
2015/04/13 日本経済新聞 朝刊 17ページ 626文字 書誌情報
米ペンション・アンド・インベストメンツ誌と米コンサルティング会社大手タワーズワトソンの調べでは、世界の
トップ300の年金基金の資産総額は2013年に前年比6%増え、15兆ドル(約1800兆円)に達した。年金
積立金管理運用独立行政法人(GPIF)やノルウェー政府年金基金など、国内外の年金が日本の株式市場で
も存在感を増している。
年金マネーの動向を抜きに市場の先行きは語れない。その意味で注目すべき現象の一つとしてあげたいの
は、運用利回りの向上に欠かせないと考えられたヘッジファンド投資に、基金が距離を置き始めたことだ。昨年
9月には米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)が同投資からの完全撤退を表明した。
規制に縛られない自由な運用で、市場環境にかかわらず一定の高い運用成績を上げるというのが、ヘッジ
ファンドの売り物だった。しかし実際は、ヘッジファンド全体の投資利回りが市場平均を下回ることが増えた。
それに伴い、見過ごされていた問題点が指摘されるようになった。
米国みずほ信託銀行の遠山勲氏は「米国の年金基金によるヘッジファンド投資の現状」という論考で「高額の
手数料といったコスト面から、同(=ヘッジファンド)投資に対する不満も浮上している」と述べた。
顧客資産が消失した08年の米マドフ事件をきっかけに、年金基金は運用の透明化が求められている。情報
開示の不足を批判され、情報提供を強化するヘッジファンドも増えている。(編集委員 小平龍四郎) -
【市況】伊藤智洋が読む「日経平均株価・短期シナリオ」 (4月14日記)
日経平均株価は、昨晩の円高、NYダウの下げにより、寄り付きで価格が下放れると考えられます。
この下放れで、10日の高値付近の足型がアイランド・トップの格好になり、10日の高値2万0006円が
短期的に上値重い場所になっていることを示します。
現在が、昨日まで書いてきた1万9778円(3月23日高値)が強く意識されている状況なら、本日寄り付き
の下放れをきっかけに、その後、下値を試す流れへ入ると考えられます。本日は、下げ幅の大きな動きに
なる可能性があります。
一方で、寄り付き値で価格が下げず、本日が上昇の流れを作るなら、価格が下げる場面でそうなら
なかった下値堅さが買い人気の強さを示すため、その後は、勢いの強い上昇を継続して、2万1000円を
目指すと考えられます。
どちらになるかは、寄り付き値の値位置と、その後の動きですぐにわかります。 -
個人投資家と対話拡大、トヨタ、初のIRイベント、伊藤忠、セミナー回数2倍、株長期保有促す。
2015/04/14 日本経済新聞 夕刊
有力企業が個人投資家向け広報(IR)の強化に動いている。トヨタ自動車は3月に初めて個人向けIRイベント
を開いたほか、伊藤忠商事も2015年度に同セミナー開催数を前年度の倍に増やす。年100万円までの売買
が非課税の少額投資非課税制度(NISA)も追い風に、「対話拡大」を通じて自社の株を長く持ってくれる個人を
増やし、株価の下支えを狙う。
トヨタが3月に開いた初の個人向けイベントには約3500人が参加。豊田章男社長が登壇して「持続的な成長」
をテーマに今後の事業戦略などを語り、トヨタの技術を展示するコーナーも設けた。トヨタの個人持ち株比率は現
在1割強にとどまる。今後も個人向けIR拡充をテコに長期保有の株主を増やす考えだ。
企業と機関投資家との対話強化を目指し、昨年に金融庁が「スチュワードシップ・コード」を導入したが、企業の
間では個人との対話機運も高まっている。実際、IRを支援する野村インベスター・リレーションズが14年度に開
いた個人向けセミナーへの参加企業数は前年度比3割弱増えた。
伊藤忠は昨年度から自社のホームページに個人向けのコーナーを開設。岡藤正広社長が事業戦略を語る動画
を掲載している。今年度は個人向けセミナーの開催数を30回程度と昨年度(15回)の倍に増やす見通しだ。
特定の株主層の取り込みも進む。ポーラ・オルビスホールディングスは結婚式場運営のノバレーゼと共同で女性
限定の投資家説明会を開催。女性のファン株主を増やすのが狙いで、14年12月末時点での個人株主に占める
女性比率は45%超と上場時(10年12月、35%程度)から大きく伸びた。
NTTはインターネット上での会社説明会や平日夜に開催する説明会を増やして、サラリーマンなど若年層投資家
の開拓を進める方針だ。
IR強化とあわせ、長期保有の株主を優遇する制度を導入する企業も多い。大和インベスター・リレーションズに
よると3月末時点で長期保有を優遇するタイプの株主優待を実施する企業は156社と昨年9月末に比べ31社増
えた。イオンやオリエンタルランドなどが同様の仕組みを採用するなど、長期マネーの取り込みが進んでいる。
東証などによると足元の個人株主比率(金額)は19%程度にとどまり、米国の3〜4割に比べて低い。企業に
とっては長期保有の個人株主を増やし、安定的な株価の形成につなげることが必要となっている。 -
コラム:日本株上昇は夏までか、秋の波乱に要注意=山口曜一郎氏
山口曜一郎 三井住友銀行 ヘッド・オブ・リサーチ
[東京 13日] - 日経平均株価は先週、15年ぶりの2万円台を回復した。引けにかけては売りが入ったため、
終値では2万円を維持できなかったが、失望感はほとんどなく、すぐにもう一段の上昇がありそうな雰囲気だ。
そのような相場環境の中、実体経済においても楽観が少しずつ広がり始めている。特に昨年伸び悩んだ家計
消費は、所得環境の改善とともに徐々に持ち直してくることが期待される。今回はこの部分に焦点を当てながら、
景気と株価について考えてみたい。
<今年は所得・消費も改善へ>
しばしば、日本の所得環境が向上するには労働分配率の引き上げが必要だと言われるが、国際的に比較すると
日本の労働分配率は、実は決して低くない。労働分配率とは、簡単に言うと、国全体で稼いだ所得を労働者や
企業にどのように配分しているかを示す比率であり、労働者が受け取る雇用者報酬を国民所得で除したものだ。
2013年の日本、米国、ドイツの労働分配率を比べてみると、米国が65.6%、ドイツが67.9%だったのに対し
て、日本は69.3%となっている。しかし、その割にこれまで所得環境が良好だという話はほとんど聞いたことが
なかった。
その一因は低成長にあったと言っていいだろう。2011年から2013年の国民所得の伸び率(マイナスの表記
がない限り、プラス)は、米国の4.9%、5.6%、3.7%、ドイツの5.4%、1.4%、2.2%に対して、日本は
マイナス1.7%、1.6%、1.3%だった。
そのため、雇用者報酬は0.7%、0.3%、0.8%と1%に届かない伸び率が続いた。しかし、2014年には、大
手企業で久方ぶりにベースアップ(ベア)が実施され、賞与は夏季・冬季とも大きく増加、毎月勤労統計に見られ
る所定内給与も徐々に改善が進み、名目雇用者報酬は前年比1.8%に伸びた。
国民所得(要素費用表示)の発表はまだだが、名目国内総生産(GDP)並みの1.6%と推定すると、労働分配率
は69.4%と僅かながら上昇。米独と比べて、国全体で稼いだ付加価値がより多く労働者に分配されたと予想
される。
にもかかわらず、2014年の家計の実質消費支出はマイナス1.3%だった。この理由として2点挙げると、1つめ
は月並みだが、消費増税の影響が大きかった。前述の雇用者報酬を実質で比較すると、日本がマイナス1.0%
だったのに対して、米独ともプラスでそれぞれ2.9%と2.8%だった。この点については、4月から経済データ上は
消費増税の影響が剥落する。消費者行動という点で見ても、最近の景気ウォッチャー調査などから影響の後退が
うかがわれる。
2つめは労働所得の分配にかかる部分であり、アベノミクスの中で、マクロの分配が改善しても、ミクロの分配に
偏りが存在していたと考える。データが十分でないため推論に頼らざるを得ない部分があるが、例えば「平成24年
経済センサス」の数字を用いて、1人当たり付加価値額から給与を引いた額が企業の取り分かつ賃金上昇余地だ
と考えると、大企業の余地が大きかった(290万円)のに対して、中小企業は余地が小さかった(100万円)。
この環境下での円安により、大企業の製造業は増益で賃上げ余地が広がった一方、地方の中小企業の非製造業
では輸入コストの増加が一段と賃金上昇余地を狭めていた可能性がある。それゆえ、昨年10月末の日銀の追加
緩和に対して筆者は、中小企業にとっても、そこで働く従業員にとっても、恩恵よりも副作用の方が大きいと警鐘を
鳴らした。
しかし、そのような中、原油安がまさに神風となった。石油価格の下落は減税のようなものと言われるように、その
恩恵は企業や家計に裾野広く効果が及ぶ。これを背景に家計・企業のセンチメントが好転、その間に各経済セクタ
ーの持ち上がりが少しずつ広い範囲に波及し始めており、2015年は家計の所得・消費環境が改善しそうだ。今年
の家計所得と消費活動は昨年よりも良好なものとなるだろう。 -
<日経平均2万2000円到達は夏までが勝負>
では、日本株に対しては強気の見通しを持ってよいのだろうか。実は上記のような状況が株式市場に与えるイ
ンプリケーションは若干複雑だ。なぜなら、労働分配率が他国よりも高く、さらに上昇するということは、労働者
の取り分が増える一方、企業の取り分が減ることを意味するからである。
つまり、労働分配率の上昇を補うだけの経済成長を実現しないと企業所得が減少してしまう。労働市場の改善
が続く米国では構造問題もあって賃金の伸びが低水準にとどまっているが、そんな米国でも10―12月期は
前期に比べて小幅ながら労働者の取り分が増え、GDPベースでの企業所得は前期比マイナス1.4%となった。
ただし、日本については過度に不安視する必要もなかろう。消費の伸び悩みが低成長の原因の1つとなっていた
日本においては、所得・消費環境の改善は消費を増やし、それに伴う設備投資を促す可能性があるため、総合的
にはポジティブに働く公算が大きいからである。
それに、何と言っても日本では、日銀による異次元緩和と、公的・準公的マネーによるポートフォリオ・リバランスの
動きが、株式市場の大きなサポートとなる。これまでも、日本株の投資家は必ずしも日本の経済成長とにらめっこ
しながら株を買ってきたわけではなく、どちらかと言えば日本の金融政策や公的マネーの動きとにらめっこしながら
株を買ってきた。景気回復期待という後押しを得て、日本およびユーロ圏の大規模緩和が株価押し上げに効く展開
はもうしばらく続きそうだ。
企業業績見通しに基づくバリュエーション分析や、チャートに基づくテクニカル分析からは、日経平均で2万2000円
は射程圏内にある。この水準を達成できるとしたら秋以降よりも夏までの方が可能性が高いと見る。年終盤には
リスクが高まってくるからだ。原油価格が現行水準にとどまれば、原油価格のマイナスのベース効果剥落もあって
、日本、ユーロ圏ともに、秋にはインフレが下げ止まりから上昇に転じる見込みだ。
年前半に株式を含めたリスク資産の一段の上昇が進む一方で、秋から冬にかけて米国の利上げと日欧のインフレ
反転のタイミングが重なり、金融政策の出口戦略に対する思惑が高まるようだと、株価の動きは不安定になりボラ
ティリティが高まる。
また、ユーロ圏において、国債需給の過度な引き締まりや、マイナス金利の蔓延による金融機能不全といった国債
買い取りに関する問題が浮上してくるとしたら、やはりこの時期あたりではないかと思われる。
米国が、株価維持のために利上げに慎重になる、あるいは非常に緩やかなペースにとどめる、という選択肢を選べ
ば、リスク資産は一段高となる可能性があるが、その場合は逆にバブルのリスクが高まるため、米連邦準備理事
会(FRB)がどこまで株式市場に配慮するかは読みにくい。よって、株式投資は夏までがいったんの勝負と見る。 -
国債保有規制に強い懸念、黒田総裁、首相への直言全容は…、財政再建重視、持説曲げず(真相深層)
2015/04/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1673文字 書誌情報
財政再建を巡り、黒田東彦日銀総裁が安倍晋三首相に直言した2月の経済財政諮問会議でのやりとりが14日
分かった。公表済みの議事要旨では削除されていたが、黒田総裁は「(2020年度の基礎的財政収支黒字化に)
もっと本腰を入れてやらないといけない。リスキーな状況になってきている」と強く主張した。首相と日銀総裁の間
に緊張が走った会議の模様を再現してみると……。
「ここからはセンシティブな話なので、外に出ないように議事録から外してもらいたい」
2月12日午後5時から首相官邸4階大会議室で開いた諮問会議。やや遅れて入室した安倍首相も交えた議論が
一気に張り詰めたのは黒田総裁がこんな「オフレコ要請」を口にした瞬間だった。
「欧州の一部銀行は日本国債を保有する比率を恒久的に引き下げることとした」
消費再増税の先送りを決めた昨年秋以降、日本国債の格下げが相次いだ。国際的な銀行の資本規制では「外国
の国債についてはその格付けに応じて資本を積まなければならない。格付けが下がるとどうしても外国の国債を持た
なくなる。現に欧州の一部の銀行がそのように動いた」。黒田総裁はこう指摘した。
現時点で格下げの影響が軽微だったことは黒田総裁も認めている。「国債保有者に占める外国の銀行等の比率が
6〜7%ぐらい」だったため「国債の金利にはほとんど影響がなかった」。会議の約3週間前、日本の長期金利は0・1
95%まで低下したほどだ。だが、黒田総裁には先行きへの懸念が強かった。
「これからお話しすることはもう少し深刻な話である。実はドイツ、アメリカ、イギリスなどが強硬に、銀行が自国の国
債を持つことについても資本を積むべきであると主張している」
いまの規制では銀行が自国の国債を持っていてもリスクとはみなされないが、ドイツなどの言い分が通れば、日本
の銀行は保有する国債の量に応じて資本を積み増す必要が出てくる。事実、(国際規制を決める)バーゼル銀行監督
委員会は今年に入ってから具体的な議論を始めたもようだ。
「とんでもない話。日本やイタリアが反対しているためなかなか合意に至らないと思うが、ドイツや米国が自国でそう
いった規制を導入する可能性がある」
そうなれば「アナリストは日本の銀行がどれほど国債を持っているか、同じルールが適用されればどれほど資本が
不足しているか言い立てるようになる」と総裁は心配する。国債の格付けが低いほど必要な資本は多くなりかねない。「
資本不足と言われるのを恐れ(銀行は)国債を手放してしまうかもしれない」
安倍政権発足直後の13年1月、政府と日銀は共同声明を発表した。同声明では日銀が2%の物価目標の導入を
打ち出す一方、政府が「持続可能な財政構造確立への取り組みを推進する」ことも盛り込んでいた。だが異次元緩和
をテコに低金利が日常となるなかで、政府・与党内には「低金利ボーナス」を活用した財政出動拡大論も浮上する。
安倍首相はこう応じた。「格付け会社にしっかりと働きかけることが重要ではないか。(政府の1000兆円規模の
債務総額である)グロスで見ると確かに大きいのだが、(政府債務から資産を差し引いた純債務である)ネットで見る
と他国とあまり変わらないという説明などをしなければならない」
これに対して黒田総裁は「まさに総理のおっしゃる通り」と言いつつ、持説を貫いた。
「私が財務官の時(2002年)日本国債がボツワナ国債と同じ(ような)格付けにされてしまい2つの格付け会社の
社長にまで説明をしたが格付けが変わるということはなかった。またあの時は日本の債務残高も国内総生産(GDP)
比で現在の半分程度であった」
政府は今年夏までに財政健全化計画をつくる。日本の成長力を高めつつ、財政の健全化もきちんと進めてほしい。
その軸がぶれれば、脱デフレのための異次元緩和が、政府の財政赤字を穴埋めするための国債購入にすぎないと
金融市場が見なしてしまう。こんなことを黒田総裁は恐れているようだ。 -
日本が米国債保有で7年ぶり首位、中国抜く-2月対米証券投資
(ブルームバーグ):日本が米国債保有で中国 を抜き、金融危機以来初めて首位に立った。日中両国の
経済や政策の相違を反映した格好となった。
米財務省が15日発表した対米証券投資統計によると、日本の2月時点の米国債保有残高は1兆2244億
ドル(約146兆円)で、前月比142億ドル減少した。中国は同154億ドル減の1兆2237億ドルとなった。
米国債相場は最近下落したものの、依然として世界で最も好まれる資産であるのは、米国が傑出した準備
通貨を発行し最も流動性の高い資本市場を持つ国として、資金調達の比類ない柔軟性を備えているためだ。
日本の米国債保有残高は前年同月比で136億ドル増加した一方、中国は同492億ドル減少した。
中国では景気減速を背景に資本流出の兆候が強まっており、当局は過度の人民元高の抑制でドル資産を購入
する必要性が低下している。日本では、日銀が長年のデフレからの脱却を目指して記録的な金融緩和に乗り
出し、金融システムに資金を大量に供給。金利はゼロ付近にあり、円安につながっている。
RBSセキュリティーズの米国債ストラテジスト、エドワード・アクトン氏は「日本と中国の動きが変化したのは、
外貨準備の必要性と両国の通貨の動きが一因だ」と述べ、「グローバルマクロ投資の道しるべだ」と指摘した。
2012年12月の安倍晋三首相の就任以来、日本の米国債保有は1132億ドル増加した一方、中国は33億ドル
の増加にとどまっている。円は同期間に1ドル=82円から119円に下落した一方、元はほぼ変わらず。
中国が14日発表した3月末時点の外貨準備高は1130億ドル減の3兆7300億ドル。1−3月(第1四半期)は
過去最大の落ち込みとなり、中国人民銀行(中央銀行)が資金流出の中、元相場下支えで外貨準備の一部
を売却したとの観測が高まっていた。中国の米国債保有は13年11月の1兆3167億ドルがピーク。
日中両国は海外投資家による米国債保有の約4割を占める。2月の海外投資家による米国債保有は566億
ドル減少し6兆1600億ドル。そのうち政府による保有は4兆900億ドルだった。 -
GE金融事業売却ブラックストーンや三菱UFJと交渉-関係者
(ブルームバーグ):米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE )は金融事業の一部売却でブラックストーン・
グループや三菱UFJフィナンシャル・グループ、ウェルズ・ファーゴなどと交渉している。事情に詳しい関係者
が明らかにした。
GEが売却を予定している金融事業には740億ドル(約8兆8000億円)相当の米商業金融部門も含まれる
。同関係者によると、アポロ・グローバル・マネジメント も関心を示している。関係者は交渉が早期の段階で、
資産売却は差し迫っていないと述べた。
関係者の1人によれば、GEは金融事業の大半の売却が年内に可能だと考えている。同社は来年末までの
売却を目指す方針を示していた。
GEは今月10日、金融事業の多くを売却すると表明。原点である製造業回帰へとかじを切った。これまで
にUSバンコープやJPモルガン・チェースなどの大手行がGEの資産について検討する意向を示しているほか
、ウェルズ・ファーゴとブラックストーンは既に230億ドル相当でGEの不動産を取得することで合意している。
GEと三菱UFJ、ウェルズ・ファーゴはいずれもコメントを控えた。ブラックストーンとアポロにコメントを求めたが
、これまでに返答はない。GE商業金融部門にウェルズ・ファーゴなどが関心を示していることについては米
紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に報じていた。 -
GE「脱金融」の先に描く姿(ウォール街ラウンドアップ)
2015/04/21 日本経済新聞 夕刊
20日の米ダウ工業株30種平均は大幅に反発した。19日に中国人民銀行が金融緩和を打ち出したことが
買い材料。今週相次ぐ主要企業の2015年1〜3月期決算への期待も下支えとなった。
□ □
取引時間前に公表されたモルガン・スタンレーの好決算で勢いづいた米国株式相場。午後に入ると、ゼネラ
ル・エレクトリック(GE)が米国の法人融資を主力とする商業ローン部門の売却で協議中と伝わった。
部門の資産規模はおよそ740億ドル(約8兆8000億円)と巨額だ。GEは10日に金融事業部門のGEキャ
ピタルを中心に2年間で2000億ドル相当の資産を売却する計画を発表し、その具体策が浮上した。
GEが距離を置こうとしている金融分野に対する市場の評価は芳しくない。米主要企業のPER(株価収益率)
が平均で17〜18倍なのに対し、金融業界の顔であるJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスのPE
Rは10倍程度。金融危機の再発防止へ当局が規制強化に動いており「金融業は成長性が乏しい」と受け止め
られている。
資産売却計画の大枠を発表した10日のGE株は10%高と急伸。「脱金融」の戦略が好感された。GEキャピ
タルは「金融システムの安定上で重要な金融機関(SIFI)」と金融当局に認定された。経営危機に陥れば信用
不安につながりかねないとして厳しい監視対象になる。資産売却で規模が縮小すれば、認定は撤回される見通し
だ。
一連の構造改革の公表を受け、GEの時価総額は約200億ドル増えた。ただ株高には同時公表された500
億ドルの自社株買い計画が寄与していることを考慮する必要がある。さらに反発したとはいえ、株価水準は金融
危機前の07年に付けた高値の6割にとどまる。
「市場の評価が定まるのはこれからではないか」。GEグループで投資を手掛けたある金融マンはこう指摘した。
PERで比較してみる。足元の株価水準でGEのPERは15倍台。銀行大手よりは高いが、本業のライバルで
ある米ユナイテッド・テクノロジーズ(16倍台)などよりも低い。主力分野の一つの資源関連事業が原油安
の直撃を受けるためだ。
バンクオブアメリカ・メリルリンチが望ましい企業の資金使途を投資家に聞いたところ「設備などへの投資」が
「株主還元」を大きく上回った。金融事業の売却資金が製造業の稼ぐ力を高める投資に回れば、評価はさらに
高まる可能性がある。
□ □
GEは1896年に当時12銘柄の工業株で構成するダウ平均に採用された。30銘柄となった現在も名を連ね
る唯一の銘柄で、柔軟な経営が称賛されてきた。ただ1900年前後に2度、ダウ平均の構成銘柄から除外され
たこともある。脱金融を進め、製造業を中心にした事業の再構築で高い成長を実現できるのか。米製造業を代
表する銘柄のGEが真価を問われるのはこれからだ。 -
三菱UFJFG高くTOPIXも高値、日銀総裁の米国講演で思惑
2015年4月21日13時33
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は13時を回って3%高の855.0円(28.6円高)前後と
なり2008年以来の高値に進み、売買代金も上場投信を除くと全上場銘柄の1位となっている。訪米中
の黒田日銀総裁の講演内容を受けて追加の金融緩和期待が強まったとの見方があるようで、次の金融
政策決定会合が4月30日のため思惑が広がったようだ。三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)も
高値に進み、TOPIX(東証株価指数)は遂に2007年以来の1600ポイント台を回復。JPX日経400
インデックスは2014年1月の算出開始以来の高値を更新している。銀行株の場合、株式市場の上昇
そのものが保有有価証券の評価額に寄与して株高材料になるため、これらの株価指数とともにスパイラル
的なジリ高相場を見込む向きがある。個人投資家にとっては面白みのない銘柄だが、年金基金の株式
運用が緩和されてからは、こうした銘柄が面白苦なってきたとの声が出ている。 -
株高持続の条件(上)攻めの経営で殻破る。
2015/04/23 日本経済新聞
「日本が本格的に変わるかもしれない」。15年ぶりの大台を取り戻した日経平均株価に、英運用会社
シュローダーズのアンドリュー・ローズ氏は感慨深げだった。
日本株の投資歴34年。日経平均7000円台の頃から、最初の2万円、1989年の最高値、その後の
長期低迷も含めて見てきた同氏が「今度こそ」と期待をかける。
株高持続のために日本企業がすべきことは、はっきりしている。
まず、欧米企業に大きく見劣りする収益力を高めて、グローバル投資家の眼鏡にかなうよう経営の質を
一段と高めることだ。売上高純利益率は米国勢の8%強に対し、上場企業の平均は3%ほどで、これが
原因で自己資本利益率(ROE)は欧米企業の水準を下回っている。
日経平均は2万円に達したにもかかわらず、株価が1株純資産を下回る「解散価値」割れの企業がなお
4割ある。自助努力で改革を進める企業がある一方で、腰が重いところも少なくない。不採算事業を抜本的
に見直す余地は大きい。
もうひとつは、デフレで萎縮し、ため込んできた100兆円近い企業マネーの活用だ。自動車、電機などの
ほか小売業や外食といったサービス企業も賃上げや積極投資、株主還元に動き出しており、この流れを
加速させる必要がある。
企業の貯蓄が膨らみすぎると、国内総生産(GDP)は低迷するとのデータもある。M&A(合併・買収)や
設備投資は企業の利益成長につながる。加えて、賃上げ↓消費、投資↓生産材の需要増といった形で企業
の資金がぐるぐる巡り出せば全体にプラスの作用をもたらす。経済システムに資金を循環させるのも企業の
重要な役割のひとつだ。
政府の成長戦略に投資家との対話が盛り込まれたのは、企業のそうした変化を促す狙いからだ。企業統
治の遅れが指摘されてきた日本にとって「大きな前進」(元企業年金連合会専務理事の矢野朝水氏)といえ
る。大手生命保険などは投資先の経営に対する監視を強め始めた。
「企業がもっと行動で示せば、2万円の先が見えてくる」とローズ氏は話す。2万円回復を到達点ではなく
通過点にし、株高を「緩和バブル」に終わらせないためには、当たり前のことをひとつひとつ着実に実行して
