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詩・ポエム
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千の世界
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sage進行。
評価・感想・雑談なし。
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洗えば洗うほど汚れていく手
右往左往する君がわからない
なぜ座ってくれないんだろう
この手で引く椅子はいつも空席
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水玉の傘さすてるてる坊主
もっと雨がふればいい
吊るされるなんてまっぴらだ
役立たずだから放り出しておくれ -
焼け残った細切れの記憶
必要なのは欠けた部分
それがないと止めを刺せない
だからこの世にのこのこ出てきた
ぼくは悪魔だということも忘れて
見つからないと思い込んで
ニンゲンだと思い込んで
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硝子のコップが割れた
わたしの近くで割れた
わたしじゃないけどわたしがやったんだって
みんながいうから
わたしじゃないけどわたしかもしれない
これでまるく収まって円罪成立 -
夏にうまれて秋に育った小さい虫のようだ
きみのはなしをきいてると細胞膜がしゃぼんになりそうだ
とても追いつけないんだよ
たぶん冬のあじさいのように割れるんだ
はじけた空間には動物や妖精が住めばいい
ぼくは引っ越したい
神様がビリヤードでいちばん遠くに飛ばしたほしに住みたいよ -
笑ふに堪へぬ身の始末
遊び頃なれさて如何
おほむね智慧は溶ける域
行く瀬萌え遣り酢を埋めよ
わらふにたへぬみのしまつあそひころなれさていかん
おほむねちゑはとけるゐきゆくせもえやりすをうめよ
いろはの要領で書けば自由律でしかも定型といふ
摩訶不思議な領域がありおます ご参考 -
屋根裏に控える野生の兵隊
守るものはパンドラの空き箱
月がみずうみに溶けはじめたら僕らはもれなく連れて行かれる
賄賂を用意しておけ
それが生贄のはじまり
月が溶け始めたらふたがガタガタ踊りだす -
主権者の比重は明らかだ
修飾するほうかされるほうか
微小な希望は舞い上がる火の粉であり
熱くもなく灰も残さず瞳を焦がす
ありもしないこんなもので生きられるというなら
にんげんは相当しぶといいきもの -
貯金箱に一円を入れたらだらりとアルミニウムの底になった
効率よく核融合していれば無機質に輝けるものを
四苦八苦試行錯誤 おちるかおちないかどちらでもよくなった頃
おちた隕石のかけらの響き
有機的に満ちていく淡い輝き -
水溜りには青い空と雲と戦闘機
銃口を向ける友達
もう静かにしてほしい
しばらくひとりにしてほしい
だから銃口を向けてくれる友達
水溜りには赤い空と雲と
あとなんだっけ・・ -
むねのなか
はらはら うすくあわく
輝き
瞬き
のみこんだ愛
-
右手に家路 左手に事故現場
雨が降るっていうのに左折する馬鹿 わたし
しんだっていうのに写メ撮ってる馬鹿 わたしじゃない
といいたいが こいつと同類じゃねえか わたし
この辺に溜まったものは下から網が持ち上がって十把一絡
2mぐらいの高さにブラブラ 写メ撮られるんだ
事故現場に吸い寄せられて見たものは胸糞悪い本性だった -
いちばんでかい画用紙を買ってきて
ど真ん中に小さくきみの名前を書いた
世界は今こんな感じ
僕の中はこんな感じ -
積み木を積んでたら崩れた
何度積んでも崩れる
そのたびにコロコロ出てくるいびつな1個
やれやれまたおまえか
もう家族はいらなかったのに
でも残るべきなのはおれじゃなくおまえだから
同居人という無責任の土台だけ提供する -
桃の花を粉にして紅茶に浮かべましょう
苦味と香りはありしひの姿そのまま
余計なことせず朽ちていくのを見届ければよかったのか
そういえるのは今だからで この手は結局きみをもいでしまっただろう
でもあとからきいたんだ
そうさせたのはきみだって
-
逆算していけば手に入れられるもの
プラスすれば消えていくもの
削除すれば焼きつくもの
いつだって物語はなぞなぞ
前を見れば背中に背負うもの
振り返ればはじめてみるもの
いつだってBGMはまだここにこない風の音 -
地球うまれ地球そだち
君うまれ君そだち
生きる練習はほどほどに
もう足元に水が満ちてる
宇宙うまれ宇宙そだち
正真正銘の理がそこにある -
いくらお酒を飲んでも記憶は消毒できない
20歳未満はお断り 20歳以上もお断り
帰巣本能を押し殺して 向かい風をみつめる負け犬
首に絡みつくアクセサリーはしがらみだとひきちぎる
散乱するパールは海に還して野良犬志願
-
石膏のなかで目覚める気ですか
2000年が一瞬で蒸発する
氷の中で祈り続ける気ですか
10000年と0年がリンクする
卵の殻を蹴り破る気ですか
永遠の1日を愛するために -
これは事件そして日常
禁じたため息に口を押さえる
これは日常そして災難
おちる焦がれるそんなんじゃない
これは悪夢これは幻想
言い聞かせたって聞かない思い
そんなんじゃないそんなんじゃない -
イルカが地上に上がっていればこの星はもっと青かったでしょうね
書置き残して戦地に赴く
あて先不明 差出人不明 花の切手をありったけ貼って
-
☆ラブ フォーエバー 大切なモコに届け*
限りなく続く 地獄の苦しみに一人 もがき苦しむ熟女モコ*
ウンコがあれ なんでも食える!(*)((ο))(*)((ξ))
ウンコがあれ ご飯は 何杯でも食える!(*)((Φ))
モコが歩けばウンコを落とす!(*)((ξ))(*)((Θ))
地獄の苦しみに一人もだえる熟女モコ!(*)((◎))
吸血的荒らし一族が 壁穴からモコを覗く!(*)((σ))
「だから、改名しろ!」って言ってたんだヨ*
「山本小鉄」じゃ 姓名判断で 悪い結果が出てるじゃないか!☆
だから あれほど「『山モコ小鉄』に改名しろ!」って言ってたんだヨ*
☆『宇宙戦艦ヤマト』も『宇宙戦艦ヤマモコ』にすれば 必ずヒットする!☆
今からでも 遅くはない!* ポスターも すべて 刷り変えろ!☆
今なら まだ 間に合う!* (*)((ξ))
モコが会員のころの最寄の勤務地は、足立区、葛飾区、江戸川区だった*
モコはあまりにも遅刻、欠勤が多いので、
周囲が「会館のあるの地域に住むべきだ」と言った☆
するとモコのやつが何と言ったか… (*)((ξ))
「そんな下町なんかに住めるか! モコは六本木を動かないぞ!」*
と怒鳴りつけたというんだ(*)((υ))
何様のつもりよ! (*)((ξ)) (*)((ο))
その下町の会員の激務のお陰で、出世できたんじゃないの!*
そんな下劣、卑劣なやつだから「学歴詐称」なんか、平気でできるんだ☆
悪党は必ず化けの皮が剥がれる (*)((ξ))
いくら悪事をひた隠しにしても、いつかは必ず表に出るものだ *
"欺瞞は、いつまでも続かない。ウソが逆効果になるような時が必ずくる"
ドイツの女性哲学者ハンナ アーレントが喝破した通りだ☆
ランス の詩人 演劇家 アントナン アルトーも みごとに喝破している!*
アイルトン セナだって もののみごとに喝破しているじゃないかッ!☆ -
なんだそれは?
土下座のつもりか? -
いい加減死んでくれよ
-
モコは 暴走族の巣に行ったの(*)((δ))
そこでモコは暴走族20人に囲まれたの(*)((Φ))
男たちに囲まれただけで モコのオマ●コからは(*)((ο))
粘度の濃い淫汁が あふれ出してきたの(*)((φ))
その淫汁の匂いを嗅いで興奮した男たちが(*)((ξ))
チ●ポを立てて 一斉にモコに襲いかかってきたの(*)((δ))
乱交パーティーは10時間も続いたの(*)((Φ))
暴走族はみんな疲れ果ててしまったの(*)((ο))
でも モコだけは 時間が経つにつれて 激しく燃えてきたの(*)((φ))
乱交パーティーが終わっても モコはオナニーをしていたのヨ(*)((ξ))
昨日の『さんまのからくりTV』にジャガー横田が出ていた(*)((ξ))
ジャガー横田はTBSのアナウンサーに向かって(*)((δ))
「私はどうせ中卒だよ! お前はどこの大学を出たんだ?」 (*)((Φ))
TBSのアナウンサー「横浜国立大学です」 (*)((ο))
ジャガー「私は中卒だけど 女子プロレスのチャンピオンになったんだヨ!
横浜国立大学に入る人の数と 女子プロレスのチャンピオンになる人の数!
どっちが少ないと思ってんだヨ!?」(*) (*)((ο))
アナ「女子プロレスのチャンピオンを目指す人は いないのでは?」((φ))
怒ったジャガーは TBSのアナを壁にぶつけようとするが (*)((δ))
うまく ぶつけられない(*)((ο)) (*)((ξ))
ジャガー「お前は リアクションが悪いんだヨ! (*)((φ))
自分から ぶつかっていかなきゃダメなんだヨ!」 (*)((δ))
モコは中卒だけどキチガイオナニーチャンピオンになったのヨ!(*)
でも、キチガイオナニーチャンピオンを目指す人は 一人もいないのヨ*
モコ、くやしいの…((φ)) モコ、泣いていたのヨ(*)((ξ))
テカテカと妖しく光るオマ●コを 男たちに チラチラ見せるモコ…*
モコ くやしい・・くやし過ぎるヨ!!(*)((δ))
ところで話は変わるが、最近、めっきり影が薄くなったアンチモコ一派(笑い)*
構成員の不満が爆発寸前のようだな(*)((δ))
先日のアンチモコ一派全国大会では、(*)((φ))
モコが推し進めているモコスレ乱立計画についても、苦情が続出* -
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,.ィ ""; : ; : ; ゙゙゙゙ ‐ ,,
,.''' ‐- ; : ; : ; : ; : ; : ;.ヽ,
/; `´ '''' ‐-; : ;.ヽ,
i:;i `i ; : .i
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彡' """"''' '''"""゙゙ ヽ;.;.j
. (ヽi -=・ニ= =ニ・=- !ィ)
} ;| `'‐‐'´ノ `'‐‐'´ !;.{
ヽ| /( 。 。)ヽ 丿|.ノ
{. ト--=--イ }
ヽ. ヽ. ⌒⌒ ノ / これからじゃよ
ヽ. ヽ、`==´ / /
. ヽ ` ‐--‐ ´ /
` ‐----‐ ´ -
気持ちジャパニーズ
喉仏はアメリカン
足取りは軽やかに火星派である
生まれは「アフリカの八戸」って呼ばれる
ザンビアのカスパルチョーネ村なんだけど、
柳腰だしね。 -
fbds
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モコは 後ろからマ●コを突かれながら クリをこすられると もうダメ!*
超熟 熟女たちはウンコをする瞬間、ケツの穴が45mmまで開く!☆
でも モコは30mmが限界! *
モコはまだ小さなチ●ポをケツの穴に入れてこう言った…☆
「中で もう少し大きくなろうネ」と…*
ストロングマンは ステロイドマン☆
バイソンスミスは パイパンスミス*
ムバラク大統領の顔は シバラク見たくない*
モコといえば「酒乱」で有名だった☆ 関西では、もう有名だ*
クラブに入り浸っていた朝吹は、酔っぱらうと
手当たり次第、周りの人間に抱きついてキスをしようとするんだ☆
相手が男だろうが女だろうが関係ないんだ*
モコ一派ではトニーコーポ出身の構成員は出世ができない☆
だからいちぢくたちは、他の構成員よりもモコに媚びを売り
貢ぎ、トニーコーポ中傷に精を出してきた*
あいつは「トニーコーポ出身だから一派内の目が厳しい」
なんて泣き言を並べながら、悪口を言っていたんだ。
どれほど、悪辣な畜生社員か! *
ともかく関西の同志は、恩知らずの悪辣社員・いちぢくだけは
絶対に許さない☆ 永久に悪名を残す*
あいつの極悪ぶりが厳しく糾弾されるのは、まだまだ、これからだ! ☆
バカバカしい(笑い)*
あるのは「〜らしい」「〜だそうだ」とか何とかの「憶測」だけ☆
「14億円」云々の話の出どころも
「ある経済ジャーナリストの推測」とあるだけ☆ 「推測」だよ*
はじめからウソを認めているようなものだ(笑い)☆
こういうのを「ゲスの勘繰り」っていうんだよ(爆笑)* -
にんにんにん♪ 関係ないから〜♪ 関係ないから〜♪*
ゲイリームーアに あやまんなさい!* 右チンポ ハイ 左マンコ!*
はい! 腰もって ケツもって〜!☆ はるなア〜イ!*
ブルーマンテン まんてんマンコモコ☆
ブルマーはいたマンテンまんこモコ* ブルマン!* ブルマン!*
シュシュポッポ♪☆ シュシュポッポ♪☆ ハイ! ゲリーライス! おかわりッ!☆
ドドスコスコスコ♪* ドドスコスコスコ♪*
グレコローマンマンコモコ! ハイ!☆
なんと シンガポールでエリック・ クラプトンの公演を観覧していたのだ!*
贅沢きわまる豪遊ぶりだ! *
エリック・ クラプトンなど、アメリカの文化は 腐敗している!☆
ジョンチョルは 堕落している! * 思想汚染されている! ☆
それに比べて 糢糊正糞(モコ・ジョンクソ)は まことにスバらしい! *
モコ・ジョンイルは アメリカ帝国主義の犬 モコ・ジョンチョルを許さないであろう!☆
今に 容赦のない鉄槌が 下るであろう!* 下せ! 正義の鉄拳制裁!☆
モコは 行動の人だ! 大事なのは なんといっても行動だ!*
何だと! 構成員は「モコの奴隷」とでも思っているのか、こいつは☆
そんな言い分が、まかり通るのはモコ一派の鬼畜の世界だけだ*
結局、1審に続いて、高松高裁でも平成22年11月、モコ側が敗訴☆
モコに「未払い賃金」の支払いを命令する判決が確定した*
当然だ。 構成員の良心に付け込み、悪用し、不当な労働を強いる☆
「反社会的」「人権無視」も甚だしい*
こんなクソコテが、モコ一派じゃ、指導者だ☆ 少しは恥を知れ!☆
モコ一派が全国各地で総崩れし、
社会から、どんどん見捨てられるのも当然じゃないか!*
モコがついに不祥事を起こしやがった!☆
モコこの大事な時期になんてことしてくれたんだ*
最悪の場合10年間の我々の努力が全て無駄になってしまうぞ☆
いや今回はそれどころじゃないぞ!*
下手したら全て消去される可能性だってある☆
即刻モコを破門すべきだ!* -
矢野と竹入と女子プロレスラーの工藤めぐみ=くどめって くどいよネ!☆
モコは女学生時代 寮で女同士の悦びを知ってしまったの*
モコは 厳格なクリスチャンの父に性の悦びを抑圧されていたのヨ☆
モコは過去に『女を寝かさずに100時間イカせ続ける!』
というタイトルのAVにも出ていました☆
その中で モコは ショーベンばかり していたの!*
ほんとうに ものすごい量のショーベンだった!☆
その間、食べてたものは 汁男優のサーメンだけだったのヨ*
モコは中出しSEXをして とうとう妊娠しました☆
誰の子か分からなかったけど…モコはその子を育てる決意をしたの*
でも その子は重い心臓病で しかも 脳に障害のある子だったの☆
モコは その子と一緒に 心中未遂をしました*
でも 死ぬ寸前で 大麻インストラクターの男性に救われたのです☆
モコは その方に こう言われたの☆
「命を大切にしましょう。
モコちゃんは つらいことを 捨てたいのかもしれない。
でも 命を落としてしまったら、
楽しかった思い出も 同時に捨ててしまうことになるんだよ」と*
それから モコは その大麻インストラクターの男と交際したのです☆
モコは その方と結婚して 次女のジュンが 生まれました☆
だけど、幸せだったはずのモコの右膝に悪性腫瘍が発見されたのです!*
モコは悩み抜いた末に 右足の切断を決意しました☆
のちに肺に悪性腫瘍が転移したことにより モコは若くしてこの世を去りました*
チ●ポなんてもんは 40才を越えると ダメになるヨ☆
SEXは体力とコミュニケーション能力だ!*
男は40才を越えると 脳が退化して コミュニケーションが一方的になる☆
女は 逆に40才を越えると SEXに対して 貪欲になる*
若いころ、 SEXの時に 目をつぶり マグロだった女も
40才を越えると パートナーの男性から目をそらさず、
SEXで相手とコミュニケーションをとろうと必死になるものだ☆ -
情報交換しようゼ☆ もうハンパじゃ終われない!*
モコは大自然の命と男のチ●ポとをいただいて生きております!*
モコは ケツ穴にロケット花火を撃ち込まれて
一生 ウンコができない肛門になりました!*
モコは ケツ穴に栓をされて、口からウンコが出るような体になりました!*
それでも、ネバーギブアップ!!☆ ドン荒川よ! ドン! ギブアップ!!☆
飛び出すウンコ!☆ 『3Dウンコ』は 必見!*
プロデューサーは あの ロジャーコーモンだ!☆
肛門が大きく開いていく! どでかいウンコが目の前に迫ってくる!*
「行ってきまスカトロ〜♪ ただいマンコウ〜♪
ごちそうさマンコ〜♪ うんこくサイ〜♪
ステキな言葉で 〜♪ モコと愉快な仲間が〜♪ モコココぉ〜〜♪」☆
世の中、不公平ですね* 46才 無職 淫乱処女のモコが…*
「男に 恥ずかしい写真を撮られました!」(*)((δ))
「裸にされて マンコの写真を撮られました!」 (*)((σ))
「チンポをくわえている写真も撮られました!」 *
「デカチンをケツ穴に入れられました!」(*)((ξ))
「お尻の穴に巨大チンポを入れられている写真を撮られました!」
と 泣いて 主張したとしても 誰も信じてくれないんですよね…*
くやしいです! 今の世の中は 本当に不公平です(*)((Φ))
でも、逃げちゃダメだぁ(*)モコのエロを堪能してください!*
モコはフレッシュな水着写真を青少年に見せたいのです!*
健康的なお色気ならば 別に 許してもらえますよネ!☆
水着でグラビア撮影してたら オナラがしたくなってきたんです*
でも ガマンしました*(*)グラビア撮影が終わった後で
モコは「ブギュゥゥルルルウウゥゥゥゥ〜〜!」とオナラが出たんです*
すると 帰ったはずのスタッフたちが 戻ってきたんです☆
みんな モコのオナラの匂いを嗅いでたんです (*)((φ))
モコがオナラをすると 男たちが近寄ってくるんです((ο)) -
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sine↑
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tin
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po
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見た目通り其処には穴が開いているようで
不透明な膜から少しはみ出した宇宙が風にたなびき
そんな一端の一端程度のささくれ如きに
私の心はどうしようもなく安定を欠いている
水筒から零した湧き水の冷たさに似た予期せぬ刺し傷に
その向こう側に何処かで失くした野球帽が覗き込む
この扉は目覚まし時計が管理しているはずなのに
直ぐ其処の曲がり角を我が子が先に曲がってゆく
クラクションに似た耳鳴りのような幻聴に思わず手が伸び
十字路を脇目も振らずただまっすぐに
ただまっすぐに
はがされたシールの糊が汚らしく
時間に汚染された地区を区別している
引っかいたときに剥がれた爪と
血の滴る指先はある程度すっきりした顔をしている
杯を空けよ
夜を明けよ
窓を開けよ
夢は飽いた
震える指先で爪弾く弓鳴に鵺は逃げてゆく -
秋
指のまたの間から潜り抜けた時間の軽やかな足取り
その足音に木の葉が笑い森がどこまでも燃え広がり
ビンの蓋を閉め損ねてブルーベリージャムを払った
僕が今日見た映画は明日にはまた新作として公開され
ならポケットも膨らむだろうと探る掌には落ち損ねた染み
スピーカーに叫び宇宙に始まりを告げよう
零した牛乳を拭いた布をビンに詰めて警官隊に投げつけ
切った爪を後ろ手に路地にばら撒いてお風呂上りにチックと刺して
開け放つ玄関の外は白く白く粉を吹いてさらりさらりと撫でられた
コーヒーの入れ方にいちゃもんをつけて回ってみては
ティッシュをフィルター代わりにざんぶりと注いでは振舞って
夜はこうでなくちゃって中々弾けない泡を水面に映した -
迷子
夢から零れてさび付いたベッドの端に腰を下ろし
昨日読みかけたままの本の間に拉げた眼球を拾う
光なんて感知できる程高性能な目は質屋に出したままで
此処に有るのはガラス製ですらないしわくちゃな胡桃
ざらついた表面に油性マジックで瞳を書いただけの
手の中で転がすと心地の良い大きさの一対の胡桃の実
ただの取っ手に成り下がったドアノブを引き
外れたドアを適当に立て掛けてどうしようかと煙草を取り出し
ライターを点すと火災探知機がここぞと喚き雨を降らせた
外に出るための扉はまた一枚増やされたらしい
土砂降りの中で傘を差し新しい煙草を取り出し思案に暮れる
いっそ手足を縛り付けて麻酔を滴下し続けてくれたならば
この接触不良で消しても立ち上がる体を休ませてやれるのに
なんて願うしがないキッチンドランカーに席を勧めてご相伴に預かり
その充血した黄ばみつつある眼球に映る私の顔を見ては
眼科に合わずカタカタしている胡桃を失くしては居ないかと確認している
もうこれまでよ、と
飛ぶ鳥の残した羽で翼を編んでみた
切り落とした両腕を質に入れて
変わりに買い込んだ発動機にその翼を組み込んでから
リコイルスターターを引けないことに気がついた -
夜の窓
靴底の取りきれず事ある毎にジクジクと引っ掛かるガムとか
カーソルの残像や視界の端でしか見えない儚い星とか
霙交じりの曇り空にほんの少し混ぜた黄色い絵の具みたいな陽光とか
イヤフォンの端子をグリッとした時に混じる苦しげなうめきとか
ナンバープレートの無い違法駐車のフロントガラスのワイパー跡とか
街路脇で誰かに遊ばれたままにとっ散らかる乾いた落ち葉とか
繋ぎ合わせたまま使われもせず棚の端に錆びかける安全ピンとか
本に挟まれていない所ばかりが淡く滲んでいる栞とか
路上で振り返ったときに見えた曲がり角へ消える尻尾とか
CDとDVDとBLディスクのそれぞれの裏面の発色の違いとか
昔使ったバッグから出てきた使い掛けの手帳に挟まる押し花とか
中に何が入っているか検討も付かないフラッシュメモリとか
高速道路から見える回らない観覧車の影とか
道路脇で擦り切れて判読できない石碑とか
ダウンジャケットの縫い目から零された鳥の羽とか
ずっと何も掛けられていない間の悪いS字フックとか
もう既に手元から無くなったCDを捜す迷子の帯とか
平日と休日と言う二つしかなくなった今日の日付とか
まだ見てないレンタルDVDとか
窓越しに眺め見ながら悴む手をこする -
膨大
いっそ水に流してしまうか
それとも後生大事に油紙にでも包もうか
物憂げに指先で突いた今を
最高級のカメラを使って余す事無く
爆弾処理班よりも緊張した面持ちで
電子天秤で1/10000gを精怦するかの手つきで
穴を掘りては塔を築き上げるかの如く
恥じらいも無く露わに削りだし
フォトギャラリーが私を形作る
いっそ動画として残しておいてくれるのなら
夜にふと気になる戸棚や押入れの隙間にさえ
怯え震えて蹲ることも減るだろうにと
路上を規定する四面四角のビル群の影から
そっと目を逸らして
ポケットに詰めた手の先で今を撫でる
ゴミ箱も市場も
やらしさも汚らしさも酸いも甘いも
選べる選択も携帯端末の機能も
金融商品のオプションも風の噂も
今で一杯になっていて公然一体
昨日の夢すらまな板に載せられて
明日も私は眠った気がしなくて
ブラクラみたいな膨大な写真の前に座って
ベストショットを探してしまう
空の球体が太陽なのか月なのかも忘れて
この話題の落とし所を見逃しながら
最後は一枚の写真すら選べずに
ただ今と一言 -
船乗り
杯に継ぎ足したため息で酒は白く濁り
旬を過ぎた夏野菜が白々しく艶やかだ
細々とした彫の入る純銀製のマドラーが
もう随分と締め切られた部屋をかき混ぜる
こんなにもここは住み心地が良いのに
グラスの中で回る氷の音が響かない
まるで海底から浮き上がれない潜水艦だ
水槽をアクリル樹脂で満たしたかのようだ
そんな隅っこの吹き溜まりで小さな焚き火に座り
減らない猪口を舐めるふりをして宵をやり過ごし
火の粉舞い夜が渦を巻き宴も酣と相成りった時
徐に手の中のコップの冷や水を浴びせかける
丸い嵌め殺しの窓の外は回遊魚が忙しなく
机上のジョッキの中を掻き混ぜて不味くしてる
そろそろここもお開きかとボトルシップが問い掛ける
バーテンダーは黙って酒の海に船を浮かべる
船窓からみる空には星も無く常闇が蟠り
寄る辺の無さについたため息が
また少し当たりを白く濁らせた -
てすと
-
てすと2
-
やっと鳥思い出した
-
お疲れまた明日
椅子の上で背筋を伸ばす格好をした金型から生まれ
人気の無い電車の中ですら腰を下ろせない我が身に
縮こまるストローの外装を和らげる垂らす一滴の様な
小春日和の鄙びた公園を照らす木漏れ日と良く似た
刈り取る稲から零れた一粒の恵みを分けては頂けないだろうか
代わり映えもしない独り善がりで無責任な衝動は
夜が長引くほど朗々と囀り雀すら耳を塞ぎ
酒に呑まれ虎になったつもりで登る高みに揺れる笑みは
空回る足元で踏まれる影が私だと言うことを知っている
差し挟んだ栞の示すページの一行目が見つからず
入力したパスワードが間違いだったのかとメモを眺める
長すぎるプロローグには更なるプロローグが必要で
私は息を吸う段階になってから人間の説明書を探した
コレも違うココも間違えたアレは何処だったか
手繰り寄せるゲノムの先が見通せず
殴られた鼻っ柱の捩れから零れる血液はどす黒い
一旦伝下を切手から再起動した方が良いって騒ぐが
やりかけのタスクばかりが煌々とネオン街に影を落とし
重たい頭が未練がましく切って張って夢を紡いだ
もうこれまでよって
週末の職場から逃げ出して
巣の張った口腔から吐く息は一足先に
行き先も定まらないまままた旅人となった -
縁側に腰を下ろして風景を眺める
何故、何処から変わってしまったのだろう
私の人生を振り返る。 -
見えてくるのはこの現実ばかり
余りの空虚さに、そこに自分を落とし込む
寂しさの中に、酔いまどろむ。 -
注意
生き延びる事にすら気を回せずグルグルと
ラーメン上の安っぽい鳴門を眺めながら
とある秋の日に捕まえた赤とんぼもこうして
目まぐるしく通り過ぎる太陽を見失っていた
色んな平面が空からの啓示をガナリ立てて
掲示板を紛争地帯に見立てて焼き払った
もうここには居られないのかも知れないと
手元の光る文字には振り込み詐欺の警告文
朝方の空気の白濁の中を走る労働者と
遥かに微かに見える市場は真直ぐ歩けていない
乾かした仕切りは無邪気に外患と戯れて
黄昏時を待たず空を煤で濁らせている
眼球を取り出して水に浸け込み布で磨けば
この頭に生まれる今日も少しは昨日よりマシだったか
読みかけたの本ばかりで構成される本棚を
さっと燃やして庭の木の根にでも撒いて忘れてしまえ
寒くて震えた晴れ間が少し凶暴で
机に突っ伏した顔に付く目すらゴミの日を待ち
首を竦める危険予知能力を過信するアンドロイドは
右耳後ろのスイッチを押して夢を見る -
雨色
いつものように雨は細々と刺さり
バケツを小太鼓代わりに奏でる
波打つトタン屋根も焼け爛れて
其処だけいつだって夕焼色だ
コレで何日跨いで降る雨だろうか
さめざめと紙縒りを解れさせて
道端の捨殻から毒が漏れるように
山からも町からも命が流されていく
今日は読書の日だろうに
太陽すら遠くの海に漂流していて
ページが湿気で張り付いて捲れない
裏表紙の裏側だけがかろうじで開け
掠れたFinの文字から想像を膨らます
唯一つの石から古代文明を生み出すように
その羽ばたきは雨の中を悠々と越えて
土砂崩れに飲まれる日々を見ることは無い
トトン。とまた舞台を戻す雨音が割れて
薄らぼんやりとカーテンの隙間に目をやった
天国からの使者はまだ遣ってきては無く
天国へ登る死者もまた遣って行っては無い
振り下ろした鈍器の底みたいな雨空は
相も変わらずトタン屋根を夜に塗り替えようと叩いている -
手つき
また今日も日が落ちた
ころころとあぜ道を転がり
落ち葉にその色を移した
夕べ作り置きした味噌汁に
軽く火を入れ食卓へ運ぶ
明かりを点さない居間に
立ち上がる湯気のみが燻る
芋版で叩かれた画用紙みたいに
不器用を重ねて過ごす
選別するほど価値も無く
破り捨てるほど甲斐も無く
日捲りカレンダーのように
柱を走る鉋から零れる薄片のように
昼夜季節を問わずに積もってゆく
玉葱の皮は何処まで剥けば良い?
涙を留める当ても無く
砂時計の砂を継ぎ足す
水平線を滑る帆が海と空を縫い
零れた太陽は相変わらず高所が好きで
季節外れの海水浴場に聞こえる耳鳴りが
零れ落ちる空を一滴でも留めようとする
雲の声だとつい先ほど気が付いた -
モフ子の自由
お庭の花は四季折々に咲いている
花壇の世話を婆さんがやっているから
彼は花に気をつけながら
お庭をバフバフ毛をふるわせながら歩き回る
ここが彼のエリアだ
ガレージが開くまでは
脱出はできない
どのみち爺さんに連れ出してもらわないと
さんぽにだってゆけないのだ
自由なようで、案外自由でない
それがモフ子のステイタス -
見通し
見えざる神の手が賽を振り
出た目の数を数えている内に夜になった
真っ暗闇にポツポツと浮かぶ明りの下に
それぞれの暇の潰し方が散らかっていて
小さな円の中で皆思い思いに揺れている
一陣の風に襟を立てて
震える電線の鍔迫り音に首を竦めた
荒ぶる一本一本の先に吊るされる人々が
気が付くと緑色の数字だけを遺していなくなり
自由に出来る地面に石が突き立つたびに
川に流れる灯篭の群れが亡羊と佇んでいた
手記に記した日記の行間から芽を吹き
明日の空を覆いつくす植物の名は何だろうか
昼と夜の間を炎が遮って二元論を嫌いになれず
夢を夜にしか見られなくなった不器用を嗤う
まだ電車の扉は閉まらず空風が舞う
誰もが乗降ボタンに手を伸ばす事無く
それぞれの手元に目を置き震えるに任せている
暇を持て余す車掌は三度目の切符確認をして回り
渡す側も受け取る側も手馴れた手つきで繋がり
カードに記載された行き先に頓着する事無く
少しずつ花へ花粉を運ぶかのように
私に電車に乗せられている事を突きつけようとする
先ほどから全身くまなく探しているのに
煙の様に切符が霧消し見つけられていないこの私に
切符の行き先を気にしたからだろうか
車窓から見る景色はただ黄色く染まる室内を移していた -
永夜
さて、夜も深けて参りました
いや、世も老けて参りました
はらはらと髪が落ちぬけて
布団ばかりが愛おしくなる
そんな長年人々の手で磨いた
手すりを形作る真鍮色をした
一日の幕引きと相成りました
ドアの鍵はきちんと閉めましたか
カーテンの隙間は埋めましたか
枕は叩いて膨らましましたか
トイレにはしっかり行ってきましたか
コレより先は黄泉路に通じ
逝くは良い良い帰りは怖い
戻ってこれる保障も無くて
それでも膨らませた枕に頭を乗せると
成る程蓮の花の心地はこれぞと
現世の苦難も口から零れて
朝露の跡を頬に残すのでしょう
さて、夜も深けて参りました
風邪などお引きにならぬよう努々お気を付けください -
切り売り
疲れてるといえば疲れてて
目の奥の小人が眩しいと網膜を叩くから
埃立ちチラチラ視界にゴミが漂い
瞳を閉じても遠くの空に雷光が光る
もうずいぶんと交換してない型落ち品だから
なんて充血したまま軽口を叩いている
いっそ捨ててしまえれば楽なのだと
夜な夜なスプーンの先を見つめる
と思ったらしゃもじだった
やはり疲れているのだ
炊いたまま食べる事無く干からびる小櫃のゴハンに
インスタントの味噌汁を掛けて流し込み家を出る
踏み出す一歩目から転びそうで
杖を付く暇もなく
変わらない信号に感謝しながら寒空に佇む
日の半分は落し物箱に放り込まれ
週に五日の多すぎる回収日に何処かへ運ばれていく
残りの二日は実家に帰ったまま音信不通で
残り物が草臥れた肩を支えながら
私を布団まで引きずっていく
そして夢から零れた欠片がこうして明日の後悔を紡いでいる
皆が指差して注意を促している
それに耳を塞ぎ木の虚に飛び込んで
時計を持ったウサギは見つけれずに
ただ狂った時計が早すぎる目覚ましで殴りつけてくる
まだ布団に体を横たえてもないのに