いくしかない。(証券部 松崎雄典) -
株高持続の条件(下)稼ぐ力支える政策を。
2015/04/24 日本経済新聞 朝刊
安倍晋三政権は「そこまでやるか政権」――。甘利明経済財政担当相は19日のNHK番組でこんな表現
をした。2日の政労使会議で、中小企業の賃上げを求めたことを指しての発言だ。労使交渉への事実上の
介入という先進国として異例の対応を繰り返すのは「自然循環にいくまで人為的に好循環をつくる」(甘利氏)
ためだという。
「2017年4月に消費税率を10%に上げるまであと2回、賃上げ要請を続けるのでは」。民間エコノミスト
からこんな観測も流れる。
国富400兆円消失
安倍政権の誕生から2年あまり。異次元の金融緩和で物価上昇率への期待を高め、財政出動で景気を
下支えした。成長戦略で岩盤規制の一部に風穴も開けた。そして賃上げでデフレ脱却へ最後の一押しを
政権は狙う。
企業が賃上げで家計に資金を還元すれば消費拡大↓収益拡大↓賃上げ↓さらなる消費と収益拡大、という
好循環が実現しやすくなる。
バブル崩壊からほぼ四半世紀がたった。この間に国全体の正味資産である「国富」は400兆円あまり消失
した。債務・雇用・設備という「3つの過剰」を抱えた企業は必死にバランスシートを圧縮。1990年代の金融
危機を経て、株価と地価の資産デフレが実体経済に深い傷を残した。
消費増税の下押しを乗り越え日経平均株価が2万円に乗せた今、改めて問われるのは「失われた四半世紀
」から日本経済が決別できるかどうか。デフレ脱却と、国富を再び大きくしていく挑戦の主役はやはり企業だ。
焦点の一つは省力化、合理化などを目的とした設備投資だ。「企業がもうちょっと前向きになれるかがポイント」
とみずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは心理の変化に期待する。
もうひとつは、グローバル化への対応だ。15年前の日本の国内総生産(GDP)が世界全体に占める割合は
14%だったが、足元で6%程度にとどまる。外需を取り込むことなく、日本企業は収益力を高められない。
製造業の生産拠点の国内回帰が相次ぐとはいえ、海外生産比率の基調は上昇を続ける見通しだ。「国内
事業を維持しつつ海外事業を拡大させ、そのすみ分けを図ることで高い収益性を獲得している」。日銀は日本
のグローバル企業の新しい姿をこう分析する。
内需も外需も
「内需か外需か」の二分法ではなく「内需も外需も」追う必要がある。株価を過度な金融緩和や予算の
ばらまきで押し上げるのではなく、自然に押し上がっていくために政府がやるべきことはたくさん残っている。
伸びゆくアジアの成長力を取り込むには、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結が欠かせない。
さらなる法人減税で、外国企業の対日投資を呼び込む余地はまだまだ大きい。
人口減や少子高齢化という逆風をはねのけるには生産性を高める規制改革や、社会保障制度を持続可能
にする改革も待ったなしだ。企業の稼ぐ力をきめ細かな政策で支える責務が政府にはある。(編集委員 瀬能繁) -
NISA投資、利益3500億円、昨年、流入資金の12%、金融庁、順調ぶり評価。
2015/04/24 日本経済新聞 夕刊
少額投資非課税制度(NISA)を通じた2014年の投資による利益が約3500億円となったことが、金融庁の
調査でわかった。昨年1年間の投資総額は2兆9770億円で、利益は投資額の12%に相当する。アベノミクス
効果で値上がりが続く株価の恩恵を受け、金融庁も導入1年目の実績に一定の評価を下している。今後は若年
層など利用者の裾野の拡大が課題になる。
金融庁は銀行や証券会社などNISAを取り扱う金融機関を対象に調査を実施した。24日午後に公表する。
14年末時点の投資総額は約2兆9770億円。売却などせず口座に残した金融商品を12月末時点で時価評価
した金額は2兆7978億円、株の配当金と投資信託の分配金を合算した額は1235億円、資産処分にあたる売却
額は4013億円、課税口座への払い出し額が4億円だった。
これら4つのお金を足した額と投資総額との差額は3459億8千万円で、金融庁はこの差額をNISAを通じた投資
の利益とみている。
NISAは導入開始と市場環境が好転するタイミングとがうまくあったといえる。14年の日経平均株価は7%上昇。
海外投資の収益率はより高めで、外国株と外国債券は円建てでそれぞれ17%、14%上がった。こうした市場環
境を受け、NISAで得る収益も堅調に伸びたといえそうだ。
投資総額は昨年6月時点から半年間で90%増えた。NISAは非課税枠を翌年に持ち越すことができず、年末まで
に投資を増やした人が増えたことが影響したとみられる。昨年末時点の口座開設数(確報値)は825万。1年間で
利用対象者の約8%が口座を開いた計算だ。
昨年6月末時点の調査では、NISAを通じて投資した人は60代以上の高齢者が半数以上を占めた。これに対し、
20〜30代は9%。若い人の利用促進が2年目の課題だ。金融庁は16年に20歳未満も使える子どもNISAをつくり、
若年者の利用を促す。
日本証券業協会が主要証券会社10社を対象にした調査では、口座稼働率も全体の45%となっている。金融庁
では口座開設の動きがやや一服するなかで、どう口座稼働率を上げるか検討していく。
▼少額投資非課税制度(NISA) 個人投資家を対象にした優遇税制で、2014年1月に始まった。国内に居住
する20歳以上の人を対象に、年100万円までの投資で生まれる売却益や配当が非課税になる仕組み。証券会社
や銀行などで専用の口座を開設するが、開設できる口座は1人1口座に限られる。 -
日経平均、2万円台を回復――買われる銘柄など関心高く(注目ニュース番付)
2015/04/24 日本経済新聞 夕刊 5ページ 788文字 書誌情報
22日の東京株式市場で日経平均株価は終値で2万円の大台を回復し、約15年ぶりの高値を付けた。10日の
取引時間中に2万円を上回ってから10日あまり。この間に「主役」銘柄の入れ替わりが起きた。16〜22日の金
融情報端末QUICKの閲覧件数ランキングでも、買われる銘柄や相場のテーマを取り上げた記事への関心が高く
、手掛かりを探る市場関係者の姿勢がうかがえる。
16〜17日は、それまで買われ続けていた自己資本利益率(ROE)が高い銘柄への売りが目立った。ROEとは
、株主が出資した資本金や稼いだ利益を企業がどれだけ活用しているかを示す財務指標だ。高いほど資本効率が
良い。
株価の過熱感が出ていた高ROE銘柄が売られる一方、買われるようになったのがPBR(株価純資産倍率)の
低い銘柄だ。株価を1株当たりの純資産で割って算出する。業種別に見ると銀行や保険ではPBRが解散価値の
1倍を下回る銘柄も目立っている。「株価が割安な水準に放置されており、上昇の余地がある」との見方から買い
が向かった。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンク株がそろって年初来高値を更新したほか、地方銀行
株でも高値更新が相次いだ。
日経平均の2万円台回復には、外部環境の変化も一役買った。中国人民銀行が19日に預金準備率の大幅引き
下げを発表。世界的な金融緩和の広がりで市場の雰囲気が好転した。
主力銘柄の動きに関心が集まったと同時に、新規株式公開(IPO)に関する記事も読まれた。東証マザーズに
上場したHameeは公募・売り出し(公開)価格を67%上回る初値を付けた。半面、東証2部上場で物流施設の賃貸
や管理を手掛けるシーアールイーの初値は公開価格を7%下回った。東証1部の主力株に資金が向かったこともあり
、IPO銘柄については収益性や成長力などで銘柄を選別する動きが強まった。 -
日経平均2万円は実力か(下)小林慶一郎慶応義塾大学教授―企業の「稼ぐ力」回復は途上、統治改革、投資家カギ(経済教室)
2015/04/28 日本経済新聞 朝刊
日経平均株価が4月22日、2000年4月14日以来15年ぶりに、終値で2万円の大台を回復した。日本経済は
長期のデフレから脱却し、企業社会が構造的に変わったのだろうか。株価の回復は日本企業が「稼ぐ力」を取り戻
したことを示しているのだろうか。
筆者は、マクロでは将来リスクの懸念があり、企業レベルのミクロでは構造変化の希望があると考える。
まずマクロの問題である。円安が進んだことで、輸出企業は数量ベースの業績が変化しなくても円建ての収益は
大きく改善した。ただ、円安の反映として株価が上昇している分を差し引いてみれば、必ずしも2万円の株価が日本
企業の実力を表しているとは言い切れない。ドル建てでは日経平均の上昇幅はかなり割り引かれてしまう(図参照)。
また、長期的には日本の財政の持続性とマクロ的な経済の安定性が不確実である点は引き続き大きな懸念材料
である。財政危機(高いインフレによる物価調整)が起きれば、個々の企業努力は吹き飛ぶ。
1990年代末の銀行危機や2008年のリーマン・ショックの教訓もあるので、日本企業には今でも手元流動性を
積み上げようとする強い志向がある。強いリスク回避はそれぞれの企業にとっては合理的でも、マクロでは成長を
阻害する。典型的な「合成の誤謬(ごびゅう)」である。
しかし、財政の将来不安がなくならなければリスク回避は根本的には解消しない。消費税率を10%に引き上げ
ても、財政を安定化させるには全く足りない。その一方で、歳出削減や消費増税をすれば景気が悪化する。マクロ
経済と財政は八方ふさがりで出口なしだ。
その中で企業にリスクをとって成長しろというだけでは無理がある。将来不安を払拭するために、政府は40年程度
先までの試算を公表して、財政再建の合理的な選択肢を国民に示すべきである。
一方、ミクロの動きには希望が持てる。
昨年2月には機関投資家の株主としての行動規範を示した「日本版スチュワードシップ・コード」が制定された。今年
6月には「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の制定も予定されている。企業統治が変わりつつある。
その特徴は、投資家から事業会社への投資資金の流れ(インベストメントチェーン)の全体を変えようとする動きがある
ことだ。企業統治改革といえば、事業会社の内部組織の改革が中心だったが、今回は事業会社に投資する側の機関
投資家を改革することも視野に入っている。
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日本株の投資家と企業の関係に問題があることを示唆するのが自己資本利益率(ROE)の推移だ。日本のROE
の10年平均(2000年代)は約6%であり、グローバルな平均値の半分程度である。
今回、日経平均2万円超えの原動力は高ROE企業だともてはやされているが、ROEの短期的な実現値を経営
目標と考えるべきではない。ROEはあくまで生産性の代理変数であり、長期的な実現値で評価すべきものだ。
問題の本質は日本企業の生産性である。90年代からの二十数年間、日本の生産性(全要素生産性、TFP)は
ゼロ成長に近く、ROEの低さは生産性の低迷を反映していた。株主資本コストをROEから差し引いたエクイティス
プレッドを使うと、日本企業の低生産性はさらに際立つ。
日本の企業統治の弱さを変えて、日本全体の生産性と経済成長を高めようとしているのが、政府の日本再興
戦略に位置づけられた企業統治指針などの動きである。
日本の企業統治の問題点は銀行による統治(バンクガバナンス)から、株主による統治(エクイティガバナンス)
への転換がうまくいっていないことであろう。70年代までの資金不足時代には大きな力を発揮したバンクガバナンス
がバブル崩壊後の資金余剰で弱体化したのに、代わるべきエクイティガバナンスが有効に機能していない。
そこには株式を発行する事業会社の問題だけでなく、株主(資産運用会社などの機関投資家)が統治主体として
必ずしも有効に機能できないという投資家側の問題がある。わが国の資産運用業界は、投資先の経営改善に関与
(エンゲージメント)しない短期売買型の投資の割合が高い。彼らの一定割合が長期のエンゲージメント投資志向の
投資家に変わらなければならない。すなわち発行体の経営改善に深く関与して長期の企業価値向上から収益を得る
投資モデルを普及させる必要がある。
それには運用会社に運用委託している最終投資家(年金基金、生命保険会社など)も長期エンゲージメント志向
になることが求められる。さらに、同様の志向を持つ運用会社の新規参入が増えることも必要であろう。インベスト
メントチェーンに関わるすべてのプレーヤー(発行体、運用会社、最終投資家)が変わる必要があり、様々な政策的
な後押しも重要である。詳しくは、3年前に筆者らが立ち上げた『山を動かす』研究会編「ROE最貧国 日本を変える」
を参照していただきたい。 -
ROEを高める経営改革は、労働者の取り分を減らして株主の取り分を増やすゼロサムゲームとみられがちだ。
労働
市場改革も一体的に進め、ゼロサムでなく雇用や賃金も増えるプラスサムゲームを実現しなければならない。
プラスサムの例は意外なところにある。高ROE企業の代表格であるトヨタ自動車の幹部から、トヨタ生産方式の
本質
は「人間性の尊重」と聞いたことがある。現場の従業員一人ひとりの参加意識を高め、彼らからの主体的な職場改善
の提案を実行することで生産性を向上させるのがトヨタ生産方式である。
この哲学は、人類の歴史を通じて受け継がれた「積極的自由」の概念に通じるものがある。政治学や政治思想の
分野とは異なり、経済の議論ではほとんど意識されないのが「積極的自由」と「消極的自由」の違いである。与えられ
た選択肢の中で欲しいものを選ぶ自由が「消極的自由(または選択の自由)」である。経済学者が使う自由の概念は
例外なく消極的自由だ。
一方、政治学者のマイケル・サンデル米ハーバード大教授によると、古典的政治思想における自由(積極的自由)は
、ギリシャ時代から「自己統治に参加できる自由」であった。自分が住むポリスの政治に参加し、自己決定できるという
ことが市民にとっての本質的な自由であり、かけがえのない価値であった。同じことは現代の様々な組織やチーム
(自治体、企業、市民団体など)についても成立する。
企業でいえば、従業員一人ひとりが自分の職場のあり方を自己決定できる自由を持つことは、従業員に満足感を
もたらすだけでなく、チーム全体に対する強い責任感を必然的に生み出す。それは結果としてチームの生産性を顕著
に高める。こうした積極的自由の作用を最大限に生かして生産性を上げたのがトヨタ生産方式だといえそうである。
このように長期的に強い企業とは、ステークホルダー(利害関係者)の全員が当事者意識を持って意思決定に参加
できる「積極的自由」のある組織ではないか。日本企業が長期のROEを上げられるかどうかは、そうした経営ができる
かどうか、にかかっている。企業統治指針でも、価値向上のためにステークホルダーに配慮することが求められている。
投資家も含めたインベストメントチェーン全体が変わることが必要だ。今回の株式市場の活況がその変化を促進する
ことを期待したい。 -
長期マネー誘う増配―財務戦略、脱・横並びを(スクランブル)
2015/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1211文字 書誌情報
28日の株式市場では日経平均株価が2日ぶりに2万円の大台を回復した。けん引役は前日に大幅増配を
発表したファナックだ。上場企業の今回の決算発表では業績と並んで株主還元策への投資家の注目度が高い。
中長期のマネーを呼び込むには、海外に比べて見劣りする配当利回りの引き上げがカギを握る。
「休日前だというのに取引が活況だ」(野村証券のエグゼキューション・サービス部)。28日はファナックが一時
7%高となったほか、同じファクトリーオートメーション(FA)関連のSMCが連想買いで5%高となった。
日経平均が2万円に達しても海外勢の買いが途切れない。企業の変化や景気の好循環に期待し、下値では
すかさず買いが入る。円相場がやや円高に傾いても底堅いため、海外投資家が重視するドル建て日経平均の
上昇率が高まっている。
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アベノミクス相場の始まりは野田佳彦首相(当時)が衆院解散を宣言した2012年11月14日。その日から28日
までのドル建て日経平均の上昇率は54%に達した。同期間の米S&P500種株価指数の53%を上回ってきた。
実績の良さが投資資金を呼ぶ好循環にある。だが投資行動をつぶさにみると、日本株の「弱点」を避けていること
もわかる。
英シュローダー・インベストメント・マネジメントが運用する投資信託「インカムアセット・アロケーション」は、債券の
利息や株式の配当を主な収益源とする一方、今年は東証株価指数(TOPIX)先物を買っている。日本株の先行き
に強気なためだが、こんな裏もある。
このファンドは高配当の米国株を保有しつつ、S&P500先物を売り建て、そのうえでTOPIX先物を買っている。
この取引を組めば米国株の配当を得ながら、値上がり益は日本株で狙うことができる。米国株より日本株の上昇
力が高いとみるためだが、裏返せば日本株の配当が少なく、配当狙いの現物株買いを手掛けにくいことを示す。
大幅増配するファナックの配当利回りは2・1%と前日の2倍になった。だが、東証1部全体では平均1・6%弱と、
2%を超える米独や3%以上の英仏に見劣りするままだ。
□ □
シュローダーの運用担当者エイメリック・フォレスト氏は「先進国の高齢化などで利回りへの関心は高まる」と
予想する。今後の市場では、配当に魅力がなければ投資マネーを集めにくくなる可能性がある。
米国と日本では平均的な配当性向は大差はないが、ばらつき度合いに大きな違いがある。「米国企業は成長
のステージに沿って配当性向を柔軟に変えるが、日本企業は横並び思考が強く硬直的」(大和総研の太田達之助
氏)だからだ。
日本企業が個々の企業に見合った財務戦略を徹底するようになれば、手元資金の多い日本株では株主還元の
底上げにつながるはずだ。株式市場でも配当利回りが高い株と成長株にメリハリが出る。財務戦略で横並びを脱す
ることが2万円を超えて駆け上がる条件となる。(松崎雄典) -
三菱UFJ、投信新会社に諮問委、手数料水準など外部チェック。
2015/04/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 513文字 書誌情報
三菱UFJフィナンシャル・グループは、7月に発足させる投資信託の運用新会社に「諮問委員会」を設ける。
運用会社が得る手数料の水準や説明資料の中身が妥当かなどを外部の有識者にチェックしてもらう。販売
成績を重視するあまり顧客の利益が脅かされるのを防ぐ仕組みを整え、信頼の向上につなげる。
諮問委員会を設ける新会社は、三菱UFJ投信と国際投信投資顧問が合併してできる「三菱UFJ国際投信」
(金上孝社長)。誕生後は純資産総額で国内3位の投信の運用会社となる。
諮問委員会(アドバイザリー・コミッティ)は弁護士など3〜5人で構成する。販売する金融商品と説明資料の
記述が一致しているか、手数料をとりすぎていないか、といった観点から社長や執行役員が参加する経営会議
に意見を述べる。
三菱UFJグループの関係者は「国内の運用会社が今回のような第三者機関を設けた例は知らない」としている。
新会社の投信は三菱UFJグループの銀行や証券に加え、全国の地銀でも販売される。販売側の力が強く
なると商品設計や手数料に販売側の意向が反映されやすくなり、投資家と利益の相反が生じるとの指摘もある。
新会社は諮問委員会の設置で、こうした疑念を払拭したい考えだ。 -
、官製相場の賞味期限 クジラたちは今後も日本株を支えるか
2015/04/30 07:30 日経速報ニュース 1552文字
東京市場には5頭のクジラがいる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や地方公務員共済組合連合会
など3つの共済年金。ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険。そして年間3兆円もの上場投資信託(ETF)を買い入れる
日銀だ。日経平均株価が15年ぶりに2万円台に乗せた背景のひとつに、こうした公的資金の買いが需給を下支え
したことは間違いない。「官製相場」の色合いが強いとの見方もあるが、今後も彼らは相場を支えられるのか。
8〜9兆円――。大和証券の塩村賢史シニアストラテジストがはじき出した5頭のクジラの今後の買い余力だ。
クジラとはその資金規模の大きさから付けられた。筆頭格のGPIFで3〜4兆円、共済年金が1兆円程度、かんぽ
生命が年間8900億円、そしてゆうちょ銀行が2600億円に達する。年間3兆円に達する日銀のETF買いには、ETF
の価格と指数値との価格差を利用した裁定買いも含む。金額だけを聞くと、株高期待が高まるのは当然だ。
GPIFの昨年末時点での全資産における国内株の運用比率は19.8%。昨年10月に基本ポートフォリオに占める
日本株の比率を12%から25%に引き上げる方針を表明しており、14年10〜12月に1.7〜1.8兆円の日本株を買い
越したとみられる。実際、東京証券取引所が公表する投資主体別売買動向で、年金基金の動向を映すとされる
信託銀行の同期間の買越額は1兆5000億円超に達した。足元までの相場上昇を考慮すると、4月時点での日本株
比率は21〜22%程度。比率を3〜4ポイント引き上げるには、運用資産額の130兆円超から単純に逆算すると、
3兆円超買い越す計算になる。
だが、実際の買い余力は「3兆円を大幅に下回るのでは」との見方が優勢だ。UBS証券の大川智宏エクイティ・
ストラテジストは「仮に15年1〜3月にも日本株への投資を拡大しているとすれば、すでに基本ポートフォリオで
定めた中心値の25%程度まで上昇している可能性がある」とみる。
背景にあるのが高齢化に伴う年金受給者の増加だ。GPIFは年金を支給するための現金確保を急いでおり、
今年度から5年間で20兆円を捻出する。その際、対象となるのが国債の償還金だ。再投資をやめ、債券の残高
を減らすことで相対的に株式の比率が上昇。保有比率が目標とする運用比率に近づいている「相場が下がれば
運用比率低下を防ぐために日本株を買い入れる程度にとどまる」(UBS証券の大川氏)という。
GPIFに次ぐ日本株の買い主体となりうる日銀はどうか。年初から4月24日時点までに計9771億円のETFを
買い入れた。残額は2兆円余りだ。ただ、日銀がETFを買い出動するのは、相場が前場に下落局面にある後場
に限られるとされる。下値に買い注文を入れる投資姿勢で、上値は追わない。そのため、「投資家心理へのアナ
ウンス効果はあるが、実際に市場に与えるインパクトは小さい」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラ
テジスト)という。日銀の買うETFは各指数に連動する形となるが、現状では1日の買い付け額は東証1部の売買
代金(2〜3兆円)のわずか1%強にとどまるためだ。
共済年金などの買いも見込めるが、今や東証1部の時価総額は昨年末に比べて15%増えて580兆円を超えた。
株価水準も高まっている現状では一定額を買い入れたとしても、昨年と比べると買い支え効果は薄くなる。一方で
、相場が上昇を続けてれば日本株の運用比率が自動的に高まるために、年金などは上限を超えたところで売りを
出す可能性も否定できない。
クジラたちは需給面で相場の下支え役となる可能性は高いが、「過度な期待は禁物」(ニッセイ基礎研究所の
井出氏)といえそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 中山桂一〕 -
株今年最大の下げ 中期強気大勢も「セル・イン・メイ」に警戒、試される反発力
2015/04/30 16:57 日経速報ニュース 1162文字
30日の東京市場で日経平均株価は大幅反落した。終値は前営業日比538円安の1万9520円だった。下げ幅は
今年最大で、昨年2月4日(610円)以来ほぼ1カ月ぶりの大きさを記録した。日経QUICKニュース社が市場関係
者に、足元の株安の背景や今後の見通しを聞いたところ、短期的な調整で中長期的な上昇基調は崩れていない
との指摘が多く聞かれた。
「『セル・イン・メイ(5月に売れ)』の格言通り、相場の調整が始まっているのではないか」。三菱UFJモルガン
・スタンレー証券の宮田直彦チーフ・テクニカルアナリストはこう指摘し、警戒を強める。2万円台に上昇した日経
平均は過熱ゾーンにあり、円安一服とともに、当面、株価は調整色を強めるとみる。
日経平均の短期的な調整の理由として、多く上げられたのが欧州株の下落だ。欧州中央銀行(ECB)の量的
金融緩和に対する不透明感が強まり、前日に独長期金利は大幅上昇(債券価格は下落)した。株高の背景に
あった日欧での金融緩和政策の先行きシナリオに修正が迫られる可能性が出てきた。日銀は、きょうまで開いた
金融政策決定で一部期待のあった追加緩和を実施しなかった。市場では「日銀にその役割(緩和強化)が期待
されていたが、裏切られた格好になり下げがきつくなった」(三菱モルガンの宮田氏)といった解説も聞かれた。
日経平均は2万円近辺と15年ぶりの高値圏で推移していたため、利益確定売りが出やすい局面だったことは
間違いない。市場では「日経平均が2万円を一気に上抜けるほどの材料がない」(JPモルガン・アセット・マネ
ジメントの重見吉徳ストラテジスト)との指摘も多く、2万円前後で株価の足取りがもたついたことで、外部環境
の悪化を背景に売りがかさんだとみられる。
今後の見通しについて大和証券の佐藤光シニアテクニカルアナリストは、「短期的に基調が変化したか
どうかは、きょうからあすにかけて終値で25日移動平均(28日終値時点で1万9709円)を明確に割り込むか
どうかで判断すべきだ」と語る。目先で日経平均が大きく反発できずに、同水準を明確に割り込めば1カ月程度
の調整はあり得るとし、1万8500円程度への下落も覚悟する。