一足早く眼球が気だるさを枕に瞼を掛けて
光を見ることを諦めてしまっている
私は立ち上がることも出来ず
ただここで明日を恐れている -
マジックミラー
飛ぶ鳥跡を濁さずとは言うけれども
一点の染みも無く空を映す水面は
それ以外を映す事を忘れてしまう
私が部屋の隅に溜め込んだ傷みの数を
塵取りに集めては捨て場所に困る
結局また違う棚の後ろへ押し固めて
朝の爽やかさを不当に享受せしめる
胃のもたれは濃すぎる珈琲のせいじゃなく
夜を食んでは我が身を可愛がり過ぎるから
お一人がお上手で御座いますねと
丁寧語に丁寧語を重ねる過剰装飾と
鏡に映ることすら厭うだらしないこの四股は
臆病を包み隠してくれながらも嘲り哂い
外にも内にも何も置いて置けなくなった部屋の
端に隠した罪が居心地の悪い夢の芽を出す
結局清算せずにはこの店からは出られず
辺りに散乱する空の容器の中身は腹の中で
支払う術の書いてある書物を立ち読みで探している
店員の目がこちらをちらりと見た気がする
私は空が落ちてくるのを待ち続けている -
test
-
明日
怖いことは多いけれども
やらなければならないことはそれより多く
地雷原を歩く事を厭わず
いや、厭わせずに空を見て
夜が来るか死が来るかとぼんやり考え
糊の効かないワイシャツに腕を通す
この改札を後何回潜るんだろう
この階段で後何段登るんだろう
地下鉄の窓は車内だけを暗く映して
笑っている人の数を数える
周りの迷惑にならない音量
周りの迷惑にならない立ち居地
取るに足らない気配り
見上げると垂れ下がる広告に書かれた悪口
夜はまだなのだろうかとネクタイを緩める
ずるりずるりと這い寄る
禁断症状と睡眠に対する恐怖
長夜も一息で飛び越える
暗闇に恐れ戦き震える両手で顔を覆う
開いたドアから押し出されて
トンネルへ消える車両の草臥れた後姿
カウントするのにも開いた階段を上ると
夜までもがトンネルへ消えたかのような晴天
まだ今日は印刷されたばかりのように
乾ききらない朝露に落ち葉が絡みつかれて
埋葬先を見つけられていなく
焼却炉さえも燻るだけで
皺の寄ったスーツは寒いが
震える手は昨日顔を覆う事に使ってしまい
今日は自分一人暖めることすらままならない -
test
-
漠然
夢を見ているようで
目を抉り出されて
別々の方向の映像を処理して
部屋の角の埃は揺れて
畳の目数だけ畳み込まれる
爪先でそっと跡を残し
巧く切り離した黄金率
その長方形を文字で満たして
裏返して額縁に収める
瞼裏に揺れる四角形の輪郭
屋根瓦が震えている
強靭な土地に薄く亀裂が生じ
血も流さず区切っている
こっちとそっちとこっちを
貫いて縦に割る非合理的な
笑い声にクラクションを流し続ける
魔法瓶に夜霧を詰めて
太陽を知らない子を慰め
テレビ越しに乾杯の音頭をとろうと
泣き止んだときには寝静まっている
雨垂れに打たれて
チューブから隣人を適量出して
卵を割り損ねて混じる殻に
私たちは語る言葉を持たない
流れる肉体に手を引かれて
蜘蛛のいない巣の揺れを眺めて
終わらないラジオに手を掛けて
静止画のなかから零れる砂が
少しだけ路面の摩擦係数を高めた -
as
-
信号待ち
いつの通の道をいつも通りに曲がり
信号機の点滅を見ては歩速を落とす
十字に交わる川に流れる魚の群れが
町を縫いつけているのだろうかと
広げすぎた大風呂敷に足を竦める
変わったことに気付かなかった青信号が
カッチカッチと急かしているのを見て
乗り過ごせやしないかと首を竦めて辺りを窺い
電線の上の烏の目が笑ったのを見て諦めて
縦糸だけを踏むよう気を付けながら
何かを塞ぐジッパーみたいに進んでいく -
処世
煩わしさに任せてカーテンを閉め切って
どうすりゃ人に遭わずに済むかなんて
炭酸の抜けたコーラに復活の呪文を唱える
CDの帯なんて捨てちゃえばいいのにって
判ってんのにガムテでガッチガチにして
ケースが開かなくなって安心してる
包み紙の中の飴玉を瓶に落として
代わりのビー玉をデパートで買ってきて
口に入れても唾液が溢れるばかりで
この世界は詰まらないって垂れ流してる
迷路のゴールに自分で新たに通路を足して
出口の無い出来損ないに仕立て上げて
コントローラーを投げるタイミングを見計らう
本当は塀の向こう側なんてどうでもよくて
窓の外に空が見えない事だって判ってる
気の抜けたコーラだって口に含めば
案外優しい甘さを持っているはずなのに -
勘違い
破れそうな薄皮がもどかしく
脱ぎ捨ててから寒さに気付いた
吹き荒ぶ風が肌を撫でて
固まり切らない私を
無責任にこね回す
アイスなら冷気で容易に固まるのに
私には何かが足りていないらしく
心許無く拉げている
酸か塩基かラジカルか
熱か光か振動か
うろうろと所在無さ気に静かな所を
蜂や虻に苛まれない安全地帯を
求めながらも足跡が続かない
此処こそ私なのだと
伸ばし過ぎた根が駄々を捏ねる
芽すらまともに顔を出せていないのに
零れた声を態々拾い集めて
眼前の優しさに目を背けて
変わる勇気を枯らす代わりに
土の中で目を覚まさない
何と戦ってるんだか
花ばかり夢見て
鍵の無い扉に鍵を掛けようとするなよ
そう呟く私にはもう顔すら見当たらない -
流民
ゴミ箱の中に宿る朽ちていく温かさが
気が付かない内に
両足を腐らせていた
使い慣れない声帯か
流れの悪い動脈か
ジクジクと痛む喉を両の手で締め上げ
張り上げる声に忍ばせる物を忘れた
地下鉄に揺られ緩む靴紐がぷらぷらと
行き先も知らずに
両足を引きずっていた
磨き忘れた革靴か
歩き忘れた筋肉か
泣き声がレール上で火花に彩られ
縛られる事に飽いた靴は白線内
逃げ出したが此処も同じ夜空に覆われ
その下に倒れ付した人に目もくれない -
狐
人から気にされたいなら
されるだけの物を持てよ
横断歩道の真ん中に寝るくらいなら
ホームセンターで縄でも買えよ
足を筋肉痛にさえ出来ないくせに
富士山の写真を一丁前に批評か
人の目を気にしないことも
会話へ上手に混ざることも
当たり障り無く笑って誤魔化すことも
それとなく嫌な会話を逸らすことも
面白くも無い話を理解不足と反省することも
人の目を見ることも
人から見られることも
何にも出来なかったのは昔だけじゃ無いだろ
焦燥や危機感は鬱病からきている訳じゃ無い
それにいい加減気付けよ
無くたって生きていけんだ
苦しくたって悲しくたって死ねるわけじゃなく
死ななきゃいけないなんて誰が言った?
死に至る病なんて軽々しく言うなよ
今から走り出したところで
不条理を体感する以前に自然に死ぬさ
どうせ何処にも行けやしないし
そもそも人で溢れた町に駆け出す服が無い
太陽を求めることなんて高木に任せろ
苔だって生きてるんだ -
とある一室
疲れた人々の集まる部屋で
疲れた顔々を流し見る
壁に寄りかかり半眼を投げ打つ人の傍らで
寝不足の狂気に血走る目を見開き
意味を成さないうめきを洩らす人が暴れ
大多数は油粘土みたいな顔色で
部屋の中央のドラム缶に灯る火に目を細めている
薪も切れ家具を割りくべる事で細々と揺らめき
人とは対照に影は雄弁に壁の中はしゃぎ回る
それでも誰かが割ってしまった窓が風を拒まないため
こんなにも火を灯し続けているのに
こんなにも人が集まっているのに
風は端の人から順に吐息の色を奪っていく
人は後から後から増えているのに
誰一人隣を埋めず膝頭を抱えて
その身から立ち上る吐息に色が在る事を確認している
此処では誰しも脛や胸や腹の内に傷を負い
治療もせず逃げ続けた者ばかりが揃っていて
傷自慢すら疾うにやり尽し零れる血潮に勢いが無くなって
悟りに似た諦めに浸り目の前の炎の揺らぎの中に
一つ一つの過ちをくべるついでに笑い話の一つに変えて
互いを笑い許しあう事で旅の荷を軽くしている
皆がこの部屋を出るときは隅に凍っていた先人のように
第三者に掘り起こされ板戸に乗せられてだと解っている
窓の外は何処までも冷たく吹雪いているが
扉の向こうから風が裂いた夜の泣き声は聞こえない
けれども誰も立ち上がりはしない
ドアなんて無いかのように
語り終え色が抜け落ちた罪人の影法師が踊る部屋で
くべる物も無いままに灯る明かりをただ眺めている -
晩酌
ちょっとだけ高級なスコッチを片手に
届かない星を見て一息吐ける
ろくでもない日々をフィルターに通して
フライパンで軽く炒ってみれば
吐き出すに至らない程度の味わいだ
僕は馬鹿だから
踏まれた麦の芽を見て同情したり
年々内容量の減るポテトチップスに気付かなかったり
画鋲を踏んでから落としたことに気が付いたりして
そのくせ夜になると戸を叩く借金取りみたいな
もう遠い過去に置いてきた過ちから顔を背けて
ドアスコープを覗かずに耳を塞いでしまった
怒られているうちが花だよ、と
気味の悪い笑みを浮かべた人々の顔を
今更思い出そうとしても全部混ざって見知らぬ他人
あの頃は良かったと思える記憶は食べ尽くし
虫食いの基礎に立脚した未来は
光の差さない万華鏡のようだ
筒は回るし欠片はシャラリシャラリと騒ぎはするが
綺麗な模様を描きはしない
それでも少しだけ高いスコッチ片手に
葉を落とした木木が手を伸ばす空を見上げて
僕は馬鹿だから
焦げたさっきを喉に突っ返させながら
明日にほんの少しだけ期待してみたりしている -
↑ちょっと泣いた ありがとう
-
ありがとう
夜想
すとんと抜ける空の月の下
空っぽの胃の蠕動が余計に寒く
歩きなれた道から少し外れて
それだけなのにもう迷っている
車の轍は細く
人の足跡は見えず
二本の線が微かに遠くで交わる
ただそう見えるだけなのに
触れ合った記憶だけを書き留めて
束ねた紙片を
書庫に投げておけば詩集に見える
ここには前も来た
いつ出たのかは忘れた
迷子になる度に思い出すのはここだ
広くも無く蔵書も偏りがちで
端のストーブに火が灯っているのを見たことが無い
机の落書きは重なりすぎて見失い
椅子は脚が歪みガタガタと心許無い
手に取った本は殆ど虫に食われて
代わりに夜の度に降り注ぐ月光が染み付いて
化石の陳列棚は仄かに燐光を発する
その生き物から奪った熱で輝く宝石を
ただの排泄物だと指差されることを
私は恐れている -
低温注意報
玄関の隙間から傍若無人に
立て付けの悪い戸棚をカタカタと
ノック代わりに襟首を掴んで強請り立て
集まる視線一つ一つに冷気を伝え
テーブルの紅茶が青褪める
帝国軍人の様な統率力と
円周率の様な突拍子の無さで
熟練の農家も帽子を脱がざる得ない手際で
舐め取られたお皿の如くに一面凍り
空は確かに地に落ちて
翼無き私たちの足元は覚束ず
三人に一人はケツを冷やして腰痛もちで
五人に一人は帽子の代わりにタンコブを携え
七人に一人は意識不明で救急車を待っている
そして一人に一人は嵌め損ねた手袋を夢見ている -
夢
千切れ飛んだ四股を眺める夢を見た
脈々と続く影は血の色をして
見ようとした空は背中に張り付いたまま
私は来るべき人が来ないと途方に暮れていた
最初から最後まで痛みを覚えず
覚束ない首が何かとても懐かしさを匂わせ
頬に張り付く砂粒の凹凸を掃いもせず
小春日和の日向に身を投げ出したかのように
朝に燃える日の中なのか
夕に消える日の中なのか
兎にも角にも赤く
ただただに赤褐色をした気だるい空気に
私は熔けて逝ってしまいたかった
それでも待ち人はまだ見えず
目を閉じる許しも得られておらず
日常の中では忘れていた
明るい夜の中ばかりを泳いでいた私にも
影はまだ其処に蹲っているのだと
迷子はいつだって泣けるのに
影は私に何一つ語りかけることもせず
ただ私を見ていたのだろうか
今こうして地面の染みとなった私を見下ろすように
その目は語る言葉を見せることも無く
いつか転がしたビー玉に反射した光のように
ゆらゆらと覚束ないその内側だけが
私の心に先ほどから立ち上る
馴染み深い寂しさを鏡に写したみたいだった
私はもしかして迷子なのだろうか
待ち人は私を見つけ出してくれるのだろうか
私は?がれた手足を
しみこんでいく血液を
影と二人で眺めている
そんな夢を見た -
新生
油圧式ジャッキに載った太陽が
揮発させたアルコールが気炎を吐き
虹の間に線を引く審査官は
今日になっても紫色を探している
指先一つで世界を手にして
爆縮レンズはため息を吐いた
リモコンは役割を忘れた
野辺に展開する有象無象は
その小さな手に持つ一丁の短銃で
目の前のダムに立ち向かう
また街の明かりが消えて
虹の色を別けることも知らぬ
鳥は餌を探すこともそこそこに
落ち窪んで青ずんだ光素を泳いで
ただ一匹のまま
おっかなびっくり飛んでいく -
放物線
混ぜ込んでとろとろになった鍋の中から
ピンセットで摘んだ今日を解凍して
赤ペンを奮って添削してはファイルに閉じて
棚に戻したはずなのに鍋は相変らず
とろとろに透き通らず夢は支離滅裂だ
自作の先を細めたブラシで
点滅する接点をなぞって
積み重ねた本から咲いた草花を
切り取った写真が
磨いた接点に繋がれアップロードされる
日々の雲を拾い集めてしまった箱は
鉄が濁り雨の中で吐く息より軽々と空を越えて
東へ東へ転げていく小石が
やがて地滑りに変わる表面に沈んだ影を落とす
それらは言い訳もせずに同時に土を噛み
匂い立つ春を掠めて歩いていく -
森
踏みしめる土は柔らかく
踊りだす空が種を散らす
また誰かがぜんまいを巻く
針と針とが重なっては
無数の私が付けた足跡に
降り注ぐ種の一つの寝床となって
私の後ろに句読点の芽が開く
みっしりと積み重ねられた
血と肉も毒も薬も
此処では皆一様に養分となり
雲すら貫いた太陽パネルで
貯蓄される木漏れ日により発電し
電動式の蕾がそっと香りを零す
やがて春の雪が降り
夏は笑いながら空を繁らせ
秋に地面の嵩を増やして
冬の鉄塔は寒さに間引かれ
空の境が見え出す頃に
踏みしめる土は柔らかく
踊りだす空が種を散らして
湧き出した大地に落ちた足跡から
また一つ森が生まれる -
おぼろげ
海から出てきたばかりの頃は
まだこの目は朝に慣れず涙が止まらず
ヒレで掻いても掻いても
角ばる砂に鱗が剥れて血が滲んだ物だった
それでもいつしかエラは塞がり
鼻から空気を吸ってもむせ返らずに
私は立っていた
もう遠い昔の話だ
まどろみは深海に似て海面が見当たらず
鼻を塞いでエラだった所がヒクヒクしている
開かない瞼に朝が刺さって
鱗を剥された皮膚に時間が擦れてヒリヒリする
それでもいつかは夢も畳んで
広げた新聞紙を箸で掻き混ぜ咀嚼して
私は立っていた
もう遠い昔の話だ -
炭鉱夫
夢を枕で漉して
零れた水を拭いもせず
夢の地層をピッケルで掘り
一粒の砂金を
心の化石を
私は求め続ける
まつろわぬ土くれに
目も 肺も 心臓も
手も 膝も 唇も
毛も 歯も 爪も
投げる言葉を捜そうともしない
稲穂が揺れるふるさとも
転んで作ったかさぶたも
初めて飲んだコーヒーも
夕べ燃やしたケータイも
手に持つ刃物で割り歩く
もう朝が剥れて昼が零れて
夕が露出し夜が焦げ付き
それでも
まだ手の中に何も無い
有史以来使用された枕で出来た壁に
膝を笑わせながら
一個のスイッチのように
脊髄反射の要領で火花を散らす
寝ることに怯え
パンク寸前の風船をあやして
割れた爪でノートを黒くしながら
丸まったピッケルで
朝を求めて夜を掘る -
四月の空
四月の空の空みたいに君は良く泣くから
僕はその度に玩具で購入した19800円のガスガンを空に撃つんだ
見よう見まねで塗りたくったケーキのデコレーションみたいな化粧は
宇宙が陽気で解けてぬかるむ度に酸性雨に溶かされてしまって
コミュニケイトに大切な顔面にロールシャッハテストを貼り付けた君は
いつだって周りの人を不安定な気持ちに陥らせる
日々生きるだけの心が求めるのは朝餉のお茶漬けみたいな安心感で
決してそんなシュルレアリズムに満ち満ちたパワーショベルじゃ無い
それなのに君ときたら咲き誇る桜などには目もくれず
その地下茎に絡まるであろう将来の自分を見つめている
それをそんなにじっと見つめて何を欲しがっているんだ
そこに有るのは腐敗臭と蟲と骨くらいな物だ
花の美しさはミスディレクションを狙ってる訳じゃ無いって
一体後何度こめかみを指で揉まなけりゃならないんだろう
ほら、そんなに君が見つめるからあちらも覗き込んでしまっている
シンメトリカルな無表情が鏡を挟んで斥力に抗って
僕は間抜けな発砲音を四月の空にいつまでもいつまでも漂わせた -
リチウム電池
当たり前を咀嚼して肥え太り
たまに喉に刺さる小骨さえ詰め込み教育で流しこみ
蛙の神経に電極を繋いだ時にまみえる伸縮が