もっとも、中長期的での日本株の上昇基調は変わらないとの見方が依然として大勢。市場では「調整売りを
こなした後は、日経平均は2万2000円に向け緩やかに上昇していく」(丸三証券の牛尾貴投資情報部長)との
声も聞かれる。企業業績への期待が強いなか、公的マネーを中心とした機関投資家の買いが相場を下支えする
構図はすぐには変わらない。日本アジア証券の清水三津雄エクイティ・ストラテジストは「下値では買いが入り
やすい」とみる。当面の日経平均の反発力が試される局面だ。〔日経QUICKニュース(NQN) 鈴木孝太朗〕 -
りそなHD、前期純利益2110億円に上方修正。
2015/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 194文字 書誌情報
りそなホールディングスは30日、2015年3月期の連結純利益の見通しを上方修正した。従来予想は
前の期比13%減の1900億円だったが、同4%減の2110億円とした。投資信託や保険など金融商品
の販売が好調だった。取引先の業績改善で貸し倒れに備えて積んでいた引当金の戻りも想定を上回った。
業務粗利益は傘下銀行の合算で5805億円と8期ぶりに反転。不動産仲介も好調で債券売却益なども膨らんだ。 -
急落に意外な静けさ―米利上げの後ずれ観測支え(スクランブル)
2015/05/01 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1232文字 書誌情報
日経平均株価が今年最大の下げとなった30日の株式市場。まとまった売り注文で売買代金は膨らんだが、
市場参加者は意外なほどに冷静だった。株主還元を強化する日本企業の変化が株価を下支えするとの安心感が
背景だ。さらに、米国の景気減速への懸念が導く米利上げの先送り観測も、売り一巡後に緩和マネーの株買いを
誘うという期待につながっている。
この日の株安は1〜3月期の米実質国内総生産(GDP)の急減速に加え、欧州を舞台とする債券市場の変調も
引き金になった。ドイツの消費者物価指数の上昇率が高まり、独10年債利回りは0・28%と前日の0・16%から
急上昇(価格は急落)した。
金利急上昇は、回復途上の欧州景気に水を差しかねない。そんな懸念でドイツ株は大幅に下落した。メリルリンチ
日本証券の大崎秀一債券ストラテジストは「欧州も量的緩和で国債市場の売買の厚みがなくなり、金利の動きが
不安定になっている」と危機感を示す。
□ □
予想外だったのは市場関係者の姿勢だ。大和証券の本社にあるトレーディングフロア。午後に訪れると、トレーダ
ーたちはあわてふためくそぶりを見せず、落ち着いていた。
日銀が金融政策の現状維持を決めてからも変わらなかった。一部にあった緩和期待の肩すかしで日経平均の
下げ幅は500円超に広がった。にもかかわらず、グローバル・エクイティ・トレーディング部の池端幸雄担当部長は
「大型連休前に利益を確定する売りを出すきっかけになっただけ」と冷静だった。連休中の海外市場の不測のリスク
を避けるため、ひとまず持ち高を調整したという見方だ。
外資系証券にも動揺はない。シティグループ証券のエクイティ・マーケッツ本部長、アレックス・ミラー氏は「外国人
が大幅に売り越しているわけではない」と語る。短期志向の投資家から売りが出たものの「日本企業の収益拡大や
株主還元の強化への期待は揺らいでいない」と強調する。
欧米では、独DAX指数や米ナスダックのバイオ株指数など年初からの上昇が目立った指数ほど足元の下げが
きつい。力強く上昇してきた日本株も目先的な利益確定の売り対象になってもおかしくはない。
株価急落の一因となった米景気への懸念は、巡り巡って米国の利上げ開始が遅れるという株価下支え要因に
なる側面もある。これまでは米国の景気指標が鈍化するとむしろ緩和長期化の期待が高まり、相場を支える場面が
目立っていた。
□ □
米シカゴ・マーカンタイル取引所が算出する「Fedウオッチ」は、米フェデラルファンド(FF)レート先物から利上げ時期
の確率を割り出した指標だ。景気鈍化により直近で利上げ時期予想は10〜12月へ後ずれしている。投資家の見立
てでは6月利上げの可能性はほぼなくなった。
欧州債券市場の動揺が収まれば、投資家は再び米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期に目を向けるだろう。
緩和マネーによる相場下支えの構図は長引きそうで、日本株も大きく崩れる事態は想定しにくい。(川上穣) -
再)☆黒田総裁、目標達成先送りも「期限」は今秋まで 物価上昇スピードが焦点
2015/05/01 07:20 日経速報ニュース 1406文字
(4月30日18時54分に配信した記事と同内容です)
「2%に達する見込みが後ずれしたのは事実」。量的・質的金融緩和政策の維持を決めた30日の金融政策決定
会合後の記者会見で、黒田東彦総裁は「2015年度を中心とする」としていた2%の物価安定目標の達成時期の
後ずれを認めた。予想外の原油価格の急落などで物価が伸び悩んだ現状を追認したものの、ほっとしていられる
時間はそう長くはない。市場では今秋にも、追加金融緩和に追い込まれるとの観測が強まっている。
■「16年度前半」に驚きも
「ずいぶんあっさりとした修正だった」。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、きょう日銀がまとめた
「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の前年比上昇率(消費増税
の影響を除く)が2%に達する時期を「16年度前半」としたことに驚きを隠さない。
伏線はあった。今年に入り、黒田総裁は目標達成時期についての発言をじわりと修正。1月21日の記者会見では
「15年度中と言っていない。はみ出ることもある」と、後ずれを容認する姿勢をみせていた。それでもデフレマインドの
転換に「速度と勢い」(2月27日の講演)が必要だと強調していた黒田総裁が、「15年度」の旗をあっさり降ろしたこ
とは驚きを持って受け止められた。
もっとも、「2年程度を念頭にできるだけ早期」に目標を達成するというコミットメントについて、黒田総裁は「変える
つもりはない」とも強調した。16年度前半というと来年9月までで、13年4月の「異次元緩和」開始から3年半の期間
があるが、「できるだけ早期」という日銀の姿勢は不変だとの立場だ。
15年続いたデフレ下で根付いた心理の転換は容易ではないとの危機感の裏返しでもあるが、「2年程度」の看板
を維持したことで追加金融緩和に追い込まれるリスクはむしろ増した。焦点は黒田総裁が「後ずれしていない」と
した、今年の秋以降の物価上昇率の加速シナリオの実現性だ。
■秋以降の物価上昇率の高まりに「言質」
ニッセイ基礎研の矢嶋氏は「秋以降に物価上昇率が高まるという言質を市場に与えた」と指摘する。原油価格下落
の影響が薄らぐ今秋以降に物価が加速度的に上昇する気配がなかった場合は、目標達成時期の後ずれでも黒田
総裁が「揺らぐ必要はない」とした金融政策に対する市場の視線は厳しさを増す。
黒田総裁は需給ギャップの縮小や予想物価上昇率の高まり、企業の価格設定行動など、経済指標に現れない
物価の「基調」改善を強調してきた。2月の全国CPI上昇率がゼロ%になっても追加緩和を回避したのは、「基調」
が「しっかりしている」ためだ。
■「10月に追加緩和」の思惑強まる
秋以降の物価上昇率の高まりに言質を与えたことで、焦点はCPIの動きに移ることになる。物価目標の達成時期
を先送りしつつ「2年程度」というコミットメントを下ろさない曖昧さの背景に、当面の追加緩和を回避したいとする意図
をかぎ取る市場参加者は多い。今回の展望リポートを受け、夏場の追加緩和観測は後退を迫られることになる。
それでも、秋以降の物価上昇スピードが速まらなければ、追加緩和を催促する声が増えるのは間違いない。次回の
展望リポートをまとめる10月の追加緩和の可能性は、今回の黒田総裁の姿勢を受けてむしろ高まりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 滝口朋史〕 -
財政健全化、高成長が前提、政府計画、消費税10%超は封印、18年ごろ見直し。
2015/05/04 日本経済新聞 朝刊
政府は夏にまとめる財政健全化計画(3面きょうのことば)の基本方針を固めた。2020年度までに基礎的財政収支
(プライマリーバランス)を黒字にする道筋として、経済成長による税収増で7兆円、歳出削減などで9・4兆円を賄う。
実質2%以上という高い経済成長率を前提にした「成長頼み」の計画で、消費税の10%超への引き上げは当面検討
しない。17年4月の消費増税を踏まえ、18年ごろに計画全体を見直す。(解説3面に)
内閣府は2月に示した「経済財政に関する中長期試算」で、基礎的財政収支を黒字にするのに必要な赤字の穴埋め
額について(1)国内総生産(GDP)成長率が実質2%以上、名目3%以上なら9・4兆円(2)実質1%弱、名目1%半
ば程度なら16・4兆円――と推計した。
日本の潜在成長率は実質1%に届かない水準だが、健全化計画は実質2%以上という高い成長率を見込む(1)の
シナリオを採用。成長戦略の実行などによる税収増で7兆円を賄えるとし、歳出削減などで穴埋めする必要がある赤字
は9・4兆円とする方針を打ち出す。
9・4兆円の赤字の穴埋めは歳入を増やすか歳出を減らすことになる。しかし歳入面は17年4月に予定する消費税率
10%への引き上げ以外、消費増税を歳入増加策に採用しない。安倍晋三首相と甘利明経済財政・再生相が景気の
腰折れを懸念して慎重なためだ。
消費税10%超を封印する代わりに、健全化計画自体を18年ごろに見直す規定を盛りこむ。17年4月の消費税10%
への引き上げの影響を見極め、もう一段の消費増税や歳出削減が必要か判断する。
政府・与党は今後、具体的な歳出削減策などを検討する。社会保障を中心に歳出の伸びを抑えるほか、歳出を抑えた
自治体に補助金や交付金を優遇して自主努力を促す案も検討する。マイナンバー導入による税収増を計算に入れる案
もある。
健全化計画は首相が昨年11月、消費税率10%への引き上げを15年10月から17年4月に先送りした際に作成を
表明した。政府は連休明けの経済財政諮問会議で議論を始め、自民党も歳出削減などの議論を本格化させる。夏まで
に政府、与党間で調整し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)とともにまとめる。
政府・与党では一時、国と地方の債務残高の総額をGDP比で減らす新目標を検討する動きもあった。分母のGDPが
伸びれば、債務が減らなくても財政が改善したと主張できるものの、「成長頼み」の印象がさらに強まるため今回は見送る。
基礎的財政収支の黒字化後の目標とする方向だ。
▼基礎的財政収支(プライマリーバランス) 社会保障や公共事業などに必要な政策経費を、新たな借金に頼らず税収
でどのくらい賄っているかを示す指標。新規国債の発行額を除く歳入から、国債償還費や利払い費を除いた歳出を差し引い
て算出。収支が均衡していれば借金に頼らずに財政運営していることを意味する。 -
消費増税と景気―日本租税研究協会会長西田厚聡氏、悪影響薄れ、脱デフレへ(月曜経済観測)
2015/05/04 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1251文字 書誌情報
昨年4月の消費税率引き上げで消費が低迷するなど税と景気、経済の関係は深い。終戦直後から民間の立場で
税制を調査・研究してきた日本租税研究協会の西田厚聡会長(東芝相談役)に景気の安定や成長に必要な税制の
あり方などを聞いた。
構造問題なお
――景気の現状をどう見ますか。
「物価は政府・日銀の目標通りに上がってはいないが、デフレ脱却は着実に進んでいる。消費税増税の影響も薄れ
てきており、消費活動も少しずつ活発になってきた。株式相場も堅調。円安や原油安も恩恵となって輸出も上向きで、
輸出関連企業の業績も回復している。賃金も上昇基調だ。アベノミクスによって総じて景気は回復に転じているのでは
ないか」
「景気が良くなってきたとはいえ、日本経済の構造問題は依然として横たわっている。少子高齢化やエネルギー・
環境問題などだ。これらのために日本経済は極めて厳しい状況に置かれていることは間違いない。こうした課題をどう
克服して景気を安定させ、成長を維持していくのか。世界中が日本を注目しているといってもいい」
――対策はありますか。
「高齢化など21世紀に浮上した新しい課題に対して過去の経験は役に立たない。対策はイノベーションしかないだろう。
これまでにない価値を市場に投入し、人々のライフスタイルを変えてしまうような大きなイノベーションを起こすことが求め
られる。ただそれは企業の力だけではできない。産学官の連携が必要だ。この点で政府の科学技術基本計画が重要に
なる。5カ年計画なので、企業もこれを参考に中長期の視点で研究開発を進めたい」
「イノベーションには外国人の活用、外国からの投資も求められる。そのためには日本の立地競争力を高め、魅力ある
国にしたい。この観点からは法人税率の引き下げが必要だ。そもそも日本は他の先進国に比べて海外からの投資が少な
すぎる」
歳出減しっかり
――法人税を下げると税収が減ってしまいます。
「研究開発減税は必要だが、それ以外の企業向け税優遇は一部あきらめるべきところもある。政府の歳出削減もしっかり
進めてほしい。原則として民間にできることはすべて民間に任せるべきだ」
「消費税の増税は避けては通れない。国民全体が広く負担する消費税はこの国の基幹税だ。膨大な財政赤字を抱える
日本でこの増税が進まないと、経済が崩壊してしまう。政治はきちんと国民に説明し、責任を果たさないといけない」
――消費税以外で課題はありますか。
「所得税が問題だ。日本では所得税率が10%以下の人が全体の80%以上にも達する。欧米ではこの比率がずっと低い。
所得税の機能を回復させ、税収を確保する必要がある」
「高所得者にもっと負担してもらってもいいが、人数が限られるので大きな税収にならない。やはり広く負担してもらうこと
が欠かせない。低所得者に対しては、税とは別の問題として、集めた財源できちんと対策を講じるべきだろう」 -
3メガバンク赤字転落へ 株下落と不良債権増加で
[2009/04/04 10:46 共同通信]
みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループの2009年3月期連結決算が純損失となる
見通しとなったことが4日、明らかになった。三菱UFJフィナンシャル・グループも赤字転落の可能性が高く、
メガバンクがそろって赤字となれば03年3月期以来6年ぶり。
金融危機に端を発した世界的な景気悪化で、保有株の減損処理や不良債権処理費用が急増したことが原因。
欧米金融機関への投資で多額の損失が出たことも響いた。各グループとも現在は黒字決算を予想しているが、
月内にも下方修正するとみられる。赤字額が膨らめば、一層の資本増強を迫られそうだ。
みずほは1000億円の黒字を予想していたが、株価下落で取引先との持ち合い株の減損処理額が急増。昨年
、1300億円を出資した米証券大手メリルリンチの優先株で800億円前後の損失を計上するほか、貸倒引当金の
積み増しもあり、最終的に赤字になる見通し。
三井住友は1800億円の黒字を予想していた。しかし約1000億円出資した英大手銀バークレイズの株式で600
億円前後の損失が発生するほか、不良債権処理費用も積み増すことで、赤字に転落する公算が大きい。
三菱UFJは9000億円を出資した米証券大手モルガン・スタンレーの優先株では損失は出ないものの、株価
下落や不良債権処理費用の増加で損失が拡大。500億円の黒字予想だったが、最終的に赤字となる可能性
が高まっている。 -
米国株、3日ぶり反落 ダウ142ドル安、米景気減速を意識 アップルも安い
2015/05/06 05:58 日経速報ニュース 806文字
【NQNニューヨーク=大石祥代】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落した。終値は
前日比142ドル20セント(0.8%)安の1万7928ドル20セントだった。米景気の減速を意識した売りが優勢となり、
ダウ平均は下げ幅を164ドルまで広げる場面があった。
米商務省が発表した3月の米貿易収支では、赤字額が約6年半ぶりの大きさとなった。大幅な貿易赤字を受
けて、民間金融機関は相次いで1〜3月期の米実質国内総生産(GDP)改定値が速報段階(前期比年率0.2%
増)から下方修正され、マイナスに陥ると予想。米景気の減速が改めて意識されて米株式の売りにつながった。
アップルなど大型ハイテク株の一角が大きく下げたことも相場の重荷となった。アップルの下落率はダウ平均
を構成する銘柄の中で最も大きかった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに大幅反落。前日比77.602ポイント(1.5%)
安の4939.327で終え、4月17日以来およそ3週ぶりの安値を付けた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種が下落した。「公益事業」の下落率が最も大きかったほか、「電気通
信サービス」や「IT(情報技術)」なども下げた。
個別銘柄では、5日発表した四半期決算で最終赤字が前年よりも拡大した通信のスプリントが大幅安。四半期
決算が増収増益だった映画・娯楽のウォルト・ディズニーも相場全体の下げにつれて売りが優勢となった。四半期
決算が減益だった食品のケロッグも売られたほか、ホームセンターのホーム・デポや化学のデュポンなども下げた。
一方で、クラウドのセールスフォース・ドットコムが上昇した。一部報道でマイクロソフトが同社の買収を検討して
いると伝わり、思惑的な買いが広がった。四半期決算が増益だったインターコンチネンタル取引所(ICE)が大きく
上げたほか、クレジットカードのビザも買われた。 -
ムゥ〜おやつが食べたいな〜
あっ、シュークリームだ
おいしそう 食べよう
モグモグモグモグ おいしいな モグモグモグモグ
もう一個ある これも食べちゃえ
モグモグモグモグ モグモグモグモグ
あ〜おいしかった
ねえムーくん、ここにあったシュークリーム知らない?
知らないよ
変だなぁ 後でムーくんと一緒に食べようと思ったのに
おかしいな どうしたんだろう?
あんなおいしいシュークリーム どうしたんだろうね?
あんなおいしいシュークリーム?
それじゃまるでムーくん
あのシュークリームを食べたことがあるような言い方じゃないか?
ワッ しまった
さてはムーくん シュークリーム食べたでしょう?
知らないよ
ほら 白状しないと コチョコチョコチョコチョ
ムヒヒヒヒ 食べた 食べた
ほら やっぱりムーくんが犯人じゃないか
もう おしりペンペン
ムッヒーミンミンミン ムッヒーミンミンミン
ようし ムー汁にして食べちゃおうかな
ムッヒーミンミンミン ゴメンナサイ ムッヒーミンミンミン -
米国株、ダウ続落し86ドル安 イエレンFRB議長発言を嫌気、ハイテク株に売り
2015/05/07 05:28 日経速報ニュース 926文字
【NQNニューヨーク=岩切清司】6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落した。終値は前日比86ドル22セント
(0.5%)安の1万7841ドル98セントだった。午後には下げ幅が195ドルに達する場面もあった。イエレン米連邦準備理
事会(FRB)議長が米株高に対して警鐘を鳴らすと投資家心理が悪化。一部の経済指標が景気の先行き不透明感を
示したことも嫌気された。
イエレン議長はこの日の講演後の質疑応答で米株式相場に触れ「一般的に言うと、とても割高」との認識を示した。
バブルの可能性は否定したものの、金融当局が株高に警戒感を示したことで地合いの悪化につながった。
民間の雇用指標である4月のADP全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数(政府部門除く)の伸びが市場
予想に届かなかった。米景気に対する不安感につながったうえ、8日に発表予定の4月の米雇用統計に対する懸念
が高まった。
この日の原油先物相場は約5カ月ぶりの高値を付ける場面があった。だが石油のエクソンモービルやシェブロンが
小幅安で終わるなど、株式相場を押し上げるほどの影響はなかった。
ナスダック総合株価指数も続落した。同19.683ポイント(0.4%)安の4919.644となった。アップルのほか、マイクロ
ソフトやIBM、インテルなど大型のハイテク株に下げる銘柄が目立った。
業種別S&P500種株価指数(全10業種)は「電気通信サービス」や「IT(情報技術)」の下げが目立った一方、
「生活必需品」は上げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億2000万株(速報値)、ナスダック市場
は約20億9000万株(同)だった。
バイオ製薬大手アレクシオン・ファーマシューティカルズが安い。同業を約1兆円で買収すると発表し財務負担を
嫌気した。クーポン共同購入サイトのグルーポンが続落。期待に届かなかった決算を受けて目標株価を引き下げた
アナリストが相次いだ。四半期決算で赤字に転落した石油・天然ガス開発の米チェサピーク・エナジーも売られた。
店舗売却を発表したハンバーガーチェーンのウェンディーズが高い。同業のマクドナルドや日用品のプロクター・
アンド・ギャンブル(P&G)もしっかり。 -
株、連休明けにイエレン発言で動揺 金利・資源相場には明るさも
2015/05/07 14:23 日経速報ニュース 1196文字
連休明け7日の東京株式市場が動揺した。休場期間が明けてみれば外部環境は一変、日経平均株価の下げ幅は
一時250円を超えた。市場ではしばらくの調整期間入りを見込む声も広がる。ただ、個別に目を移せば投資家の物色
意欲は旺盛で、我慢の時期ながらも調整後の株価は再び上昇に転じるとの思惑も広がっている。
「これほど下がるとは思わなかった」――。きょうの日経平均の下げに市場関係者の間でこんな声が上がった。日本
株にも影響がある米ダウ工業株30種平均は6日に一時195ドル下落したとはいえ、1日終値水準にあり、日経平均が
200円超下げる理由にはなりにくい。むしろ連休中に「揺れていた投資家心理が、しばらく株式相場に手が出せないと
いう形に変わった」(大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト)ことの表れとの見方が広がる。背景にあるの
はイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の6日の講演での発言。イエレン議長は米株式相場に対して「一般的にいう
と、とても割高」と語り、これまで株式市場に寛容だったイエレン議長が一転、けん制に回ったように多くの投資家には
映っためだ。
イエレン議長の発言は一部の米経済指標に先行き不透明感が出ていることとあわせて米国株の高値警戒感を再燃
させた。米国株の上値期待が後退すれば、欧米株への出遅れ感を手掛かりのひとつとしていた日経平均の2万円回
復も遠のくというわけだ。
とはいえ、個別株の物色には先高期待の一面もうかがえる。前引け時点で東証一部の値下がり銘柄数は835と値上
がり銘柄数(899)を下回る。連休中には米国のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物価格が1バレ
ル60ドル台を回復。銅やアルミ、ニッケルなどの商品相場も軒並み上昇した。きょうの東京市場では昭和シェルなどの
石油元売り大手のほか、住友鉱や三菱マなどの製錬大手に収益が改善するとの見方から買いが入っている。
さらに業種別で上昇率の上位につける「保険業」には強気の買いが顕著だ。連休中に欧州を起点として10年物国債
の金利が上昇(価格は下落)。金融関連株の売買では債券価格の下落による財務への影響と、金利上昇による運用
益の押し上げとが相反する関係だが、「(これまでの超低金利で)資金運用先が乏しくなっている現状から、将来的に
状況が好転するという先々まで見据えた買い」(野村証券の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジスト)が入ったと
される。
東京市場はきょうとあす8日の取引で週末を迎え、連休の谷間の様相でもある。米国では8日に4月の雇用統計の
発表も控える。日本株の調整が長引くかどうか、市場の注目は週明け11日以降の値動きに移りつつある。ただ、調整
の長短にかかわらず「しばらくは選別物色が重要」(大和の木野内氏)な傾向は一段と強まりそうだ。 -
マネー変調、株安・金利高、緩和期待、欧州で後退、米回復観測に陰り。
2015/05/08 日本経済新聞 朝刊
世界的な金融緩和であふれた投資マネーの流れに変化が起きている。日米欧で債券と株が売られ、長期金利は
急上昇し、株価は弱含んでいる。欧州ではデフレ懸念が和らぎ、金融緩和への過度な期待が後退している。対照的
に市場が前提としてきた米景気の回復シナリオには陰りが見え始めた。年明け以降に株と債券に向かったマネーが
一時的に逃避したとの見方が多いが、市場の変調には警戒感もくすぶる。
独金利が急上昇
連休が明けた7日の東京市場で日経平均株価は大幅に反落した。終値は連休前より239円(1・23%)安い1万
9291円だった。4月23日の年初来高値からの下落幅は900円に迫る。一方、国債は売られて長期金利は2カ月
ぶりに0・4%台に乗せ、金利上昇と株安が同時に進んだ。
世界的に見ると、この半月で最も動きが大きいのが欧州国債だ。起点となったドイツでは4月下旬に0・1%台だった
10年物国債が7日に0・7%台に急上昇した。フランス国債も0・4%から1・0%強に上昇、スペインやイタリアなど
南欧の金利も跳ね上がった。
背景には金融緩和への期待の変化がある。ユーロ圏の4月の消費者物価指数は前年比横ばいに回復した。昨年