渇きとともに薄れていく実験室で僕らは笑っている
使い古した今日をビーカーに溶かし込んで
酸化剤を加えて攪拌後にゆっくり冷やして出来た結晶を
フィルターで吸引濾過をして有機溶媒で洗浄後に残る今日は
昨日より確かに収量は少なくなっている -
やり過ごし
私は私の脛を貪り
立てなくなるまでは立っていられれば良いのだと
どうせ立てなくなる目に空が落っこちてきて
皆その穴から零されていってしまうんだって
乾かない傷口を舐めながら忌々しげに
日の上がる前にカーテンを閉めてしまう
テーピングでガッチガチに今日を縛り付けて
正しい明日だけにしか向かわせないようにして
そのどす黒く見える顔は逆光なのか鬱血なのか
今日は失敗だった
明日は巧くやるさ
巧く出来た今日が明日になるだけだが
トーストに塗るジャムさえにも選択肢が立ち並び
最早足で歩けば良いのか逆立ちすれば良いのか
だって足がもう痛くて痛くて歩くことが正しいとは
とても思えないのだから
それでもまだ空は落ちてこなくて
今日が腐臭を発し始めていることに気が付いて始めて
やはりテーピングは間違いであれは鬱血だったのだと
土留め色した太陽を眺めなけばならない我が身を呪いつつ
いまだ白いパンの表面に何を書こうか悩んでいる -
平坦
滑り出した指を
空気の曲面と遊ばせ
酔いどれの呑み込んだ
憂さは二酸化炭素と共に
固化して海底へ埋め込んでしまえ
夜の吠える事に慣れた犬は
朝は鶏に譲ることを知り
昼の狂想曲を尻目に
噛み潰す欠伸さえ凪いで
僕の観察日記はパラパラ漫画にもならない
ここから何処へ行けるかと
切符の拝見時に車掌に訊こうとして
車窓越しに佇む影法師の
寒々しさを感じる少しの距離を
手繰ろうと液晶画面を指で擦る
今日は確かに笑いました
佃煮にしてしまえる位に増えた
賞味期限切れの抜けない棘を
壊れた炉にくべ煮炊きに従い
私は確かに笑ってしまいました -
ただ在る面
縛り付ける鎖も無い
クラゲみたいに割り切れなくて
太陽光に晒されながら
僕は境界から口だけ出して息をする
机の上から飛び出して
鉛筆と消しゴムで輪郭を整え
窓に投影されたフィルムはかたかたと
人だけを除く直線でつっかえている
ペットボトルよりも多くて
時計よりも忙しなく
油絵よりも飛び跳ねて
ドアノブを廻す音が溢れかえる
誕生誕生誕生誕生
僕たちは燃え尽きた財宝に立つ
望遠鏡は赤道を見つけられず
踊る星々は皆糸で繋げられている
倒れた私を支える糸は
虚空の先に溶けてたるんだまま
一人立ち尽くすだけの私は
果たして強者足りえているだろうか -
幾千の夜に掛けられるチープな罠 誘惑に目隠しされて容易に落ちる
靴の音が響き合い、当たりの無いルーレットに興じるのは若さ故なのか
前世の面影を頼りに、カクテルに最後のチャンスを注いで、彼は待つ
世界中から熱い視線を浴びて、今夜も彼女は薄笑み浮かべて踊っている -
薄暗さ
日々の大気を吸っては酔って
夜を並べて端から数えて
空の星よりは少ないもんだと
諦め口調で頬を緩めて
抱かれた肩を窄めて見せて
雲母の切片越しに空を見る
また車輪はこちらを見ている
私も白線の内側から見返して
セミを踏み少し湿る今日の産声に
触れてみたくなるスファルトが
その凹凸にタイヤを食い込ませた
この箱の中では皆泣いていて
大体20億回しゃくり上げる頃に死に
零した涙の捨て場に困り果て
今では地表の7割がしょっぱくて
幸福を義務かの様に売り歩く人々が
火葬場までの道を埋めていた
空にはあんなに高温が瞬いているのに
張り付いたシャツはこんなにも不快なのに
まだ足りないと
足りないと
みっちりと手足を折りたたんで詰め込んで
この湿った箱の中で生まれたのだと
セミの鳴く声を聞いた気がした -
切片
いつも私の傍に居て
何も言わずにそっと連れ添い
真っ黒な眼球で私越しに夜を見る
夢に指を沿わせて輪郭を辿り
逃げ出した感覚を一つづつ摘んで
プレパラートにして公明に晒し
私は頭を抱えてばかりだ
それは見てはいけないもの
聞いては許されないもの
それでも底無き穴の内側に
揺れている空に良く似た魂が
極限られた私を貫く志向性を持つ
もう私は死んでいる気がして
胸の穴は黒々と飲み込んで
吐き出し口を作らなくちゃと
光を探している
眩しさは闇より縁を曖昧に暈して
穴の底を晒して
なんにもないんだって
わたしにはなんでもないんだって
そこにだれもいないんだって
間に挟まる物の無い二枚のガラスを
割れ物捨て場に投げ入れて欲しいんだ -
勧善懲悪
私は既に救われているし
私は既に許されているのに
まだ眼球は敵を探して
殺したくて
拭えば落ちる程度の汚れと
寝れば忘れる程度の過ちとで
空が落ちてくれる日を夢に見る
「法律」は「ルール」です
「刑罰」は「ペナルティ」です
「社会」は「競技場」であり
「人生」は「スポーツ」です
壊す事に憧れ疲れてしまいました
道の落し物とゴミとの分別とか
一緒くたにして交番に投げ込んで
功罪を測りに掛け刑量を占って
時計の針を無闇に廻して
たった21gの燃費の良さで
世界は私を叱ってくれる
私はもうここから出て行かなければ
鉄格子の外から抜け出さなければ
罪悪感よ立ち去れ
私は失くすことを為さねばならぬ
光を恐れなくては
ここに在ってはいけない
私は夢から覚めなければいけない -
心配
どうしても妄想から抜けられない
そんなことがある筈ないのに
何故ありもしない藁にしがみつくの
居場所もなくなってきて、どこへ行くべきかもわからない
このままやって万一あなたの立場に問題が生じたらどうするの -
人のこと
何と比べることも敵わないまばゆさ
過去は要らないなんて強がってみても
栄光は永劫に輝いているものだよね
本人関係なくどうしようもなくね
それが本当によくわかるから
これはすごいことだわ
人事のように言うけどさ -
祈り
もしかして君は眼鏡100本以上持っているのかな
サングラスやお洒落な縁取りのものなど沢山?
ああ、勘違いか もういいよ何もなくて
元気そうに活躍している笑顔が眩しい
そのことが本当にうれしくて
ただ心健やかにあれと祈った -
代行使うの痛過ぎですが号泣して元ビデオ見てます
この前より力に満ちていて更にグレードアップ
これに心奪われない人がいるのでしょうか
本当に素敵過ぎて書き散らした全部の妄想が恥ずかし過ぎて
ああ、阿呆にも程度というものがある
1年前までのように永遠に磯のあわびでいいや
ずっとお元気でいてください -
凸凹
僕の記憶がおぼろげなのは
軽く呷ったお酒のせいか
それとも昨日に投げつけられた石のせいか
今日は早く寝よう
僕の目はもう開かないんだって
誰に伝えれば有給が得られるのだろう
またお腹が痛くなってきた
蹲った肩を叩かれたくて
泣いた振りをする事に躊躇しだしたのはいつからだろう
今日が見えすぎるほど透明に
僕の肩とか鼻とかつま先に降り積もって
予約しておいた炊飯器が炊き上がりと知らせた
だから僕はベッドから体を起こさなくちゃ
開かない瞼を指で捲って
凹んだ頭に零れた記憶を雑多に詰め込んで
手招きをする明日の横を通り抜けようとして
俯きながら道のガムの跡を数えて
車か何かに惹かれるタイミングを掴み損ねたまま
新しく投げられた石で作られた頭の凹みをそっと撫でた -
湧き水
犬の鳴き声は勝手気ままに走り散らして
迷子である事すら思い出しもせず軽く
揺らめく鼻歌に軽くその背を擦り付けてから
遠くに良きねぐらもで見つけたのか
直ぐ見向きもせずに走り去った
ふき取ることも忘れた雨垂れを残して
歴史の打ちひしがれるあばら家の隅で
子供の宝物だったおはじきがぼけっとした顔で
もう随分と欠けて歪んだ輪郭をなぞりながら
其処に乱反射した陽光が壁に描く絵を見ていた
零しては芽吹き溢しては萌え出でて
壁面を覆う蔦にぶら下がる熟れ過ぎた実が落ちて
それを咥えようとする蛮勇に燃える若い働き蟻を
懐かしさに眺める触角の欠けた老兵が
一欠けらの果肉を持ち去るのはコレで何度目だろう
まだ昼下がりだ
また昼下がりだともいえる
もう昼下がりかもしれない
なんにしても昼下がりで
座ったままうつらうつらと何処へ行こうか
バラバラのままの知識を
飛び越える直感で繋ぎ合わせて
窓辺に吊るして風にでも当てれば
それでもう言いたい事は大抵済んで
それでも言葉はただ溢れた -
別に何の不安もないと思うけど、君が安眠できますように
とりあえず自分が嘘吐きではないと示さないとな
今日の話、興味深いね、読んでしまい何か申し訳ないくらい
それに比べ自分の書いた文は盛りついた犬みたいであるな、今読んでみると
自分も、頭で自分自身が納得していて、かつ気持ちが満足していてってことはすごく大事
だから自分的にはまだいろんなことを諦めたくないって思っている、方法がない訳じゃないし
とか言いながら、今迄重々しくこっちの思い仄めかしたりして君には迷惑だったのかな
個人的過ぎることだから、君に言うべきことではなかったのでしょう
でも正直、優先順位から言って今はどうしてもそのことばかり考えているんだよな
現状でも幸せだからこれ以上を欲張ってはいけないのだろうか?一番大切なことは何かと考えてる
社会的役割は小さいながらも果たしていると思うし、何かを残 すのにこういうやり方もありうるとは思う
しかし、心からの願いとか欲というものはどうしようもないものだからなあ...変なこと言って申し訳ない -
飛行
今日も私は元気でした
午後に起きて萎びた野菜を煮込み
酸化したコーヒーに目を覚まして
窓の外に目を移しました
まだ今日が終わっていないようです
後何度眠れば明日なのでしょうか
それは来世と読み替え可能なのか
誰かが答えを出すのと
乗り越えきれずに事切れるのとでは
どちらが早くて幸福なのでしょうか
人の世は重きを背負い坂道を行くが如く
とは言え私は下っているようです
主にお腹とかが
寒さのせいでしょうか
消費期限切れの食材のせいでしょうか
それとも
私自身の耐用年数が過ぎているからでしょうか
外は雨が沁み出でるように湧き出して
洗濯物が乾きません
コインランドリーまでたどり着けません
まだ鍋は詰めたいまま野菜がふやけて
なんかそろそろ地球が終わりそうだと言います
それは願望です
こんなに寒くなってきたのですから
今年が暮れなずんでいるのですから
夢から覚めるべきです
明日は良い日でしょうか
月曜らしいですが -
かくれんぼ
見つからないまま
どうも僕は大人になったようだ
狭い境内はあいも変わらず
ただ少しだ雨垂れに錆びて
踏み石に落ち葉が軟着陸して
割れた傘と埃塗れの電球が
細く明かりを振りまいている
まだあの頃の僕は宝物探しをして
川原の葦を掻き分けてるだろうか
杉だから松だかの針葉樹は
こんな日の空から隔離して
歴史に焦げて黒びた回廊と
紐の取れた鈴の下の賽銭箱とが
解凍されないまま蹲る
名を呼び声も肩を叩く手も無く
僕もまた染みの一つみたいだ
もう屈まなければ潜れない鳥居は
解れた注連縄が広げた手で塞がれ
地面に紙垂が落ち葉と描き混ざり
外の一切がここには手を出そうとせず
狛犬が気だるそうに欠伸をした
随分と遠くまで探しに行ってしまっている
着ていたシャツの背中のプリントも思い出せない
掌に一度息を吹きかけた
まだ僕は待っているのだろうか -
ちょっと推敲
かくれんぼ
見つからないまま
どうも僕は大人になったようだ
狭い境内はあいも変わらず
ただ少しだけ雨垂れに錆びて
踏み石に落ち葉が軟着陸して
割れた傘と埃塗れの電球が
細く明かりを振りまいている
まだあの頃の僕は宝物探しをして
川原の葦を掻き分けてるだろうか
杉だか松だかの針葉樹は
こんな日の空から隔離して
歴史に焦げて黒びた回廊と
紐の取れた鈴の下の賽銭箱とが
解凍されないまま蹲る
名を呼ぶ声も肩を叩く手も無く
僕もまた染みの一つみたいだ
もう屈まなければ潜れない鳥居は
解れた注連縄の広げた手で塞がれ
地面に紙垂が落ち葉と描き混ざり
外の一切がここには手を出そうとせず
狛犬が気だるそうに欠伸をした
随分と遠くまで探しに行ってしまっている
着ていたシャツの背中のプリントも思い出せない
掌に一度息を吹きかけた
まだ僕は待っているのだろうか -
返却日
もう期限は其処まで迫っている
夜は足早に外套の裾を揺らし
じっと冷水に浮く鳥の目は震え
空中で無数の結晶が爪を立て
あらゆる記憶を装飾し始めて
返却期限まであと一日を切った
腐敗すらふと手を停めて
希薄になっていく界面を撫でるように
生命を辞めたときに吐き出した声が
やっと星を瞬かせて
手の中の全ての私を返却袋に積めだした
日が出る前に深山に分け入り
鬼火や狐火で暖を取るのももどかしく
走り出しそうな乱雑な足跡に急き立てられて
薄氷には削がれていく切片が映りこみ
骨となった足は細雪を踏むたびに空へ
空へ漂白された身を沈めるたびに夜へ
零された私を袋へ放り込みながら
私はレンタルショップを探している -
共有
すれ違う人に声を掛けようとしては
彼らの顔が見つからず
街中は薄ぼんやりと溶け出した脳髄に塗れ
アンテナに油がまとわり付いている
自作の車輪は左右の形は不揃いで
1回転するたびに少し右に傾く
落ち着きの無い視線は前方不注意で
右の車輪で人を轢いて少し左に傾いた
虹色に汚れたビルの窓には
高所清掃員が滑り落ちそうに張り付いて
汚染範囲ばかりが広がることに気も留めず
液晶画面の青空すら酸化している
交差点に堆積する油粘土を
車の車輪が何度もこねくり回し
その度に車体はグラグラとコントロールを失い
目隠しをされたままトンネルを潜っていく
ぼさっと突っ立っている私もまた
劣化した油の固形物をだらしなく纏い
相も変わらず開きかけた口を閉じもせず
糸を引く雨を避ける場所を探している -
映画
まだ夢を見ている僕を見ている
ここは雪の多い地方らしい
窓の外は何処までも仄暗く
花びらに似た綿雪が
浮かびては沈む泡沫の如く
消えた事にすら気付かれないまま
窓だけが少し泣いている
灯油ストーブの上の薬缶だけが
地下深く脈動する対流と共鳴し
相を変転しては破裂する誕生日を
誰に祝われることも必要とせずに
勢いだけで四散を繰り返し
墨を塗りたくった深夜の酩酊に
優しさを少し添加していく
まだ夜が空けるまでには時間が有り
零れた砂を拾い始めることも無く
砂丘の続く寝台に腰を降ろして
言葉以外で考える方法を探しながら
直線が円を描くのを横目に
零れた吐息は人もまた共鳴しているのだと
祝福も求めないまま去った
まだ夜は開園までに余裕は残っている
舞台裏で相転移に見つめられながら
僕は一台の投影機となる -
「強靱日記」
そんなことがこの世にある訳ないのに
細すぎる糸にすがっている
頭がおかしくなってしまい
心も安定しないで突然泣きたくなる
でも強く生きないとね
そう、高望みなんてしないでいいよね
もっと打たれ強い精神で
あなたがいればそれでいいじゃない
ああ、どうして私はあなたを愛しているの? -
「彷徨」
あなたは幸せであるべきだから
何か出来ることがあるならば何でもするけど
何が必要なのかわからなくて暗礁に乗り上げてしまった
自分で考えろよって酷い、何で何も言ってくれないの?
お願い、寸分の迷いも与えないでください
不細工な婆であるとか卑屈にならないで
自分を磨く努力もしよう
人間って努力次第で結構変われるものだと思うから
もしそれが必要ならば自分がんばれ
無駄なことなんて何もないでしょう? -
「問題」
間違いなく”何か”が問題なのだ
あなたにはそれがはっきりわかっているのでしょう
ずるいよね、どうして問題点を教えてくれないの?
問題が明確になった時点で問題の大部分が解決できると思うのに
こっちには、何が問題なのかさえ教えてくれないなんて -
「制御」
そうか!少しだけわかった気がする
相手を完全に自分の意のままに操ることを楽しんでいるのか!
そうだよね、もし本当に必要なら1年以上膠着状態なんてことはありえない
どうでもいいものだけど、遊びたいから遊んでやっているとかそういうもの?
まあ、こっちも相手にしてもらった喜びがあったから思い出だけで幸せですが
でももういい加減にしないと、こんなこと分かる人にはばれてしまうよ
全部自己責任ですからね
もっと近くで全部を見て感じて...思いのままに遊ばれてあげるから
欲望の全部を満たして終わりにしたら?
実際どんな価値を提供できるのか不安ですが
私なりに必死に考えてレモネードも作るから
少しでも状態がましなうちに花火打ち上げて
そしてそれを永遠にすればいいのでは?