夏から物価を押し下げてきた原油価格も米国でシェールオイルの減産観測が出てきたことから今年の安値から5割
上がるなど底入れが明確だ。「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)からすれば金利は低すぎた」(UBSのマイク・
シューマッハ氏)との見方が広がり、急ピッチな調整が起きている。
余波は日米にも広がっている。米国の長期金利は2・2%台後半と今年最高の水準を付け、日本の金利も上昇した。
「年明け以降、欧州投資家が日米の国債に資金を振り向けていた反動が出ている」(国債トレーダー)。日米の金融
政策は欧州と局面が異なるが、金利差に着目した取引も多いためすぐに連鎖する。
「長期金利は急速に動く可能性がある」
「米国株はかなり高い水準だ」
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は6日、異例の警告を発した。これまでの株高は金融緩和が支えた面も
大きい。金利の水準が切り上がれば影響は避けられない。米国株市場では高値警戒感が広がり、7日の東京市場に
も連鎖した。
米景気の減速に対する懸念も投資家心理を冷やしている。1〜3月期の国内総生産(GDP)は低迷し、今週発表
された雇用や貿易収支の統計も鈍さが目立つ。米景気の一人勝ちの構図には変化の兆しが出ている。
一部が原油へ
長期金利の急上昇と並び「株高の前提だった複数の要因が逆方向に傾き、リスクを落とす動きにつながっている」
(大和証券の壁谷洋和氏)。
株と債券から逃避したマネーは一時的に現金化されたり短期金融市場で運用されたりするとみられる。一部は原油
などの商品に再投資される。
日欧は大量の国債を買い続けており、いずれ長期金利の上昇は収まるとの見方が市場では多い。米国が年内に
利上げに動くとの観測は変わらず、円安・株高基調は変わりないとの声が優勢だ。ただ「緩和相場が長期化してきた
分、調整が深く長引いてしまうリスクに留意すべきだ」(BNPパリバ証券の中空麻奈氏)との指摘もある。 -
ユニチャーム、8%減益 1〜3月営業
2015/05/08 23:54 日経速報ニュース 156文字
ユニ・チャームが8日発表した2015年1〜3月期連結決算は、営業利益が170億円と前年同期に比べて
実質8%減だった。昨年4月の消費増税前の駆け込み需要の反動減や海外の販促費用増が重荷になった。ア
ジア向けに幼児用紙おむつと生理用品が伸び、売上高は1775億円と12%増えたが補えなかった。純利益は
57億円だった。 -
シャープが減資、資本金1億円に、累損一掃、税優遇狙う。
2015/05/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 604文字 書誌情報
経営再建中のシャープの財務改善策が8日わかった。主力2行に対する優先株発行などで資本を拡充する一方、
1200億円以上ある資本金を1億円に減らし、累積損失を一掃する。経営破綻していない大企業が99%以上の
大幅な減資をするのは極めて異例だ。税制上の優遇措置を受けながら収益を改善し、他社との資本提携や復配、
新たな増資などを模索する。(解説13面に)
14日に2015年3月期の決算と合わせ発表する。約2000億円の資本支援を決めているみずほ銀行、三菱東京
UFJ銀行の主力2行も減資に合意しているもようだ。
シャープは12年3月期と13年3月期に計9000億円以上の連結最終赤字を計上。14年3月期は黒字化したが
、単独で約200億円の繰越欠損金があった。15年3月期は2000億円超の連結最終赤字に転落、単独の累損も
膨らんだもようだ。
減資で累損をなくせば将来の復配につながり、公募増資や資本提携なども進めやすくなる。また資本金を1億円
以下にすると「中小企業」と見なされ、法人税への軽減税率の適用、外形標準課税の不適用など税制上の優遇
措置も受けられる。
株主の合意が必要なため、6月下旬の株主総会で優先株の発行と減資を決議する予定だ。シャープは16年3月
期も1000億円超の最終赤字が見込まれ、さらに財務が傷む懸念があった。今回の減増資で財務改善を進め、
18年3月期末に連結の自己資本比率を約10%に戻す計画だ。 -
NY株、最高値迫る、雇用堅調、懸念薄らぐ、高値警戒感も根強く。
2015/05/10 日本経済新聞 朝刊
【ニューヨーク=山下晃】米国株式市場でダウ工業株30種平均が8日に大幅高となり、3月につけた過去最高値に
迫った。4月の米雇用統計が堅調な結果となり、投資家心理が好転した。ただ、高値警戒感は根強いうえ、米連邦
準備理事会(FRB)による利上げへの警戒感もくすぶる。米株相場は当面、方向感に乏しい状況が続きそうだ。
ダウ平均は8日終値で1万8191ドルとなり、3月2日につけた最高値の1万8288ドルまであと97ドルに迫った。
同日発表の4月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月に比べ22万3千人増え、労働市場の堅調さの目安
となる20万人を上回った。労働需給の改善が続いているとの見方が相場を押し上げた。
年初から3月の米指標は厳冬や西海岸の港湾労使紛争が響き、下振れが目立った。1〜3月期の実質国内総生
産(GDP)は速報値の段階で前期比年率0・2%増に急減速した。米景気が失速するのではないかとの懸念は、4月
の雇用統計が底堅い結果となったことでひとまず収まった形だ。
ただ、高値警戒感を指摘する声も多い。多くの投資家が運用の指標とするS&P500種株価指数のPER(株価収益
率)は17倍台。過去10年の平均(15倍台)を上回り、株価が割高であることを示唆している。イエレンFRB議長も先
週、米国株を「かなり高い水準だ」と指摘しており、この水準から積極的に買い進みにくいムードが漂う。
ドル高が米企業収益の拡大を阻むおそれもある。「ドル高は確実に(業績の)向かい風となる。利上げや賃上げで
利益率の拡大余地は乏しい」(ブラックロックのラス・ケステリッチ氏)
4月の雇用統計ではFRBが物価を占ううえで注目する賃金の伸びが限定的だった。市場の一部ではFRBによる
利上げ先送りが意識され、株への買いを誘った面があった。
4月の小売売上高など今後発表の指標が米景気の持ち直しを示すようなら「利上げが意識され株価も上値が重く
なる」(米ヘッジファンド)との見方も出ている。 -
注目株 トヨタ、決算発表受け下落 「日本代表」の株主還元策に厳しい声
2015/05/11 16:22 日経速報ニュース 1466文字
11日の東京株式市場でトヨタ株は反落して終えた。寄り付きこそ前週末比121円(1.4%)高の8400円を付けたものの
、その後は前週末終値を挟んだ値動きとなり、値動きの鈍さが目立った。8日に発表した2016年3月期の業績予想が
市場の期待に届かなかったうえ、株主配分にも消極的との見方もあり、上値の重さにつながったようだ。日本を代表
する企業であるが故とも言える投資家の高い期待に応えられず、市場ではしばらく上値の重い展開が続く可能性を指
摘する声が増えている。
今期の業績予想は、多くの国内企業同様に保守的だ。連結営業利益(米国会計基準)は前期比2%増の2兆8000億
円。アナリスト予想の中心であるQUICKコンセンサスを約3900億円下回った。とはいえ、新興国通貨を含めて為替相場
の前提に大幅な「のりしろ」を持たせていることが大きく、3期連続での過去最高更新の確度は高い。きょうの株価を押し
上げる効果こそなかったが、市場では業績の先行きそのものを悲観する声はそれほど多くない。
一方で「物足りない」と判断されたのは株主還元策の中身だった。トヨタは今期予想ベースの連結配当性向は30%。
自社株買いは発行済み株式総数(自社株除く)の1.27%にあたる4000万株、金額にして3000億円を上限に設定した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストによると、これは「期待レンジの下限」。これまでの実績
からみて、自社株買いの規模は純利益の1割強から2割にあたる4000億〜5000億円が理想的だったという。
実際、トヨタの手元資金は潤沢だ。15年3月期末の時点で「預金及び現金同等物」の残高は2兆2800億円超に上る。
今期のキャッシュフローの見通しなども合わせた余剰資金に対する株主配分の規模に市場では不満の声は多い。
確かにトヨタは「株主のためにおカネを使う意欲に乏しい」と取れなくもない。
「経営陣は株式市場を理解していないのでは」――BNPパリバ証券の丸山俊・日本株チーフストラテジストは手厳し
い。今期は増益を確保する見通しとはいえ、グループでの世界販売台数(ダイハツ工業、日野自動車を含む)自体は
前の期から小幅ながら減少し、世界首位の座を独フォルクスワーゲン(VW)に明け渡す見込み。丸山氏は「成長期待
が乏しいのなら株主還元に力を入れるべきだ」と指摘。日本を代表する企業とはいえ「このままでは機関投資家がトヨタ
株を買う理由を失いかねない」と苦言を呈する。
トヨタ株は3月24日に8783円の上場来高値を付けたあと、足元の水準でもみ合いが続いている。インベストラストの
福永博之代表は「きょう一日だけの値動きでは先行きについて断言しにくい」としながらも「PER(株価収益率)12倍
でも売られるとなれば、投資家心理が悪化しかねない」と指摘。目と鼻の先まで迫った75日移動平均(8150円前後)を
割り込めば昨年10月23日以来となり、株式需給の面でも売り圧力がかかりやすくなるとの見方を示す。
もちろん、業績見通しは慎重との見方が多いだけに「(市場予想を上回る)実績を示せば買いにつながる」(三菱モ
ルガンの杉本氏)との見通しは根強くある。ただ、株主還元は今回の決算発表における焦点の一つだったとあって、
豊富な余剰キャッシュを持つトヨタにはとりわけ高い期待が寄せられた可能性が高い。期待で買った向きの売りが
一巡するまで、しばらくは軟調地合いが続くシナリオにも覚悟が必要かもしれない。 -
ゴールドマン、中国経済の回復を予想−歴史は繰り返す
(ブルームバーグ):中国経済見通しをめぐる不透明感が強まった昨年3月。ゴールドマン・サックス・グループの
エコノミスト、宋宇氏は経済成長が「底打ちした」可能性が高く、回復に向かうと断言した。中国経済の予測の正確
さでトップの宋氏の読みは正しかった。同氏は今年もそうした状況が繰り返されると予想する。
宋氏は「金融や財政、行政の緩和策が重なった点から見て、現在は昨年の今頃と極めて似ている」と指摘。「近年
のデータは1つのことを一貫して示している。つまり、中国政府が本当に短期的な成長を押し上げたいなら、それは
可能だということだ」と述べた。同氏は過去2年間の中国経済の全体的予測に関するブルームバーグのランキング
でトップだった。
そうした決意を表すかのように中国人民銀行(中央銀行)は10日、政策金利の引き下げを発表。利下げは過去半年
で3回目で、同中銀は市中銀行に義務付ける預金準備率も2回引き下げている。宋氏の楽観的スタンスと同様、
エコノミストランキング上位5人の残り4人も経済のハードランディングのシナリオを見込んでいない。
経済予測の精度をみる同ランキングは4月21日までの2年間に発表された経済指標をベースに、国内総生産
(GDP)や輸出、輸入、固定資産投資、消費者物価、生産者物価を含む9つの経済指標に関してブルームバーグ
に提供された各社の予想を使って評価した。エコノミストのコメントは人民銀による今月10日の利下げ発表前のもの。 -
「米業績底入れ」に光明 輸出株見直しの契機に スクランブル
2015/05/12 02:00
11日の日経平均株価は大幅続伸した。8日の米国株高の流れを引き継いだ格好だが、買い材料はこれだけではない。
減益が懸念されていた米企業業績が足元で増益に転じ、底入れしたとの見方が浮上しているからだ。米経済改善の
恩恵を受けやすく、株価の出遅れが目立っていた自動車など輸出株に見直し買いが広がれば、相場全体の強い支え
になりそうだ。
株価上昇のきっかけは8日発表の4月の米雇用統計だ。非農業部門の雇用者数は前月比22万3千人増と、堅調さ
の目安である20万人を上回った。4月下旬から米経済への警戒感が強まり歩調を合わせるように日本株も調整色を
強めていただけに、米経済改善は好感されやすかった。さらに、堅調な米企業業績が買い安心感につながっている。
トムソン・ロイターは8日、米主要500社の2015年1〜3月期の1株利益は前年同期比2%増になると公表した。同日
までに決算発表した447社中、利益がアナリスト予想を上回ったのは67%に上り、過去平均の63%を上回った。
年初は5%増益予想と強気な見方だったが、原油価格の下落とドル高で業績が悪化するとして市場予想は切り下がり
、1月末からはマイナス圏に沈んでいた。およそ5年半ぶりの減益になると懸念されたが、5月に入って増益に転じた。
最大の要因は原油安の悪影響が、懸念したほどには広がっていないことだ。米シェブロンが1日発表した1〜3月期の
1株利益は1.37ドルと市場予想の0.79ドルを大きく上回った。原油安がプラスになる精製などの部門が健闘し、悪影響を
和らげた。エクソンモービルも予想を上回った。
第2に、ドル高の悪影響も市場は過度に懸念していたきらいがある。グローバル企業であるIBMの売上高は約1割減
ったが、1株利益は予想を上回った。
富国生命保険の山田一郎株式部長は「予想が次第に改善するのは米国でもおなじみだが、今回はその度合いが
大きい。原油安をはじめ負の側面だけが注目された可能性がある」とみる。
4〜6月期も同様の展開になる可能性がある。トムソンの8日時点の発表では、2.4%の減益予想だ。大和証券の弘中
孝明ストラテジストは「1〜3月期よりは外部環境が改善しそうだ」として、緩やかな回復基調をたどるとみる。
米企業の利益拡大は日本企業、とりわけ輸出株の追い風になるだろう。株高による資産効果に加え、業績改善が
賃金上昇につながれば、消費にプラスに働く。米国のグローバル企業に部品を供給する電機や機械の収益拡大も期待
できる。
輸出株の一角には潮目の変化も見られる。11日は米国の売上比率が高い富士重工業株が一時4%と急伸した。野村
証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「自動車各社は景気が復調に向かう米国で利益をしっかり出せる
との期待がある」と話す。
代表的な輸出株と内需株の年初来の動きを見ると、輸出株の出遅れ感はなお強い。相場のけん引役だった内需株が弱含む中、米企業業績の底入れを契機とした輸出株の見直しが今後の日本株市場の大きなテーマになるだろう。(荻野卓也) -
割安株に買い広がる、PBR1倍未満、非鉄・商社など高値、成長株の割高感を警戒。
2015/05/12 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1137文字 書誌情報
株式市場で割安感のある銘柄を買う動きが広がっている。日経平均株価が大幅続伸した11日の東京株式市場
では、非鉄金属や商社などPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る銘柄の高値更新が相次いだ。世界景気や金利
動向に対する先行き不透明感が残る中、相場全体の上値は追いづらいとの見方も多く、なお割高感の強い成長株
には警戒感も出ている。
PBRは株価を1株当たり純資産で割って算出する。PBRが1倍を下回れば純資産ベースで見た企業価値(解散
価値)を株価が下回っていることを示し、指標面から割安とみることができる。PBRで判断した割安株に資金を振り
向ける動きが活発になっている。
11日は13%高と東京証券取引所第1部の上昇率2位だった三井金属は、11日終値ベースのPBRが0・9倍台
と1倍を下回る。前週末に2016年3月期の連結純利益が前期比36%増になる見通しと発表した。「株価が出遅れ
ていたところに好業績見通しが出て市場は素直に好感した」(松井証券の窪田朋一郎氏)
この日高値を更新した日本軽金属ホールディングスもPBRは0・9倍台。アルミニウムや銅などの価格が足元で
反発しているのも買い材料になった。住友商事や伊藤忠商事、双日など商社株でも高値更新が相次いだ。
こうした動きが目立ち始めたのが4月下旬以降だ。PBRが低い割安株の値動きを示すTOPIXバリュー指数の年初
来上昇率は15%と、PBRの高い成長株の値動きを示すTOPIXグロース指数の上昇率(12%)を上回っている。
背景にはまず、4月下旬に本格化した企業の決算発表がある。会社側の業績見通しが市場予想を下回る例が目立
ち、「決算が一段の上値を追う材料にはならない」(しんきんアセットマネジメント投信の山下智巳氏)との声が増えて
いる。業績期待の強かった成長株を売り、割安株に資金を移す動きにつながった。
もう1つが「金利上昇への準備」(みずほ証券の永吉勇人氏)だ。4月下旬には米国やドイツなど世界主要国での
金利低下の流れが反転。金利が上昇すれば収益が拡大するとの期待から、代表的な割安株だった大手銀行株に
資金が流入した。
金利上昇懸念はPBRが高い食品や医薬品などの売りにもつながった。低金利下で債券の代わりとして買われて
きたが、「金利上昇で債券代替投資の需要が鈍るとみて、短期投資家が売りに動いた」(三菱UFJモルガン・スタンレ
ー証券の古川真氏)という。11日はアステラス製薬やキッコーマンなどが下落した。
今後も割安株が優位の展開が続くかどうかについては市場の見方は割れている。割安株物色の流れはなお続くと
の見方がある一方、「企業統治改革などを背景に成長期待の高い銘柄に資金が戻る」(保険系運用会社)との声も
出ている。 -
アジア開銀インフラ整備支援、民間資金活用後押し、まずフィリピン鉄道、3メガ銀と協力も。
2015/05/12 日本経済新聞 夕刊
【マニラ=佐竹実】アジア開発銀行(ADB)による民間マネーを活用したインフラ開発が本格的に始まる。新興国の
官民パートナーシップ(PPP)事業を民間銀行などと共同で助言する業務の第1弾として、フィリピンの大規模な鉄道
整備が近く決まる。助言で事業の確実性や採算性が高まってインフラ開発の進展が期待できる。日本企業にとっても
商機が広がりそうだ。
アジアでは年間8千億ドル(約96兆円)近い膨大なインフラ需要があり、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の
設立準備を進める。だが「開発銀や民間が融資できるほど実現性のある事業は少ない」(ADB幹部)のが実情だ。
いかに民間マネーを呼び込んで事業化につなげられるかが焦点になっている。
ADBは、各政府が進めるPPPを助言し、インフラ事業を自ら作り上げることでAIIBとの差別化を進める。入札などに
透明性を持たせることで、民間資金を呼び込もうとしている。商業施設や住宅地など地域開発との一体化で事業の
魅力を高めることも視野に入れる。
PPPの助言業務で日本の3メガバンクを含む先進国の8民間銀行と提携した。フィリピンのほかインドやインドネシア
などで約30件が助言の候補に挙がっており、合計で3兆円規模になる見通しだ。
第1弾となるのは、比ルソン島の国営鉄道の改修・延伸工事で、総延長は653キロ、事業費は38億ドル(約4500
億円)にのぼる。2016年にも着工する予定だ。比政府は近く、ADBと事業の助言業務について調印する。ADBと
政府系の比開発銀行(DBP)が事業者の選定や資金調達の方法などを助言することで実現性を高め、手続きが迅速
に進むことが期待される。
フィリピンではアキノ政権がPPPによるインフラ整備を政策の目玉に掲げている。ただ進捗は遅く、50以上の計画
に対し、実際に着工にこぎ着けたのは数件にとどまる。比国有鉄道の工事も計画自体は存在していたが、政府側の
ノウハウ不足などの問題から進んでいなかった。
民間をうまく活用できずに計画だけが塩漬けになっているケースはアジアで目立つ。今回の比の鉄道事業は、ADB
やメガバンクなどによる共同助言が域内の開発を加速させるかどうかの試金石になる。
ADBの融資など開発業務を巡っては、審査や手続きの遅さに対する新興国の不満が強く、AIIB支持につながった
面がある。ADBは融資案件の審査期間を従来より6カ月早めるなどの改革案を打ち出している。こうした取り組みを
実行して新興国の支持を得られるかが課題となる。 -
りそな、本業8期ぶり好転、前期、業務粗利益4%増。
2015/05/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 578文字 書誌情報
りそなホールディングスが12日発表した2015年3月期決算は、連結純利益が前の期と比べて4%減の2114億円
だった。法人実効税率の引き下げに伴う繰り延べ税金資産の取り崩しが影響した。一方で売上高にあたる業務粗利益
は傘下の3銀行の合算で8期ぶりに前年同期比で増加に反転し、一定の収益力回復を実現した格好だ。
純利益が減ったのは、法人税率の引き下げに伴い、将来見込む税金還付額である繰り延べ税金資産の減少額を、
税引き前利益から差し引いた影響が大きい。
業務粗利益は3銀行の合算で5805億円と、前の期に比べて4%超増えた。投資信託などの個人向け金融商品の
販売が好調で、年間の販売額は1・61兆円と前の年度と比べ4%近く増えた。不動産の仲介も堅調で、手数料収入を
示す役務取引等利益も13%増えた。
貸出金残高も2・9%増と高い伸びを示した。東和浩社長は会見で「中小企業の設備資金向け貸し出しは10%増加し
た」と語り、資金需要が回復しつつあるとの認識を示した。ただ貸出金の利ざやは1・35%と前の期に比べて0・09%
低下した。
新生銀行が12日発表した2015年3月期決算は、連結純利益が前の期と比べて64%増の678億円だった。傘下
の消費者金融会社が受け取り過ぎた利息の返還に絡む引当金の計上が前の期と比べ減った。法人部門での大口の
有価証券配当収入も影響した。
りそな、本業8期ぶり好転―公的資金の完済計画発表。
2015/05/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 113文字 書誌情報
りそなホールディングスは12日、現在残る1280億円の公的資金の一括返済に向けた具体的な計画を公表した。
6月の株主総会で承認を受ければ、すぐ一括で前倒し返済する。従来の計画では2018年3月までに分割して返済
する予定だった。 -
裁定取引の現物株買い残、2週連続減の3兆2861億円・8日時点
2015/05/13 19:47 日経速報ニュース 312文字
東京証券取引所が13日発表した8日時点の裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)は2週連続で
減少した。前週比1011億円減の3兆2861億円だった。
大型連休のため営業日が7、8日だけだったこの週、日経平均株価は152円(0.8%)下落した。米連邦準備理事会
(FRB)のイエレン議長が米株式相場について「割高」と発言したことで投資家心理が悪化し、運用リスクを回避する
動きが広がった。株価指数先物が先行して下げた局面で、割安になった先物を買い戻し、現物株を売る取引が増えたようだ。
裁定取引に伴う現物株の売り残高は2週ぶりに増えた。前の週に比べて488億円増の2390億円だった。 -
日米独の金利急騰、日本勢の動揺まだ目立たず 銀行は「売り抜け」
2015/05/13 15:52 日経速報ニュース 1342文字
4月下旬に始まった日米独の長期金利の急上昇(債券価格の下落)はなおも波紋を広げている。外国為替市場では
コモディティ・トレーディング・アドバイザー(CTA)と呼ばれるヘッジファンドなどのマネーの流れが逆回転し、ユーロの急
反発などをもたらした。半面、日本では今のところ、このドタバタを冷静に乗り切った投資家が多そうだ。無理はしないが
、金利上昇の傾向が続けばむしろ外債運用を増やす――そんなムードが漂う。
【銀行は4月初めに外債売り抜けか】
財務省が13日に発表した4月19〜25日と4月中の対外及び対内証券売買契約などの状況(指定報告機関ベース)に
よると、国内投資家は4月中に対外中長期債を2兆8628億円売り越した。売りの主役は信託銀行を含む銀行の銀行勘
定で、売越幅は4兆2848億円と、現行の算出方式では月間ベースで最高とみられる。ただ、銀行勘定は欧米の短期金
融市場でドルやユーロを調達し欧米国債に振り向ける運用手法が基本。受取利息を円に換える取引は発生するが、円を
押し上げる圧力はそう強くはなりそうにない。
しかも週次統計から判断すると、銀行勢の外債売りは金利水準がまだ低かった4月前半に集まっていたと受け取れる。
欧米の金利上昇が銀行の大量売りを誘い、他の日本の投資家を動揺させて売りが売りを呼ぶといった事態は起こらなか
ったようだ。
【年金・生保は淡々と外債積み増し】
4月の財務省統計では、年金マネーの動きをあらわす銀行の信託勘定や金融商品取引業者、生命保険会社、投資信託
委託会社などの対外中長期債投資は1兆8818億円の買い越しだった。生保では為替リスクを避ける投資も選択肢に入るが
、それなりに円売り・外貨買いの取引は生じていた公算が大きい。年金や生保の円売りはそう簡単には円の買い戻しが
生じないだけに、長期円安の基調を後押しする。
複数の市場関係者の話を総合すると5月以降、長期のスタンスで外貨建て運用に臨む機関投資家が「ドルの押し目」と
考える水準はおおむね1ドル=118円よりも円高・ドル安。現行の119円台後半からはやや離れている。ユーロの目標値も
現行の1ユーロ=134円台より円高・ユーロ安方向だ。ただ、市場では「円の上値が重ければ円売り・ドル買いやユーロ買い
の目標水準を円安方向に移すのではないか」との声が少なからず聞こえてくる。
【ミセスワタナベの「逆張り」が円売り誘発も】
外為証拠金(FX)取引を手掛ける「ミセスワタナベ」と呼ばれる個人は、一定のレンジを前提に相場の流れに逆らう「逆張り」
のスタンスを保つ。例えばIG証券の石川順一・マーケット・アナリストは「円は対ドルでは1ドル=119円台前半にかけて売り
注文が厚くなる」と話していた。別の大手FX会社の13日15時時点の注文状況によると、119円70銭よりも円高・ドル安の水準
で円売り・ドル買い注文がびっしりと積みあがっていた。
ミセスワタナベはそう間を置かずに円の買い戻しを進めるため、長い目で見ると円相場への影響は「中立」と読める。しか
し個人の円売りの後ろでしびれを切らした機関投資家が円売りのタイミングを早めるようだと、おのずと円の下値余地は広がる。 -
資源関連株、高値相次ぐ、国際商品市況が持ち直し、中国追加利下げも追い風。
2015/05/14 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1074文字 書誌情報
東京株式市場で資源関連株の上昇が目立っている。これまで価格下落が続いていた原油やニッケル、
鉄鉱石などを中心に国際商品市況が持ち直しているためだ。追加利下げに踏み切った中国の景気減速へ
の懸念が和らいだのも追い風だ。資源関連株の多くは比較的出遅れが目立ち、割安感から買い戻しが入っ
ているとの見方もある。
13日は石油関連で富士石油が前日比12%高、非鉄金属・鉄鋼では日立金属が10%高など、年初来
高値を更新した銘柄が相次いだ。業種別日経平均株価の「鉄鋼」と「非鉄金属製品」はそれぞれ前日比3%
高、「石油」は1%上げ、いずれも年初来高値を更新した。0・7%高の日経平均と比べ、上昇が鮮明だった。
国際商品価格の反転が関連株を押し上げている。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、
原油先物相場の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)が3月中旬に付けた
安値から約4割上昇した。ロンドン金属取引所(LME)のニッケル先物価格も4月中旬以降、戻りを強めて
いる。国際商品市況の動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数は12日に年初来高値を更新し、
昨年末の水準を回復しつつある。「資源価格の底入れの兆しで、関連株の中長期的な業績改善への期待
が高まった」(藍沢証券投資顧問室の三井郁男ファンドマネジャー)
資源の大量消費国である中国の景気減速が商品市況の低迷につながっていた。だが、中国人民銀行(
中央銀行)が追加利下げに動き、当局の景気刺激策の効果を見込む声が増えている。「需要減少への過度
な懸念が和らいだ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)という。関連株への
投資マネーの流入は世界的にみられ、豪英BHPビリトンやブラジルのヴァーレの株価も反発に向かっている。
年初から大きく買われてきた食品株などに割高感が意識されているなかで、出遅れていた資源関連株に
投資家が資金を移しているとの見方もある。「強気の今期業績見通しを示す資源関連企業は多い」(ながら・
アセット・マネジメントの露久保裕道代表)とされ、株価を再評価する投資家が増えている。
JXホールディングスなどは、すでに昨年末の株価水準を回復し、原油価格の下げが加速し始めた2014年
7月の水準まで戻した銘柄もある。JXは今期業績の改善が見込まれているとはいえ、「買い戻しの反動が
大きく出ている銘柄もある。再び商品市況が悪化すれば、売り圧力が高まる可能性がある」(パインブリッジ・
インベストメンツの前野達志執行役員)との指摘もあった。 -
<東証>三井住友FGが続落 前期純利益10%減と発表
2015/05/14 09:21 日経速報ニュース 351文字
(9時20分、コード8316)続落し、一時前日比120円(2.28%)安の5138円まで下げた。前日の取引終了後に
発表した2015年3月期の連結決算で純利益が前の期に比べて10%減の7536億円になったと発表した。
業績の悪化を嫌気した売りが出た。
国内の利ざや縮小が続いたことや、不良債権などに備える貸倒引当金の戻り益が減少したことが響いた。
16年3月期は1%増の7600億円を見込む。
もっとも下げ幅は限られている。今期の配当を10円増の150円にすると発表したことで、株主還元の姿勢を
好感した買いが相場を下支えしているようだ。市場では「相対的な出遅れ感から今後も銀行株は物色の対象
となりやすい」(SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリスト)との声が聞かれた。 -
邦銀3メガ:今期2.5%の減益予想、国内融資焦点に
(ブルームバーグ):三菱UFJフィナンシャル・グループ など大手邦銀3グループの今期(2016年3月期)連結純利益は
合計で2兆3400億円となる見通しだ。前期実績から2.5%の減益となる。本業の融資業務は国内外で増勢にあるものの
、株式や債券など市場関連収益の減少や与信関連費用の負担を見込んでいる。
各グループが15日までに公表した。今期の純利益目標・予想は三菱UFJが前期実績比8.1%減の9500億円、三井住友
フィナンシャルグループ が同0.8%増の7600億円、みずほフィナンシャルグループ が同2.9%増の6300億円をそれぞれ見込む。
日経平均株価 は企業業績の回復や賃金上昇への期待から4月に一時2万円台を回復したがその後は不安定な動きを
示している。債券など市場関連収益の拡大が期待しにくい中、3メガグループは好調な海外融資に加え、今後は中小企業
向けなど国内貸し出しをいかに増やしていくかが課題となっている。
クレディ・スイス証券の三浦毅司アナリストは今期について好調な海外業務に加え、「利ざやの厚い中小企業向けなど儲かる
国内融資が盛り上がってくるかが焦点になる」と述べた。市場関連収益では規制強化の流れなどに伴う持ち合い解消の中
で「株価上昇によって含み益が膨らんだ株式の売却が期待できる」とみている。
各社の発表によると、3月末の貸出残高は、タイ大手アユタヤ銀行 の連結化などが貢献した三菱UFJが前年同期比7.3%
増の109兆4807億円、三井住友(単体)が同7.7%増の68兆2743億円、みずほが同5.9%増の73兆4152億円だった。
前期の資金利益は3グループ合計でその前の期に比べ7.7%増の4兆8162億円だった。 -
中小企業向けに「手応え」
三井住友FGの宮田孝一社長は決算会見で、国内の資金需要について「大きなチャンスが出てきている。設備投資も
企業業績の回復に伴って底堅い」と述べた。その上で「日本経済の回復が中小企業にも実際に及び始め、大きな手応
えを感じている」とし、今期の貸出動向は「非常にいい年になると思う」と語った。
みずほFGの佐藤康博社長は国内の貸し出しについて、残高は増えているが、利ざやは引き続き低下傾向にあるとの
認識を示した。ただ、「貸し出しでは儲からないが、貸出先からの非金利収入が伸びている」とし、不動産取引や投資
商品販売など、銀行・信託・証券のグループ連携で手数料収益をさらに拡大していきたい考えを示した。
3グループの前期純利益合計は前の期比4.4%減の2兆3993億円。個別では三菱UFJが最高益を更新し、前年同期
比5%増の1兆338億円と日本の金融機関で初めて1兆円の大台に乗せた。三井住友FGは同9.8%減の7536億円、
みずほは11%減の6119億円だった。
前期は法人税率引き下げに伴う繰り延べ税金資産の取り崩しにより、三菱UFJが390億円、三井住友が300億円、
みずほが267億円の減益要因となった。
与信関係費用は3グループともに前の期の戻入益から一転して費用の発生となった。このうち、三菱UFJとみずほは
特定の個社で大口の引き当てが発生したことが影響したが、会社名や金額についてはともに開示しなかった。今期は
三菱UFJが1300億円、みずほが600億円とともコストの発生を見込み、三井住友(銀行単体)はゼロと予想した。 -
株主還元
各メガバンクは今回の決算発表で株主還元策の強化を鮮明にした。前期の年間配当は3グループともに増配となった
ほか、三菱UFJは1000億円を上限に発行済み株式の1.14%に相当する自己株式の取得を発表した。今期の配当は
三井住友が前期実績比10円上乗せして150円と連続増配の方針。三菱UFJは18円、みずほは7円50銭と据え置いた。
三菱UFJは決算と同時に4月から始まる中期経営計画(3カ年)を発表した。新たに1株当たり利益(EPS)を財務目標
に加え、15年3月期実績(73.22円)比で15%以上の向上を目指す。収益力強化では「資本活用」を明記し、海外での
買収など機動的に対応していく方針を盛り込んだ。
三菱UFJの平野信行社長は、海外の買収戦略について「ありうるのはアメリカとアジアで、商業銀行のビジネスプラット
フォームをさらに強化していく」と述べた。アセットマネジメント(資産運用)とインベスターズサービス(資産管理)で「真の
グローバルプレイヤーの仲間入りを今中計で目指したい」と国際業務の強化に意欲を見せた。 -
三菱UFJ、「純益1兆円の快挙」後にはハードル
2016年3月期の純益が反落見通しの理由
国内金融機関初の1兆円超えである。2015年3月期、三菱UFJフィナンシャル・グループの連結純利益は1兆0337億円
に達した。残る2メガバンクの連結純利益は三井住友フィナンシャルグループが7536億円、みずほフィナンシャルグルー
プが6119億円。2位に2800億円以上の大差をつけたことになる。しかも2メガは1割前後の減益(三井住友が9.8%減、
みずほが11.1%減)であり、三菱UFJの5.0%増益は光る。
明暗を分けたのは海外展開だ。三菱UFJは5000億円超を投じて買収したタイのアユタヤ銀行が2015年3月期から初め
て連結化。純利益を382億円押し上げた。このほか、米国の商業銀行・ユニオンバンクを買収した米国子会社が892億
円、三菱UFJが21%出資する世界的金融機関モルガン・スタンレーも748億円、純益で貢献した。海外グループ会社が
稼ぐ利益は、三菱UFJの純益1兆円の約2割に及ぶ。
他の2メガで海外の大手銀行を買収して子会社化した例はなく、この違いが三菱UFJ独り勝ちの構図を生んだ。なお、
連結純益から単体純益を引いた差額は三菱UFJ4803億円、三井住友2676億円、みずほ2629億円。三菱UFJは海外
事業のほか、信託銀行、証券、消費者金融の利益貢献も大きく、収益の多様化も進んでいる。
■3メガのうち、今期は三菱UFJのみ純益減
だが、今後に関しては課題も残る。まず、今期の利益計画について。三菱UFJの今2016年3月期の純益計画は8%減
の9500億円。三井住友が7600億円へ0.8%増、みずほが6300億円へ2.9%増と、いずれも小幅とはいえ増益を見込ん
でいるのに対して見劣りする。「市場関連収益の減少を見込む」(三菱UFJの平野信行社長)ことが主因だ。
2015年3月期決算では私募投信売却益やETF売却益なども含め、市場部門で4000億円以上の営業純益を稼いだ。2016
年3月期はこれらの売却を減らす予定で、1000億円以上の減益要因になる。さらに主力の国内預貸金利益も下降が続く。
貸出残高は増えるものの、利ザヤがなお低下。利回りの低い大・中堅企業向け貸し出しが増える一方、利回りが比較的
高い中小企業向けはまだ減少する。中小企業向け融資の多い三井住友よりも貸出利回りの低下は厳しくなりそうだ。
決算発表と同時に公表した2015〜2017年度の中期経営計画もハードルは高い。中計の基本方針は「持続的なグルー
プの成長に向けた進化・変革」。平野社長は「国際事業は3割を超える増益を計画している。国内事業は日本経済の
予想成長率プラスアルファぐらいの成長」と語り、新中計でも海外事業が成長ドライバーとなる。
「資本をどう使うかという問題では、米国そしてアジア、とりわけASEANにおける商業銀行のビジネスプラットフォームを
さらに強化していく」(平野社長)と、ASEANや米国での商業銀行買収に意欲を見せる。
しかし、新興国での銀行買収はその国の産業政策とも深くかかわるので、金融規制当局や政治の理解が不可欠。数年
がかりの長い視点が必要だ。米国も、金融機関の大規模合併を禁止するボルカー・ルールなどの金融規制が強化される
途上にあり、大がかりなM&Aは実現しにくい情勢にある。
■1000億円の自己株取得で株主に還元
こうした状況にあるためか、三菱UFJは他の2メガが行っていない自己株取得も実施する。昨年12月の1000億円に続き
、今年5〜7月にも上限1000億円の自己株式を取得する。多額の利益が積み上がる中、株主還元を期待する市場の声
に敏感なのは評価できる。
しかし、それは裏返せば自己株取得以上に株主にメリットのある成長投資案件が目先にはないということ。アジアや米
国でのM&A方針を掲げながら2000億円もの自己株取得を行うということは、当面、大型投資はないと言っているような
ものだ。
はたして今後3年の中計の間に、さらなる種まきができるのか。日本最大の金融グループ、三菱UFJフィナンシャル・グル
ープがさらなる高みをめざすためのハードルは高い。 -
危機のシャープ(3)内輪もめしてる場合か(迫真)
2015/05/21 日本経済新聞 朝刊
「社外取締役の皆さん、30分ほどお時間を頂けますか」。4月23日、大阪市のシャープ本社で開かれた取締役会。
会議終了後、社長の高橋興三(60)は帝人会長の大八木成男(68)ら3人の社外役員を呼び止めた。5月14日の
取締役会で新役員の人事案に賛同を求めるためだ。
翌日上京した高橋は主力取引先のみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の幹部を訪ねて役員人事案に内諾を得た。
社外役員にまで根回ししたのは取締役会が紛糾する可能性があったからだ。
注目人事は「犬猿の仲」とされる代表取締役2人の処遇。財務担当副社長の大西徹夫(60)は液晶構造改革担当
副社長として残る。液晶事業をスマートフォン向けで復活させた専務の方志教和(62)は引責で顧問に退く。11人
いる取締役の意見が分かれることを高橋は危惧した。
「本当の数字を言え」。2014年末、液晶事業の収益悪化を細かく知らされなかった大西は方志らを責め立てた。
年明けからは本社ビル向かいの田辺ビルに入る液晶部門の幹部から詳しい報告を求める。方志に近いエース級
幹部は外された。3月退社を決めた幹部らが挨拶に来ると、大西は「やめんでもいいのになあ」と軽く慰留するだけ。
あるシャープ幹部は「会社が大変なのに内輪もめしている場合か」と嘆いた。
12年の経営危機の際も当時の会長、町田勝彦(71)と社長の片山幹雄(57、現日本電産副会長)の主導権争い
があった。片山が液晶、町田の腹心の副社長が太陽電池に競うように巨額投資をして失敗。有利子負債は1兆円を
超える規模に膨らんだ。
15年2月、グループ幹部の携帯電話が鳴った。電話の主は町田。執行役員の毛利雅之(55)を2月末に更迭する
人事に「なんで毛利を外すんや。責任は高橋にとらせろ」と怒った。町田らが引き上げた毛利は経営企画室長など
要職を歴任し、テレビ再建を託されたエースだった。
高橋は14年末、テレビ事業の本拠地である栃木工場(栃木県矢板市)を訪ね、毛利に業績悪化の理由を問いただし
た。毛利は「グループ工場から買うパネルが高いからだ」と反発し、その後に辞表をたたきつけた。
シャープ創業者の早川徳次が作った「経営信条」にはこうある。「和は力なり、共に信じて結束を」。現実は違う。
「(パナソニックに買収されて事実上消滅した)三洋電機とそっくりやなあ」。銀行関係者は冷ややかに語る。 -
消費浮上、景気押し上げ、1〜3月GDP実質2.4%増、輸出、先行き不安も。
2015/05/21 日本経済新聞 朝刊
内閣府が20日発表した2015年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、消費を軸に景気が緩やかに回復する
姿を示した。物価変動の影響を除いた実質のGDPは年率換算で2・4%増となった。株高や賃金・雇用の好転などの
追い風を受け、4月以降も景気の回復は続くとの見方が多い。ただ、海外景気の影響を受ける輸出の先行きなど不安
も残る。
所得増がカギ
1〜3月期の実質GDPは14年10〜12月期に比べ0・6%増えた。GDPの6割を占める消費が3四半期連続で伸び
、全体を押し上げた。昨春の消費増税後に落ちた設備投資や住宅投資も4四半期ぶりに増加に転じた。
0・6%の内訳をみると、在庫が0・5%、消費が0・2%プラスに働いた。設備投資と住宅も4四半期ぶりにプラスに寄
与した。輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0・2%とブレーキとなった。
消費はテレビ、冷蔵庫といった家電や携帯電話などが引っ張る形で、前期より0・4%増えた。ただ、増加率は前期と
同じで力強さを欠く。雇用や賃金の増加が追い風となる一方、物価上昇で家計の購買力はなお伸び悩んでいる。所得
増や株高を背景に消費の拡大が続くかが焦点となる。
兆しはある。4月の売上高はスーパーが前年同月比6・4%増、主要コンビニエンスストア10社も同4・0%増だった。
百貨店も株高を受け高額品の販売が好調だ。高島屋の木本茂社長は「6月の賞与支給を機に回復のスピードが加速
する」と期待する。
設備投資は通信など非製造業を軸に消費増税後の落ち込みから脱した。先行指標である機械受注も1〜3月期は
製造業からの受注の2・3%増に対し、非製造業からの受注は8・5%増えた。設備投資を支えるのは内需で稼ぐ企業だ。
在庫がかく乱
不安材料は2つある。一つは前期比2・4%増と前の期の3・2%より伸びが鈍化した輸出だ。中国など新興国の景気
減速で海外需要が陰り、機械などの輸出が鈍っている。当面は輸出の大幅な伸びは見込みにくい。
もう一つのかく乱要因は在庫だ。在庫は1〜3月期も10〜12月期も前の期に比べ減ったが、減少幅は1〜3月期の
方が小さかった。これがGDPの伸び率を高める方向に働いた。
ただ、消費増税後は在庫の振れが大きくなっている。10〜12月期のGDPが改定値で0・2%下方修正された主因
も在庫だった。みずほ総研の徳田秀信主任エコノミストは「1〜3月期も仮置きの在庫データがGDP速報値を0・3%
押し上げており、下方修正される可能性がある」と見る。
在庫を取り崩す動きが鈍る理由は2つある。出荷増を見込み意図的に在庫を持つ場合と、出荷減で在庫が想定を
上回ってしまう場合だ。1〜3月期の動きがどちらかはまだ分からない。
後者の理由なら4〜6月期は在庫を取り崩す動きが再加速し、GDP伸び率を下押しする可能性もある。 -
「平均1.8%増、緩やかな回復続く」、4〜6月期の民間予測。
2015/05/21 日本経済新聞 朝刊
エコノミストの間では4〜6月期の国内景気は緩やかな回復が続くとの見立てが大勢だ。調査機関20社に見通し
を聞くと、国内総生産(GDP)は実質の季節調整値で前期比0・4%増、年率換算で1・8%増となった。消費の持ち
直しや、企業による設備投資の本格化への期待が強い。
4〜6月期の消費の伸び率の予想平均は前期比0・5%となった。「物価上昇が鈍ることで実質所得が増え、消費
が回復する」(SMBC日興証券の牧野潤一氏)との声が多い。ただ、消費が一段と勢いを増す要因は見当たらず
、引き続き景気のけん引役になるかは見方が分かれる。
設備投資の4〜6月期の予測平均は前期比1・1%増となった。メリルリンチ日本証券の吉川雅幸氏は「高い企業
収益が投資につながる好循環がようやく回り始めた」とみる。 -
危機のシャープ(4)開き直られるのが怖い(迫真)
2015/05/22 日本経済新聞 朝刊 2ページ
「これからは電子デバイスの時代ですよ」。4月下旬、主力取引行の幹部からシャープの社長、高橋興三(60)は
こう諭された。その直後、高橋は再建策の柱のカンパニー制を見直す。「デバイス」を液晶と電子部品に分け、カンパ
ニーを4つから5つにした。液晶分社に積極的だった主力行。「高橋さんは液晶を独立させてほしいという要望と受け
取った」(関係者)
今春、シャープに投資銀行などから液晶事業売却の仲介申し入れが相次いだ。市場の評価は「3000億円程度」
。三菱東京UFJ銀行出身の取締役、橋本仁宏(58)は満足げだった。投資余力の乏しいシャープが単独で液晶を
持ち続けるのは難しいとみた三菱UFJ銀は外部資本受け入れの道を探る。
もう一つの主力行、みずほ銀行は微妙な温度差があった。みずほ銀出身のシャープ取締役、橋本明博(55)は
「液晶を再建の軸にできないか」と漏らす。
液晶の分社を高橋は否定するものの、実態は「関係者間で調整がつかず時間切れ」(金融幹部)になっただけ。
三菱UFJ銀の頭取、平野信行(63)は5月15日の決算記者会見で「詰めが終わっていない分野もある」とくぎを刺した。
主力2行にとっての最優先の課題は「16年3月問題」への対応だった。シャープは16年3月末に計5100億円
の融資枠の返済期限を迎える。16年3月期の連結営業利益800億円が達成できなければ、融資継続の名分は
立たない。そのために液晶事業を使う。15年3月期、設備の減損などで1000億円超の損失を計上し、V字回復
への道筋はつけた。
1万社以上の取引先を抱えるシャープの経営危機が深刻になれば、アベノミクスによる景気回復ムードに水を差す。
巨額の資本支援にはこんな判断も働いた。それでも最低限の距離は守った。シャープに派遣した「2人の橋本」は
経営企画など引き続き要職を担うものの、経営責任を強く問われかねない代表取締役にはしなかった。
みずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博(63)は「シャープとは信頼関係を築けてきている」と強調する。経営
責任の重い高橋の続投を認めるなど経営陣との対立は避けた。
主力2行が恐れるのは「シャープに開き直られること。(民事再生法申請のような)最悪の事態を防ぎながら、巧みに
債権を回収していく作戦だろう」。ある金融機関幹部はこう解説する。(敬称略) -
危機のシャープ(5)「空っぽになってしまう」(迫真)終
2015/05/23 日本経済新聞 朝刊
5月1日、連合大阪が大阪城公園(大阪市)で開いたメーデー大会は約4万人が集まった。会長の山崎弦一(
パナソニック労組出身、58)は「2年続けて前年を上回る回答水準」と胸を張った。熱気に沸く会場の片隅にシャ
ープ労組の参加者は20人ほど。「(パナソニックに吸収された)三洋電機より少ないんちゃう。シャープは組合も
たいへんや」。そんな声が飛んだ。
シャープは国内3500人の希望退職を実施する。「今度こそ(割増金をもらって)辞めさせてもらう」。7月の募集
を待つ社員は多い。2012年の希望退職では2000人の枠を上回る2960人が退社した。前回は「対象者は会
社が総合的に判断して決める」条件だったため、1000人ほどは割増金なしの自己都合退社となった。
液晶テレビのヒットで世界企業に飛躍したシャープ。その後に入社した20〜30歳代は「黄金世代」とされる。
優秀な人材が多く、転職の誘いはひっきりなしだ。14年末にベンチャーに移った若手は「業績が悪くなってから、
『早く商品を出せ』とせかされて十分な開発ができなくなった」と語る。
飛躍を支えた功労者も社外で活躍する。12年の希望退職でアイリスオーヤマ(仙台市)に転職した雨堤正信
(58)は白物家電の設計技術者だった。現在は大阪市の研究開発拠点で働く。「シャープでの30年の経験が
生きた」と表情は明るい。アイリスの社長、大山健太郎(69)は「(シャープの)人材は魅力的だ」と話す。近く
大阪で採用説明会を開く予定だ。
シャープペンシル、電卓、液晶テレビなど画期的な製品を生み出してきたシャープ。「電卓の生みの親」として
知られる元副社長の佐々木正(100)は「かつてはニーズに敏感な会社だったが、いつのまにか独りよがりに
なった。現状に満足し努力を怠ったのが(経営危機の)原因だ」と話す。
再建計画発表後の18日、社長の高橋興三(60)は社員向けのビデオメッセージの中で「業績に貢献する人は
高く処遇する」と強調した。独創的な商品をつくる風土の復活を掲げる高橋。しかし、社員の未来に希望を与えら
れなければ、「(人材流出で)会社が空っぽになってしまう」。社内に危機感は募る。(敬称略) -
2万円時代の投資家群像(1)バブル組の期待と記憶。
2015/05/27 日本経済新聞 朝刊
異例の金融緩和や企業業績の拡大など様々な要因に押されて日経平均株価は15年ぶりの水準まで戻してきた。
その背景にいる個人投資家や海外勢の動きを追う。
横浜市の牧野浩介(69、仮名)は1980年代の「本家バブル相場」を知るベテラン投資家のひとり。そんな彼には
日課がある。三菱UFJフィナンシャル・グループ株の値動きをチェックし、売り時を探ることだ。
大手信託銀行に勤めていたバブル当時、社内融資で自社株を購入した。金融再編を経て三菱UFJ株に変わった
保有株の水準は今でも購入時の約3割にとどまり、500万円の含み損が残る。
2010年末には東京電力株を買ってみたが、原発事故が発生して半値での売却を余儀なくされ、配当も手にでき
なかった。昨年、少額投資非課税制度(NISA)口座で買った株式は利益が25%ほど出たところで売却した。「バブル
の経験だろうか。右肩あがりの経済は期待できない」という牧野。いまだに日本株を「長期投資の対象」とは見られない
でいる。
日経平均は89年末に過去最高値の3万8915円まで上昇。直後にバブルは崩壊し、日本株は長期低迷に陥った。
個人投資家の心は傷つき、「株価が戻れば売り」という行動パターンが根付いてしまった。個人による日本株の売越
額は、バブル崩壊後に約50兆円もの額にのぼっている。
とはいえ、足元の株高は2年超にわたって続き、「攻めの姿勢」を忘れない投資家を勇気づけてもいる。
「まだまだ強気でいけそうだ」。日経平均が再び2万円に接近した18日。60年のキャリアを持つ神戸市の個人投資家
、藤本茂(79)は再建中のシャープ、金型部品のパンチ工業、小型プリンター開発の日本プリメックスなどに次々と買い
注文を入れた。
バブルのころは足しげく証券会社に通い、転換社債(CB)なども売買して稼いだ。だが、バブル崩壊からは逃れられず、
保有株のうち大同コンクリート工業やニツセキハウス工業などは上場廃止に追い込まれた。