経年劣化はどうしても避けられない事ですよ -
窓越しに見られた景色
掌に食い込む蜘蛛の糸は細く
止め処なく滴る体液と
肥え太る体躯の自重とが
怨嗟の声を産声にして
悪夢からまた悪夢へと
躓きが雪崩れをうって
枕ばかりを凹ませる
波打ち際で城を作る理由など
そう多くはないだろうし
括弧で括って外に飛び出すのは
良く聴く罵声の一つか二つ
明かりも点けずに文字を拾って
零した知恵を小鳥に啄ませながら
火の作り方にすら気を止めずに
杯の底からばかり空を仰いで
縁より外など幻と知ったかぶって
詐欺師と牧師の見分けられると
裸足のまま廃街を往く
氷の下で人がもがく理由など
考えるまでもなかろうし
隠した種が大樹となろうとも
気付かず地面の餌を啄む
世界は平らで川は途切れて滝となり
夜の間に太陽が地下水を温めて
朝風呂に事欠かないことを知って
けれど眼球は常に下り坂を見下ろし
振り返っても地平線は歪んで
月も太陽も構わず浮いては沈み
私は盤上で賽を振る番を待っている
トロッコから外が見えない理由など
慣性と摩擦だけで済み
声が生まれるたびに溶け出して
指先が腐り落ちてゆく
城は微かな隆起すら流されて
屈んだままの腰で空を忘れて
箱の中で朝に置いて行かれる
それでも蜘蛛の糸を持つ私のつま先は
未だ地面から離れることを拒んでいる -
瞑った目
力なんて抜けば良い
それで増える煩わしいことなど
撫で肩に掛かるカバンの紐を
直す回数が増えるくらいで
相変らずの千鳥足に任せて
目指す所に気にも留めず
昨日と明日を行ったり来たり
喉奥の小骨や
一場面しか覚えていない映画や
登った先を思い出せない階段や
その他諸々の鍋底のカスみたいな
取るに足らない遠い私の断片を
ただ遠巻きに一瞥だけして
後の整理は別の私に任せてしまえ
今日が駄目だなんて今更で
明日も駄目だなんて考えるまでも無く
ただ靴底減らして腰痛めて
防空壕で耳を塞いでいるうちに
物事が何とかなってるんだって
経験則上良く知っているんだ
降り注ぐ事態に深刻な物など一つも無く
歪んだワッシャやネジ穴の潰れたネジは
すぐ別の何かが代替することを
私は何故こんなにも恐れていたのだろう
また今日の代替品が
空を越えてやってくる
気付かない振りして
やり過ごすための言い訳を考えている -
受容
ちゃんとけじめをつけなければ
延命はしないと決めたのだ
遅かれ早かれ切れる関係
今日ここでさよならを言おう
縋り付いては同じことの繰り返しだ
何を消さずとも済むようにと言った君
君だって同じ考えなのだと思う
美しいまま今日全てを受容できたから
ふたりの手でライフサポートは止めよう
意志を固くして振り返らずに
今日という日を区切りとしなければ
これが神の導きなのだ -
三猿
私は未だに私を信じている
そんなロマンチストなのです
純真で無垢で盲目的な
理想的な絶対零度の純物質を
聞こえない耳と見えない目と
切り落とした四肢とで
立ち去る事こそ漂白なのだと
そこに立ち昇る消毒液の香りが
指先から垂れた線香花火の
未だ閃光の明滅で生を歌う様を
ガラス基板の表面に彫り上げるみたいに
私は私を解体したいのだと
夜に泣くのだと
朝に泣くのだと
そう信じているのでしょう
まだ私の目は開いているとは言えず
この街に月や日の出る日も知らず
誰もいつの間にやら遠ざかった
がらんどうの箱の中身は
もう零す物も無いのに内圧ばかり高まり
吠える犬の顔を確認することも出来ず
箱の中の箱の中を掻き混ぜながら
そこから大吉を引く確率を考える
私はまだまっすぐ息を吸い続けて
肺で漉し取った油で作った石鹸で
この寝ぼけた顔を洗うことを覚え
それでも使いきれない石鹸で溢れ
染み付いた街の空気はぬるりと揺れて
無差別に無くされた私達と
未だに逢ったのだと
私は未だに信じている -
用法
冷蔵庫から昨日を取り出して
ラップを取って一匙分だけ刳り貫いて
その穴に周りから染み出す乳白色の
月の雫を布巾で取り除いてから
今日を搾り出して充填する
匙の中の知識は生きる知恵となり
私の首に掛ける紐の縛り方と
朝の目覚ましのセットすることとを
無造作に机に置くだけ置いて去っていく
ソレは口から摂取する物なのか
はたまた耳に流し込む物なのか
その問題を解こうとする突発的衝動こそ
知恵なのだと笑って迎えられる日の出は遠く
最早目を瞑ってでも
紐も縛れるし時計のセットも出来てしまう
布巾を強く絞り零れる一二滴を掬い
錠剤型に詰め乾燥させて
三日ほど放置してから蓋を開けると
真っ白い神経伝達物質様の花火が出来て
それを慣れた手つきでビンに溜めながら
乾いた川底の残り物に手を伸ばして
その端から崩れる着底した船舶が
嘗ての航路を示した羅針盤だけを残し
その方向に何があったのか
目を凝らしても何の感慨すら沸かず
ビンの底骨の粒が鳴る音を
足音に見立ててただ立ち尽くす
お腹も空かせたまま
半開きの冷蔵庫からの冷気は
砂漠に吹く風のように回路を短絡させ
元の水路は乾いたまま
匙に付く欠片分だけの歌を口ずさむ -
拾い物
波打ち際で踝を洗われるまで踏み込んで
連続と錯覚する速度で何度も鼓膜に染み付けて
生まれる振動を触れる事すら躊躇う寄木細工で繋ぎ
かたつむりが火打石で沿岸部からのメッセージを届ける
遥か彼方から手紙の残骸をバラバラに解いてから
手慰みにまた手漉きから読む当ての無い声を張り
また一粒の砂を詰めたビンを海洋へ投棄して
かみ殺したままの欠伸の機嫌を取る作業へと戻る -
課題
暮れる空を早いと落ち込み
明けぬ空を遅いと怯えて
そのくせ
しんと落ち窪む早朝が日に照らされて
膨張する速度に吹き飛ばされそうになる
鋏を手に紙を前に机に座り
そこから掘り出す曲線はフラフラと
手から落ちる切片を片すのが先か
手に残る切片を片すのが先か
どちらも暗示を仄めかすかのようだ
片づけを始めると見えるものがあり
それ以上に隠れるものの扱いに戸惑い
二次元に立体を埋め込もうとペンで引っ掻き
影に斜線を加えることは正しいのだと
水面に映る顔が歪む理由を風に押し付ける
手に取った古本の表紙をなぞり
そこに刻まれる皺を直す術を考えて
暖めて引っ張って潰してパテで埋めて
題名に筆をいれ本のサイズを差し替えて
ついでに中身を改訂し尽しまた古本屋へ向かう
去年は靴の跡を幾つ付けただろうと
来年は幾つのドアノブを廻すのだろうと
今年引き抜くであろうティッシュを先に積み上げて
崖下に敷き詰めて境界線を靴の裏で削りながら
目を瞑り次の一歩が足の裏に触れるのを祈る -
GPS
入り組んだ小道は見通しも立たず
時々チラリと透ける垣根越しに夢が咲く
線香花火から零れた星をいくつか拾い
子供の精一杯の知恵により整備された
帰り道はいとも容易く解れて消えてしまった
また海を見に行こうと約束を交わして
埋め立てられた沿岸部のビルを仰ぎ
見つけられないパズルの一片を
自ら厚紙より掘り出して補完するように
私は無作為に代謝されていく
とりあえずこの身を起こそう
枕にした腕は取り外されたみたいに他人行儀で
サボり気味の右手はたどたどしくキーを叩き
バックアップとインストールとを繰り返して
積み過ぎたジェンガみたいな自画像に首を傾げる
後ろさえ振り返らなければ
取り返しが付かないことに気付かないで居られて
それでも攣りそうな足の裏と数えた溜息の回数とが
不幸にも私の目に光を解読する術を学ばせて
拾い集めた星が北極星じゃないんだと気付いてしまい
私は夜に道を行く術を学び損ねたのだと項垂れた -
「持ち運ぶ」
個人的に保存しているのが既に数千ともいえるから
実際に存在するのって数万以上なのだろうか?
そのうちいつも一緒なのは今のところ160
それは徐々に増えています
君があり得ないんじゃないかと笑ったとしても
自分の中では絶対に確かなんです
例えば、昔自分で全くわからないって言っていた持てない男のやつ
あれとか今ではもろですよ、99.9%間違いないと言える -
Ca
舌の麻痺している内に
遠い昔に海辺で拾い集めた貝殻や
グラウンドに幾度も引かれた石灰や
文字や数字やらの記号で夢を描いたチョークを飲み込んで
もっともっともっともっとカルシウムを
あの透き通っていると錯覚させるが如くに沈殿した
火葬場で見かけた白く白く白く堆積した
私で在ったあのカルシウムを
少しでも良いから
零れてしまったミルクを返してください
周りの見渡しても何も変わっていないのに
私の眼球は瞼の裏側から顔を出さず
そんな人見知りまで私に似てしまっている、と
ディスプレイに苦笑しながら夜の又の下を潜り
倒した写真縦を撫でてみようかと逡巡しつつ
冷え損ねたマグマがまだ沸々と滾る気配に縁取られながら
カルシウムがまだ欠落しているのだと
また私は空の星を齧り始めるのだ
それなのに
まだまだまだまだ欠落が満たされず
骨年齢は正常値なのに
モザイク画に見たい色だけ見つからず
象の墓場にも鯨の墓場にも人の墓場にも
私の骨が見当たらない
あの夢で死んだ私を私はいつまで探せばいいのだろうかと
今日も煮干を齧りながら思案に暮れている -
うむ
-
サディスティックに捲し立てる君も嫌いじゃないけどさ
素直な優しさが一番好きだよ
いつまでも今の状態ではいられないよね、
特に私みたいな者は
一時でも暗がりで二人きりになれたこと嬉しかった -
仕事おつかれさま!
昨日はごめん、仮にこれが本物なら何も焦る必要はないのでした
これから生きて行く半世紀以上の方が、今迄のめくるめく数年より長いのです
脳内でだけって思ってる?私にはこれも一つの現実なんだけどな
あ、突然決まった事だろうから今回は仕方がないけど今度は早めに教えて
こっちも仕事入っていて急に変わってもらうのは無理
この数年で10回近く色々と特別な催しに足運んだけど
目の前のあなたは本当に神々しかったですよ!
普段の面白いあなたも勿論大好きですが、何か別の生き物でしたね
シートンにだって研究できない!
あの声、「準備万端や!」って野太いネタ声が、今胸にあります
本人よりこっちの方がどきどきしててアホだ
毎日やってることだから全く屁でもないことなのに...
ああ、ジャグリングの軌跡 -
6行目→急に代わってもらう
-
聞きました
全部納得したからもういいですよ
元気でいてください
今まで本当にありがとう -
「考える葦の重荷」
さよならがあって何度でも生まれ変わる
それはどういうことなのでしょう
人が強くなるということですか?
本当に何年だって耐えてやるって覚悟があるとか?
お節介だけど、こんなことしているのは何故ですか
精神とは何ですか?
傷つくことと満たされること、虚構と真実
そういうことがわかったと言ったのに
どうしてまだ糸口さえ教えないのですか
ずっと訊ねているのに言わないのは本当は知らないから? -
即興劇
遠い海の底に差す陽光が
人類の溶けた目を満たす閃光と
時を同じくしてひっくり返された天地に
もう既に遅かったことだけをただ指し示す
延び切ったシナリオを照らしている気がする
この気持ちは一体なんだろうか
それをここへ書き示す術もなければ
許可も申請もせずに心持ち俯いて
埃だけは毎日払い落としたまま立て掛けた
ギターの弦に浮く錆びに触れられない
チューブからひり出すマスタードの
焼けたパンの上で渦を巻き中心から覗く目に
捕捉される前に焦げ付いたベーコンで塞いで
マグカップ上の湖面も対岸も眼中に納めず
扉の向こうに耳をそばだてる
論理を飛躍させるほどの起爆力を有さず
辻褄を合わせられるほどの舌先を持たず
結論に辿り着けるほど山道は整備されず
ため息が霧散するほど展望も開けておらず
否定で舞台を去れるほど後頭部は禿げてない
永さだけなら人間同士じゃさほど変わらなくて
転んだ数なら空や地球と同じ土俵に立ち様も無く
幾度と無く焼かれ落ち窪む眼窩に酒を満たし
そのコルクが引き抜かれるタイミングをジリジリと待ち
膝頭のかさぶたの痒みに演劇の幕明けを知らされる -
化石
怪物に見下ろされる街が震えている
足早に太陽も月も街路を通り抜ける
時間すら居心地悪そうに針を廻し
昼夜がカラカラと細い糸を紡いでいる
目に映す物に迷い千切れ雲を数え
散逸と集積はいつか囲んだ焚き火のようで
燃えカスが燻り遠くなど無いのだと言い張る
気が付くと編んだミサンガまで煤けていた
ここは海溝の奥に降る雪に沈む街だ
吐く息も吸う空気も白濁して埃っぽく
COPDに苛まれて紫色の顔を歪める
セコンドに立つ誰かはまだタオルを投げ込まない
蟠る悪臭は怪物の息吹だろう
目に見えない毒素が雑踏を震わせ
カラスさえも鳴きもせず電線に揺られ
暗渠へ流れ込む水が耳鳴りを呼び込む
怪物がこの街を蹂躙するのだろう
それがここの住人の口癖
その顔に浮かぶ笑みは白痴にも似て
糸は紐となり首飾りのように巻きつき
地面の落ちるときをまっている -
歩調
不安定な塀の上でふらつきながら上を見る君と
安定な地面の下にめりこみながら下を見る僕は
同じガチャポンから生まれたのに
何でこんなに瞳に塗られる色が違うのだろう
僕の眼球は今日も雨の日の排水溝を見ていて
君のガラス玉は何処を見ているのは虹色をしている
その光景はまさしく夢のようなんだろうなと
砂利を取り除く目薬を求め机上を執拗に撫でる手を
君の網膜に映っている事実に顔が赤くなりそうで
開かない瞼にもどかしくも安心を覚える
まだ君は立ち昇る煙を追いかけるつもりなのだろう
寄り道ばかりに精を出す君を時々見失い
慌てて足の裏を痛めるのは僕ばかりで
その手を引くつもりが
その手に繋がれていないと漂流してしまう
それらのに君の視線は宙に縛りついて
また道からふらりと外れて人ん家の庭を踏み
僕はその穴の対処にため息を付いて
湿った土の臭いに親しみすら感じてしまう
僕と君の目に映る色は違うのに
僕らは同じ寝床に包まり夢を見る
未開封な掴んでいないほうの手中の
割符が一致することに待ちわびつつ恐れている -
オモニ(母ちゃん)って主に重荷だってこと?