それでも一時2億円まで減少していた運用資産は足元で10億円程度と25年前と同じ規模に戻ってきた。「今の日本
株相場にバブル当時のような熱気はない。日経平均の2万円は通過点だろう」。酸いも甘いもかみ分けたベテラン投資家
の藤本。今の相場を比較的強気にみている。
「株価は金融政策次第」。こう断じる長谷川公敏(67)は、バブル期に第一生命保険の特別勘定2000億円の運用を
任され、「1人で相場を動かす」とまで評されていた人物だ。
振り返れば、85年のプラザ合意後の日銀による利下げはバブル生成に大きな影響を及ぼしたとされる。日銀が極めて
大規模な「異次元緩和」を続け、株価が上昇する足元の構図はどこか似通う。「2%の物価目標の達成は遠く、緩和路線
が変わらない間は株価上昇が続くだろう」。長谷川はこう見通している。
「タマゴボーロ」で有名な竹田製菓(愛知県犬山市)社長の竹田和平(82)は、株式投資で300億円の資産を築いた
大物個人投資家でもある。そんな彼の目にはまた違った風景が映る。
「経営力のすごさが伝わる」。日経平均が年初来高値を付けた4月下旬、カルビーのヒット商品「フルグラ」を試食し、
同社についてブログにこう書き込んだ。足元の株高は稼ぐ力を磨いた企業の実力に見合った「自然なこと」として、イン
フラ整備など新興国経済の発展に貢献している企業に投資している。(敬称略) -
NISA口座、稼働5割、4月末、初の過半に、株高で利用増。
2015/05/28 日本経済新聞 朝刊
日本証券業協会は27日、少額投資非課税制度(NISA)を活用する口座の稼働率が4月末時点で50・5%と
初めて過半に達したと発表した。3月末(49・5%)より小幅に上昇した。株高を背景に株式売買に活用する個人
投資家が増えた。制度が2年目を迎え、認知度が徐々に高まっているようだ。
日証協が主要証券10社を対象に調べた。NISAの総口座数は4月末で435万と1カ月前(429万)から増えた。
年明け以降の投資総額は前年同期比4割増の約7800億円に達している。金融庁の調べによるとNISAを通じた
2014年の投資による利益は約3500億円と投資総額の約12%だった。足元も株高基調が続いており、NISAを
活用しようとする個人が増えている。
半面、投資家層は中高年が中心で若年層の開拓など課題は残る。口座の稼働率の上昇ペースも鈍りつつあり、
資金流入が続くかは不透明だ。
NISAは年100万円までの株式投資などが非課税となる制度で14年1月に始まった。 -
2万円時代の投資家群像(2)「億円」資産ツワモノ舞う。
2015/05/28 日本経済新聞 朝刊
「胃が痛くなりそうなほどの生活費だが、毎日勝つにはこれしかない」。「テスタ」のハンドルネームで知られる
個人投資家、山崎晃平(仮名、35)は今年1月に住み慣れた神戸を離れ、東京に引っ越した。転居先は都内
中心部の超高級マンション。家賃は年間約2000万円と目玉が飛び出るような額だ。
株式投資で積み上げた資産は約6億円。日中に大量の取引をする「スキャルピング」という手法を駆使する。
新興市場株などを中心に1日に200〜300回の注文を出し、売買代金は平均で20億円にのぼる。
この手法は極めて高い集中力が求められる。2013年に約5億円の利益を稼いだ後、14年前半は損失が
一時1億円程度まで膨らむなど成績にムラがあった。山崎はこれが許せず、あえて巨額の生活費をプレッシャー
にして「背水の陣」を敷いた。
ここまでやっても日経平均が2万円を回復した今の相場は「もうけにくくなってきた」。時価総額が大きい主力株
に物色が偏り、新興株の値動きは鈍りがちなためだ。先々のことも考え、中長期投資など今までとは異なる手法
の研究も始めているという。
日経平均が取引時間中に一時2万円を回復した4月10日、黒田真三(仮名、65)はとうとう長年の目標を達成
した。09年に退職金2000万円で始めた株式投資の資金が100倍の20億円に到達したのだ。
独特の割安株投資で勝負する黒田は、「今亀庵」の名でネット上では通っている。過去の業績、業界の動向など
から向こう5年間の業績を独自に予想。有望な100銘柄ほどに絞り込んだら、表計算ソフトで5年後のPER(株価
収益率)をはじき出す。こうして割安銘柄を発掘するスタイルがうまく機能してきた。
だが、株高が続くなか、お眼鏡にかなうような「割安な銘柄が少なくなってきた」。「資産100倍」という目標をかな
えたこともあり、足元で信用取引の買い持ちを減らしている。
株式投資で25億円の資産を築いた片山晃(32)は「五月」の名で知られ、一部の個人投資家の間ではカリスマ
的な人気を誇る。武器は「全上場企業の決算短信を読破する」というほどの徹底した調査だ。
一時は日本株を割高だと感じて空売りに動いた結果、大きな損失を出してしばらく投資から遠ざかっていたことも
ある。その後、割安さだけでなく成長性も重視するスタイルに改め、今では「新たな投資対象がみえてきた」という。
突き抜けた投資の手法・姿勢で巨額の利益をあげる「ツワモノ」たち。そんな投資家たちが台頭してきた伏線は
十数年前にさかのぼる。
1999年に金融ビッグバンの柱として株式売買委託手数料が自由化され、足元ではそれ以前の8分の1弱の水準
に低下している。高速通信の普及も追い風にネット証券も勢力を拡大。99年当時は30万程度だったネット証券の
口座数は足元で2000万超と約70倍に増加した。
「株取引の『主権』が営業マンから個人へと移った」。楽天証券社長の楠雄治(52)は過去十数年をこう振り返る。
そんな変化の結晶ともいえるツワモノ投資家が、アベノミクス相場で舞っている。(敬称略) -
2万円時代の投資家群像(3)冷静に、着実に我ら「草食系」。
2015/05/29 日本経済新聞 朝刊
「投資は日々の相場から離れてください」。4月下旬、独立系運用会社セゾン投信が日本郵便と都内で開いた
セミナー。社長の中野晴啓(51)は急上昇する日本株にはほとんど触れず、長期運用の利点などの説明に終始
した。熱心に聞き入った約200人の参加者は、いわゆる「草食系」と呼ばれる投資家たちだ。
ネットや書籍で金融知識を豊富に蓄え、長期目線でこつこつと投資していく――。これが彼らの典型的なスタイル。
なじみの証券マンに「早耳情報」をねだり、日々の株価の上げ下げに一喜一憂しながら一獲千金を狙うのが普通
だったバブル期には存在しなかったタイプの投資家だ。
「今後も淡々と積み立てていくだけ」。日経平均株価が19日に再び2万円に乗せたとのニュースを聞き流しながら
、埼玉県在住で医療関連企業に勤める岩崎勇樹(28)は自分の投資手法を改めて確認していた。
3人の子どもの将来も考え、2014年の秋に投資を思い立った。個別株投資は十分に割安と思える銘柄が見つから
ずに断念。投資信託を購入しようと訪ねた銀行では「希望と異なる商品ばかり薦められた」。
たどりついたのは投信の定額積み立て。国内外の株式・債券に分散投資する2本の投信を毎月、合計7000円
買い増している。どちらも販売手数料はゼロ。金融機関には頼らず、自力で探し出した。
「ドルコスト平均法」と呼ばれる草食系が好む投資手法だ。定期・定額なら、投資対象が割高なときは少なく、割安
になった局面でたくさん買うことになるので運用成績を長期で底上げできるとされる。売買のタイミングで悩む必要もない。
埼玉県所沢市の自営業、上野俊則(仮名、40)もそんなひとり。12年から東証株価指数(TOPIX)に連動する投信
など2本を毎月、計3万円買っている。すでに運用資産は約100万円にのぼり、30万円ほど含み益が出ているという。
運用成績は上々。それでも新しい投信を調べる作業は欠かさない。「コストを抑え、より効率的に運用できる商品を
探したい」。冷静・沈着な草食系だが、運用にかける気持ちは熱い。
少額投資非課税制度(NISA)を使った積み立て投資(14年末の契約件数)の内訳をみると、20〜50代の現役世代
が全体の6割弱を占める。1700兆円に迫る個人金融資産のうち60歳以上が6割強を保有しているのを考えると、かなり
高い数字だ。NISAがもたらす節税メリットが、現役世代の草食系の背中を押す構図がそこにある。
神奈川県在住の元証券ウーマン、山平久美子(39)は14年にNISAが始まったのを機に株式投資を再開した。配当や
株主優待などを堅実に狙い、みずほフィナンシャルグループやビックカメラなど複数の銘柄を保有している。
さほど大きな額を運用にまわせるわけではないだけに、売買単位のくくり直しで最低投資金額が小さくなった銘柄が増えて
いるのが助かるという。「昔なら株式投資は富裕層のものだった。でもいまは違う」。こんなふうに感じている。
日経平均株価は28日、27年ぶりに10日続伸した。ゆっくりと、しかし着実に流入し続ける「草食系マネー」もその原動力
になっている。(敬称略) -
2万円時代の投資家群像(4)海外勢、懐疑から確信へ(終)
2015/05/30 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1335文字 書誌情報
英国の古都エディンバラに本拠を構える運用会社ベイリー・ギフォード。書庫に保管する大量の調査リポートには、
1980年代に日本企業を対象に書かれたものもある。「ソニーは今苦境といわれるけれど、83年のオーディオ不況
の方が厳しかったわ」。こう語るサラ・ウイットリー(56)の日本株投資歴は30年超。海外の日本株ファンド運用者で
最古参の一人だ。
ウイットリーは今、長年見続けてきたソニーに買いを入れている。副社長兼最高財務責任者(CFO)の吉田憲一郎
(55)の手腕には、子会社社長の時から一目置いていた。親会社に移り、事業ごとに分社化を進めるのをみて「ソニ
ーは変わる」と確信した。
海外では多数の日本株専門ファンドが運用低迷を理由に閉鎖された。そのなかでも「マクロ経済ではなく、企業を
見れば成長の種ばかり」と日本企業への投資を続けたウイットリー。日本株の復活で風向きは変わり、数少ない「
日本通」となった彼女のもとには世界中から投資マネーが集まってくる。いまや日本株への投資額は2兆4千億円と
海外勢では最大規模だ。
日経平均株価は約15年ぶりに2万円の大台を回復し、さらなる高値をうかがう。けん引役は日本株の売買シェアで
約6割を占める外国人たちだ。ここにきて、長らく日本株市場から遠ざかっていた投資家も相次いで参戦し始めている。
「こんなに多くの日本企業が、資本効率の改善や株主還元の強化に言及するとは」。ドイチェ・アセット&ウェルス・
マネジメントの世界株運用責任者、アンドレ・ケットナー(43)は3月、約8年ぶりに来日して驚いた。証券会社主催の
機関投資家向けイベントなどで会った村田製作所やオリンパスなど27社の経営幹部の意識の変化が想像を超えて
いたのだ。
自己資本利益率(ROE)改善に向けて「事業の選択と集中に意欲的な経営陣の多さが印象的だった」。日本企業
は技術力は高いものの不採算事業を抱えたままで事業再編などには後ろ向き、との印象は消えた。帰国後、真っ先
にしたのは複数の日本株に買い注文を入れることだった。
「日本株への投資を増やすべきか否か」――。100年超の歴史を持つ米カーネギー・ニューヨーク財団の内部では
真剣な議論が重ねられている。運用総額は約4千億円。いったん投資したら10年は資金を動かさないという筋金入り
の長期投資家だ。
過去10年以上、日本株の保有比率は「中立」にとどめてきた。しかし、過去2年半の間は「日本の『変化』が本物か
どうか、じっくりと見てきた」と共同最高投資責任者のメレディス・ジェンキンス(43)は明かす。複数の日本株ファンド
マネジャーとの面談はすでに済ませ、運用委託先の候補は絞り込んである。
時には日本株に冷淡になる外国人投資家。とはいえ、バブル崩壊後の買越額は累計で約90兆円にのぼり、長い目
でみれば日本企業を応援し続けてきた。そんな海外勢の日本株に対する姿勢が懐疑から確信へと変わるとき、株高
の持続力は格段に強くなる。(敬称略)=おわり
松崎雄典、増野光俊、宮本岳則、岸田幸子、押切智義、松本裕子、野口和弘、川上純平が担当した。 -
焦点:巨艦・ゆうちょ銀の進路変更、思わぬ横波に警戒の声
[東京 1日 ロイター] - 年内にも株式上場が予定されている「ゆうちょ銀行」の運用姿勢見直しに、市場の注目が
集まっている。「国債傾斜」から株式、外債などのリスク資産の比率を上げることになるが、焦点はそのテンポ。
200兆円超と巨額の資産運用を変更するには、一定の時間がかかるとの見方が多いものの、「巨艦の進路変更」に
よる思わぬ横波の発生に、市場は神経をとがらせている。
<利害重なるゆうちょと日銀>
日本郵政の西室泰三社長は5月29日の記者会見で、リスク管理を強化しながら、国債中心の運用体制を見直す方針
をあらためて表明。同時に日銀の黒田東彦総裁と1週間前に会談した事実を明らかにした。黒田総裁との話し合いに
ついて「国債そのものの運用を大幅に変えると話したが、それについて別に指示はなかった」という。
大規模な国債買い入れを進める日銀と、国内最大の機関投資家である日本郵政のトップ同士の面談。異例ともいえる
動きに、SMBC日興証券・金融財政アナリストの末澤豪謙氏は「保有国債を減らして運用多様化を進めたい郵政側と
、国債買い入れを軸にした異次元緩和の枠組みを維持したい日銀との間で、協力関係を確認することが目的だったの
ではないか」とみる。
日銀にとって、限界説もささやかれる国債買い入れの枠組みを維持する上でも、国債を大量保有する投資家の協力は
重要ともいえる。
<すでにハイテンポの国債売却進む>
もっとも、ゆうちょ銀による脱国債の流れは既定路線だ。決算資料によると、ゆうちょ銀行の国債保有残高は2015年3月
末現在、106.7兆円と前年同月比19.6兆円減少した。
国内金融機関の債券運用担当者は「年明け以降、国債マーケットで、ゆうちょの買いが聞かれなくなった。ゆうちょの国債
保有年限が短いことを踏まえると、国債償還到来による自然減によって、かなりのピッチで国債残高が減少しているので
はないか。むしろ減少ペースが速過ぎるほどだ」と話す。
こうした見方を裏付けるように、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が3月末に発表したゆうちょ銀運用計画
によると、16年3月末の債券(国債・地方債、政府保証債)残高見通しは111.5兆円と、15年3月(117.2兆円)から
5.7兆円の減少にとどまっている。前倒しで残高削減が進み、今年度は削減ペースを落としている印象だ。
<大胆な運用転換に警戒感も>
国債離れの動きに一服感が見え始める中で、市場が注目するのは、ゆうちょ銀が進める新運用体制の構築だ。日本郵政
は29日、ゆうちょ銀の市場運用トップに、ゴールドマン・サックス証券・前副会長の佐護勝紀氏を迎え入れる人事を発表して
いる。
新体制の運用方針次第では、国債の中途売却の動きが出てくる可能性も否定できないが「ダイナミックな運用を可能にする
新体制をできるのは、早くても今秋から年末になりそうだ」(国内金融機関)との見方が出ている。
また、ゆうちょ銀は200兆円を超える大規模な運用資産を保有するだけに、各マーケットへの影響を配慮すると「新しいポート
フォリオ構築は、数年がかりの極めてゆっくりとしたペースになるのではないか」(国内証券)との見方が出ている。
<株式市場には根強い期待感>
株式市場でも、ゆうちょ銀の動向に神経質だ。「自己資本比率が低下するため、ゆうちょ銀がどこまで買えるかは見極めにくい」
(ネット系証券)との指摘もある一方、公的資金全体では、今後の相場を下支えする投資主体という認識は根強い。
日本取引所グループが発表する投資主体別売買動向によると、直近の5月第3週(5月18━22日)における信託銀行の現物
・先物合計の売買は、今年度に入り初めて買い越しに転じた。現物株に限れば売り越しが続いているが、年度初めの利益確定
売りは、ほぼ一巡したとみられている。
内藤証券の投資調査部長・田部井美彦氏は、信託銀行の売り越し基調が弱まりつつあるとしたうえで、海外投資家の買いが
鈍れば、公的年金などの買い余力に市場の関心が移る可能性を指摘している。日本郵政などの大型上場で株式市場の需給が
一時的に崩れることが警戒されるなか「公的資金が下値を買う動きも予想される」と話している。 -
超金融緩和の行き着く先。
2015/07/29 日本経済新聞 夕刊 5ページ 752文字 書誌情報
「異次元の金融緩和」は日本経済に大きな変化をもたらした。市場が超金融緩和を期待し始めたのは
野田佳彦首相(当時)が「解散」を宣言した2012年11月14日のことだが、その日から相場の激変が
始まる。当時8600円台だった日経平均は2年半余で2倍以上に、対ドルで79円台だった円の価値は
3分の2になった。
今の超金融緩和の目的はインフレ期待の醸成だが、その手段は「マネタリーベースの供給量を倍増
させる」ことだ。そのために日銀は民間銀行から大量の国債を購入し続けてきた。購入代金は民間銀行
が日銀に保有している当座預金口座に振り込まれるのだが、その残高を倍増させることが「手段」なのだ。
この政策は市中にマネーを供給する、と説明されることが多いが、倍増したのは我々(家計や企業)の
マネーではない。このマネーが株式市場に流れ込んだわけではないし、円というマネーがあふれて価値
が低下したわけでもない。相場を動かした主役は、超金融緩和が円安・株高につながるという思惑だった。
問題は、「目的」の達成自体には効果が乏しいこの政策の副作用が心配されることだ。発行される国債
のほとんどすべてを、今後も日銀が購入し続けることの結末が心配だ。財政の健全化が思うように進ま
なければ、この政策の「出口」が見いだせなくなる。金融政策と財政ファイナンスの区別がつかなくなって
しまうということだ。
その先では、おそらく円が大幅に下落し、ハイパーインフレにつながる可能性が高い。そのインフレは
実質所得の海外流出をもたらす。「給料は増えず、物価だけが高騰する」事態だ。借金の実質負担を
減らしてくれるようなインフレとは全く異なる。財政の健全化がさらに困難なものになるのは言うまでもない。 -
カメラ生産、完全自動化、キヤノン、国内工場で、費用2割減、製造業、熟練工不足に対応。
2015/08/04 日本経済新聞 朝刊
キヤノンは2018年をめどに国内のデジタルカメラ生産を完全自動化する。約130億円を投じ、基幹工場に
ロボット生産などを研究・開発する拠点を新設。熟練技術者の高度な技能を自動ラインに置き換えてコストを
最大2割削減する。国内の製造業は少子高齢化で労働力の減少が進む。人工知能(AI)やロボットによる
生産性向上は航空機や食品製造でも始まった。人手に頼らないモノづくり技術で国際競争力を高める試みが
広がりそうだ。(関連記事12面に)
大分県にある一眼レフの基幹工場、長崎県の小型カメラ工場など国内4拠点の生産ラインを順次自動化する。
レンズ部品の製造からカメラの最終組み立てまで人手による作業を自動装置に置き換える。組み立てコストを
半分以下に抑えることで生産コストは1〜2割減る見通しだ。
生産を自動化する新技術を開発するため、大分県の工場に「総合技術棟」を建てる。投資額は約130億円で
16年末の稼働をめざす。約500人の技術者を集め、ロボットによる生産手法や部品を内製化する技術の開発
に取り組む。自動化する工場の人材らを活用する方針で、国内工場の雇用を維持しながら国際競争力を磨き
上げる。
精密機器の生産の完全自動化は難しいとされてきた。キヤノンも中核のレンズ部品は13年に成功したものの
、繊細な電子部品の装着や機種ごとに異なる外装への組み込み作業などは経験と熟練の技が必要だった。
大分の基幹工場では3年の時間をかけて、熟練技術者の技能を自動装置に置き換えていく方針だ。
デジカメはキヤノンの主力事業で売上高は約8000億円と全体の2割を占めるもよう。世界シェアは約3割と
首位を走る。ただ市場は縮小傾向で価格競争も激しい。コスト削減が国内生産維持の課題だった。
円安基調は付加価値を高めた商品を国内で生産する日本の製造業の追い風になっている。キヤノンは自動化
技術により輸出競争力をさらに高める。現在は6割の国内生産比率を7割まで引き上げる計画だ。
自動化技術の追求は国内の基幹工場の新しいあり方を探る試みでもある。デジカメ生産の海外拠点である
中国や台湾でも労働力の減少や人件費の高騰は進む。為替や人件費の影響に左右されにくい柔軟で最適
な生産体制づくりをめざす。
人件費の高騰や人手不足への対応は国内製造業の共通の課題だ。省人化で国際的な競争力を高めようと
する企業は他の業種でも目立ち始めた。
三菱重工業は米ボーイングの次期主力大型機の胴体生産で自動化ラインを新設。15%程度のコスト削減と
品質管理の両立を狙う。三井造船は5年間で150億円を投じてロボットなどを導入し、生産効率を3割高める
計画だ。労働集約的な食品製造でもロボットの活用が広がっている。
少子高齢化が進む国内の生産現場では、労働人口の減少に対する危機感は根強い。なかでも技術者不足
は深刻になっており、トヨタ自動車は若手の賃金を手厚くするなどして優秀な人材の確保を急いでいる。 -
原油安と日銀追加緩和(マネー底流潮流)
2015/08/18 日本経済新聞 夕刊
原油価格の下落基調に拍車がかかっている。17日のニューヨーク市場で先物の指標、WTI(ウエスト・テキサス・
インターミディエート、期近物)の終値が1バレル41ドル台に下落した。約6年5カ月ぶりの安値だ。気になるのは
原油安がさらに進んだ場合の日銀の金融政策への影響だ。昨秋のサプライズ緩和時と同様に再び原油安が政策
発動と結びつくとすればどんな場合か。
原油安の背景にあるのは、(1)中国景気減速など需要面の要因(2)イラン産原油の輸出増加観測など供給面の
要因(3)ドル高――といった要素だ。3方向から下落圧力が加わり先安観が広がりやすくなっている。「原油価格は
緩やかに上昇」という日銀物価見通しの前提にも疑問が出てくる。
ただ、重要なのは、原油安により2%物価目標の達成時期(現行見通しで2016年度前半ごろ)が遅れそうになる
だけでは、追加緩和につながらない可能性がある点だ。
そういう事態には目標達成時期の先送りで対応すればいいと判断するかもしれない(今春にもそのようにした)。
原油価格そのものに日銀は影響力を及ぼせないので、原油安自体は金融政策の守備範囲である「物価の基調」
から外れるからだ。「原油価格の動きが予想物価上昇率などに影響して物価の基調的な動きに影響すれば、政策
の調整を検討する」(黒田東彦総裁)というのが日銀の姿勢だ。
昨秋の緩和も、夏以降の原油安などを背景とするインフレ期待の下振れを重く受け止めて決めた。物価連動国債
(10年物)からはじいた予想物価上昇率(ブレーク・イーブン・インフレ率=BEI)を見ても、昨夏以降低下していた。
この状況を放置すると15年春の賃上げに悪影響をもたらしかねないと日銀は判断した。原油安などで物価が下がる
ならたいした賃上げは必要ないだろう。そんな空気が経営者の間に広がれば、「物価の基調」も上がらなくなるからだ。
足元のブレーク・イーブン・インフレ率はどうか。実は先週大きく低下し、0・8%台となった。中国人民元の「切り下げ」
を受け、一段と減速している同国景気が原油安に拍車をかけるという見方が広がったからだろう。
日銀は来春に今春を上回る大幅なベースアップ(ベア)が実現するよう期待している。物価2%実現のカギを握るか
らだ。従って原油安を背景とする予想物価上昇率下振れを警戒しているはずだ。今後の金融政策を占ううえで期待
インフレ率に注意が必要だ。 -
ESPフォーキャスト調査
■2015年9月調査を公表しました。
?消費が景気の足を引っ張っている。
曇天景気の中心にあるのが消費不振だ。年初には消費増税の足かせがはずれてそこそこ消費も伸び実質で1.7%の増加を示すと考えていた。それが8月調査では0.99%と1%を割り、今月調査では0.42%にまで縮んできた。
消費増税に入る前、フォーキャスターの間では楽観的な空気が強かった。増税による消費抑制効果はあってもアベノミクス効果がある程度マイナスを打ち消すのではないか、との期待が強かった。増税から1年半になる現在、
「増税のデフレ効果は予想外に強かった」というのがフォーキャスターの実感なのではないか。15年度実質消費予測の歩みを示すグラフがフォーキャスターの気持ちを表しているようだ。
?輸出も引き続き悪い。
前月の調査で15年度実質成長率予測 “崩壊” の元凶は輸出だと断じた。その輸出、今月調査ではさらに下がり、0.5%になってしまった。中国を中心とした世界経済の減速が輸出に影を落としている。
?15年7-9月期の実質成長率は1.67%に。
15年7-9月期の実質成長率は1.67%となり、前月調査から0.81%ポイントの下方修正となった。3四半期ぶりのマイナス成長となった15年4-6月期の反動で、7-9月期の成長率を高めに見る向きもあったと考えられるが、8月末
に公表された7月の鉱工業生産指数が前月比で予想外のマイナスとなり、さらなる下方修正へつながったとみられる。足もとの輸出の動向も低調であり、海外景気の悪化から輸出、生産へと波及してきている。
?15年度実質成長率は1.11%に低下。
2015年度の実質成長率は1.11%となり、前月調査から0.1%ポイント低下。15年7-9月期の成長見通しが下方修正されたことが影響している。
実質GDPの内訳では、消費、輸出の下方修正が目立っている。住宅投資が好調である以外には、景気のプラス材料は見当たらない。海外景気が更に悪化するようであれば、今後も成長率の低下は避けられず、引き続き、
海外の動向に気を揉む展開となりそうだ。
?下げ止まってこない消費者物価予測。
消費者物価予測は、聞き取りを行っている15〜17年度のすべてで前月調査から下方修正となった。すべての年度で下方修正になったのは、前月に続き2カ月連続。前月調査時から更に低下した原油価格の動向が予測に
反映されたとみられる。
消費者物価上昇率2%の達成が可能かどうかを聞いている特別調査の回答は「はい」(できる)が19名、「いいえ」(できない)が21名となり、これまでと大きな変化はない。ただ達成可能という回答のうち、2016年度中の
達成は3名になり、月を追うごとに少なくなっている。
?意外に落ち着いているマーケット予測。
フォーキャスターが予測のとりまとめを行っていた1週間は、マーケットの激動の1週間だった。
9月調査結果を見ると、さすがに日経平均株価の15年度平均値は20,285円と8月調査に比べ下方修正になっている。しかし修正幅は2.3%に止まっている。円ドル相場は123.04円で前月調査に比べわずか18銭の円高だった。
冷静な予測だと言える。
?消えた14年“ミニリセッション”。
「『次の景気転換点(山)は過ぎたか』との問いに『イエス』と答えたフォーキャスターが3人いる。1人は前月調査でも『イエス』と答えていたが、2人が新たに加わった。しかも前月までの『14年3月』ピークではなく『14年1月』が
ピークだったと判断する」
14年8月の「調査結果サマリー」の中で書いた「『1月ピーク説』が登場」の1節だ。
景気後退説は9月調査では3名が4名になり、10月調査で11名、11月調査では19名、12月調査で22名と回答者の過半を超えた。その後も14年景気後退判断が優勢で、しかも14年8月に「谷」を迎え、9月からは「アベノミクス
景気?」とでも呼べる、新たな景気上昇局面を迎えているとみられていた。
今月、「次の景気転換点(山)はもう過ぎたかどうか」の問いに「はい」は17名、「いいえ」が23名で「いいえ」が過半を大幅に上回った。“ミ二リセッション”が消えた。
7月24日に開いた景気動向指数研究会に提示されたヒストリカルDIで景気悪化の度合いが「40」に止まっていたことが逆転の主要因のようだ。
?じりじり下がる中国の実質成長予測。
2015年の中国の実質成長率予測は6.91%となった。聞き取りを開始した14年1月調査から、途中の小康状態を除いて、一貫して下方修正が続いている。今月まででは9カ月連続の下方修正となった。
最近、製造業PMIが50を割り込んだり、預金準備率を引き下げたりと景気鈍化がうかがえるニュースが頻発している。中国のいち早い持ち直しが、日本の景気のカギである。 -
原油安揺れる世界(上)中国減速、消耗戦に拍車。
2015/10/02 日本経済新聞 朝刊
「安い原油」が世界の新たな常識となりつつある。シェール革命を起点とする需給のゆるみに、新興国経済の減速が
追い打ちをかけた結果だ。世界の経済・政治秩序も調整を迫られる。原油安は光明か、波乱の種か。
シェールは増産
米テキサス州南西部のシェール鉱区イーグルフォード。「この井戸は1バレル25ドルでも利益が出る」。地元の開発
会社タイダルペトロリアムのテッド・スミス氏は胸を張る。
米シェールオイルの採算ラインは1バレル60〜80ドルと10ドル以下の中東産に大きく劣るとされた。だが日進月歩
の技術革新で効率改善が進む。原油価格が1バレル100ドルから1年で40ドル台に下がっても油井の多くは生き残り
、新規投資が減るなか生産量は逆に5%増えた。
シェール会社コンチネンタル・リソーシズのヘラルド・ハム最高経営責任者(CEO)は「原油急落は効率化を進める好機
だ」と強気だ。
原油新秩序――。米ゴールドマン・サックスはシェールが起こす地殻変動をそう呼ぶ。需給を重んじた既存勢力を押し
のけ増産に走るシェール業者は今や米原油生産の6割を担う。英BPによると米原油生産は日量1100万バレル台と
過去5年で6割増加。サウジアラビアやロシアを超え昨年39年ぶりに世界一となった。「サウジアメリカ」の造語まで
生まれた。
産油国の雄を自負するサウジの危機感は強い。「価格が20ドルに下落しても関係ない」。ヌアイミ石油鉱物資源相
は昨年末シェール業者との消耗戦を宣言し、他の産油国も続いた。だがシェールはしぶとく生産を続け原油の余剰は
拡大。世界では大型タンカー30隻ほどが備蓄に使われ、備蓄タンクも異例の特需に沸く。
負の連鎖に懸念
折しも原油需要にはブレーキがかかる。
「ついに来たか」。上海株の急落を受けた7月中旬、中国の自動車部品業界は動揺した。韓国・現代自動車などが
生産計画の大幅縮小を決めたのだ。世界最大を誇る中国の新車販売は8月まで5カ月連続で前年割れ。自動車販売
店の経営者による「夜逃げ」も相次ぐ。
中国東部、山東省莱州市。国有石油大手の中国海洋石油総公司の巨大プラントは静まりかえる。石油化学製品の
需要減で操業を停止したのだ。
米国を上回る“爆食”で原油相場を支えてきた中国。今年の原油需要の伸びは2%台にとどまると米エネルギー情報
局はみており、一段の鈍化を予想する声も多い。
ゴールドマンは新興国経済がさらに減速すれば原油価格は1バレル20ドル台になると予想。「長期の原油安を覚悟
すべきだ」と商品担当のジェフリー・カリー氏は話す。
先進国の比率が圧倒的だった時代、原油安は世界経済の追い風だった。資源国も多い新興国が存在感を増した今、
構図は複雑だ。米建設機械最大手キャタピラーは世界で1万人の従業員を削り、日立建機は14年ぶりに早期退職者
を募る。油田掘削に使う鋼管の輸出価格も1年で2割下がった。資源国の経済悪化は先進国にも跳ね返る。
むろん原油安は永続はしない。米欧の石油大手は15年の投資を前期比で16%、300億ドル(4兆円近く)減らす。
原油安が「開発投資の減少↓生産減↓価格上昇」へとつながる循環は、過去に何度も繰り返された。
だが目先、世界が気をもむのは原油・資源安が経済の減速と共鳴し合う負の連鎖だ。新興国の成長期待があおった
原油枯渇への不安は遠のいた。市場の潮目は変わり、原油「余剰」時代の到来が強く意識されている。 -
原油安揺れる世界(中)勢力バランス、米優位に。
2015/10/03 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1346文字 書誌情報
9月3日、北京。抗日戦勝70年式典の会場で、「反米」で鳴らす2人の首脳が向き合っていた。
苦境続くロシア
ロシアのプーチン大統領とベネズエラのマドゥロ大統領。議題となったのは原油安だ。「原油を政治やイデオロギー
の闘争に使うべきではない」。マドゥロ氏は米国をそう批判した。
原油や天然ガスが輸出の6割を占めるロシア。外貨収入のほぼ全額を原油に頼る南米最大の産油国ベネズエラ。
原油安で経済が大打撃を受ける両国にとって、米シェールオイルの増産は「米国の陰謀」と映る。
そう思わずにいられないほど両国の状況は厳しい。ベネズエラの首都カラカスの歯科医エイレン・ガルシアさん(25)
は半年前コロンビアの米国大使館に亡命を求めた。食料品を買うため早朝3時から店の前に並んだ。1日1食の日も
あった。子供を抱えて生活できないと母国を去った。
ロシア議会も9月、慣例の3カ年の予算案をつくれず、2016年の1年分とすることを決めた。4〜6月の経済成長率は
4・6%のマイナス。通貨も急落し経済の見通しが立たないためだ。
「世界経済の血液」とも呼ばれる原油は、国家間の力関係を変える触媒にもなる。目先その最大の勝者は米国だろう。
キューバの首都ハバナ。タクシー運転手、ロベルト・カスティジョさん(43)は「ガソリンの値上げが心配だ」と気をもんで
いた。
同国は反米で結ばれたベネズエラから毎年32億ドル(約4千億円)相当の原油や経済支援を得ていたが、ベネズエラ
経済の混乱で途絶えがちになった。キューバが7月、宿敵の米国と歴史的な国交回復に動いた一因だ。
米国の優位は、サウジアラビアとの関係でもあらわになった。
「イラン核合意を実行する重要性について議論したい」。9月4日、オバマ米大統領はホワイトハウスでサウジのサル
マン国王に迫った。イランと敵対するサウジは米欧など6カ国がイランと進めた核協議に強く反対してきたが、米とイラ
ンが結んだ核合意への支持を表明するしかなかった。
シェール革命を受け、米国が14年に中東から輸入した原油は4億3千万バレルと10年前の3分の2に減った。米国
はかつてほどサウジの機嫌をとる必要がなくなった。
中国は強気貫く
中国とロシアの力関係も微妙に変わってきた。
プーチン大統領が習近平国家主席を前に、西シベリアと中国をつなぐ天然ガスパイプライン構想をぶち上げたのが
昨年の5月。経済成長へエネルギーを必要とする中国と資源国ロシアの接近は話題をさらった。
それから1年余り。9月、習近平主席との会談を前にプーチン大統領は計画合意をめざし高官らを北京に送り込んだ
が、空振りした。「まだ高すぎますね」。原油安で買い手として優位に立った中国は強気だった。
中東の安定も遠のく。8月中旬、モスクワ。サウジのジュベイル外相はロシアのラブロフ外相にシリアのアサド政権へ
の武器供与をやめるよう求めたが拒否された。
「米国がアサド政権の命運を決めるのは問題だ」。プーチン大統領は米国にもかみつきシリア空爆に踏み切った。価格
競争を繰り広げるシェール大国の米国とサウジ。「両国は結託している」との疑念がロシアを突き動かしたともされる。
国々の勢力バランスを左右する原油価格。その急変動が世界の秩序をきしませている。 -
原油安揺れる世界(下)安定調達へ日本に福音。
2015/10/04 日本経済新聞 朝刊
「シェールガスの権益を買いませんか」。今夏、米国のシェールブームの火付け役ともいえるチェサピーク・エナジーの
ダグ・ローラー最高経営責任者(CEO)の姿が東京にあった。エネルギー関連企業などへ売り込みをかけるためだ。
シンガポールではプーチン大統領の側近で、ロシア国営石油最大手ロスネフチのセチン社長が弱気な発言で日本の
業界関係者を驚かせた。「前払いならガスや原油の価格を割り引いてもいい」
原油安を受け売り手が握っていた交渉の主導権が買い手へと移りつつある。だぶついた原油の売り先を求め、今や
中南米やアフリカからも日本詣でが相次ぐ。これを好機とみた石油元売り最大手のJXホールディングスは7月、メキシコ
の石油会社と半年という異例の長さの購入契約を結び、割安な価格を固定した。直近、日本が中南米から輸入する原油
の量は前年の2倍に膨らんだ。
権益確保へ走る
資源小国の日本にとって原油安は福音だ。特に東日本大震災以降は化石燃料に発電の大半を頼るようになり、燃料
コストの急増は貿易赤字の形で日本の富を流出させた。
有利な価格でエネルギーを確保できれば、電気料金の引き下げなどで企業や家計に恩恵が及ぶ。「日本への富の
逆流を促すことができる」(住友商事グローバルリサーチの高井裕之社長)
政府は長期にわたり安定してエネルギーを確保する体制づくりを急ぐ。
「エネルギー分野でできることがあれば、お手伝いしたい」。8月9日、イランの首都テヘラン。山際大志郎経済産業
副大臣はザンギャネ石油相に語りかけた。核開発をめぐる主要国の経済制裁が、年内にも解かれるのをにらんだ動きだ。
過去には投資計画が頓挫した苦い思い出もあるが、イランは世界有数の原油埋蔵量をもつ。原油の優先的な調達に
道筋をつけたいとの思いは強い。
「日本にとっては資源安の今がチャンス」と経産省の幹部は意気込む。資源獲得の予算を2016年度は約900億円と
前期より4割増やし、民間の開発を後押しする方針だ。企業側も「良い案件は積極的に取りに行く」(三菱商事の幹部)と
足並みをそろえる。
ただ時流に乗った期待先行の投資にはワナもある。シェールブーム初期の投資は教訓だ。
もろ刃の剣にも
会計不祥事が発覚した東芝。13年に得た米国産シェールガスの液化権益が経営の重荷となる懸念が高まっている。
火力発電用プラントと一括で売り込もうとの皮算用が、原油安で裏目に出た。住友商事も米テキサス州での開発投資
で採算が悪化して15年3月期にシェール関連で約2千億円の減損損失を計上。伊藤忠商事も25%出資していた石油
・ガス開発会社の全株をただ同然で手放した。
1990年代、1バレル20ドル前後で推移した原油は戦略物資でなく市場調達できる「商品」とみなされた。民営化の
流れもあり調達の要だった旧石油公団も廃止された。エネルギー政策は市況や時代背景とともに揺れた。
大震災の危機を経て再び訪れた原油安の時代。エネルギーの経済性と安定確保をめぐる新たな均衡点が求められて
いる。 -
【中国が発表したはGDPは、250兆円もの大粉飾!?】
中国の本当の経済規模を試算してみた
株、為替、債券、商品、世界経済に潜む闇を白日の下にさらけ出し、明快かつ独特な視点で切り込む金融メルマガ
『闇株新聞プレミアム』。今回は世界が固唾をのんで見守っている(でも誰も額面通りとは信じてはいない)中国の
経済成長率について――。
李克強首相も信じていない? 国家統計局発表のGDP
中国国家統計局は10月19日、2015年7〜9月期の実質GDPが前年同月比で6.9%増だったと発表しました。
リーマンショック直後2009年1〜3月期の6.2%以来の低成長であったということです。この期に及んで、計算期間終了
後わずか20日足らずで発表される、あの広大な中国のGDPが正確と考える人は少ないはずですが、それにしても
不思議な数字です。例えば9月の輸入はドルベースで前年同月比20.4%(1〜9月累計では15.3%)も減っています。
輸入減そのものはGDPを押し上げますが、いくら原油など資源価格の下落があったとしても、これだけ輸入が減っている
中で中国経済が未だ前年比7%近い成長を維持していると信じる人がいるでしょうか。
?さらに言えば、このような状況にあるにもかかわらず、発表では消費が同10.5%も伸びているというのです。ますます
信じられません。経済通で知られている李克強首相自身、かつて遼寧省党委書記を務めていた時代に「中国のGDP
統計は"人為的"であり信頼できない。私は電力消費、鉄道貨物量および銀行融資の3つのデータだけに注目している」
と述べたことがあったくらいです。
?では、李克強首相が「比較的信用できる」らしい9月の発電量はと言うと前年比3.1%減、鉄道輸送量も同10%減と
なっています。何よりも9月の消費者物価指数は前年同月比1.6%の上昇でしかなく、卸売物価指数に至っては同5.9%
の下落と43カ月連続でマイナスになっています。
計画型疑似資本主義の中国GDPは「計画値」
キリがないのでこの辺にしますが、やはり中国は資本主義国ではなく、共産党一党独裁の「計画経済」あるいは「計画
型疑似資本主義」なのです。中国国家統計局から発表されるGDPとは「実績」ではなく「計画」であり、そういう目で見て
いくと2000年〜2011年のGDPは「計画」では平均10%成長だったことになります。それが2012年以降に7%まで減速
させており、現在もさらに減速させているわけでもなさそうです。2011年までも「実績」が9%台の年もあったからです。
?2000年当時の中国の名目GDPは10兆元弱(当時の為替で1.2兆ドル=130兆円)だったので「背伸びした計画」であった
としても、世界経済への影響は限られていました。しかし、2014年の名目GDPは63.7兆元(現在の為替で10.3兆ドル=
1200兆円!)にもなっているため、中国国家統計局の都合で勝手な計画がたてられると、その影響は世界経済全体に
及びます。中国経済の本当の規模や成長率は誰にも(当の中国国家統計局にも)わからず、最近はそもそも本当に成長
しているのかも疑わしい、もしかしたらマイナス成長になっているのではないかとまで心配しなければならなくなっています。
世界経済にとって最大の恐怖は、その誰にもわからない中国経済の規模と成長率を前提に、世界中が過剰設備・過剰
生産・過剰資源に陥ってしまっていることです。そして最も過剰状態となっているのが当の中国企業なのです。
闇株新聞が試算した中国の本当の経済規模は?
?いったい中国経済の本当の規模はどれくらいで、発表されている規模とのギャップがどれくらいあるのでしょうか。
本誌なりに推測してみることにします。そもそも実態と発表のギャップが拡大し始めたきっかけは、リーマンショック直後の
4兆元の経済対策でした。この効果を世界中が過剰期待したわけですが、その結果は中国全体に不採算投資・不良債権
が積み上がっただけでした。 -
?そこでIMFが集計するリーマンショック時(2008年)の名目GDP31.6兆元(当時の為替で4.6兆ドル)を正しい数字と仮定
します。そして、同じくIMFが集計した2008年から2014年までの消費者物価上昇率を累計した1.16倍を基に計算してみます。
この間の実質成長率が毎年6%だったとすると2014年の名目GDPは52.0兆元、毎年5%だったとすると49.0兆元となります。
とすると、ざっくりと考えて昨年(2014年)の中国の名目GDPは50兆元くらいと見るのが妥当ではないでしょうか。ところが
実際にIMFが発表している2014年の名目GDPは63.7兆元(現在の為替で10.3兆ドル=1200兆円!)もあります。そのギャップ
は実に13兆元強(現在の為替で2.1兆ドル=250兆円!)もあり、中国経済は日本の経済規模の半分くらいの「大粉飾」を抱え
ていることになります。 -
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【韓国】MERSで35歳男性が死亡 死者38人に
http://yomogi.2ch.ne...ews4plus/1448408359/ -
持ち合い株解消、3メガ銀阻む「岩盤」銘柄
銀行と一般企業の関係を象徴してきた持ち合い株の解消に向け、三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガバンクが動き出した。
自己資本比率規制の強化などを見据え、株価変動リスクを抑制する狙いだが企業側との交渉は難しそう。特に取引関係が深い旧
財閥企業やインフラ企業などの「岩盤」銘柄を時価ベースで2兆6000億円ほど保有しており、どこまで切り込めるかが焦点だ。
3メガ銀は11月中旬、金融庁の意向を受け、今後3〜5年で持ち合い株を3割削減する計画を立て本格的な売却交渉に
入ると相次いで表明した。
3メガは保有株の規制導入を受け、2000年代初めから持ち合い株を半減させたが、ここ数年の削減ペースは鈍っている。ある
メガ銀幹部はライバル行との競合や同じ企業グループであることなどの「様々な理由で売却できない『岩盤銘柄』が残っている」と話す。
3メガは時価の大きい保有株式を有価証券報告書で公表している。15年3月末をみると、トヨタ自動車やキヤノン、新日鉄住金
など経団連会長を輩出してきた名門企業が上位にずらりと並ぶ。
岩盤銘柄を(1)保有株式の金額が現在5位以内(金融機関を除く)(2)5年前に上位10社に入っており、直近でも上位を維持して
いる――と定義すると3メガで計24社、時価で約2兆6000億円が該当した。持ち合い株全体の約2割にあたる。
3メガは株を持つことで得られる利益を考慮し、売却の是非を判断する。優良企業の株は採算性が高いと判断し持ち続ける可能性
もある。
採算性が低いから簡単に売却できるわけでもなさそうだ。6月まで三菱UFJ副社長を務めた田中正明氏は金融庁の有識者会合
で「取引縮小につながるという意見が常に出る。これほどつらい交渉はない」と明かした。
持ち合い解消の原点は、欧米銀に比べて高すぎる株式リスクの縮小だ。3メガの自己資本に対する株式の割合は4割超。欧米主
要行の6%に比べ突出している。株価が下がると自己資本比率が低下し、貸し出しなどのリスクを取りづらくなる懸念がある。
市場の目は厳しい。ゴールドマン・サックス証券の銀行アナリスト、田中克典氏は「削減目標をどれだけ前倒しで達成するかが今後の
焦点。規模の大きな銘柄を削減していかないと、目標に届かない」と指摘する。 -
実際に持ち合い株を売却する場合、取引先との関係悪化が懸念されるほか、「より投資効率の高い投資先が見当たらず処分を
ためらっている」(SMBC日興証券の佐藤雅彦アナリスト)側面もある。どれだけの銀行が追加的に削減方針を打ち出すかは不透明だ。
三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめ3メガバンクは、今後3〜5年の間に持ち合い株を2兆円規模で売却する方向だ。銀行が
価格変動の大きい株式を大量に抱えていると、株安局面で自己資本が損なわれるリスクがある。金融庁はメガバンクがまず数値目標
を設定した上で持ち合い株を解消し、地銀にも裾野を広げていきたい考えだ。 -
キヤノン − 【四季報先取り】キヤノン
詳細
【横ばい圏】一眼カメラ、複写機ともに低調。露光装置の好調と円安の追い風で営業増益は維持。16年12月期も
一眼カメラは下期底打ちでも低調。LBPの新製品効果とネットワークカメラ伸びても微増益程度。
【種まき】大容量モデルのIJPを海外で投入。ナノインプリントは15年中に量産機を初出荷。医療や産業分野で買収
先検討。既存、新規分野とも成長源の育成を急ぐ。
(上記記事及び業績予想は『会社四季報』新春号《12月14日発売》の速報版です。今後、『会社四季報』の制作
過程で内容が変わる場合もあることをご承知おき下さい)
(株)東洋経済新報社
(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
○本2014.12 3,727,252 363,489 383,239 254,797 229.0 150
○本2015.12予 3,820,000 365,000 355,000 225,000 206.0 150-160
○本2016.12予 4,000,000 366,000 370,000 233,000 213.4 150-160
○中2015.06 1,831,851 170,909 164,516 102,125 93.5 75
○中2016.06予 1,850,000 190,000 190,000 120,000 109.9 75-80 -
パソコン統合「選択肢」、富士通・田中社長、東芝やVAIOと。
2015/12/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 422文字 PDF有 書誌情報
富士通の田中達也社長=写真=は16日、日本経済新聞などの取材に対し、パソコン事業の他社との統合について
「選択肢の一つ」と話した。パソコンについては東芝、VAIO(バイオ、長野県安曇野市)との事業統合の計画が浮上して
いる。田中社長は具体的な社名は避けながら「連携自体は検討に値するもので選択肢に入れるべきだ。決まったものは
ない」と説明した。
このほかスポーツ関連事業を拡大する方針も表明した。2020年の東京五輪に向け、スポーツイベントの運営や競技
支援などにIT(情報技術)を活用する需要が高まると判断。企画や営業を担当する人員を現在の3倍に増やし、15〜
21年度の累計売上高で2千億円規模の事業に育てる。
社長直轄組織の「東京オリンピック・パラリンピック推進本部」を中心に現在70人程度がスポーツ関連事業にかかわるが
、18年度までに200人規模にする。システム構築などのサービスを提供する部門と連携し、スポーツイベント運営団体な
どに売り込む。 -
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キヤノン、売上高5兆円に再挑戦、御手洗会長に聞く、監視カメラ・商業印刷、軸に。
2016/01/12 日本経済新聞 朝刊 7ページ
キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に応じ、「2020年に連結売上高を
5兆円以上とする目標を再び狙う」と語った。20年を最終年とする新たな中長期経営計画では純利益率10%以上も掲げた。
監視カメラと商業印刷を成長の柱に据え、BtoC(消費者向け)からBtoB(企業向け)への業態転換を目指す。
16年12月期から20年12月期までの5カ年計画について、「新たな成長への挑戦」を基本方針に据えた。経営数値目標として
は売上高5兆円以上、営業利益率15%以上、純利益率10%以上(為替前提は1ドル=125円、1ユーロ=135円)とする。
御手洗会長は15年までの5カ年計画を「経営体質の改善が十分に進み、次の成長に向けた仕込みをできた」と総括した。売上
高は伸び悩んだものの、「既存事業で3000億円程度減ったが、監視カメラや商業印刷などがその減少分を補った」と指摘。「Bto
Bに事業の質が変わり始めた」と強調した。
キヤノンはかつて10年までの5カ年計画で売上高5兆円目標を掲げた。だが、08年のリーマン・ショック後の世界的な不況が響い
て未達に終わった。売上高のピークは07年12月期の4兆4800億円だった。
5兆円目標へ再挑戦する御手洗会長が成長のけん引役とするのは、監視カメラと商業印刷の領域だ。キヤノンは監視カメラ
世界首位のスウェーデンのアクシスコミュニケーションズを15年、商業印刷では10年にオランダのオセを買収した。「監視カメラと
商業印刷の周辺領域で買収を進め、戦略的提携も広げて事業を強化拡大していく」と強調する。
M&A(合併・買収)などの投資を支えるため、収益力をさらに高める方針も示した。「原価率の改善は特に大事だ」として、
足元で50%程度の売上高原価率を20年に45%以下にする。具体的には設計・開発から生産までが集積する日本の強みを
生かし、「カメラで進めている生産の自動化を事務機など他の事業にも横展開する」と述べた。
長期的にはライフサイエンス領域にも力を入れる。「安心安全と人間の生命に関する領域は絶対に成長産業になる」と強調した。
今週にも売却手続きが始まる見通しの東芝メディカルシステムズの買収については、「条件をみないとわからない」と述べるにとどめた。 -
01/20 8001 東1 伊藤忠 三菱UFJMS Neutral継続 1550→1400円
01/20 8002 東1 丸紅 三菱UFJMS Overweight 継続 800→700円
01/20 8031 東1 三井物 三菱UFJMS Neutral継続 1580→1280円
01/20 8053 東1 住友商 三菱UFJMS Neutral継続 1420→1150円
01/20 8058 東1 三菱商 三菱UFJMS Overweight 継続 2500→2200円 -
01/28 7751 東1 キヤノン SMBC日興 3継続 3300→3000円
01/28 7751 東1 キヤノン マッコーリー Neutral継続 3400→3375円
01/28 7751 東1 キヤノン 野村 Neutral継続 4132→3767円 -
プォオオオオーーーーーーン!!