もしかして彼女との間に何か問題があるから誰彼構わず毒りんご投げるのかな
まあ、勿論彼女が大切だからこそ悩むんだろうけど -
君の考えは大体わかるよってこっちの思考は読まれているのにあなたの考えはまるでわからない
ね、ほんとに何考えていてこの仕事のやり方なの
私には本当のことだけを教えてってお願いしたのにどうして大事なことを隠すの
いつか答え合わせしようって、その前に万一私が死んだらどうするのさ -
離れていく、って意味は昔の己(A地点)から変化する前進するってことでもあるのだろう
人生は長い一本道だから、その上に徐々に変わってゆく成長する己がある
一つ一つの点は一瞬の出来事ですべては過去になるけれど、それは死ぬまで永遠に連綿と連なる
その言葉には多少あれって感じがしてたのだけど、進歩だと考えるといいのかな -
元を取るってなんか計算高い
今思えばあなたも私もお互いのために時間や労力を費やしたのかもしれないけど
誰に理解されなくても私は幸せだしこれが今の最善だと思っている
考えたり悩んだりする時間は無駄ではないのです
時には一直線以上に意味があるはず -
寝不足
私が私の今日を包む包装紙を開くようにベッドに火をつけて
狂ってくるくると定まらない羅針盤にレコードを置いてみる
ちぐはぐでちくたくとぴーちくぱーちく囀る咀嚼音と
睡眠時に散々すり減らした奥歯と顎の軟骨の違和感とが
まだ着替えもしていない私の背を押し玄関へいざなう
灼熱の砂浜に無防備な素足を晒した時間は跳ね回り
その時間に片手を掴まれ右往左往に東奔西走の大立ち回りに
デスクトップの右隅のメール通知のポップアップで息を継ぐ
かき混ぜているのはソーダで割った蒸留酒なのか
明日の予定を書いて裏返した53枚のトランプなのか
どちらにしても運が良くも悪くも極端に走ると非日常が顔を出す
どうでも良いんだと煙草を燻らせる夢を見る
実際はもう当の昔に吸わなくなり湿気た煙草を眺める
そこから零れる煙と見間違う陽炎が過労に喘ぐ目を撫でる
この涙は枕すら濡らさずに乾いていくのだろう
まだオブラートすら溶け出さずに胃の中でかさかさと音を立てて
内側に畳み込まれた毒の甘味をまだ知らずに済んでいる
一歩目に踏み出す足に迷い逆立ちをして左手を前に出して
バランスを取り切れなかったかのように満員電車に押し込められて
まだ昨日すら消化しきれないまま
朝顔と勘違いしそうなほど早熟に萎みだす今日と
柔らかな二枚葉を空に向けて開く明日とが共存するプランターが
奏でる不協和音に振るうべきタクト捌きを希求し続けている -
どうしてまだ画像ずっと繰り返し見てると思うの
昔の話をよくするからかな
しかし、すでに削除していて記憶で話しているのかもよ
大切な思い出は君にも重要なものなんだ
全部を抱きしめているからこそ、君も私の話の中でのそれらを認識したのかな -
怒る場面に気づかない
動揺して切れる
優しさがわからない
自分を制御できない
変なやつだ
変な俺は生きてくのが大変だ
誰にもわかって貰えない
自分でわかんないんだから
当たり前だ
ただ変な奴だとは皆が知ってる
自分だけが知らなかった
そこまで知ってるのは
今は俺だけだから
そこは俺だけの世界だ -
彼誰時
悲しい朝が来る前に
植木鉢に水をあげて
こみ上げる嗚咽を
コンポストとして蒔いて
まだ目を覚まさない赤子を
悲しいまま一撫して
山稜が空の皹のようで
生れ落ちる日輪を待ちながら
けれどその隙間から零れる
雨脚の強さに顔を上げることさえ難しく
ただ地面に萎れる草花を
打たれて伏せる露草を
庇うこともなく悲しいままに
お湯が沸くのを待っている
あの子はまだ夢みることもなく
暗闇にぽつねんと浮かびながら
嗚咽も露草の打たれる音も聞かずに
ただ脈動する生命に耳を塞がれ
暖かい夜が割れるのを
悲しい朝に泣くことを
ただ待っている -
微結晶
地面にこびり付く一つの小石が
遠けき空から射し伸ばされる光を散乱し
浅ましくびかびかと喧しい
いっそ一つの理想的黒体となれたならば
この煩わしい喘鳴を撒き散らさずに済むのにと
チアノーゼ気味の斑模様の顔を眺める
私は無価値の石英や雲母からなる儚げな
びかびかと乱雑に手を振り回しては
早晩にも崩れさる一つの花崗岩なのだ -
思考する哲学ゾンビ
空に溶ける光の固形物を瞼にかざす掌で眩しげに
この道を歩む穂波にみえる雑踏は一様に真っ当で
火の付いた導火線を胸に抱えて精一杯に顔を綻ばせ
足の裏に感じる脈動に背中を撃たれつつ
球体を無視して視線は宇宙の一点に結ばれる
繊毛やら鞭毛やらを弛まなく駆動する無意識に
液体や気体へ漕ぎ出す冒険心に背中を押されながら
零れる月光を溜めた湖に火照る足を軽く浸して
降り止んだ雨の残滓の手を借りて空に立て掛けられた梯子を
昇るにはまだ早いと蒼く照らされた道の先を見据える
まだまだ腹の中にも背中にも蓄えられる余裕を感じ
藁を食んだり背負ったりして荒地に道を敷きながら
首に掛かる炸薬に腰を折り見遣る導火線の長さを想い
ただ独りの歩行はたどたどしく蹴躓きつつも
花を咲かせるに足る豊穣の地を求め続けている
たまには日陰で微風に撫でられるのも必要で
日焼けでひり付き過敏な肌はくすぐったさを感じ
やつれる手足の芯の泥炭に顔を顰めながら
胸に刻まれるささくれに薬を塗られる皮膚感覚に
明日転生する私は目を瞑ることに成功した
虫に追われる定めを背負う罪人ならぬ罪人を収監し
少しずつ失われバグに見舞われる歩行者は横切り
生まれたばかりの四股が折れそうな岩を背負いながら
包んだ掌に守られる一粒の雨粒を拾い集めて
チン、となる欠片同士を一つの瓶で受けとめながら
噛み砕いて飲み込んだ -
ドーナツの穴
階段を登るみたいに目の前の道を登って
乾いてひりつく喉を空気が逆撫でていく
疾うに止まってしまった心臓が重たく
その代替品を探すために随分と歩いた
脳も勇気も心在るのか不安だけど
心臓がないと体がしんと冷えていく
その体に生える手を見ると青白くて
冬の夜の雪を血管に詰め込んだみたいだ
胸にポッカリと穴が開いたかのようだ
その穴に風が通るから、喉が渇くし体も冷える
心臓は止まったんじゃなく、落としたのかもしれない
だから内臓の収まりが悪くて心も不安なのだろうか
歩いている内に世界を一周して私は私を見つけた
その私は階段を登る前の私で、背中の穴から私が見えた
無数の私達は紐の切れたビーズみたいに淋しげで
伽藍堂の暗がりへ手当たり次第に嵌め込んでみている
かく言う私もその穴に青色LEDを設置して
前後の出入口にすりガラスを嵌め込んでいる
足の裏の充電器は歩く度に電気を貯めて
胸の穴の中のLEDを控えめに灯すために浪費されていく
青白い拡散光は遠目から見ると肌の色と似ていて
私は雑踏の中の一人で在る限り他人と見分けが付かないだろう
けれど風は隙間から吹き込んで体を瓶笛にして奏で始める
その音色に一人二人が振り返るけど、直ぐ人混みへ戻っていく
いつからか、私は心臓のことを思い出せなくなっていた
喉の渇きも、身体の寒さも、慣れてしまえば日常になって
LEDの光は夜道を歩くのに多少便利だったりする
淋しげに鳴る瓶笛だけが遠吠えみたいに零れ落ちるけど
その声はこの街の中では響くこともなく、応える声も聞こえない -
危ない薬 〜その後〜
気分よくなれれば何でもよかった
それにも飽きたら次の何かにいくのだろう
そういうの別に否定はしませんから
一時だけでも何者かであれたとしたらそれでいい
吸殻のように捨てたければご自由にどうぞ
落胆などしませんから
こちらも快楽に溺れていたのだろう
小さな舟で夢の中に漕ぎ出したくさん星が流れた
最初の一瞬だけだったが心が通い合った瞬間もあったように思われた
そのことが忘れられず感覚を失っているうちに現実に戻れなくなってしまう…
あとは現実逃避の虚しい毎日があるだけ
この人生を正当化するために死ぬまでに何が出来る? -
現実の話
目の前にあるのはどぶ川のようなもの
海へと流れる○川の放水路
時々天候が荒れるとクラゲが泳いでいる
だから海へと続いているのだなあとわかる
あの人のことは羨ましいとは思うけど
でも自分には無理なことだった
あの表現からも生まれ変わらないと無理だと読み取れる
次こそはきらきらと光る天の川のように綺麗な川を... -
創造
その仕事はすばらしいものだけど
やっぱり大変な葛藤があると思った
凡人には想像できない世界
光明が射した時の喜びも大きいのだろうけど
どうしても浮き沈みがあるし
色んなジレンマとの戦いみたいにみえる
でも何か目指すものが見えたのなら耽々とそれを追っていって
我がままを通せばいいよ
自分は自分で他人にはわかりようもない存在
自分というものを一番大切にするべき -
湿気
夜の下に這い回るトカゲは
草むらの中で太陽を探す
乾いたウロコはまとわりつく空気と擦過し、
淡い燐光が輪郭を取り戻させる
まだ歩き出したばかりだ
それでも、爪の中には土ばかり
腐れた枯葉はカサリとも鳴らない
地衣類の燐光に花開く
境界の崩れる季節の中を
トカゲが一匹横断していく -
うまれた国か家かそこが一番いいからさ
もうダメだって何度も言ったけど
スカスカの柱と怒鳴り声の子守歌
忌み嫌われる黒い翼が朝の空気を包んでいた
彼らの歌について行って踏み外した足が水面につく瞬間と
もう帰っていいよと聞こえた瞬間は重なっていた -
100年前にできた工場は星をかみ砕く歯を作り続けている
人は3回生まれ変わって4回目がわたしたちで
星をかみ砕く歯の作り方を学び作り続けている
5回目の人たちも同じである
各回の代表が話し合った結果同じ工場を新設することが決まった
頑丈な星は平和であった -
泥の中に頭埋めて探してる
そのまま逆さまになったまま固まりそうだ
好き嫌いが動けずに期限切れで演技が終わる
満ちてる酸素はとても清潔で息を止める癖が忘れられない -
残り時間が高騰していくのを利用して
思い出の1本1本を花束にしてリボンをかけて
所々に供えるのはあまりきれいではない
お互いに変わったと言ってあまり変わりない状態で別れるのも
反省のない反省で変われたことにした花束
きれいなのは1本だけでぼくに突き刺さりずっと枯れずに咲いてるものだ -
勇気を責めないでやってればあいつはまだここにいて
蚊帳の外で蛙の声と合間の静寂を楽しんでいたことだろう
眠ろうと倒れた場所に人のような形を残して雪が解けた
愛を求めないでいればわたしはもうここから去って
絵の中で月の暖かさと触れられない光に気づくこともなかっただろう -
風の中 細いロウソクに火を灯す
笑う顔をマネすれば誰でも幸せになれる
消えてるほうが楽だとすり込まれた鳥は落ちやすい
両手で囲んでるくらいがわたしたちの温度
守るフリして握りつぶしてしまう鳥の温度は落ちやすい
笑ってさえいればなんとかなる
無風の中 ロウソクを灯すのは難しい -
蔓延りゆく繊毛
私の明日が保証されなくても、
どれだけ時間が私の前を通り過ぎようとも、
点が線で結ばれますようにと祈るのです。
また灯が一つ新たに生まれました。
その陰で灯台が嘆息と共に目を閉じました。
細く細く継がれた呼吸が止まりませんように。
まだ、まだまだ此処が罅割れるまでは遠く
それでも空は何度ともなく生まれ変わります。
乾いた瞳にもまだ、まだまだ夜は早いようです。
私は私の中に根を張る感覚を知っているような気がしました。
それは何の種が割れたが故の因果なのかは解りはしません。
それでも、確かに迷妄の最中に光る軌跡を見た気がするのです。
スピーカーから滾々と紡がれる清らかな水の音と、
人々の体の奥底から湧き出す熱量とが何やら科学的作用によって、
時計の針をこんなところまで聖火のように運んだようです。
それでもまだ、携帯電話は沈黙を続けております。
地中から、はたまた虚空の端から、滴りだすのを眼球が追うのを、
獣の心や植物の心や無機物の心が強いております。
私は傅いている様な心持の中で、
四股を、牙を、爪を、筋肉を、骨を、心臓を、神経を、精神を、
扉の向こうでドアノブを掴む存在に仕向けるのです。
口の中が乾く衝動に舌の蠕動を赦しながら、
私は、
あなたに夜が訪れることを、ただ願っているのです。 -
塔
僕だって、「愛してる」なんて直球に言ってみたいよ。
だけど、それでも出来ることが有ればそうでないものも有るもので、
ちょうど、僕にとってはそれが、そうで有るというだけなんだ。
だからと言って、勘違いはしないでおくれ。
僕は君を食べたくて食べたくて仕方がないことを、
今ここで表明してもいいんだ。
それで君が嬉しいと思うかは、僕には解りようもないのだけれども。
泥の中から生まれた世界に建つのは塔で、
その天辺から見る朝日に価値を見出すのならば、
僕はそれを掌に掬い取って、君の前に晒してみせるよ。
焦げる臭いの中で、僕らは一つの火の玉へと昇華され、
もうこの世界に夜なんて言葉さえ燃やし尽くして、
空に星が有ることを辞書から消し去ってしまおうか。
その体の震えは何を意味しているのだろうか。
瞳の中には僕なんて最初から最後まで映していやしないのに、
それなのに、なんでそんなに見開いているんだろう。
背中の方からの呼び声に耳を澄まして何を聞こうとしているのだろう。
指先が赤く悴んでいることにも気を留めないまま、
僕の口端から零れる衝動に君は気づいてるのだろう?
ほら、カーテンコールが喝采もなく日を捲り攫っていく。
地平から視界を覆う箒が沈殿するビル群を押し流していく。
ただ一つ建つ塔の上で、君は僕に何を言えばいいと思う?
その答えを以て、僕は君の目に映ろうか、君の眼を食べようかを決めるから。 -
汚れ
何も言えることなんてないのに
声を吐かずにいられないのに
冬の光合成みたいに
真っ赤な顔してもがいているんだ
何も言ったことなんてないのに
言葉を紡がずにいられないのに
夏の集積回路みたいに
判んなくなってまで泣いているんだ
何も言いたくなんてないのに
言葉を零さずにいられないのに
春の天地の境みたいに
熱で魘されながら引っ掻いてるんだ
何も言うはずじゃなかったのに
言葉を絞らずにいられないのに
秋の暮れた教室みたいに
押し潰されながら息を止めてるんだ
喉を摘出したかったんだって
頭を胸に抱えてながら途方に暮れた僕に
聞こえるのはやはり僕の声ばかりで
生きているんだって
生かされるんだって
泣いて、泣いて、泣いて
込み上げてくる産声が
空に反響することなんてなくて
ささくれて
擦過に
一度咳き込んだ -
窒息
言いたいことなんてないのに
何でこんなに胸が苦しいんだろう
寂しいって言葉にどれだけ意味を重ねるんだ
弱みを晒して
骨すら掘り出して
その輪郭を引こうとして
地平線の向こうまで伸びる筆を探してる
夜が救いなのは見なくて済むからで
でも急いて街路を通り過ぎるのは
怪物の息遣いみたいに
喉奥に嵌め込んだふたを叩く音がするから
嘘を付くつもりで付かれた嘘を丸呑みして
対消滅して生まれた宇宙が爪を立てて
借金取りみたいにケツを蹴飛ばす時針に
縊れに挟まった僕は
吠えることも忘れて
流れた涙が
染み込んだ砂に
磨り潰されながら
胸に当てられる掌を探しているんだ
吐き出すほどに積み重なって
延ばす手は冬の枯れ木みたいに
曇り空を切り開きたくて
星を
ただその煌きを
夢見ながら
腐れた枯葉に取り囲まれていく
夜が
夜に
溶かされて
溶け込んで
水槽の中で形を無くしたいんだ -
雨垂れ
胸がいっぱいで
抱き締められたいんだって
セックスを思い出して
許される許可を夢見て
人間は悲しいんだって
笑ってる
朝は続いてて
切り取られたいんだって
抉り取った夜を飲み
延ばした髪を手梳いて
人間は脆いものだって
立っている
傷に手を当て
着の身で着のままだって
爪弾かれた朝日に
目を向けまいと強いられ
人間は強情ぱりって
歌ってる
綴じた紙に触れ
暴いて汚したくって
罅割れた瞳で
零れるままに歩いて
人間は致しがたいって
去っていく
そうまでして愛して
年輪を書き足してまで
吹く風に
流すのは
ただの吐息だって教えておくれ -
シミ
吐き出すたびに嫌ってほしくて
マネキンと接合された右手で
ロードローラーで整地された
海底を触れる夢を夢見てる
ホッチキスで留めて
吸うことも吐くとも許さなくて
ミツバチの針先に
染み込ませたインクが乾いてる
栓抜きで排水溝を開いて
夜でマグマの喉を潤したくて
虹を横断しながら
充電器を指す先を探してる
足りないんだって
足を無くしたマネキンに
流した滴は涙なんかじゃないと
プレパラートに閉じ込めた
カメラで撮ってみなよ
カビの生えたレンズで
切断した時間に
挟んだ言葉が拭い去れない
鍵と鍵穴の関係みたいに
そのぼやけた約束事を
油紙で包んで懐へ差し込んで
開く日をただ恐れている
掻き毟って
書き殴って
墓を暴き立てたがっているんだ -
曇りのち曇りに生えた神経は どこに連れて行ってくれるのか
手遅れで見た自分の罪状になすすべなく
そこから垂れ流した謝罪や感謝の信ぴょう性を疑うのはその本人
再犯を恐れるなら 弱肉強食のわかりやすいルールで餌になること
断続的な雨に腐った神経は土に還れただろうか -
乾き
今日は僕を盗んだまま昨日へ逃げて
伽藍洞の空間に刻まれた輪郭が
光の屈折で風景を少しだけ歪ませて
風が小首を傾げながら通り抜けた
踏み出した足の感覚まであいまいで
嘘っぽい草の葉擦れだけを頼りに
何処へ行こうか途方に暮れたまま
昨日が溶け込んだ虚空に手を伸ばした
朝の日も夜の星も浴びられないままで
姿見の前に立つのを恐れるほど輪郭を軋ませ
すれ違う動物の目を避けるように
転がるように光から身を隠そうとした
何を盗まれたかなんてもう忘れてて
何を無くしたかさえボンヤリと明滅して
それなのに
縁取られた虚空に吹く風が寂しげに泣いている
グチャグチャでメタメタでカラカラで
いっそ溶け込んでしまえと
時計の針を指で無理やり回して壊して
浮き上がらるばかりの境界の上で
自棄になってインクを飲み干した -
右手と左手に壁がある 素敵な一本道の迷路
曲がり角ごとに既視感が転がってる
時折落ちる鳥の影は踏んではいけない
蒸発する生命線を握りしめ 電話で話せるのはあと一回
生きる理由とやらをさがす理由をなくすのは心地いいものだ
そう思って見た足元には鳥の影があった -
感情をなくせたら最終形態
無我の最終処分場は神様の皿の上
枝先のテントウムシみたいに簡単に飛び降りるカルト信者
カマキリのカマが桃色のハートを描く
生け花に枯れるしかないなんて誰に報告義務がある
だから静かに叫べばいい
感情を失いたくないのなら -
決別
流している滴をそのままに
つま先の指し示す先へ歩くあなたの
突っ張った肩にスカーフをかぶせて
その横顔に見える傷跡に
差し伸べる手がなくて
もう遠くへ行ってしまった先人の
霞んだ足跡を撫でる風の優しさに
ただ、痛みを堪えて
背中に
その小さな背中に
小さな花の香りを背負わせた
昇っていく儚い灯で
あなたはどの星を目指すのだろう
皴も無い軟布を
両の手をきつく握りながら
その潤んだ瞳で
一歩を踏み出すたびに脱ぎ捨て
露になる肌が
まとわりつく霧雨に染まり
その境界を合間にぼかして
振り返りもせずに
振り返りもせずに
ほのかな香りだけが
足跡みたいな名残惜しさだと
それが暖かさだと
濡れた服に凍える人を撫でていく
小さな帆で風を受けた船で
何処まで行ければいいと
乾かないままの頬で笑うしかなかった -
深層無意識は幽霊の海
無は有の対局で並列で同位で いつも取って代わろうとする
退化していく猛獣はヒエラルキーの角で潰れた
そうであってくれと願いながら沈殿物は泳いで漂って海面に顔を出す
性善説の母と性悪説の父からうまれたことをパクパク飲み込みながら
そろそろまた溺れるしかないんだろうと 他人のような無意識が語りかけてくる -
順番
泥濘を踏みつけるような日々だと
下し気味の腹を抱える青ざめた顔に
プラットホームから見えるレールは赤熱し
チリチリとこびりついた血痕を煙らして
熱いんだか、寒いんだか
顔色を窺おうにも瞳は火傷気味で
今時分が如何程なのか
腕の時計は自動巻きにも関わらずに止まり
一体どれくらいここで待っているのか
震える足で立つ場所は皮膚の上みたいで
病的な皮から生える産毛になったようで
汚染された栄養が足から這い上がって
胸の奥に粘ついた衝動を沈殿させて
一歩、踏み出さなければ
張った根の先が腐れ堕ちるよりも前に
そう思っているはずなのに
耳元で
底が有るだけマシじゃないかと
後ろ手で縛られた骸骨が眼窩から泥を滴らせ
引き抜けなくて
そのうち悲鳴が他人事のように通過して
レールが白く白く磨かれ輝いて
ゼンマイに油が差され
開いた扉が
面倒くさそうにホームから私を間引き
右から左へと流れ去る病的な皮膚が
染み付いた血液が
ただの風景でしかなくなって
シクシクと痛む腹を抱えながら
ただ足が有ることだけを確かめるかのように
じっと下を見ていた -
凍土
忘れられた道に降る雪は融けず
薄氷の上に更なる静けさを積層する
やがてそれは凍土と呼ばれ
一面の亡羊たる粉雪達の震えの下に
かつての罪人たちの足跡を隠しつつ
プレパラートのごとく標本として留めた
色のない絵の具を筆に載せて
吐き出された最後の声に色を付けて
それもまた一つの氷となり
軋みに似た音を立ててパズルの一片へとなり下がる
薄明時に燻らせるのは紫煙だけではなく
蛍の置き土産に焼かれた山肌が吐く朝霧もだ
氷河は一切を押し流していく
それは時間軸上の地滑りみたいな永遠で
何も変わらないまま私の手は皴枯れていく
また日が昇り、月が昇り、影が追い越していく
執拗に繰り返される摩擦にすら舗装道路はびくともせず
コンクリートは忘れてくれるというのに
降り始めた雪は一歩すら許すことなく記述して
街灯に照らされた地表の濡れた凹凸に
夜が帳を下すみたいに魔法をかける
重ねられた日々の可視化に耐える術を見失い
その内この身すら白い起伏の一つになる
悴んだ指先に溶ける一滴に
いつか誰かが、もしかしたら私が零した涙を見て
こんな日は誰もが泣いているんだと
足の裏側に凍てついた地面の下から
数億と層を成す寂しさが
縫い止められたまま私ごと滑り落ちていく -
『無花果』
広げた掌の下に膨らむ宇宙に
無数の魂が内に籠り夢を紡ぐ
やがて肥え熟す個々の花は孕み
その差し出した腹を死神の鎌が裂く
声は聞こえない
蓄財と不老とに狂う群衆が
無音の中から薫る甘露に手を伸ばす
柔らかい膜は震えるように張り詰め
気にされることもなく毟られ
千年王国は遠く
一万数千年に渡り鎖に繋がれたまま
億の宇宙が
兆の夢が
獣たちの白い歯を赤く染め
枝から滴り落ちる白濁が
人間の皮膚を犯すのは
ただ、生れ落ちることを知らぬ者たちの
吐き出すことの出来なかった精液の迸りが
臓腑で溶けた魂と受精するからに他ならない
花の無い果実は
目覚めることのない赤子のように
地に落ちることも忘れて
胎動する無数の夢に
日が映えることを
掌の下で
ただ、じっと待つ -
DTM
選べた物は何もなく
それでもこの道を踏みしめるのが
脅迫神経症的であろうと
確かに、言い訳も出来ないほどに
自身の絞り出した声なのだと
骰子を転がした掌を握る
夜の凍土を切るような星明りの下で
取り合ったのは肉質な接触ではなく
そこに居るのだという互いの承認で
吹き荒ぶ雹粒に瞬かせる瞳の中に
それでも、ここに居るのだと
凍り付いた掌をただひたすらに握る
顔料のはげ落ちた絵画の中で
それでも幽かに吐息が今も息づいて
掲げた群衆の拳を奮い立たせる熱が
ことさら綴じた本の中で数行の印字となり
乾いた紙片を撫でる掌に残り香を移す
進むたびに変換されるタイプライターに
分割された行動と思考と情動との境を
埋める術など言葉には一つとして備わらず
それはそれとして、アナログの鼓動を
五線譜に落とし込み今に伝えておくれ
それとなく進んでいくこの足によるパンチングは
いつか何かに読み込まれたとき何を喋るのか
偶発的に吹き上がる間欠泉の硫黄臭に
太古に存在した私に続くリズムを確かに聴いて
乱雑な不協和音と交響する -
記憶の最初の友はレモン色のインコ
しばらく犬はこわかたし 猫はわからなかった
何も知らなかった
今はそう
ネコは尊敬し いぬは恩人 インコはひとりで見る月
指先に肉球を逢わせれば あのSF映画の意味が沁み込む
熱くないように 寒くないように 痛くないように 苦しくないように
寂しくないように 飢えないように
陽だまりで 木陰で うつらうつら
わくわく 柔らかい草の広い広い原っぱを
思いっきり走り回っている -
生前墓参り
時落ちる度 血を分けられたはずの親と呼んだ人が遠くなる
今までありがとうございましたと つぶやきながら 後ずさりしているうち
いつの間にか砂の一粒のようになり 忘れてほしい
わたしはあなた方の望むように 幸せにしてあげられませんでした
お互いの間の接着剤の塊がころっと落ちれば なかったことになる関係
それまでの間の関係
代替えの幸せもどきを金に変え レジ袋につめ 埋めていく
あなた方にとって砂の一粒になるまでの埋め合わせ -
「童貞または自我分裂症的な躁鬱」
俺の垂れ流した赤目のドクロは
ドロドロと地の汁を吸い上げ
やがて一人の裸の女となる。
それを聞いた
女の恥部に宿る蒸れた熱を
それを捧げた
肉にいだかれた盲目なる刻印を
豪雨の如く浴びた情熱は
地獄の薔薇のように暴れたかと思うと
白鳩の羽となり一斉に飛び散った -
撫でる手
逃れようもなく目の端を埋めるのは
地平に蓋をするかのような山脈
切り取られた空に差す日は短く
天頂に舞う鳥はあんなに高いのに
地べたはいつでも腐れ果てて
漂白された花弁が項垂れている
時折聞こえる地崩れの音が
壁から逃げられずにいつまでも
いつまでも頭の奥を揺らす低周波のようで
耳孔に接続されたイヤフォンを掻き毟る
あの頂は恐らく岩石などではなく
空が捨てた外殻で
夜の建てた墓標で
人よりはるかに早く刻まれた時間で
瞳が途絶えるまで停泊する箱舟で
その原点から聞こえるノイズに
外側から覗かれている視線を幻覚してしまう
目も鼻も口も、もう入りきらないのに
鳥はいつの間にやら消えて
花はもう泥濘に溶けて
空は振り返りもせず通り過ぎ
夜は残り香のように染み出した
忘れた頃に届く手紙のように
彼方からの冷たい指先が
仕舞損ねた裾野から熱を奪っていく -
漂泊
擦過の度に薄くなる月の
深い享楽に析出する犬歯の鋭さが
夜更かしが癖になる病人の胸を突く
煌いているのは埃のはずだが
肺の奥が少しずつ凍るのは何故なのか
吐息は綺麗なままで
それはつまり汚れたままで
喘いで仰け反る際に見せる首筋が
余りに細く、細く
それは水面に映った鋭角で
地表を貫いて
咳をして
震える肌に逆立つ産毛は
淵を撫でる手の冷たさにではなく
狂気に削り取られた生命の残滓による
刹那の間に投影される燈火の熱のせいだ
酔いの醒めやらない地表に
立ちすくむ木々から伸びる枝は絡まり
内に籠る胎児は夜を忘れ
汚すことも知らず
色白の肌を青紫に染めながら
それでも仰ぎ見るのは
遺伝子が夢見る疼きに似た痛みなのだ
朽ちていく白銀から注ぐ鱗粉に
広げられた掌は無力でしかなく
刺さるほどに削ぎ落されて
一巡するたびに入り口は遠のいて
細く
鋭く
ただ、白く
白く -
すごくおもしろい副業情報ドットコム
暇な人は見てみるといいかもしれません
グーグル検索⇒『金持ちになりたい 鎌野介メソッド』
D66VV -
ゆっくり呼吸して 痛みから解放された
五線譜から湧き上がる 人魚姫の泡
きっと今夜は星が増える
そして彼女の唄は誰かが唄う
昨日の昨日の奥底に沈むその泡を 追い続ける子供たち
夢から覚めて泣いた真珠の子供たち -
からからに乾いた喉から幸せがもれた
「その勇気があれば何でもできるでしょう」って本当でしょうか
そもそも勇気は必要なかったのだから
うるんだ喉からまた幸せがもれた
まだ愛するあのこの名前をつぶやいただけなのに -
影絵の中で踊る影を見た
真夜中の海を綺麗だと言った
全部嘘だと思った
アンテナが無い事を意識して やっと人形になれると思った
操り人形のひもを噛み切った人形の決意 -
大丈夫といいながら無理な仕事をしてるから
大丈夫かと優しくたずねるサイコパス
いつからわたしたちの脳は壊れていたのだろう
泥のごはんを食べさせて
おいしいでしょうとスプーンで食べさせる
はじめから脳は壊れているんでしょう
ストロベリーの香りのする血は洗っても消えない -
檻のむこうの4つの眼 扉を閉めてもそこにある
開けられるのは自分だけ きまりなどはそこにない
動機の中に理由もない ただそこを開けるだけ
語ってくれたら語りたい 語り部の背後の木々が熱さに揺れる -
頭下げて瞼綴じる あとは空は白くなるだけ
小さいダイヤに約束を隠して はじまりのイチョウの葉に帰った
そこは君にとってのポプラだといえば理解してくれるだろう
失った友達の木を探しにいく らせんの季節に薄紫の花が咲く -
こすもすくじらの航路 玄関のポーチで浮遊
恐怖に支配されても飛び降りる がっかりさせたくないから
あの時と同じシチュエーション
はるかかなたのツリーに飾りはてっぺんの星ひとつもいらない
夜を知らない夜の中 こすもすくじらのうた響く -
バスの外には寂寥
人のことがわからないなら自分のことも行方不明
バスの中は海中
ひび割れた地面を歩く魚 -
全人的社会の周囲は抗体に縁どられ 飛び火し渦を巻く
この際だからアレルギー反応で絵や歌の症状にすがる
ここだけの話がどこまでなのか 口から漏れないように耳を塞ぐ
耳をすましながら 秘密をききたい
全人的個人は蕁麻疹に驚いて 思わずしゃべってしまう
秘密の抗原は耳から侵入する -
喪失
夢の中は透明で
深く深く覗き込んだ彼方に
暗赤色の夜が瞬いて
その雲母を透かしたかのような
生温さに指先を浸し
まだ来ない今日を
むず痒さに似た喪失感の中で
拙い運針で掬い上げながら
形のない
薄絹の心許無さに
笑みを浮かべ
さざめく声を聞いた気がして
指を止め
その指は解け
確かに縫い止められ
私は喪ったのだと
やはり笑みを浮かべ
あげた瞳に見えるのは
相も変わらずの純真で
雲母は遥かに揺蕩って
こそばゆく
名残惜しさを
感じているのか
感じられているのか
泡沫に映る湾曲した空が
一つの鼓動で震え
今度こそ
それは声で
呼ばれていない私は
繋いだ端切れを
宙に浸して
ささやかに
目礼で
去っていく私を祝うのだろう -
灯台のライト あおい鳥貫いた
献身的飛行にあたたかい終止符
ぼくから外れたパーツの空洞に異物になったぼくが埋まる
「あなたは何パーセントオリジナルですか?」
「きみは支配者ですか?」
夜中のサイレン あかい馬車もえつきた
賢信的必然で狡い天使と弱気な悪魔の融合
結果は転機にはなっても再生はない 蓋然性はゼロ
「爪の先からくずれてます」
「違いました」 -
ここじゃないどこかは存在しない
兄弟はどんどんいなくなった
ここじゃないどこかに行くと言ったまま
存在するどこかはここにある
兄弟はひとりいた
存在の存在は無限かもしれない -
実に勝手な想像 きっとあの空き瓶だ 思い出したくもない うなる
またうなる 泣きたくもない うなりたくもない 実に勝手な解釈
はいつくばっているのか はいつくばされてるのか とにかくはいつくばっている
あのこわい崖の隙間は生き物の目 うっかり見てしまった
やっぱり地獄を求めさまよってる 共感は禁句
嘘偽りの喜怒哀楽が針の山に刺さってる 仲間じゃない
沈黙の二枚貝はゆっくり沈む -
デリートで断捨離 見送りでないてるのを見てたら意味が違ってわいてきた
本当のことを知ったら悲しむだろうな
笑顔でデリート そのための笑顔
だから早めに孤独になりたいんだけど そういう意味で
突然始まった若く長い台風は その爪と牙でいくらか腐った肉を落としてくれたようだ
醜く冷たく悪臭を放つ胚を腹に詰めて温めてくれたことを知ってるから悲しいんだろうな
またドクドク心臓が動き始めた -
第六感でペンを動かし 四次元の絵を浮かべる
淡々とクスリ飲んで 滑稽に頭ぶつける
正論が正論に聞き取れないほど 歪みがそれでいいといってる
わたしとあのひとの悩み方は違うけど 根本は同じかもしれない
それは言葉にしなくても 誰でも気づいてる暗黙の了解
各々のカードを神経衰弱の要領でつきあわせたところで消えるわけでもなく
増えるわけでもなく むしろ言葉にして否定されたくないだけかもしれない
さらけ出す次元を超えたむこうに あのひとたちはいる -
凹凸
日々の階調を確かめるように
指紋の溝分だけ夜を潰して
動かした手は滑らかに流れて
幽かな衣擦れが
軋んで
時計が止まっている間だけ
密やかに木霊する吐息と
爪の跡が
汗に滲み
染みになり
消えないのだと
思い込もうと
ただ、握りしめた隙間から
一滴が零れ
壁に映る複雑な陰影は
細やかな欠落による回折だと
鈍色がうそぶき
また一つ頁をめくり
感覚のない掌から
その歪な波紋から
紡がれていく音に
耳を傾け
読み込まれるのを
待ち続けている -
ボアに包まれた篭絡のハラスメント
緑の点滅に首がしまる
先細りのトンネルの入口に引き戻された
飾り物の選択肢がガラクタになって泥に沈む
熱くなるばかりの暗い電球が西から東に揺れた -
ずっと大事にしてたものがあっけなく壊れた時 大事でなくなり
他の宝物までゴミになった
今度はゴミと一緒に宝物まで捨てているのだ
宝物が実はゴミだったわけではなく
宝物と認識することに疲れたといったところか
そこにいることが当たり前だった前世の痣が今世では消えてるのに
またタトゥーにして彫り返している人らは対局で理解不能の異教徒
無関心はつらいといったが 真の無関心は解放だ -
歯ぎしりして誤差を噛み潰した
獲物のノドをかみ切った牙で幼子を優しく運ぶ誤差
かみ合わせの完璧な上下は別世界の唯一の接点
灼熱の大地で雪女が吹雪を起こして新種の天気をコロコロつくる
それをルーチンで噛み潰し すり減ったものを飲み込む -
琥珀のピアスが割れてハチが飛んだ
黄金の幸せはあきた
花との生き方は忘れた
耳から流れる血はうまい -
パンダには色々な名前がある
チンチン
ピンピン
パンパン
アンアン -
朝日が窓ガラスを割って侵入する
眉間に浮かぶ焦点の合わない傍白
海嶺と海溝の会話がざるの目を素通りする
満ちてはひきつける暁と曙の会話 -
そういうことか
ああ、
だが、俺じゃないんだけどね
それだけは
まあ、
いっておくさ -
『パラダイムの痣』
分水嶺から現れた招き猫は対数らせんに歩き回る
震える猫を抱き上げて生真面目な時代の日の出をみた
銀河の海からうまれた巻貝に耳をすましながら
幾重にも重なったレイヤーのこちらと向こうがわで違う絵をみる
巻貝から転がったヒマワリの種を握りしめ
こちらと向こう側で同じ太陽をみたいと思った -
命日
整然と植樹された若木が
育ち切らぬ華奢な腕で
閉じた空に引き裂かんと
未だ解れぬ爪を突き立てる
その幼さに
震えた葉擦れが波紋となりて
過多の交響に森は軋んで
潰れた悲鳴は色を無くして
深い深い夜の
その底の
一羽の鳥の亡骸の
薄汚れた風切り羽根を震わせる
そんな日は
森には赤子の声しか響かない
濡れた瞳が確かに輝いて
確かに世界を焦がし得る緋色で
しかし
それもやがて灰色の一欠に砕け
一握りの灰塵と化し
柔らかな腕すら苗木にされて
蔓延り出す根が悲しくて
それでも
それでも、と
あの子は三十一歳になっていた -
もうおばさんじゃん
-
「菩提樹」
重なる若草の透明度
わき上がる炭酸のような空気
ここまでどうやって来たのかわからない
きみまでの道
虹の花が咲き乱れる空
そこから舞ふるオーロラの雨
ここまでやっとたどり着いた
きみのとなり -
帰路
パッとしない天気の下
優れない調子の胃を抱え
先の見通せない往来を
汗や脂の臭いに塗れ
目深に被る作業帽子が
草臥れたまま項垂れて
滴るのは
汗なのだろうか
路地の底に咲くビニール傘
骨の歪んだ安物フィルタが
此処を海底探査船内とする
酸素供給も儘ならないまま
作業帽子はしわがれる
ため息が
天に上るか地に沈むか
判らないから
未だに日の光すら拝めない
足の裏の感触さえ朧気で
溺れてるんだと
指をさす指をさされる
それもフィルタの向こう側
いや
こちらがフィルタの向こう側
ゆらゆらと
逆髪が昆布のように
ゆらゆらと
とうとう
帽子も消えて
濡れた路面には
影さえ浮かばない -
1日が溶けて
暗闇に絡み付き
その足を引き
引きずり込み
何も言わず
ただ優しく
それは未練なのだと
衰えた筋肉に
吐き捨てるのは
然したる価値もない
零れた砂の描く絵に似て
柔らかな風にさえ
形を崩され
戻れず
夜が
染み付き
モザイク画の中に
重なるごとに
迷い込み
亡くしていく
欠片に
差し込むのは
見知らぬ日のみなのだ -
「輪廻の影」
鳥獣保護区域から1羽の大きな白い鳥飛んだ
保護区域はどんどん拡大し
害獣であるぼくらはいずれ駆除される
人工知能は正しい
正しさには逆らえない
当時 保護区域内のぼくらは白い鳥を害獣とよんだ
正しさとは別の部分で逆らうことをしなかった
人工知能は正しい
不都合な正しさはバグ
ぼくらはいずれ駆除しあう -
衝動
膿んだような空の雲から
雨垂れる一滴が
いつまでも
いつまでも背筋を震わせ
まだ一里塚
その呟きは悲鳴に似て
指先の振戦は
無意識なSOSの送り先に彷徨っている
まだ来ないのだと
安心するのは
私は、私を
殺したくないのだと
テレビをリモコンで切り替えるように
カレンダーを捲るように
日々逆立ちを強要されて
それでも
この蜘蛛の糸を手繰るのだろう
静かに荼毘に付した
私だった煙の示す先を目指して
薬を塗ってください
私にではなく、貴方に
手遅れになる前に
まだ雲は厚く
怖気は静まらず
殺したくないのだと
殺したくはないのだと -
視点
今日の終わりに吐いた息を
吸い込むのは植物には荷が重く
蟠った積乱雲が明滅して
焦げたオゾンが目を焼いて
そして降り出した
人の波は轟々と谷を滑り落ちていく
かくれんぼは終わりなんだって
態々耳打ちしてくるお節介に
夜の匂いをお見舞いしてやるのだ
そこに吹く風に身を任せて
グライダーの行く先は夜で
2000km/hの零れ行く私たちは
彗星の尾のように空を舞い
楽しいのだと
崩れゆく肉と骨を笑い合い
シャレコウベの白さに似た陽光に
眼を瞬かせて
眩んだ空に
昨日の亡霊がたなびいて
サヨナラの言葉は
もはや蛇足なのだと
速すぎる歩みに
慣性に留まることすら躊躇して
更新は止まず
山は鳴動して
くしゃみに全てがご破算と終わり
それに気が付く前に
塔はさらなる塔を築いて
頂点から見る景色は
夜のようだと
植物すら溜息を零した -
仮想幻想
水面の月は日々鮮やかさを増し
凍える毛先の霜の反射は何処からか
ただ震えていることだけが拠り所で
つま先がふわりと淵を踏み外し
まだ眼球はそこにありますか?