__________
/━━━━━━━━━ \
|┃| ̄ ̄|. 〇 〇 [成田]┃|
|┃| ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|┃|
|┃|__||______|┃| 人生オワタ
|┃ JR ┃|
|┗━━━━━━━━━┛| \(^o^)/ ミ
| ━━ ━━ ━━ | ( ) ミ
| [成田 EX] | └└ ミ
| \(^o^)/ |
| 〇 ━━━ 〇 |. ┌────────────
|___________|. │
│ │[=.=]| |.. │
└─────────┘ │
/ \ │
/ \ -
民主、ABA路線鮮明、Anything But Abe「アベじゃなければ」。
2016/03/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1011文字 書誌情報
民主党が憲法改正や消費増税などの重要政策を巡り「安倍政権の進め方には反対」という姿勢を鮮明にしている。
政策の中身より手法に焦点を当てることで、7月の参院選や次期衆院選に向けた野党共闘を進めやすくする狙いとい
うが、民主党内の意見対立を覆い隠すためだとの見方もある。党内外で取り沙汰される「Anything But Abe」
(ABA)路線の成否は不透明だ。 -
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【8316】三井住友FG 【底打ち完了?】 [無断転載禁止]c2ch.net
1 :
山師さん@トレード中
2016/04/09(土) 18:19:33.02 ID:+JexcUpD
■三井住友フィナンシャルグループ
http://www.smfg.co.jp/
■三井住友銀行
http://www.smbc.co.jp/
■ヤフーファイナンス
http://stocks.financ.../detail/?code=8316.T
■NIKKEI マーケット
http://company.nikke...ndex.aspx?scode=8316
2 :
山師さん@トレード中
2016/04/09(土) 18:20:14.96 ID:+JexcUpD
01/14 8316 三井住友FG バークレイズ Equal継続 5200→4900円
02/05 8316 三井住友FG シティG 2 → 3格下げ 4900円 → 3200円
02/09 8316 三井住友FG ドイツ Buy継続 6890円 → 4610円
02/23 8316 三井住友FG GS 買い継続 7900円 → 5690円
02/26 8316 三井住友FG CS OP継続 5700円→4100円
02/26 8316 三井住友FG UBS Buy継続 5685円→4285円
03/04 8316 三井住友FG BNPパリパ BUY→HOLD格下げ 5700円→3300円
03/29 8316 三井住友FG 大和 3継続 5300円→4000円
03/31 8316 三井住友FG モルガンS Over継続 5700→5100円
04/06 8316 三井住友FG 三菱UFJMS Overweight→Neutral格下げ 5900円→4700円
2016/04/09(土) 18:24:08.80 ID:7KVH63Kj
>>1
∧,,∧ ∧,,∧ ∧,,▲ ∧,,∧
(,,・∀・) ミ,,・∀・ミ (;;・∀・) ミ,,・∀・ミ
〜(_u,uノ @ミ_u,,uミ @(;;;;uuノ 〜ミ_u,,uミ
い ち お つ -
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2 名前:山師さん@トレード中[sage] 投稿日:2016/04/24(日) 05:02:48.28 ID:sfC4esI2 [2/3]
02/05 8316 三井住友FG シティG 2 → 3格下げ 4900円 → 3200円
02/09 8316 三井住友FG ドイツ Buy継続 6890円 → 4610円
02/26 8316 三井住友FG CS OP継続 5700円→4100円
02/26 8316 三井住友FG UBS Buy継続 5685円→4285円
03/04 8316 三井住友FG BNPパリパ BUY→HOLD格下げ 5700円→3300円
03/29 8316 三井住友FG 大和 3継続 5300円→4000円
03/31 8316 三井住友FG モルガンS Over継続 5700→5100円
04/06 8316 三井住友FG 三菱UFJMS Overweight→Neutral格下げ 5900円→4700円
04/21 8316 三井住友FG GS コンビクション買い継続 5690円 → 5260円
3 名前:山師さん@トレード中[sage] 投稿日:2016/04/24(日) 05:03:46.90 ID:sfC4esI2 [3/3]
20レス、お願いします -
【パチンコ】不正改造のパチンコ台、警察庁が回収要請
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東京マーケットワイド(前・後場)(月〜金 8:30〜11:20 、12:29〜15:20)
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今日の株式明日の株式(月〜金 16:30〜17:00)*Internet配信
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■Ooyala(ウーヤラ)による視聴
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― 前 場 ―
【月曜日】岩本・仲田
【火曜日】櫻井・藤波
【水曜日】鈴木一之・西谷
【木曜日】中嶋・小川
【金曜日】中嶋・鈴木ともみ
― 後 場 ―
【月曜日】倉澤・藤波
【火曜日】福永・西谷
【水曜日】櫻井・小川
【木曜日】鈴木一之・鈴木ともみ
【金曜日】松下・仲田
2016年 日経予想(答え合わせは大納会でw)
http://i.kntn.org/1dc.jpg
http://i.kntn.org/1dd.jpg
http://i.kntn.org/1de.jpg
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http://i.kntn.org/1dg.jpg
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【健吉ボキャブラリー】 [2016/1/15改定]
言い換えれば 《健吉最強の接続詞》
なかんずく 《健吉のイチ押し!》
押しなべて 《健吉が森羅万象を総括》
端的に言えば 《言い換え過ぎた時のピンチヒッター》
さわさりとて 《英語でも"but"ではなく"however"を好む健吉》
結局 《言い換え過ぎて結論が分からなくなる健吉》
イッキに 《酒はチビチビ飲む健吉》
グイグイ 《健吉のバリトンで言われると更に効果的》
ピョーンと 《鼻の下が伸びる健吉》
バンバン 《『やまいちご白書』をもう一度》
ドーン 《健ちゃんのドーンと買ってみよう》
わっせわっせ 《粋な掛け声で個人投資家を担ぐ健吉》
順のパターン 《下落パターンは加齢にスルー》
そぞろ 《今日の昼飯はとろろそば》
明確に 《健吉はメ・イ・カ・ク・に・堀古が嫌い》
ものの見事に 《健吉はものの見事に浅野に優しい》
大変参考になりましたああぁぁ 《強気コメントは即採用》
ありがとうございましたああぁぁ 《弱気コメントは参考外》
しこしこ 《決して自慰的ではない》
一旦しゃがんで 《和式トイレ愛好家の健吉》
かぁぁーならずこういう形で 《証券営業の禁句「必ず」「絶対」を恐れぬ健吉》
イコール 《「言い換えれば」「端的に言えば」に続く換言手法第三の矢》
指数プレイ 《先物の解説は健吉の十八番》
逆ザヤ 《裁定解消売りに目を光らせる健吉》
意図的 《外資系の乱暴を許さない健吉》
思惑的 《外資系との心理戦にも負けない健吉》
アルゴ 《都合の悪い時は全部アルゴのせいにする健吉》
五月雨式 《後場から雪崩式に売られてるんですけど・・・》
コツン 《健吉の御神託》
メガボトム 《潤沢な語彙を駆使して個人投機家を鼓舞する健吉》
フィボナッチの61.…何でしたっけ? 《株のためなら迷信やオカルトさえ使う健吉》
読み筋 《どんな読み筋でも結論は株高》
最大の眼目 《ストボ最大の眼目は真由美》
1丁目1番地 《健吉と豊商事・大倉のコーナーは網走番外地》
バズーカ砲 《黒田の専売特許を無断借用する健吉》
ボディブロー 《拳キチ》
ザブザブの資金 《孫のために湯水のように金を使う健吉爺ちゃん》
暴力的 《ジェントルマン健吉は暴力反対》
奴ら 《日本株を売り崩す悪の秘密結社と戦う健吉》
オールジャパン 《ストボMCはオール健吉でおk》
税還付 《春は税還付 毎週ホリコにぶつける様いとをかし》
ベスト・シックス・マンス 《秋はベスト・シックス・マンス 一つ覚えを繰り返す様いとつきづきし》
○はトヨタ 《カナモトなど眼中に無い健吉》
×はソフトバンク 《健吉の中韓批判は決してブレない》
トレンドは株高 《不本意ながら堀古と呉越同舟》
トレンドは円安 《テメェ、逆らうのか、豚也!?》
残尿感 《最近キレが悪くなった健吉》
ヒヨコと卵 《チキンは嫌いな健吉》
中村君 《加藤君とは決して言わない》
なまにゅう(生乳) 《老境に入ってもナマチチ好きな健吉》
都市銀行 《健吉のメインバンクは今でも三和銀行》
松下電器 《乾電池はNationalを愛用する健吉》
ソ連 《健吉にとってプーチンは書記長》
西ドイツ 《ベルリンの壁を死守する健吉》
ちゃぶ台返し 《スポ根も株根も大好きな健吉》
大円団 《期末には必ず『大円団』を迎える健吉》
最高値 《健吉の「今夜はさいこうね!」》
今日の空売り比率は…ちょっと出ませんねえ 《IT機器にはめっぽう弱い健吉》 -
【健吉ボキャブラリー】(続き)
川合さんありがとうございました! 《健吉!それ川合さん違う!浅野さんや!》
秋風を送る 《秋波の代わりに秋風を市場に吹き込む健吉》
【スズカズ語録】
「菓子会社も商品を絞る動き・・・、例えば”カチカチ山”とか・・・」w
【加藤君語録】
「一角が買われています」
【中村君語録】
「高安まちまち」
「ここまで冴えない展開となっています」
「いってこいといった展開です」
【渡部君語録】
「ここにきてボラを上げています」
「ボラティリティ」
「上っぱなれて」
「下っぱなれて」
【特別ゲスト・広木隆語録】
「君、誰に向かって言ってんのか分かってる?いくらネットの向こうにいるからって
言葉は慎重に選びなさいよ。 」
【株式用語】
「株のSMAP」
Sは上海市場・サウジアラビア問題
MはFRBのマネタリーポリシー(金融政策)
Aはアップルの業績低迷
Pはペトロリアム(原油) -
【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ125 [無断転載禁止]©2ch.net
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【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ125 【ノンノン】
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【月曜日】岩本・仲田
【火曜日】櫻井・藤波
【水曜日】鈴木一之・西谷
【木曜日】中嶋・小川
【金曜日】中嶋・鈴木ともみ
― 後 場 ―
【月曜日】倉澤・藤波
【火曜日】福永・西谷
【水曜日】櫻井・小川
【木曜日】鈴木一之・小椿希美
【金曜日】松下・仲田
2016年 日経予想(答え合わせは大納会でw)
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【月曜日】倉澤・藤波
【火曜日】福永・西谷
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【木曜日】鈴木一之・小椿
【金曜日】松下・仲田
2016年 日経予想(答え合わせは大納会でw)
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【健吉ボキャブラリー】 [2016/5/23改定]
言い換えれば 《健吉最強の接続詞》
なかんずく 《健吉のイチ押し!》
押しなべて 《健吉が森羅万象を総括》
端的に言えば 《言い換え過ぎた時のピンチヒッター》
さわさりとて 《英語でも"but"ではなく"however"を好む健吉》
結局 《言い換え過ぎて結論が分からなくなる健吉》
イッキに 《酒はチビチビ飲む健吉》
グイグイ 《健吉のバリトンで言われると更に効果的》
ピョーンと 《鼻の下が伸びる健吉》
バンバン 《『やまいちご白書』をもう一度》
ドーン 《健ちゃんのドーンと買ってみよう》
わっせわっせ 《粋な掛け声で個人投資家を担ぐ健吉》
順のパターン 《下落パターンは加齢にスルー》
そぞろ 《今日の昼飯はとろろそば》
明確に 《健吉はメ・イ・カ・ク・に・堀古が嫌い》
ものの見事に 《健吉はものの見事に強気ゲストに優しい》
大変参考になりましたああぁぁ 《強気コメントは即採用》
ありがとうございましたああぁぁ 《弱気コメントは参考外》
しこしこ 《決して自慰的ではない》
一旦しゃがんで 《和式トイレ愛好家の健吉》
かぁぁーならずこういう形で 《証券営業の禁句「必ず」「絶対」を恐れぬ健吉》
イコール 《「言い換えれば」「端的に言えば」に続く換言手法第三の矢》
指数プレイ 《先物の解説は健吉の十八番》
逆ザヤ 《裁定解消売りに目を光らせる健吉》
意図的 《外資系の乱暴を許さない健吉》
思惑的 《外資系との心理戦にも負けない健吉》
アルゴ 《都合の悪い時は全部アルゴのせいにする健吉》
五月雨式 《後場から雪崩式に売られてるんですけど・・・》
コツン 《健吉の御神託》
メガボトム 《潤沢な語彙を駆使して個人投機家を鼓舞する健吉》
フィボナッチの61.…何でしたっけ? 《株のためなら迷信やオカルトさえ使う健吉》
読み筋 《どんな読み筋でも結論は株高》
最大の眼目 《ストボ最大の眼目は真由美》
1丁目1番地 《健吉と豊商事・大倉のコーナーは網走番外地》
バズーカ砲 《黒田の専売特許を無断借用する健吉》
ボディブロー 《拳キチ》
ザブザブの資金 《孫のために湯水のように金を使う健吉爺ちゃん》
暴力的 《ジェントルマン健吉は暴力反対》
奴ら 《日本株を売り崩す悪の秘密結社と戦う健吉》
オールジャパン 《ストボMCはオール健吉でおk》
税還付 《春は税還付 毎週ホリコにぶつける様いとをかし》
ベスト・シックス・マンス 《秋はベスト・シックス・マンス 一つ覚えを繰り返す様いとつきづきし》
○はトヨタ 《カナモトなど眼中に無い健吉》
×はソフトバンク 《健吉の中韓批判は決してブレない》
トレンドは株高 《不本意ながら堀古と呉越同舟》
トレンドは円安 《テメェ、逆らうのか、豚也!?》
残尿感 《最近キレが悪くなった健吉》
ヒヨコと卵 《チキンは嫌いな健吉》
中村君 《加藤君とは決して言わない》
なまにゅう(生乳) 《老境に入ってもナマチチ好きな健吉》
都市銀行 《健吉のメインバンクは今でも三和銀行》
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ソ連 《健吉にとってプーチンは書記長》
西ドイツ 《ベルリンの壁を死守する健吉》
ちゃぶ台返し 《スポ根も株根も大好きな健吉》
大円団 《期末には必ず『大円団』を迎える健吉》
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【健吉ボキャブラリー】(続き)
川合さんありがとうございました! 《健吉!「電話ゲスト=川合さん」ではないぞ!》
秋風を送る 《秋波の代わりに秋風を市場に吹き込む健吉》
【スズカズ語録】
「菓子会社も商品を絞る動き・・・、例えば”カチカチ山”とか・・・」w
【加藤君語録】
「一角が買われています」
【中村君語録】
「高安まちまち」
「ここまで冴えない展開となっています」
「いってこいといった展開です」
【渡部君語録】
「ここにきてボラを上げています」
「ボラティリティ」
「上っぱなれて」
「下っぱなれて」
「ほぼほぼ」
【特別ゲスト・広木隆語録】
「君、誰に向かって言ってんのか分かってる?いくらネットの向こうにいるからって
言葉は慎重に選びなさいよ。 」
【株式用語】
「株のSMAP」
Sは上海市場・サウジアラビア問題
MはFRBのマネタリーポリシー(金融政策)
Aはアップルの業績低迷
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〜〜老人漂流社会 “老後破産”の現実/NHKスペシャル
2014年9月28日に放送された、NHKスペシャル 「老人漂流社会 “老後破産”の現実」を紹介します。
http://www.at-douga.com/?p=12130
高齢者人口が3000万を突破し、超高齢社会となった日本。とりわけ深刻なのが、600万人を超えようとする、
独り暮らしの高齢者の問題だ。
その半数、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入しかない。生活保護を受けているのは70万人
ほど、残り200万人余りは生活保護を受けずに暮らしている。
年金が引き下げられ、医療や介護の負担が重くなる中、貯蓄もなくギリギリの暮らしを続けてきた高齢者が
“破産”寸前の状況に追い込まれている。
在宅医療や介護の現場では「年金が足りず医療や介護サービスを安心して受けられない」という訴えが
相次いでいる。自治体のスタッフは、必要な治療や介護サービスを中断しないように、生活保護の申請
手続きに追われている。
“老後破産”の厳しい現実を密着ルポで描くとともに、誰が、どういった枠組みで高齢者を支えていくべきか、
専門家のインタビューを交えながら考える。
引用元:NHKスペシャル -
65を過ぎても、年金でそこそこ生活できても、貯金が相当あっても
小遣いくらいは,なんらかで収入を得るべき。 -
http://www.mufg.jp/
前スレ
【8306】三菱UFJ part417 [無断転載禁止]©2ch.net
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【中国】ホンダが意匠権侵害で中国企業を提訴したら逆に賠償金を科される…パクリ国家は無敵
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みずほ銀行
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みずほFG
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前スレ
【8411】みずほFG 1096 [無断転載禁止]©2ch.net
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■三井住友フィナンシャルグループ
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【8411】みずほFG 1097 [無断転載禁止]©2ch.net
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【8306】三菱UFJ part421 [無断転載禁止]©2ch.net
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【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ138 【ノンノン】
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【月曜日】岩本・仲田
【火曜日】櫻井・藤波
【水曜日】鈴木一之・西谷
【木曜日】中嶋・小川
【金曜日】中嶋・鈴木ともみ
― 後 場 ―
【月曜日】倉澤・藤波
【火曜日】福永・西谷
【水曜日】櫻井・小川
【木曜日】鈴木一之・小椿
【金曜日】松下・仲田 -
情報収集衛星使用の全国警察本部公安電波部の電磁波による性器拷問
全国女性被害者の告発(元たんぽぽの会)
昼、夜を問わず毎日、毎晩のように睡眠がとれないほどの長時間にわたる、
女性器、クリトリス、肛門、乳房、乳首などを主に女性の体全体を電磁波で
イヤラシクいじくり回し、イヤラシイ脳内音声送信を続ける警察電波部の
担当者3名は、3日に一度の24時間勤務で責任者は指導官である。警察電波部
による性犯罪、性器拷問は、女性の精神的弱点をつき、徹底的に恥ずかしくて
人に言えない程の、いやらしい事をやり、いやらしい脳内音声送信をしながら、
警察官勃起システムがマニュアルである。肛門、性器に電磁波棒を挿入し、振動、
上下左右のうねり、出し入れするピストン運動はレイプまがいの性犯罪であり、
いく寸前の寸止めによる繰り返しの性器拷問は、睡眠不可能となり、体調不良の
原因となる。性器拷問は、濡れ膨らんだ性器を、モニターに大きく写しての長時間
にわたる、ひだのめくり、いじくり、内部盗撮、内部刺激、膣の締め付けなどを強制
される。クリトリス拷問は、根本絞り出し、直立不動の限界勃起状態にした動けない
充血したクリトリスを、徹底的にいじめ、いじくり、はれ上がり痛くなるまでの強制
拷問によるオナニーの強制などの精神的屈辱、睡眠妨害は日常生活、仕事にも支障を
及ぼすのは当然である。電波部担当者も長時間の性器勃起は、さすがに辛く我慢汁の
垂れ流しで、パンツ、ズボンまで濡れるのを防ぐため、トイレでの精子排出による悪臭が、
警察本部の噂にまでなっているらしいが警察のやる事では無い。警察電波部担当警察官
による性器拷問や性犯罪は、責任者である指導官、警察本部本部長の責任であり、警察は
スケベだとの世間の女性の噂となっている。
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【8306】三菱UFJ part423 [無断転載禁止]©2ch.net
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【8411】みずほFG 1098 [無断転載禁止]©2ch.net
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【8316】三井住友FG 【黒田VS國部】 [無断転載禁止]©2ch.net
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【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ139 【ノンノン】 [無断転載禁止]©2ch.net
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東京マーケットワイド担当
― 前 場 ―
【月曜日】岩本・仲田
【火曜日】櫻井・藤波
【水曜日】鈴木一之・西谷
【木曜日】中嶋・小川
【金曜日】中嶋・鈴木ともみ
― 後 場 ―
【月曜日】倉澤・藤波
【火曜日】福永・西谷
【水曜日】櫻井・小川
【木曜日】鈴木一之・小椿
【金曜日】松下・仲田 -
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前スレ
【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ140 【ノンノン】 [無断転載禁止]©2ch.net
http://hayabusa8.2ch...emarket1/1476060822/
■ストックボイス公式サイト
http://www.stockvoice.jp/
■番組表
http://www.stockvoic.../live.php#media_body
■本日の放送予定
http://www.stockvoic.../modules/wordpress2/
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■エムキャスでの視聴(東京マーケットワイドのみ)
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【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ141 【ノンノン】 [無断転載禁止]©2ch.net
http://itest.2ch.net...vemarket1/1477267275 -
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ワッチョイ(強制コテハン)のスレッドの立て方
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のように記載してスレッドを立てると、そのスレッドは強制コテハンのスレッドになります。
この文字列は必ず行頭に記載してください。 -
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を入れてください。スレタイの「無断転載禁止」は基本的に自動で付くので「part XXX」まででOK
NECスレ -
262 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2016/11/13(日) 00:11:11.71 ID:hwsDBkME
ID:dy28DWgK NGID
263 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2016/11/13(日) 00:18:15.74 ID:WatbOwHl
>>261
荒らし君、頭悪いね
264 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2016/11/13(日) 00:34:26.83 ID:0kEnRVHY
http://hissi.org/rea...113/ZHkyOERXZ0s.html
265 名前:262、263、264[sage] 投稿日:2016/11/13(日) 00:41:26.86 ID:ayu2LMIN
荒らしを、やるときはスマホ3台必要だよ -
【記事捏造】「貧困」記事の捏造、ボツが怖くて 中日新聞の記者
http:// daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1478412228/
中日新聞が記事を削除 貧困巡る連載「想像で書いた」
http://hayabusa8.2ch...cgi/news/1476242576/
【子供の貧困はウソ】 中日新聞社捏造を認める 記述や写真はまったくのでたらめ
http://potato.2ch.ne.../dqnplus/1476262342/
中日新聞、捏造と認定 記者「貧困のエピソード足りず」
http://potato.2ch.ne.../dqnplus/1477822261/ -
■!extend:none:none:1000:512
前スレ
【StockVoiceMarket】ストックボイス実況スレ142 【ノンノン】 [無断転載禁止]©2ch.net
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【8316】三井住友FG 【11/14中間決算日】 [無断転載禁止]©2ch.net
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■三井住友フィナンシャルグループ
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■三井住友銀行
http://www.smbc.co.jp/
■ヤフーファイナンス
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■NIKKEI マーケット
http://company.nikke...ndex.aspx?scode=8316 -
NECスレ
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test
-
IDを表示し、IPアドレスを表示
!extend:checked:vvvv:1000:512 -
IDを表示し、IPアドレスと強制コテハンを表示
!extend:checked:vvvvvv:1000:512 -
・ID非表示
!extend:none::1000:512
・ID表示 強制コテハン無し (2ch標準設定)
!extend:on::1000:512
・ID表示 IP表示 (シベリア板化)
!extend:on:vvvv:1000:512
・ID表示 強制コテハン (地下板と同じ)
!extend:on:vvvvv:1000:512
・ID表示 強制コテハン IP表示
!extend:on:vvvvvv:1000:512 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
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JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。 -
JR北海道は、利用の少ない線区について状況を発表。100円の収益をあげるのに4000円以上を要するなど、厳
しい実態が明らかになりました。すでに一部区間が廃止に向け動き出している北海道の鉄路、それは“始まり”に過ぎないのかもしれません。
かつての「日本一の赤字線」より厳しい数字
2015年11月6日(金)、JR北海道は2014年度における「利用が少ない線区」の収支状況を発表。最も収支状況が悪い線区は、
100円の収益を得るのに費用を4161円も要していることが明らかになりました。
100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を「営業係数」といい、それが4161円、すなわち100円を得るのに
4161円も要していることが明らかになったのは、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmです。
輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)は、わずか39人/キロ/日。
500万円の収益を得るために2億1200万円も要しています。
かつて同じ北海道に、1974(昭和49)年度の営業係数が国鉄でワーストとなり、それを逆手にとって
地元自治体が「日本一の赤字線」と宣伝した美幸線(美深〜仁宇布)という路線がありました。
しかし、そのときの営業係数は3859円。現在の留萌本線・留萌〜増毛間のほうが、当時の「日本一の赤字線」より状況が悪いことになります。
この「日本一の赤字線」美幸線は、1985(昭和60)年に全線が廃止されています。
営業係数1000円超えが4線区もある北海道
JR北海道が今回、2014年度における「お客さまのご利用が少ない線区の収支状況」として挙げたのは留萌本線のほか、以下の線区です。
札沼線 北海道医療大学〜新十津川 47.6km 営業係数:1909円
根室本線 富良野〜新得 81.7km 営業係数:1430円
留萌本線 深川〜留萌 50.1km 営業係数:1316円
石勝線 新夕張〜夕張 16.1km 営業係数:1247円
根室本線 滝川〜富良野 54.6km 営業係数:827円
宗谷本線 名寄〜稚内 183.2km 営業係数:543円
釧網本線 東釧路〜網走 166.2km 営業係数:522円
根室本線 釧路〜根室 135.4km 営業係数:441円
また、2015年1月から災害によって一部区間で列車の運休、バス代行が行われている
日高本線(苫小牧〜様似)146.5kmについては、そうした状況から単純に他路線との比較はできませんが、1022円という営業係数が出されています。
http://trafficnews.j...kaido_02-600x473.jpg
JR北海道によると、その鉄道事業全体での営業キロは2499.8kmで、営業係数は154円とのこと。先出の数字と比べると小さく思えるかもしれませんが、
収支で見ると、JR北海道の鉄道事業は2014年度、756億6400万円の営業収益をあげるために
1171億3100万円の営業費用を要しており、414億6700万円もの赤字になっています。
JR北海道は2015年8月10日、営業係数が4161円とワーストである留萌本線の留萌〜増毛間について、2016年度中に廃止する計画を明らかにしました。
また同社は2015年9月30日、利用者が少ない列車と駅について運転の見直し、廃止を行う方針を発表しています。
そしてJR北海道の島田社長は今回2015年11月6日(金)、2015年度下期の決算に関する見通しについて、次のように話しています。
「鉄道運輸収入においてインバンドによる増収を見込むものの、営業費用において安全基盤強化のための工事などが下期に多く
竣工することから、修繕費や減価償却費が増加すること、および(2016年3月の)新幹線の開業に向けて本格化した訓練運転や
広告などの準備費用を見込むことから、営業損益は大きく悪化し、大幅な経常赤字となる厳しい見通しです
JR北海道は2015年度における事業運営の基本方針として、経営資源を「今後も増加が見込まれる札幌圏輸送」と「
北海道新幹線開業により収益の拡大が期待できる都市間輸送」へ重点的に投入するとともに、「使用頻度の低い設備の使用停止」
「ご利用が著しく少ない列車の見直し」を行い、“選択と集中”を進めるとしています。
こうしたなか、今回発表された線区ごとの厳しい収支状況と、同様に厳しい将来の見通し。すでに動き出している
“筆頭”留萌本線・留萌〜増毛間の廃止計画は、“始まり”に過ぎないのかもしれません。
留萌本線留萌〜増毛間、2016年度廃止へ 1列車あたり乗客3人 JR北海道
JR北海道は)、留萌本線の留萌〜増毛間16.7kmについて、2016年度中の廃止を留萌市長、増毛町長に
説明したと発表しました。
留萌本線は、函館本線と接続する深川駅と増毛駅を結ぶ66.8kmの路線で、その末端部分である留萌〜増毛間が廃止される形です。
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