路地のゴミ集積所の酔いどれが
未来式の眼鏡の前に手を伸ばす
ようやくシャッターを下ろせた
幾重にも絡められたミミズの脈動に
温もりを感じることに何を躊躇うのか
でも皆分かっているのだ
缶ジュースの中では窒息しかないのだ
その太陽は目指すものではないのに
不自然の白色のフードプロセッサは
プロパガンダが酷く上手い
それでも水面に目を向けて
水面のさざ波に目を向けて
さざ波の高低に目を向けて
高低の周期に目を向けて
奥底のホログラムに爪を立てようと
伸びかける手を押しとどめて
押しとどめたような感覚を注入されて
手足なんてないのに
まだ眼球はありますか?
気が付くとゴミ集積所の前に立ち
酔いどれは相変わらずHMDに夢中で
でも水面はまだ揺らめいて
この毛皮の霜の反射光は何処からかと
伸びた手が
軽いだなんて誰が信じるのだろうか -
友達から教えてもらった嘘みたいに金の生る木を作れる方法
参考までに書いておきます
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
M1B -
24時を刺す針だ
閉じ込めた骸骨と向き合う目に映るもの
積み重ねた弱さがいつか命取りになる
優しい国の残酷な野生
ぶつからないように歩けたのは奇蹟
ふるえないあの歌声の意味が
目に響けば針を動かせると信じたい -
それ、素質だから
必死すぎて問題に燃料投下
これ、素質だから
全血交換しても無駄
どんどん湧いてくるものだから
生きてる間中
サトラレまくり
何も被れてない
メビウスにとっつかまって
自分でとっつかまって
墓穴から頭出して
モグラ叩きゲームのモグラ
勢いよく飛び出して
目をお日様で焼いても
これ、素質だから
お日様はあたたかい -
地を這う根が宇宙にからみつく
備わっていたひとつひとつの感覚が今までになく指をのばす
指先に当たり、かすめ、冷たく熱い、香りと感触に
未知の懐かしさを探して
そうこうしているうちに、わたしは「しねば」といわれ
「いきろ」ともいわれ、誰かにもいって
誰にもいわないで、
誰にもいわれないで
既知の不幸と相反する幸福のらせんが
底なしの地に根付いている -
どうしても好きになれない弟に 優しい言葉をかけて
その向こう側にあるガラス窓に 映った自分の顔に目をそむける
雑草になってしまった電波は 刈っても刈っても生え続けるように思え
その儚さには思いもよらなかった
先祖から末代までの呪いと呼んでしまえば楽だけど
それでは終われないのが我々の宿命という名の呪い
孤独を望む寂しがり屋とか 生に執着する自殺志願者とか
そういうものになりたくないのになりたがる
どうしても好きになれない弟に きつい言葉をかけても
満足できる顔など 窓ガラスに映らない -
発達
いつか来た道と
いつか行く道と
双方を繋げる点と
脱落とを
笑うカラスを横目に
蔓延る草木を掻き分け
咽返る精液の香りの中
ぐるぐると
ぐるぐると
指先で遊ばせる秒針に
反射するのは
恐らく陽光では無いようだ
LEDは寂しくて
面発光は曖昧で
無数の星は数多の夢を紡ぎ
明滅に明け暮れる朝露に
乱反射する影は行き交い
目まぐるしく
夜の帳の片隅に引っ掛かるのは
酔いどればかりには非ず
また蕾の中を覗こうとしている
それは罪であり罰なのだと
咲き誇る花火は日中に消え
ほら
私たちはもう砕け散っていて
孤独な色ばかりに彩色された
街は混然と灰色で
義眼と見間違うほど
その目は透きとおり
乾ききった表面を蔓が撫でていく -
なんのために 手紙なんか 残したのか
書いてる時の偽善感がしみついてて 後日読み返して捨てた
君はとてもさみしがっていた
卒アルや写真や手紙を捨てても 所詮 君のさみしさは
わたしには一生理解しきれない
新品の空き家が立ち並んだ空っぽのまちに涼しさが混じった風が 誰も刈らない雑草を揺らす
わたしは将来どうでもいい死体になる
もしその先があるなら
否応なく 君のさみしさが刺さるといいけど -
ひとり目のサンタクロースは憂鬱そうに椅子に座らされていた
苦手な子供の前で
場違いな舞台のそでで
無言で無表情
概念の前に置かれた概念はそんなものだった
なのにふたり目のサンタクロースには焦らされた
見たこともないうわさだけでその価値が高まったのは
あのこが手紙を書いて送ったと言ったからだ
そんなのも嘘かもしれないのに
ただ何となく焦らされた
さんにん目のサンタクロースには気を使った
めんどくさかったが気を使えてよかったと思う
気はどんどん使うべきだし使わないとめんどくさいことになる
サンタクロースはめんどくさいが
その存在はいつの間にかいろんな場面で使い使われている -
夜の微かな光に薪をくべ、
まだ何処にもない塔を建てようと、
足元の小石を、
小石は、
いつのまにやら砂に変わり、
海底火山行きの満員電車に押し合い圧し合い、
去っていくのを、
薪をくべ、
薪をくべ、
その脇で少年少女が、
いや、両性具有者が、
望遠鏡で、
見送っていた頃の写真は露光不足で、
星はなく、
月はまだ産まれいずるには遠く、
薪をくべ、
薪をくべ、
白く濁る呼気で輪を描こうと、
笑っている、
その人に名前を付けられなくて、
また、
薪をくべ、
薪をくべている。
塔の天辺から、
今か今かと待ち構えているのは、
薪がはぜるような、
あなたの最初の呼吸の音なのだ。 -
題名「拝火」
-
腕伸ばし 両手広げて
太陽のしずく ひとつ残らずあびているヒマワリ かなしくなる
空を征服 見えない北極星は海のど真ん中に帰っている
なんてきれいなんだろう もっと もっと 進化したら
解け込んで 溶け込んで 一番好きな色になれるといいけど
夜空に残った最後の星がそうであったように
薄紫の風を吸い込んだスミレがそうであったように
かなしいくせに また大事そうに春の種抱え込んでるから
とてもきれいなんだろう -
五月の底
剥がれていく私が
ドア越しに眺められ
その氷柱に突かれ
竦み上がり
冷蔵庫で干からび
火花に焦げた夜が
その穴から砂をこぼし
それにさえ鳥肌が立ち
まだなのかと
いや、もうなのだろうかと
お話は終わりだと
絵本は閉じられ
時計の針に隙間はなく
押し出されることさえ許されず
目が乾き
掻き毟り
煽る杯の毒は零れず
いっそ、
いっそ、笑ってくれさえすれば、と
空箱は香りが
過ぎた電車を
プラットフォームから
未練がましげに
伸ばしかけた手みたいに
五月の風にたなびいている -
欲求
生きたいのに、生きたいのに
耳を塞ぎたくて仕方がないのは何故なのかと
甘い言葉が痛くて外耳を切り捨てて
川に流すのも恐れて地面に
その地の底に宥めて
死体の静かな呼吸にそばだてて
私もそこへ行きたいのだと
勘違いを繰り返して吐き気が止まらないだと
どこかで狂ったように回り続けているんだと
気づくんだと夢見たままここまで来てしまったよ
その音は腐れゆく柱のひび割れで
その芯に蔓延る微生物のプリズムに
永遠のネットワークに絡め捕られたまま
張り付けられた生命に賛歌されるがままに
息を吐いて
吸う際に、それを教えてくれたのは何だったのかと
この悲しみに落涙も出来ず
生きたいのだと
喉奥を指で刺し
まだ
雑踏に蔓延る私が私で有りたがり有り難がり
その叫びに浮かぶ瀬もなく
ただの夜なのだと
欠落なのだと
生きているのだと
伸びる髭に
絡まる声に
まだ縋っているのだと泣いているのだろう -
産声
生きることの肯定に
尽きる命の中で成し遂げられるのだろうか
否定の爪弾きに
鳩尾の石を飲んだかのようで
声が死に
ばたつかせた手に
空虚だけを握りこまされ
だから死に絶えるべきなのだと
誰が信じられるのだろうか
私たちは生きているのだと
夜の中で鳥目のまま走るのだと
息苦しさに
顔を俯かせることを否定するのだ
まだ判らないのだと
判らせてくれてやるのだと
拭い切れぬ未練に
浅ましく
吹き溜まる埃に
私は私なのだと諭されることを肯定して
生きたいのだと
枯れた喉で
聞こえない声で
爪を立てて
世界を破り捨てた -
散歩道は夜 足から重力を奪う
わたしはカルトの供物にされて 友達は最高のしあわせを手にした
それは大したことではない わたしも供物にした
お互いに差し出し 捧げ これも助け合い
認めようよ やり直したって同じことを
否定し続けようよ 良い人間であり続けるために
散歩道は夜を選ぶ -
「何故か」
と尋ねられることはこの先もないから自分できいてみる
隠す場所がないところで隠す場所をみつけた
正確ではないけど
奥底のヘドロの上澄みをすくって塗り付ける
知らなければヘドロではないそうだ
そんなのカルトのとぼけた教義でもあるまいし
それは間違いなく臭いヘドロだよ
それを絵具としてみただけのこと
それは頭の悪いニンゲンのすること
余計なことなんだよ
きれいな水だけすくって掃除しなよ
できるのは、残り時間でやるべきことは身の回りの掃除 -
花火
宝物かのように
かき氷の儚さを有り難がって
後に残る濁り水に
綿あめに似た甘さが
溶かしこまれているんだと
飲み込みもしないくせに
出来もしない昨日を繰り返して
空に咲く大華を
音も聞こえちゃいないのに
見たんだと
ガラス玉ですらもったいないな
鼻で笑ってしまえば楽だというのに
喉元を割けばそんな泥水ばかり零れ落ちるというのに
指先は止まったまま
地面のシミと小さな欠片が
風も吹かず
硝煙が
焦がして
ようやくたどり着いたのが夜なのに
切り裂かれるとわかってしまうのが今日なのか
唾を吐き
唾を吐き
まとわりつくお日様の香りとやらに
未練など無かったはずなのに -
酩酊
また深酒か
酒精など遠に逃げ出して
めまいばかりが足を止める
喉奥が笛みたいに鳴り
そういえば子どもの頃もこうだったと
部屋の隅が引き延ばされ
ぐるぐると
回って欲しいのは時針だというのに
ぐるぐると
ぐるぐると
酸っぱい臭いは幻で
病室の白さばかりが思い出され
あの人は何処へ向かったのか
仕切りの向こう側に人などいたのだろうか
パッチワークにもならない断片の継ぎ接ぎに
喪失感ばかりが染みついている
夢のような
夢としか思えないような
夢だったのか
夢死にはまだ早いと後頭部をはたかれ
その手に
何か郷愁を感じ
まだ宵の口なのに
吐き気は留まることを知らずに
手の中に映る月も見ずに -
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傷
あの時確かに私は泣いていたし、
傷跡は生々しく血をにじませていた。
今考えるとそよ風程度しかない囁きに、
腹の底からの震えが止まらなかったのに、
私は確かに生きている。
あの頃の傷はかさぶたさえ剥がれて、
それでも跡だけはこうして残っていて、
新しくできた傷がその上にあったり、
治らなかった傷もあるけれど、
抱えていたひざの骨の形は、
忘れてしまった。
私は歩いている。
何処へ行くのか、行けるのか。
ベタだが良き先などどこにもなかったのに。
それでも、それでもと、
私の足跡は彷徨うほどに長く連なっていく。
其の声は聞こえないのに。
許しはなく、許すこともなく、
押しつぶされそうなのは相も変わらずだけれども、
この呪いのような薄明時を、
私は歩いている。
なぜだろう。
なぜこんなに怖いのだろう。
分からないことに怯えて、
過去の私は泣いていたのに。
今はもう泣いていない。
何もわかっていないのに。
まだ怖いままなのに。
また一日生き延びている。 -
朝
囁いた愛は
葉が落ちるより前に枯れ
ただそこで枯れ
軋む音が亡霊みたいに
責めるように
背中に黒く張り付いている
その言葉は間違えたのだろう
粘り気を帯びた夕闇に
絡め捕られた陽光に
微かに照らされた輪郭に
確かに憂いて
もしくは飽いて
置き去りのまま
それでも
何かに耐えていたのに
憑りつかれて
怖気に苛まれて
なのに足は地に根を張り
冬の枯れ木の一つとなって
吐く息も途絶え
忘れてしまえ
下手糞な掃除の後に残る綿埃に
肩を組まれて
寒風に逃げ場もなく吹き溜まり
忘れ去られて
朝を迎え
くしゃみをするのだ -
test
-
test2
-
( )y-~~ ( >)y-~~( >-)y-~~( >-< )y-~~ ウマスギル・・
-
幾千の世界
幾千の世界 見渡したって
俺の目には お前しか映らない
街の灯り 星屑みたいに
瞬くたび 心がざわめく
愛してる 愛してる 叫びたい
だけど 声は届かない
幾千の世界 さまよっても
俺の帰る場所は お前だけ -
新しい草刈り機を買いに行ってきたのか?
-
草刈正雄
-
草刈友和
-
夏の記録
汗ばむ季節、素足に靴下、
少女の秘密、香りの物語。
照れ笑いの間に、本音が零れ、
心は夏の光に照らされて。
アクリルに映る、曇った視界、
足裏の湿気、夏の証。
ゲームに夢中、無邪気な笑顔、
その間に嗅ぐ、甘酸っぱい香り。
生々しい日常、ありのままの姿、
言葉にできない、心の奥底。
ツルツルの肌、ふっくらとした胸、
少女の成長、刻々と変わる。
夏の終わり、記憶に残る日、
また会える日まで、心に刻む。 -
上手い
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